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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
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【GAME38-3】剣と銃に導かれた勇気!!

◐AMAZING MIDWAY RESULT◑ 


 ☆〔倭刀 HP650 手札0枚 EG:②〕

 ・カスタム・ツールカード《炎剛大剣》

 ・ユニット:なし


 ★〔ギガント鹿賀 HP2350 手札5枚 EG:③〕

・カスタム・ツールカード《チャンピオン・パワーベルト》

・ユニット:なし


 

 ――攻撃と防御、両方に特化される両手剣《炎剛大剣》を装備した倭刀。回避率を上げて逃げに先行した彼はいよいよ巨人・ギガント鹿賀に攻める!


「いい加減くたばったらどうなんだ詐欺野郎が!!!」

「鹿賀ァ、俺達の恨みをぶつけてやれ!!」


 観客の野次もピークに達し、それが喧しい程に倭刀の精神を刺激するんですが、もう挫けてはいられない。


「行くぞッッッ」


 大剣振り回せば長いリーチ、ギガント鹿賀の近距離技に競り合いになろうともギリギリ剣のが長さに勝り、それを察した倭刀は更に剣を振るう。


(パンプアップされているのは相手のボディ、だとしたら急所はそれに影響されていない()()! だがあの2メートルの巨体にヒットさせるには、身体を前屈させなアカン!!)


 ――ビュッ、ガィィン!!


 〔ギガント鹿賀 HP2350→2200〕


 《炎剛大剣》、前屈みからの刺突がヒット!! ダメージ半減の中でも申し分無い攻撃力にようやく形勢が動く。


「グォオオォォォッッ」


 鹿賀も不覚のヒットに気障ったか、再び必殺コマンドのブローやチョップで接近する倭刀に迎撃を仕掛けるも、大剣のブロック機能で鋼の衝撃音が鳴り響き、思うようにダメージが通らない!


 ――ビュンッ、ザクッ!!


 〔ギガント鹿賀 HP2200→2050〕


 更に倭刀は回避率を70%まで上げた事もあり、相手がパンチを繰り出すも不発に終わり、そのカウンターに続けて横斬り一閃!!


 その衝動で巨大な身体が前に崩れ落ちる!!!


(……屈んだ! もういっちょ―――)


 ガシッッ!!


「!!??」


 屈んだ鹿賀の両腕に《炎剛大剣》の切先をがっちりグリップ!! その大剣を掴んだまま巨漢は大きく宙を舞い、必中のカウンター・キック!!!


『アクションカード、【フライング・ドロップキック】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクションカード〉

【フライング・ドロップキック】EG:④

 属性:橙

 [カウンター]自分を対象にした

 相手プレイヤーの攻撃時

 効果:ブロック・回避不可の400ダメージ。

 ◎――――――――――――――――――◎


 ――――ドシュッッッ!!!


「うぅぐぁ……!!!!」


 〔倭刀 HP650→50〕


 倭刀、パンプアップ効果で1.5倍のAPを食らった痛恨の600ダメージ!! カウンターを仕掛けられたその反動からか数十メートルまで吹っ飛ばされた倭刀は頭から地面に叩きつけられた。


「あと50だァ!!!」「行けぇ殺せ!!」「ぶっ潰せぇ!!!」「無知を漬け込んだ卑怯者め地獄に堕ちろ!!!!」


 ついに後が無くなった倭刀。あと一撃でノックアウトは必須の窮地でも、立ち上がる精神は消えていない!!



 そして―――!



 ▶▶▶ NEXT▽



「――――私は、それでも倭刀くんを憎もうとか、負けて欲しいだなんて思わないよ」


「…………ほぅ?」



 一年の時を経て、倭刀のシャークトレードに騙されていた事を知ったみのり。悪魔の囁きのように銃司は敗北寸前の倭刀の心を折るべく憎むよう促すか、それとも別の意思を選ぶか、天秤に掛けようとしたが……結果はご覧の通り。


「そうか。貴様は倭刀を“許す”事を選んだか。無様を晒し続けても同情を買うのか、ここらの平民と違って貴様は心が広いのだな」


「……ねぇ銃司くん。私はそういう意味で言ったんじゃないよ」


 銃司に尚も反論するみのりの表情はまさに真剣そのもの。恨みも不安も微塵に感じないカタルシスを得たような眼差しであった。


「私も去年のトレードで《ブルーバード》を倭刀くんにあげて、あの後に倭刀くんが騙す為のカードを差し出した時の表情がなんとなく、()()()()。でも穂香ちゃんがお父さんに虐待されてその痛みを分けてやろうとしてやった事だとしても、結局その罪は絶対消えないものだと思う」


「………!!」


 みのりの主張に傾聴する穂香に、心が突き刺さるような痛みが走った。


「ただ私は倭刀くんと一緒に居て、彼がゲームに真剣に取り組んでるのをずっと観てきたし、剣くんも穂香ちゃんも、勿論シャッフルの皆の為に一生懸命に頑張って来たときの笑顔を、私は知ってるから。だから……!!


 ―――私も倭刀くんを護ってあげたいんだもん!!!!!」



 唇を強く噛み締め、つぶらな瞳に涙ぐむ前の潤いを見せるみのりは自分の軽い荷物を剣に渡して、何かの準備を始めた。


「何処行くのみのりちゃん!?」


「決まってるでしょ、倭刀くんの近くまで行って応援してくる!! 穂香ちゃんが行かないなら私が行くッッ!!!」


 決死の思いで嫉妬に溺れた観衆の波に飛び込んでいったみのり。それをただ唖然として見ているだけの穂香に、今度は剣が物申した。



「………言われちゃったな穂香。改めて凄いだろみのりのヤツ。自分だって被害にあったのに、倭刀の罪を肯定して、それでも好きだからって自ら呈して応援しに飛び込んだんだぜ? ――今どういう気持ちだ、お前」


「………………」


「どうすりゃ良いか分かんねぇのか? ずっと黙ってて聞いてりゃ『倭刀が可哀想だ』とか、普通の男の子だから敵いっこないみたいな事言いやがって。お前二度も倭刀に助けられといて、自分は何も出来ねぇのか!?」



 この時、我々を含めた傍観する読者・ゲーム戦士達は気付いた。この決闘で桐山剣が一番腹立てていたのは、倭刀でも嫉妬に支配された群衆でも、裏プレイヤーでもなく、ただ倭刀を同情するだけで過去の精算から逃げていた穂香であった。


「――いつか誰かが、いつか俺や仲間が、いつか立海や他の連中に倭刀は悪くないって分かって貰えるだぁ? 甘ったれてんじゃねぇよ、世間に認められない奴が皆から許せると思うな!!」


 だがこの言い分に穂香も口を割る。


「酷いです剣さん!! 倭刀は何も悪くないのにどうしてあの子だけ……」

「詐欺やったのは倭刀だからだろ。贖罪しようと何だろうと罪は消えへん」

「それじゃ倭刀が――――」





「嘆いてるだけじゃ、何にも変わらない事がまだ分かんねぇのかお前ッッッ!!!!!!!!」





 穂香の胸ぐらを掴み、青筋を脈の如し立ててブチキレた剣に彼女は顔面蒼白。

 しかし虐待された時とはまた違った、仲間思いの剣から()()のようなものを穂香は彼から感じ取った。



「……倭刀が守りたい穂香はそないな弱虫とちゃう! 同情なんざ誰だって出来らぁ、お前がホントに倭刀を守りたいって気があんなら、ちっとは倭刀の痛みも罪も受け入れて、お前が先にアクション起こせや!!!」


 そう捨て台詞を残し、剣も銃司と共に群衆の壁へと潜りみのりの後を追った。



 ▶▶▶ NEXT▽


「お願い、どいて……退いてください……!!」


 嫉妬の緑に覆い尽くされる人の群れ、その人壁をすり抜け潜り抜け、大好きな仲間の元へ必死になって駆け寄るは河合みのり。

 だがしかし、その決闘は間もなく終焉を迎えようとしていた。と云うのも、


 ―――グアシッッッ


 先程の飛び蹴りで吹っ飛ばされた倭刀、カスタム・ツールの武器も消滅し、立ち上がる最中にギガント鹿賀は今度は彼の胴体を確実に掴み上げ、身動きを封じ込めていた!!


「もう鬼ごっこは終わりだ。わたしの大技で、貴様を確実に討つ!!!」


 倭刀を掴んだまま片方の腕でカードを手にし、そのままブレスにスキャン!!


『アクションカード、【ギガントスープレックス】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクションカード〉

【ギガントスープレックス】EG:⑧

 属性:橙

 効果:相手を掴んだ状態で発動可能。

 相手にダメージ低減不可の1000ダメージ。

 ◎――――――――――――――――――◎



「ま、まさか……、ジャーマン・スープレックスか!? クソッ、離せえええええ!!!!」


 技を受けまいと必死に藻掻く倭刀。だが、だが凄まじい握力で抵抗すると余計に身体が軋み思うようにすり抜けられない。回避しようにも動けなければ無意味なのだ。



「よっしゃ行ったああああああ!!!!」「死ね!! 殺せ!! くたばっちまえ!!!」「脳みそ抉り出してやれええええ!!!!」


 鹿賀の餌食になった倭刀にギャラリーは狂喜、早く始末しろと野次は飛ぶがそれでもコンマ一秒諦めないのが池谷倭刀。


「足掻いても無駄だ………終わりだ、池谷倭刀!!!!」




 倭刀の身体が反転宙を舞い、今にも脳天から地面に叩きつけられようとした――――その時!!!




「倭刀くん負けないでッッッ、頑張れええええええええええ!!!!!!!!!!」





 ゴスッッッッッ――――――――!!




 いち早く駆けつけた河合みのりの声援も虚しく、脳天を地面目掛けぶち破る鈍い音が、地底旧都に木霊した…………!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽


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