【GAME41-9】罠・罠・罠! トラップ要塞を攻略せよ!!
『――サバイバーモード・ラウンド4、半径500メートルまで縮小完了。次ラウンドのカウントダウンが始動』
……ありゃりゃ、とうとうファイアウォール縮小シーンまでカットされちゃった。
いよいよフィールドは1キロ未満まで縮小、生き残りゲーム戦士も23名まで絞り込んで、サバイバルも佳境に差し掛かっております。
ということは、間もなく有力なゲーム戦士同士の激突は過激なものへと発展していく。
その様相を見守るのはお馴染みポータルタワー司令室のスピリットプレイヤーと、鳳凰堂孔雀。
「大波乱、とは言ったものどすなぁ。まさかオーブを勝ち取った桐山剣はんもリタイアするなんて」
「時と場合によっては、歴戦のゲーム戦士とて敗れる事はあります。万物のゲームに一人の王者が居座れる程甘くはありません。今回のゲームで気まぐれな勝利の女神は、もしかしたら意外な者に微笑むのかも知れませんね」
そうですよね~、今回サバイバーモードでは銃司が不覚を取り、剣は仲間の穂香との一騎打ちで敗れ去った。
エース格の早々のリタイアを目の当たりにすると、いよいよゲームの結末も予測不可能なものになる。面白くなってきた所ですよ!
……さて、ここからは怒涛の好カード決闘ラッシュとなります。
豪樹さんの無双、サーブルズ・シェイパーの行方と瑞鳳旋風堂の戦士の行動、カスタム・アーマーカードを装備した穂香の活躍!
で更に更にキルリーダーの忍野龍牙VS池谷倭刀の勝負と目白押しの展開と、どうなる事やら一寸先は光か闇か?
そして今回は、この組み合わせだ!
▶▶▶ NEXT▽
北エリア、ポータルタワーから約300メートル離れた横幅の長い廃れたマンションの鉄骨造建物。
幸いにもファイアウォールの影響も受けずに済んだ随一の安全地帯となったこの廃団地。
そこに今蜘蛛の糸をシュルシュルと蔦って屋上から潜入する者がいた。
―――シャッフル・畠田レミと、契約したユニットウォーリアーの蜘蛛女・ジョロキアスパイダー!
『ねぇレミちゃん。もうゲーム終盤なのにこんな建物に入って何するつもりなの?』
「剣くんや倭刀くんらが活躍してる間で、移動しないで動きを待ってるゲーム戦士が他にも居ると思ったからよ。この建物だって絶対誰かが細工して、芋ってる筈よ」
レミはシャッフルのメンバー内でも、特に直感とブラックボックス思考に冴えるゲーム戦士。それもあってカード作製装置『カードクリエイター』でユニットウォーリアーの契約腕輪カードを手に入れる事が出来た。まさに天より授かりし知性の持ち主だ。
エレベーターの代わりに建物内のスロープを使って中層部に潜入するレミ達。スロープの棒からスルーっと降りたレミが脚を踏み入れた瞬間……
ドカーーーン!!!
「『わあああああああ!!!』」
〔畠田レミ HP1000→300〕
〔ジョロキア・スパイダー HP800→100〕
なんと玄関付近で大爆発! その衝撃で建物の隅に吹っ飛ぶレミ達。その爆破した部分の足場は総崩れ、そして爆破の規模が限定的なのを察したレミは勘付いた。
「これもしかして……地雷!?」
流石冴える勘のレミちゃん大正解! それは地雷トラップカードの《ステルスマイン》だ!!
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【ステルスマイン】属性:赤
・効果:[トラップ・フィールド接触]
①仕掛けたフィールドにプレイヤーか
ユニットが触れたとき、その対象に
700のダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
ということは、明らかにこれはゲーム戦士の誰かが仕掛けたもの! その詳細は……
「やれやれ、凝りもせずまた現れたのかゲーム戦士め」
と、建物の奥で姿を表したのは……立海の参謀長・大門史也!!
「もしかして、この廃団地でずーーっと芋ってたのは史也さんだったんですか?」
「その言い方は語弊があるぞ畠田レミ。ここはフィールドの中でも最もレアカードが集まると言われていた【レアリティスポット】に直撃したエリアだ。
私はそこに真っ先に転送されたと同時にカードを収集し、野次馬根性で潜入する者を片っ端から片付けたのだ。これも戦略の一つなのだよ」
史也は廃団地で手に入れたカードを使って、アチラコチラに罠を仕掛けて忍び込んだゲーム戦士らを仕留めた。早い話が『ゲーム戦士ホイホイ戦法』だ。
「あたし達ゴキブリじゃないのよ!!」
「果敢に動くのは結構な事だ。しかし十分な戦力も蓄えず、室内で適した戦いが出来ない者に私は倒せんぞ。君の契約したユニットウォーリアーとやらは、畠田レミを守れるのかな?」
『な、何よーー!!』
史也に役不足とでも思われたのか憤るジョロキア。ここまで煽られてはユニットもゲーム戦士の名が廃る。
「もうあったま来た! ジョロキア、史也さんをやっつけちゃお!!」
『オッケー!!』
ムカッと来て意気投合するレミとジョロキア。
「全く……多少の煽りで苛立つようでは、私に勝てるとは思えんがな。猪突猛進は若者の特権か」
(“猪突猛進”……?)
やれやれと呆れる史也の言動と素振りに気付き、頭に血が登っていたレミは一旦その動きを止めた。
『あれ、どうしたの?』
「待ってジョロキア、動いちゃダメ!」
ここは学習の吸収力が高いレミ。先程の《ステルスマイン》の受けた事、更に周囲に散り散りにデスボックスの痕跡がある事から逆算し、史也の企みに気付いた。
「……あと一歩二歩動いたら、また例の地雷かなんかでドカーン!でしょ? ここら辺り一面トラップハウスなんだし」
「何故そうだと言える?」
「辺り殺風景だし、そこら中に潜入した人のデスボックス転がってるし、それでいて何で史也さんから動こうとしないの? 遠くで話し掛けてないで、ちゃんとあたしに近づいて挨拶するのがジェントルメンの礼儀でしょうが!」
いや、最後のは意味履き違えてるような……
「……つまりここの空間は既に、私の仕掛けたトラップが張り巡らされてると。なる程、頭冷やして見えない罠を見破っただけでも褒めてやろう。
だが……罠はあるとして何処に仕掛けたか、君に分かるのかね?」
爆破処理班で無い限り、史也の仕掛けたトラップカードの場所は把握は出来ない。故意にも剣や倭刀よりも軽視している素振りを見せる彼にレミは……
「史也さん、あたしの事ナメてるでしょ」
「……ん?」
「剣くんや槍ちゃんや、倭刀くんみたいに派手な技もPASも無いあたし相手じゃ、“私の頭脳に恐れるに足らん”とか思ってるでしょう?」
れ、レミさん!?
「それは君の思い過ごしだろう。まぁ思っていた事は否定しないが」
「やっぱり! スマッシュ・ブレイカーズで弱いからって、あたしを執拗に狙われてたからもしかしたらって思ってたの! じゃあさ、あたしの事を史也さんはどんな娘って思ってるのよ!」
……何ですかこれ、プロポーズ前の修羅場にもさも似たりな展開。
「余りにも愚問だが、答えておかんと後が怖いだろうな。単刀直入に言うと、『勉強が苦手そうな能天気でお転婆なポニーテール娘』って印象だ」
随分ストレートな言い方ですね史也さん。
「“勉強が苦手そう”……うん当たってる。ちょっとねー、あたしも色々あって、学校での勉強の仕方とか滅茶苦茶苦労したし。
第三者から見ても『勉強苦手=頭が悪い』みたいな言い方で遠回しに蔑んでるのが良く分かるわ。……でも、ちょっと勘違いしてますよ史也さん」
「…………何?」
「あたし『勉強は苦手』じゃなくて、【勉強は退屈だから嫌い】なの!!!!」
その意味は一体何を表したのか、それはレミが気を込めたPASの波動が表していた! いざとなったら魂を込めろ!!
◎――――――――――――――――――◎
・畠田レミのPAS【ブラックボックス】確認。
◎――――――――――――――――――◎
「PASスキル発動! 【ナノテクノロジースキャナー】!!」
◎――――――――――――――――――◎
・PASスキル
【ナノテクノロジースキャナー】発動!
周囲全体の情報・罠などを徹底スキャニング!!
◎――――――――――――――――――◎
レミの黄色いPASの波動が、廃団地の周囲環境を赤外線よりもきめ細やかなレーダーとなりて、レミの眼からあらゆる情報がキャッチ。
(うわぁマジで罠張り巡らせてんじゃん! 床は罠で踏み場無し、壁にも天井にも仕掛けてるじゃないの!!)
レミがドン引きする程透けて見える罠の数々。これで史也の仕掛けた他のトラップカードのセット位置が完全に明らかになった!
「ジョロキア、【スパイダーウェブ】お願い! 張る場所はね、ゴニョゴニョのゴニョニョ……」
『……分かった! 【スパイダーウェブ】!!』
★――――――――――――――――――★
〚スペシャルコマンド〛
【スパイダーウェブ】
消費カード:1枚
効果:プレイヤーも上から渡れる
頑丈な蜘蛛糸を張って回避率アップ!
★――――――――――――――――――★
ジョロキアの手から放つ蜘蛛の糸! レミが耳打ちで指示した場所へと不規則に張り巡らせて、いーとーまきまきと橋渡しの道が出来上がり。
レミとジョロキアが慎重かつ大胆に糸の上を渡り、トラップ群をスルリと抜けて史也に接近。まさに人間と蜘蛛女のあみだクジ。
「……馬鹿な、罠を超えた所で私が何もしないとでも思ったのか!」
当然史也もカードを持って応戦せんとブレスのデッキに手を掛けようとしたその時。
――バチぃッッ!!
「!?」
史也の手先から突然電流が迸り弾かれる。静電気の季節にしては早すぎる。
「ごめーん、さっき質問した時にちゃっかりトラップ仕掛けておいたの!」
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【エフェクト・スタン】属性:黄
・効果:[トラップ:カード発動前]
①相手がカードを使う前に、その発動を
無効にして、30秒間相手はカードを使えなくなる。
◎――――――――――――――――――◎
「……これは驚いた。トラップハウスの主にトラップを仕掛けるとは!」
「その割には驚いてなさそうじゃん。それじゃもっと驚かせてあげる!!」
『アクションカード―――』
元々感情の薄い史也にレミはムッと来たのか、追撃のカードを発動させた。そしてこれが……彼への止めのカードとなる。
「…………なん、だと………!!??」
おっと、これには史也さんとて目が仰天。その眼の先に映るものは……おぉっ?!
史也が仕掛けた筈のトラップカードらが姿を表し、宙に浮いている……!!!
『―――【ポルターガイスト】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【ポルターガイスト】
属性:黒
・効果:①フィールドにセットされている
ユニット以外のカード全てを対象にする。
そのカードの枚数×AP100のダメージを
相手に与え、そのカードを墓地に送る。
◎――――――――――――――――――◎
「……なる程、“策士策に溺れる”とはこの事か」
「どう? あたしも強いでしょ!! シャッフルオールスターズだもの!!!」
カード発動の束縛、更にトラップカードのセットを利用した大ダメージへのロックコンボ。
これも皆全て『カードクリエイター』によって作製したカードによって導かれた勝利の架け橋になったのです!
「益々面白くなってきたぞ、シャッフルオールスターズ!!」
その時の史也は興味に唆られ眼の色を輝かせながら辞世の句に似た断末魔を残し、浮き上がったトラップに激突し大ダメージ。
〔大門史也 HP0 KNOCKOUT!〕
「………あたしも強くなって、あたしがみのりちゃんや皆を守ってやるんだから!!!」
お転婆で明るい彼女の裏に隠された覚悟。心からの親友を守る為に、彼女もまた超次元ゲーム時代に生き抜くゲーム戦士として自覚をし始めるのでした――!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




