【GAME38-2】純粋な者へ、真意を問う……!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔倭刀 HP650 手札2枚 EG:④〕
・カスタム・ツールカード《轟竜刀》
・ユニット:《先達サムライ》《不意打ち又兵衛》《一刀両断大五郎》
★〔ギガント鹿賀 HP2350 手札6枚 EG:①〕
・カスタム・ツールカード《チャンピオン・パワーベルト》
・ユニット:《ビッグマウンテン・ゴーレム》
――さて、心理フェイズも長々続きましたが、ゲームの様子はどうでしょうか?
『アクションカード、【霞隠れ】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【霞隠れ】
属性:赤 EG:②
・効果:自分と自分のユニットの
ステータス『回避力』を1段階上げる。
◎――――――――――――――――――◎
倭刀の侍転じて忍者戦法、自分のみならずユニットも回避率を上げる隠れ身の術。ギガント鹿賀のパワーを逃れる為にはその攻撃を避けてゼロに帰するしかないが、ギャラリー達にとっては非難の対象でしかならなかった!
「ふざけんな、逃げてないでちゃんと戦えクズ!!!」「雑魚しか出せへんのか詐欺野郎!!」「んな落ち武者さっさと踏み潰したれギガント鹿賀ァ!!」
ここまで来れば何をしても倭刀は非難を向けられる。ならば悪あがきでも何でも突破口を掴むまでの忍耐道、サムライならば避けては通れぬ修羅の道。
(よっしゃ、回避率は充分上げた! あとはあのユニットを潰すだけ……!!)
ここで倭刀、逃げから変わって臨戦態勢。ターゲットは巨大ユニット《ビッグマウンテン・ゴーレム》。
それもそうだ、あのユニットの特大攻撃を喰らえば即ノックアウト。ならば最大の脅威に向けて《轟竜刀》一本切り刻むが得策か。
〔ビッグマウンテン・ゴーレム DP600→450→300〕
「ぬっ、ユニットから攻撃するか!」
「アンタはプレイヤースキルの『ハートビート・パンプアップ』で防御鍛えやがったしな、餌で使ったカードの始末くらい自分でせな!!」
〔ビッグマウンテン・ゴーレム 破壊!!〕
得意のスピード、強化された回避力で鹿賀やユニットの攻撃を潜り抜け遂にシャークトレードの種を産んだユニットを自虐的にもケリを付けた倭刀。だがしかし、
―――ドゴォッッ
〔先達サムライ 破壊!!〕
「うっ?!」
嫉妬力を注がれたギガント鹿賀、ユニットを破壊された憂さも貯めての必殺技コマンド『ギガントブロー』、顔面パンチで倭刀のサムライユニットもノックダウン!
「マズイな。ギガント鹿賀め、ユニットなど出さぬとも己の力でユニットや倭刀を翻弄している」
ギガント鹿賀のファイティングスタイル、立海参謀・史也も評価するはユニットやアクションカードに頼らないプレイヤーの五体を直接使うフルコンタクト型。
プロレスのダイナミックな技から、空手のような直接打撃を併せ持った鹿賀は、ユニットといった配下を召喚して戦力を上げる事を一切しない。
真っ向勝負一筋! 故に倭刀のプレイスタイルが狡く霞む程に観る者を魅了させるショー・スポーツならではのスタイルだ!!
「それ程彼はプロレスへのリスペクトを忘れずに、カードバトルでもそれを活かしている。最早これは執念に近いものを感じる……!」
技の見事さとインパクトが過剰にも、嫉妬心を操られた者達を興奮させ、これでもかと言わんばかりにファッキンエールが加速する!
「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺
※これ以上はこの小説の質を問われるので描写を省略します。by Mr.G
「ハァ……、ハァッ………、ハァァッッ………!!!」
倭刀は嫉妬の波動を受ける度に深呼吸をし、溜めた辛さを吐く毎にそれがより深く出されていく。身体・精神共に耐久度も限界点に近付いているのが見えています……!!
「……さぁ、これからどうするか。このまま展開が停滞するようならば勝ちを望むのは不可能だ。倭刀が負けてしまうな」
史也が呟く通り。何とかならないか、後方支援するシャッフル・立海のゲーム戦士達は必死に嫉妬テロの解放に専念するがまるで進歩が見られない。
それどころか時間の縮小に気が焦り、思うようにPASを発動出来ない者もいる。穂香もその一人だ。
だがその時、この展開に何か疑問を持った者によってこの展開が急変する事になる。その者とは他ならぬ、河合みのりだ。
「……ねぇねぇ穂香ちゃん。さっきからずっと気になったんだけど、倭刀くん何でこんなに蔑まれてるの?」
「…………」
――実はみのり、彼女もまた倭刀のシャークトレードの被害者ありパックで当てた《ブルーバード》のカードに目を付けた倭刀はそれを奪い取ったのを期に、剣と一騎討ちする事になったのだった。
しかしその真相は剣本人や仲間達によってグレーにされたのである。
「……みのりちゃんにも話したけれど、私のお父さんがPASの暴走を抑える為にアメイジングカードのエネルギーが必要だったの。それを私に頼まれた際に倭刀がそれを見兼ねて、無茶をやらかして……」
「…………もしかして倭刀くん、それで近所の皆を騙して、穂香ちゃんの為にレアカードを集めていたの……?」
「――――うん」
ここに来て初めて、倭刀の悪行が穂香の口から知らされ呆然とするみのり。
そして同時に何やら剣と銃司が陰でひそひそとやり取りした後に、銃司がみのりらの元へ駆け寄り、しゃしゃり出た。
「……貴様は随分と倭刀の事を信用してるではないか。それはやはり、シャッフルの同胞だからか?」
「だって倭刀くんは私の後輩だけど、仲間になってから色んなゲームを私に教えてくれたよ。
―――それに、《ブルーバード》と《ビッグマウンテン・ゴーレム》を交換してくれなきゃ、彼とも会ってなかったもん!」
…………あれ、これってまさか。
「み、みのりちゃん、それはもしかして――――」
「あぁ……、間違いなく詐欺られたな」
ちょっっ、どストレートに言うんじゃないよ銃司さんッッ!?!?
「それはノーマルとレア加工の価値も分からん初心者の無知に付け込んだ外道なシャークトレードだ! それを親切と思っていたのか? 馬鹿めが!!!!」
「銃司さん………!??」
あのー、もう少しビブラート、じゃなかったオブラートを包んで話して下さいません?
「で、でも……剣くんからちゃんとカードは返したよ。あのトレードは間違いだったって話で終わったと思ったから……」
「成程? だが俺は剣と違って甘くはない。毒ある事実も撃ち抜くのが俺の性だからな。どうだ剣よ、貴様の御友達が違うと言ってるが、貴様はどうだ!!?」
性が余計に話をややこしくしてる感じがしますが……、無理矢理話を寄せられた剣は真摯な顔でみのりに諭す。
「……正直言うぜみのり。あの時渡したカードは返したんやなくて、【取り返した】。
俺もアイツにやられそうになって、そんで警戒してたら今度はみのりに標的絞ってこの始末や。あん時必死こいて決闘してなきゃ、あの悪行はより酷くなってたかも知れへんかったからな」
「そんな、剣くんが……!?」
あの出来事が意図した嘘で包まれてた事に、呆然超えて愕然とするみのり。
「今思えば俺も大層キザな真似したなと思うたけど、この詐欺はみのりには知らなくて良かった事だったし、俺は汚いやり方をする奴等とゲームはさせたか無かった。だから隠して、疑う事をしないままでいて欲しかっただけや。……でなきゃ倭刀も苦しむだろうしな」
「………………」
無言になったみのりは、当時の出来事を思い出しつつあった。トレードされたカードを渡した後に剣が急に別れた事。その翌日にトレードした《ブルーバード》が戻ってきた事など。
不可解だったモヤが消えるように悪行がピースを埋めるように合点がいったのだった。
「………哀れな奴だ、倭刀は。知人付き合いなら史也兄や俺のが多く持ってたというのに、その強さに怯えたか、俺や史也兄を避けておいて河合みのり、貴様を喰ったのだ!!!」
「や、止めてください、銃司さん! 剣さ……」
「待つんだ。ここは銃司と桐山剣に任せよう」
ここで穂香の静止をしたのは史也である。立海とシャッフルのリーダーに何か案があっての距離取りだ。
「大好きな姉貴の穂香の為。聞こえは良いが、罪は罪だ! 池谷倭刀は貴様の純粋無垢な心を踏み躙った事は明白なのだよ!!
――そして貴様にもう一度問う、観客が傍若無人にも彼を罵倒し叫び狂う様を見て、奴等の暴動はやり過ぎと言えるか!? 貴様と同じくして、ゲーム戦士の魂の欠片でもあるカードを盗み取られた事に、同じく怒りが沸かぬか!!!?」
「…………………」
みのりは何を思い詰めたか、唇を噛みしめ一層顔が険しくなっていく。彼女の心理の奥に隠された答えは何か……?
▶▶▶ NEXT▽
一方変わってこちらは決闘VRフィールド、圧倒する嫉妬のオーラ、罵倒の連続攻撃を受けつつも俄然として立ち上がるは池谷倭刀。
内心は涙もちょちょぎれる程に苦しい思いもしただろうがこれも若さか、ふてぶてしい面が意地っ張りの極致を象徴するが如く、未だにゲームを諦めてはいない。
『カスタム・ツールカード、【炎剛大剣】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【炎剛大剣】EG:⑤
AP:300 PP:15
属性:赤 装備:プレイヤー
効果:このカードを装備したプレイヤーは
PPを2減らす事でガード・ブロックが出来る。
◎――――――――――――――――――◎
既に《轟竜刀》はPPがゼロになり消滅した所で第二の刃、両手の大型剣は攻撃だけでなくガードも可能だ。
「もうアンタも俺もユニットは居ねぇ! パンプアップされようが構へん、お前をぶった斬る!!」
倭刀の魂は刃の如し。大剣一本ギュッと握って今度こそギガント鹿賀にダメージを与えんと、逃げるのを止めて猛進する!
(パンプアップされて防御強化されたアイツを討つ方法は一つ! 攻撃力が倍になるエフェクト、【クリティカルヒット】を狙うしかない!!)
……だが突き進んだ所で逆転する切り札は、今の倭刀に存在するとは思えない。殺意や妬みに意地でも堪えようとしても若き男の痩せ我慢、未熟な精神が折れない保証は何処にも無い。
更にこの局面では、倭刀の唯一の理解者である筈の穂香の言動は最も無力に等しい。詐欺を行うは穂香の為、そして今も尚穂香の為に戦う。
姉弟間を超えた絆は時として“呪い”と化す。いわば願いは嫉妬と狂気の彼方に消えるのみ………!!
「さぁどうする河合みのり。貴様が一粒憎悪をぶつけるだけで確実に倭刀の魂を破壊できる!! ピュアな心に傷を付けた奴に復讐してやるのだ!!!!!」
「―――――私は…………」
刻一刻と迫るノックアウトへのゴング! 窮地に立たされた彼にみのりは二者選択が迫られている。救出か、止めか!? 彼女の決断や如何に!! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




