【GAME39-1】バトルスタンバイ・新ゲーム!!
――さぁ次なるゲーム、皆様お待たせしました。
FPS版決闘【アメイジング・サバイバーモード】開幕で御座います!!
小説でFPSが読めるのは“多分”ここだけ! フォートナイト、APEX等などプレイしてる読者の皆様も必見。
100人一斉サバイバル、生き残るのは果たして誰だ!?
―――『オープン・ザ・ゲート』!!
▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽
――ここは現実の地底空間・アンダーグラウンド。
裏プレイヤーの叛乱によって引き起こした暴動混乱大決闘も、シャッフル・立海のゲーム戦士によって無事沈静化した様子。
地底で太陽や空が見えないこの空間では、人々が天井に設置した人工太陽がお天道様代わり。その明かりが消えていったという事は、今時刻は夜の7時頃。
あと二日でこのアンダーグラウンドに開催されるという新ゲーム【アメイジング・サバイバーモード】の下準備もしたい所なんですが、戦いで疲れ果てては対策の立てようが無し。
ここはゲーム小説の物語ですから無理矢理先進めることなくフェードアウト宜しく、剣ら主人公たちを宿屋に泊めさせて翌日に話を進める事にしましょう。ね、剣さん!
「何だこの進め方……」
▶▶▶ RESTING...▽
――さて、時を進めて翌日の地底空間の朝。
二日連続で宿屋泊まりとなった倭刀、穂香、豪樹はさておいて、後から来た剣、みのり、レミらは地上とはまた違った生活の流れに身体はガチガチ。言うなれば時差ボケならぬ地差ボケのダルさでしょうか。
そんな身体を無理に起こして、3階の宿屋の外を窓から覗いてみれば、旧都や至る街並みエリアは人集りの人の海!!
「……こりゃスゲーわ。昨日の暴動以上に人が増えてやんの」
「何か遊園地付近のホテルにいる気分ね」
上から見下ろし客観視するは剣とみのり。彼らも新ゲーム参加が確定され、残り一日で有力な攻略情報を得ておかねば分が悪い所。
早速に朝飯を拵え、シャッフルオールスターズ六人総員集合で計画を立てることになった。
「どうよ倭刀。お前水谷さんと“ツッチー”って商いさんとつるんで地底見学してたらしいけど、何か新ゲームの話とか掴んだんか?」
「いや……地形とか戦って有利な場所はある程度聞きましたけど、肝心のゲーム性がさっぱり掴めへんのですよ」
これには剣らも攻略の糸口が掴める訳もなく八方塞がり。
現在新ゲームの詳細で分かっているのは、『アメイジングのFPS (ファーストパーソンシューティング)版』『100人一斉サバイバル』『開催エリアは大阪付近を示す【ウエストOS-1〜12】の半径5キロ規模』、そして『各々既に持っているカード・召喚機は一切使えない』である事。
恐らくアメイジングの固定観念を潰すであろうこの新ゲーム。どのようにゲームを進めるかわからない以上は、対応の仕様が無い。
「やっぱFPSだから、銃持ってドンパチってか?」
「でもアメイジングでしょ? 何かカードでも使うんじゃないのかな」
「ユニットも使うんか?」
「スキルとかPASもありますよ」
「道端でカードを拾って、それでスキャンして戦うとか」
「でもチーム戦じゃ無いしな……」
などと各々案を出し合っても答えが分からない故に埒が明かない。と、そこへ現れたのは助け舟!
「ここにおったか豪樹のあんちゃん!」
「シャッフルオールスターズ皆揃ってたのね」
「何やツッチーに水谷やないか、どないしたん?」
助け舟とは剣たちと共に暴動阻止に貢献した土屋将司こと“ツッチー”と、豪樹のゲームジムトレーナー水谷由香だ。
「ビッグニュースや。ワテの知り合いが前に開催してた【アメイジング・サバイバーモード】のβ版の実況動画を撮ってたんやて。それ貰ったから皆で見ようや!」
「………七夕の更新でなんちゅータナボタな展開や―――!!!」
作者曰く『狙った訳ではなく、偶然の一致』だそうです。
▶▶▶ NEXT▽
ツッチー印のノートパソコンにダウンロードした新ゲームの実況動画を拝見するシャッフルオールスターズ。
半ばその模様は割愛しつつ、彼らに印象を与えた展開はこうだ。
――β版の参加人数は50人。舞台は半径2キロの特別仕様バトルスタジアム。
障害物や建物を利用し隠れるものもあれば、屋上など高い位置を利用し、各所散らばったカードを集め、使っては何人もキルするゲーム戦士も当然いた。
その武器とは銃器系だけではなく、剣や武術、やはりと言うべきかユニットの配下も従えての戦法アラカルト。
――その中で一際プレイングセンスに光っていたのが、あの倭刀と決闘した元プロレスラー・ギガント加賀。そして反抗期真っ盛りの成金黄金虫・綾小路優らがプレイヤースキルやPASを駆使して見事戦場を制圧。
彼らは上位10名の中に勝ち残り、見事に本戦へのシード権・出場を果たしたのでした。
「………繋がったぜ。あのカードバトルを良い感じにFPSのサバイバルに融合してやがる。こりゃ面白い事になりそうや」
「それと意外なのは、個人戦なのに自分の劣勢を補うように他所のゲーム戦士達と協力してる人もいるわ。口八丁に交渉でもしてたのかしら」
本来のFPSと違うのは、戦うプレイヤーは当本人である事。故に口もあればコミュニケーションも取れる訳で、面と向かった相手を口車で騙し騙されの展開があるからまた面白い所。そこに目を付けた穂香と倭刀は流石に鋭い。
等など思う所はそれぞれあるんですが、今の時点で気になる事が。剣がそれに真っ先に気付いた。
「…………てかさ、何で立海の連中も来とん?」
語りの私でさえもびっくらこいた、いつの間にやら動画を観ていた剣たちの後ろで、御拝聴していたのは好敵手チーム・立海遊戯戦団の皆さん! あんたら背後霊ですか。
「ほほぅ、中々有力な情報を持ってるではないか地底の商人よ」
「堅物のWGCも出さなかった実況動画を良く持ち出せたものだ」
「すみません銃司様が諜報みたいな事を……」
「しかし戦ってる割にはビビってる者もいるな」
「あんなのあたしがチョチョイとやっつけてやるですの!」
これには剣も困惑転じて頭にきた。
「てんめッ、貴族が覗き見とか汚えぞ銃司!!」
「裏ゲームを二度も制圧した仲ではないか、情報供給くらいしても構わんだろう?」
「だったら立海の金でテメーで勝手に観てろや!!」
触発から一気に口喧嘩に発展した剣と銃司。だが好敵手とはいえ完全に敵対する関係ではなく、平たく言えば“仲良くケンカしな”状態。これには桜もみのりも『やれやれ……』と口を出さずとも呆れ顔。
そしてそれらには目もくれずただひたすら動画を拝聴・研究してたのは池谷倭刀。
(“敵同士の利害の一致を理由とした共闘”、か……)
彼がこの展開に想う心境は如何に――?
▶▶▶ NEXT▽
――さて、今回はもう一つ展開をお届けしましょう。
裏ゲームによって地底空間の人々を混乱に陥れ、暴走を企んだ裏プレイヤーとサザンクロス幹部は一体あの後どうなったのか。
穂香を筆頭とするゲーム戦士、史也、レミ、桜、シェイパー兄妹ら六人の包囲網を囲って召し捕ろうとしたんですが、サザンクロス幹部の一人『デルタのデクルックス』なるタキシードの兄ちゃんのPASによって、裏プレイヤーの小原恵美、妬み嫉みのエンヴィーの姿を隠してゲーム戦士達から完全に戦線離脱したのでした。
彼女らの眼を逃れた裏プレイヤー達、デルタのデクルックスは同胞らを逃した後は責任放棄と言わんばかりに小原とエンヴィーを何処ぞに置き去りにして、自分は完全に姿を暗ました。まぁ自分勝手か自由奔放と言いますか、いつの世も弱者ばかりが損をする。
「あの無責任男め……まぁ良いわ。ここまで離れれば奴等も追ってこないでしょう」
「………」
デクルックスに憎み口を叩くエンヴィー。そしてPASを使い果たして疲労困憊ながらも、痩せ我慢に無言でそれを隠そうとする小原。
「アンタこの後B4層まで行くんだったわね。私はここまでだけど、一人でデクルックスに付いてくくらいの力は残ってるの?」
「バカニするナ小娘。 コの程度の疲レくらい何トモ……!!」
「―――やれやれ」
どうみても体力は限界。無理を承知で強行する小原にエンヴィーは、見ちゃいられないとばかりに彼女は小原に手を差し出し、自分のディープグリーンのPASのエネルギーを小原に直接供給した。
「私のPASエネルギーを分けてやったわ。多少は決闘も能力も使う事が出来るでしょ。後は自分で何とかして」
「……ソンナにあたいの様ガ哀れニ見えたか」
「そうよ、哀れで見てらんないの。最低限度の生活すらままならないアンタを見てるとね!」
「その割リにはエネルぎーが多かっタガ?」
「少しの量でも多く感じる程アンタが飢えてただけじゃないの? もう私は疲れたわ。私はB2層に帰るからアンタは先に行けば?」
この時小原は、エンヴィーが何故自分にPASを与えたのか理解していなかった。
思えばサザンクロスに唆された裏ゲームも、地上やWGCや鳳凰堂孔雀への復讐を込めて挑んでも、倒せる検討も見当たらぬまま崩壊し、結局は虚しさを覚えただけ。
滑稽にさえ感じつつあったエンヴィーとは裏腹に、小原は未だ復讐への炎は絶やしてはいない。
「…………ダッたらあたいが元ニ戻すマデだ。お前らみたいに過去ノ者デ終わる気ハ無い。絶対に返り咲いてやる…………!!!!」
憎しみの念に燃える小原は、エンヴィーに礼の一つも残さずにこの場を立ち去った。
その直後エンヴィーもPASの供給が影響したのか、身体がフラつきガクッと膝を地面に落とす。彼女の体力の方が限界域を超えていたのだ……!
「冗談、じゃない……!! もう私だって、体力が残っていないのに……! 何やってんのよ私ってば―――!!!」
かつての地底空間の裏プレイヤー仲間を放って置けなかったのか、自ら意識せずに自己犠牲を行っていた事に葛藤するエンヴィー。
―――だが、彼女はこの時気付いていなかった。
エンヴィーや、更に立ち去った小原の背中に発信機のようなものが付いていた事を。
『ホント、可哀想になぁ。鳳凰堂孔雀を怒らせたプレイヤーが、その眼から逃げ切れると思ってるんだもんな。新ゲームをお楽しみに……!!!』
その発信機を付けた張本人。気配を完全に消し去りマーキングをしたゲーム戦士は何と、鳳凰堂孔雀配下の忍者、忍野龍牙!!
果たして、新ゲームを企画する鳳凰堂孔雀は裏プレイヤーに何を仕掛けてくるのか!?
本日のゲーム、これまでッッ!! そして次回、新ゲーム本戦開催!!!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




