【GAME39-7】ゲーム戦士狩り・修羅の大混戦!!
――TIPS――
【アメイジング・サバイバーモード⑤】
たまに流れる場内アナウンスや、プレイギアでの撃破ログによるゲーム戦士の名前の公表は時に狙われる一因にもなる。
場所こそ明らかにされてはいないが、その場にニアミス・執着心がある者からの襲撃にも繋がるので、警戒を怠らないように!
――誰よりも早く、新システム『ユニットウォーリアー』をゲットした立海フェンサー、フローレン・シェイパーの活躍によりプレイギア・場内アナウンスによって近況報告が報じられた。
『―――サバイバーモード近況報告、【フローレン・シェイパー】が新しいキルリーダーに選ばれました』
そう、ユニットウォーリアーのスペシャルコマンドによって一気に10キルを果たした事により、龍牙に代わって最も多く撃破したゲーム戦士に、フローレンが選ばれたのでした。
しかしその報告が、良からぬ刺激を与えることになるのです……!!
「…………ムカつくな。もっとぶっ殺しに行くか」
―――忍野龍牙、ゲーム戦士狩り再び!!
▶▶▶ NEXT▽
ところで、現在生き残っているゲーム戦士は70人半ばを達した所。
剣らシャッフルや、銃司率いる立海といった有力な戦士の他にも当然戦力となる戦士は大勢いる。
早い話が脇役だが、それなりに見せ場を作る戦士達をこれからピックアップしていこう。
「……それで僕が脇役って事? 馬鹿にするな! これからゲーム戦士のホープになろうとするこの僕が脇役扱いしてタダで済むと思うなよ!!」
そう否定するから余計に小物に見えるんですよ……と私も思わずツッコミを入れたくなるお方は“反抗期黄金虫”、サバイバーモードβ版を優勝した成績を持つ綾小路優。
そういえばこないだの地底裏ゲームで姿は見えなかったのですが、何をしてたのでしょうか?
「何って、遠くまで逃げた。あんな危ない橋を渡って罠に掛かるほど僕も馬鹿じゃないから」
え、それってズルいって言うかヘタレ……いやいや失言ですね。
とにかく彼に言えることは、他の者よりも狡猾な考えに冴えている事。恐らくβ版もこの才能で勝ち残ったに違いない。と言ってる間に優はまたしても良からぬ事を企んだ。
「前に勧誘で僕と手を組んだゲーム戦士達と会わないと、恐らくユニットウォーリアーと対峙した時には太刀打ち出来ない。僕の盾となるユニットウォーリアー(仮)を見つけないとね……」
前回のシェイパー兄妹のようにペアを組む考えと類似している優。だが決定的に違うのは明らかに利用する前提で企んでいる事だ。
「……戸塚さん! 戸塚さんってば!!」
優が遠方で直視出来る位置にゲーム戦士の姿。それを彼が小声で合図を送れば反応する戸塚という男。………あれ、彼って前にも出てたような?
「…………やっぱり優だったか。こんな戦場で、お前に声掛けられるとは思わなかったけどな」
やっぱり彼でしたか!! モブの扱いが目立つこの作品でも一際存在が際立ったゲーム戦士が、この戸塚 晃司(18)。
前作『極限遊戯戦記』ではG-1グランプリ、巨大ピンボールと二度も桐山剣と対峙・協力した事もあるこの男。そして今作ではこんな形で再登場とは、モブがモブらしからぬこの男の存在意義モブ………
「だからモブじゃないっつの!! 一年半振りに出れたと思ったら早速それか!」
これまた失礼しました。
「戸塚さんも気づいてますよね? この辺りウヨウヨと敵が居ますし、ここで籠もっちゃ綾小路も袋小路されるんで、ここは二人で組んで撃破しません?」
「そうだな、お前のシャレは引っ掛るが俺もそう考えていた。組もうぜ」
一応戸塚も有力戦士の一人なんですが、場合も場合故か簡単に優の策に乗ってしまった。
「言っとくが仲間割れは無しだぞ。状況乗り越えたらペアは解散だからな」
「分かってますって!」
約束厳守を誓う二人に交わされるグータッチ。これで優の思惑通り、無料でユニットウォーリアー(仮)が手に入った。何と軽率な契約なんでしょうか……
そして、近辺にはあのゲーム戦士が。
「……ぬっ、何やら気配を感じる」
何と倭刀と白熱の決闘を繰り広げたプロレスラーゲーム戦士・ギガント加賀! 優らと同様に石垣で死角が狭まっているゴーストタウンエリアに居て、鉢合わせも時間の問題の様子。
更に更にもう一人………忍野龍牙も、彼らの背後に迫る―――!!
「――――誰だ!?」
張り詰めた声で近くにいる敵に威嚇する加賀、それに反応した優と戸塚がその声に誘われ動く。
「あれは加賀さんの声だ」
「先に狙いましょうか。β版に続いて2連敗にさせてやりましょうよ」
盾があれば何も怖くない優。戸塚を誘ってギガント加賀撃破を狙いに二人で奇襲を謀る作戦か。
当然加賀も、気配の圧が強まる事をPASで感じ取り、石垣を背後に身を潜める。
だがその気配の圧の存在は、音も無く忍び寄る龍牙のものであるとも知らずに……
――――ヒュッ
風を切る音が加賀の耳に伝わったその刹那、その殺気に気付いた!!
「うぉおお?!!!」
ビュッ!!
短剣の振りかぶる音が空を切り、間一髪暗殺の魔の手から逃れて決死に龍牙から回避するギガント加賀。更に狙われる側を狙う優と戸塚もそのただならぬ様子に察し、その正体に気付いた。
「マズイッ、龍牙だ!!!」
「逃げろ!!!」
彼らも遠方に居た為、危険予知でいち早くゴーストタウンから逃げ出す。同じく加賀もエリアを抜け出し、龍牙の血眼な殺意から逃れられた。
「くぅう……プロレスに不意打ちはザラだが、わたしとした事が完全に油断していた! 気配が全く読めん!!」
加賀ですらも恐れをなす龍牙の忍び足と、接近した際に襲う凄まじい殺気。だが蛇のように執着心の強い龍牙は、獲物が逃げようとも諦める事を知らない。
「何だ逃げんのかぁ……? もっと俺様を楽しませろやあああああああ!!!!」
▶▶▶ NEXT▽
龍牙の魔の手からエスケープして優と戸塚、更に命からがら助かったギガント加賀。地底の草原を乗り越えて北へ向かった彼らは無人のコロニー、即ち植民地地帯へと逃げ込んだ。
「……おっ、来たよカモが三匹も!」
「ここらでドンパチいったろか!」
知らぬが仏とはこの事を言うのか。優ら三人が決死の形相でコロニーに駆け込み、戸塚が皆に大声で警告を促した。
「皆早く逃げろぉ!!! 忍野龍牙が獲物狩りにこっちに向かってるぞーーー!!!!」
「はぁ!??」
「龍牙!!?」
「なに連れてきてんねんオイ!!!」
嘘か真か、籠もり或いはオープンに見張っていたゲーム戦士達が遠方を覗くと……確かに居た!
音も無くトップギアで獲物を狩ろうとする鬼畜生の龍牙が血眼でコチラに迫る!!
「クハハハハハ……! 獲物が増えてるなぁ――!!!」
やる気ならぬ殺る気満々の龍牙、標的に入ったゲーム戦士らをロックオンして再び短刀を逆手にハンティングへ!!
「「「ひぇえぇえぇええ!!!!!」」」
――ザクッ、ビシュッッ、グザァァァ……
〔名もなきゲーム戦士5名 HP0 KNOCKOUT!〕
余りある殺意に怯えたゲーム戦士、それでも抗おうとカードを引き抜きブレスにスキャンしようとするも既に遅し。五人を速攻始末して合計10キル撃破となった龍牙。
つまり、あと一人撃破すれば再びキルリーダーに返り咲き。その相手となるのは……
「ただならぬ殺意と暴挙、ゲームとはいえやり過ぎだ。ここはわたしが龍牙を食い止める!!」
仁王立ちにしてゲーム戦士を守ろうとするギガント加賀! 一人のゲーム戦士による暴乱を食い止めようとフェアに真剣勝負を試みる。
そして一方で、あの仮の契約で結ばれた優と戸塚は何処かと見渡すが、その姿は何処にもいない。
「戸塚さん、それにギガント加賀さんも、ありがとうございますぅ僕の盾になってくれて。お陰で僕が助かっちゃいましたぁ☆」
ショタな顔して何と残忍な心を持ち合わせているのか綾小路優。敵に背中を向けて逃げ出しても涼し気な顔が、余計に我々のヘイトを買う。そして戸塚は、
「……あれ、優!? マズイな逸れてしまったようだ」
戸塚はこの混乱に独自で逃げ出したが、優と別のルートで逃げた為に同盟は決裂。しかしまだ戸塚は優との約束は守る気でいる。何と律儀な方でしょう。
〔ギガント加賀 HP0 KNOCKOUT!〕
『加賀ならきっとこの修羅を打破できるだろう』という、我々の期待をも打ち破る龍牙の凄まじき戦闘力。
パワー自慢の加賀も、龍牙のスピードやクリティカルヒットに長けた暗殺術を併せ持ったステータスを前では全く歯が立たなかった。更に……
『―――サバイバーモード近況報告、【忍野龍牙】が新しいキルリーダーに選ばれました』
「クククッ……! そうだ、それで良いんだ。この称号は俺様のみが相応しい……!!」
怒涛の11キルを達し、したり笑いでストレスも発散気分良しの龍牙。
気付けば彼の周りには無数のデスボックス。置き土産に彼の懐に置かれた箱は至福の報酬へと早変わり。
時間も経過して、各々がハイパーレアといった高レアカードを所持していた事もあり、私有カードを肥やしていく龍牙に新たな選択肢が出来た。
「……よし、ユニットウォーリアーを買おう。これ以上越されん為にもっと殺してやるぁ……!!」
ソロでも滅茶苦茶強いのに、これにユニットウォーリアーまで加わったらもう手も足も出ない! このままサバイバーモードは、忍野龍牙の単独トップで独占してしまうのでしょうか……!?
――――そして間もなく司令側も、新たなイベントに向けて更にゲームが加速する! 果たしてどうなりますやら!! 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




