【GAME40-7】出陣せよ! 天下分け目の裏表決戦!!
――TIPS――
【裏プレイヤー・データファイル】
データNo.239『弾丸豪雨警報のターニャ』
南アメリカと日本のハーフ女性でありながら、幼少期の頃からライトマシンガンを玩具に遊んでいたという経歴を持つ。
銃器を扱う際に轟音や衝撃に快感を覚え、執拗に連射を繰り返すという『トリガーハッピー』の症状持ちで、気に入らない相手を蜂の巣にした者は数知れず。南アメリカのゲーム戦士として既にブラックリスト認定済。
――奇跡か夢物語か、巧みな交渉術によって忍野龍牙も裏プレイヤー討伐同盟に加えた池谷倭刀。
まもなく繰り広げられる戦いの前に、同盟メンバーによる情報共有が行われていた。
「俺達が攻撃するのは東の関所。龍牙さんが既に組み合い済みって話やから、そこを討つ作戦で行こう。全員生きて勝つ、絶対に!」
ここぞとばかりに龍牙を含めた6人を纏め上げるのは倭刀。協力してくれる味方の存亡もかかっている。その為なら龍牙に対してさん付けも厭わない。
「アイツは『単細破壊坊のギガントス』っていう木偶の坊や。対して動かへんで、モーニングスター振り回す癖して防御も半端なかった。それと奴のPASの形もフランケンシュタインを表してた」
実際に戦った者のみが知る“実感”という情報源。倭刀は龍牙の証言の重要部分をくり抜いて、自分流に攻略法を導き出そうとしている。
「フランケンシュタイン……龍牙さんはソイツに攻撃を仕掛けたんなら、実感はどんな感じでした? 特徴的な身なりとか、手応えとか具体的に」
「…………胸に刺そうとしたが刃物を全く通さない鋼鉄の身体、それと頭にツギハギみたいなのをしてたな」
(ツギハギ、フランケン……? もしかして)
と、倭刀の直感を信じてある作案を思いついた。
「多分勘なんすけど、アイツの弱点は【頭のツギハギ】すね。恐らくそのギガントスがモーニングスター振り回すのは弱点の頭を狙いたくないから……だとしたら、何となく合点が行きません?」
「……仮に弱点を見極めたとして、テメェは様らに何をさせたいんだ、倭刀くんよぉ?」
などと故意に威嚇する龍牙、それでも倭刀は冷静に対処しつつこう言った。
「龍牙さん。アンタはちゃんも俺の指示に従ってくれれば、存分にあのギガントスとやらを始末出来ますぜ?」
「…………面白ぇ。聞かせて貰おうじゃんか」
―――さて、倭刀が持ち出した妙案なるものは何なのか、読者の皆様には一旦グレーにしつつ、味方同士でそれを公表したところ女性陣は揃ってビックリした様子。
しかし高確率で全員倒されずに済む事と、龍牙の渇望にも応えられる案である為、この作戦で可決という動きとなった。
次のファイアウォールによる縮小も控える中でこれ以上の停滞は許されない。
倭刀のゲーム戦士連合軍、遂に出陣の時!
「じゃ皆、互いにブレスを装着した手を重ねて……」
敵同士転じて今暫くは団結の時、7人のゲーム戦士は手を重ねて打倒裏プレイヤーを誓い合う。
「……! 龍牙さんも……」
そして意外にも龍牙もその手を倭刀の手の上に重ねる。暴力の限りを尽くす龍牙の手からは何の変哲もない、暖かな感触を倭刀は感じ取っていた。
「バーカ勘違いすんな、これはゲーム戦士としての最低限の礼儀だ。こんな展開でなきゃテメェなんざ相手にもしたくねぇわ」
「あーそーですかい!!」
立場上、まだ微妙な線を引いている二人なのでした。では気を取り直して……
「――――行くぜ、打倒裏プレイヤー! 俺達で絶対に勝つ!! 行くぞッッ!!」
「「「「オーーーーーッッッ!!!!!」」」」
今ここにゲーム戦士連合軍、一致団結の掛け声と共に出陣! 天下分け目の裏表ゲーム戦士合戦、開始――!!
…………あ、ちょっとお待ちを。まだ決戦に加わってないゲーム戦士がもう一人居ました。
「ワイ一人じゃ心持たんわ。誰か応援呼ぶか」
同盟に誘われなかったのはシャッフルの豪樹さんでした! ちょっと可哀想。
▶▶▶ NEXT▽
――現在、生き残ったゲーム戦士達はとうとう49名。半分を割った所。
というのも、連合軍などとは別に単独で裏プレイヤー達に挑むも圧倒的な強さに次々と朽ち果てていき、一向にゲームは進まなかった。
だがしかし、我々は希望を捨てない限りこの裏プレイヤーの陣営は必ず崩れる時が来る!
倭刀ら連合軍とは別エリアにて、その決定的瞬間が刻一刻と迫ろうとしていた。まずは北エリア、【辻斬りのキザン】の関所にて!
「―――シャッフルオールスターズ、“切り札騎士”やらして貰ってる剣だけどぉ! 今日もガンガンゲームしてくんで宜しくぅ!!」
宜しくぅ!!と、こちらも声を掛けたくなる威勢の良い自己紹介は桐山剣! なんと龍牙達とは裏腹に、孤独単独で裏プレイヤーに挑もうとしていた!!
『ちょっと〜、一人じゃないんですけど!!』
あ、ごめんなさい。ユニットウォーリアーの《サラ・チャンドレイユ》も一緒でした!
対して礼儀には厳しめ、戦いは残酷の極まりと称された辻斬りのキザン。既に彼の両手からは血のように赤く滴った跡が残っていた。
「………フフフフ、シャッフルの桐山剣、か。噂は予予聞いてるよ、名の通り勘も実力も剣の如く鋭く冴え渡るゲーム戦士。わたしも切れ味に至っては誰にも負ける気はしない、だから……
―――血で塗っても潤せぬわたしの“飢き”、君なら満たしてくれるかい?」
何度己の手刀が敵の血で濡れようとも、その狂乱にも似たエクスタシーを癒せられない辻斬りのキザン、修羅の戦場に不気味に笑う。
「じゃ嫌というほどその飢きとやらを浸してやっか。ハッキリ言って、お前なんかに俺は絶対負けねぇ!!」
剣も爽やか通り越して相手を刺激していく減らず口。鋭利な力を持つ者同士の戦いが幕を開ける。
▶▶▶ NEXT▽
続いては西エリア、トリガーハッピーのヤバい神経を持ったガトリング・マシンガン使い【弾丸豪雨警報のターニャ】の関所。
既にガトリング砲の弾丸豪雨によって立ち向かったゲーム戦士達は蜂の巣にされ撃破・転送の繰り返し。その様に下品にも笑いが止まらないターニャの目線に標的……いや、驚異が迫る。
「あ……?」
西エリアは砂煙が舞う荒野。地下空間の隙間風から吹き荒れた砂嵐から颯爽と現れた貴族と悪魔。この展開には口笛とマカロニウエスタンの曲が良く似合う。
立海城主・立海銃司とユニットウォーリアーの《シルヴァー・メフィスト・ロード》、砂煙のシルエットを浴びて関所に降臨す!!
「……随分と弾を撃ち散らかしたようだな。貴様が女なら、残弾とデスボックスの片付けくらいしていくのが礼儀だろう?」
銃司の足元には大量の撃ち果てた弾のボディ残骸と、撃破されたゲーム戦士のデスボックスが一つ二つ。それらを踏んで銃司の貴族のタキシードの襟が風で揺らぎ哀愁を漂わせる。
「はぁ!? あたしにマナーを押し付ける気か! ふざけんな、お前もコイツらのようにハニカムの二の舞いにしてやるよ!!!」
再びテトラポッドの脚立でセットされたガトリング砲を構えるターニャ、それに臆せず睨みつけるは銃司。
「……弾は数撃てば良いって訳じゃない。貴様のガトリング1000の弾丸と、俺のマグナム1発に賭けた魂の重み。この立海銃司が骨の髄まで思い知らせてくれる……!!」
▶▶▶ NEXT▽
――それぞれのゲーム戦士達が、同じフィールドに違うエリアと戦いの火蓋を切ろうとしている!
「おぅ倭刀! 群がっとんなぁ」
「豪樹さん! 今から俺ら連合軍で裏プレイヤー倒そ思ってんすけど、豪樹さんも行きます?」
「当たり前やがな! ワイもそうしよ思っとったわ、グッドタイミングや」
良かった、豪樹さんも倭刀らと合流したようですね。
さぁいよいよ幕を開ける裏表プレイヤー合戦三本立て! 退屈時間はもうお終い、次回からは怒涛の同時進行トリプルバトルを展開させて頂きます!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




