表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
265/468

【GAME38-1】生き残りたくば戦え!!

―――“戦わなければ生き残れない”。深淵の中で誰かがそう謳われた節があった。


その言葉は因果を廻り、全人類のゲーム戦士にその遺伝子は継がれた。

ゲームに挑む者は戦いを望む者、そこに善悪の柵が無いのならば、いっそ思い切ってぶつけてみろ。


越えてゆけ、より高く、過去よりも強い自分へ!!!




▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽

 

 ――嫉妬のディープグリーンに包まれ、人間達が悪魔、いやそれ以下の愚者に成り下がるほどに狂乱冷めやまぬ地底空間・旧都のVRフィールド。


 彼らの暴走を一点に抑えつつ、過去の罪の精算も込みで必死に耐えるは池谷倭刀。シャークトレードの種となった巨大ユニットカードと破壊的なプロレス技にただただ回避に徹するのみ。


 そんな修羅場を造りつつ、地底空間を狂気に変えようとする輩がこの層の何処かにいる。

 嫉妬心を操る裏プレイヤー『妬み嫉みのエンヴィー』と、それに共謀する奴ら。



(……粘ってるわねアイツ。私のPASをアンタのPASで相殺・中和してそのエネルギーを自ら一身に受けてゲームするなんて、ガキの癖に対した精神力だわ。池谷倭刀)


 陰で人々の嫉妬を操りながら、かつて自分を打ち破った倭刀の決闘を客観的に語ってはほくそ笑む、妬み嫉みのエンヴィー。そしてもう一方は、


『どうしたよ、PASのエネルギーが薄れてるぞ。休憩か?』

「そうよ、観てるだけのアンタには言われたかないけど」


『酷い冗談だ。僕だって君の能力がバレないようにカモフラしてるんだからさ、後方支援って言ってほしいな。急に休むから、まさか君が今更ゲーム戦士らに良心傷んだとか思ったよ』



「……馬鹿。憎んでるのは鳳凰堂孔雀の方。私とて無関係の人等の無差別攻撃は流石に良心痛むわよ。でもそれでもアメリカ村の裏ゲームも、これもやるって決めたのは私よ。他に何か不満でもあるの? 【デルタのデクルックス】」



 何と……?! 妬み嫉みのエンヴィーとつるんでいたのは、あのサザンクロスの幹部の一人!

『イプシロンのジーナ』と同等の力を持つと言われるその男は、黒い長髪に灰色タキシードの長身を誇った美青年、【デルタのデクルックス】であった!!


「やる気なら僕は何も言わないさ。利害一致で僕に加勢したのなら協力だけで十分。

 ……でも考えてみなよ、B1.B2層に住んでたゲーム戦士らが孔雀の言う事聞いてたら皆地底に追いやられちゃってさ、アンタの慕ってた()()()()さんとやらも、そのうち立ち退かれそうだし」


「……知ってる。だからアンタらの力を貸そうと思ったのよ」



 この妬み嫉みのエンヴィー、以前銃司と戦った大山杏美(あずみ)こと大山組の女将さんが、居場所を鳳凰堂ら率いるWGCに奪われかねないと知り、独断でサザンクロスに加担し裏ゲームを執り行っていたのだ。

 謂わば彼女の動機は、“鳳凰堂孔雀への復讐”一筋なのである。



「……しかし可哀想だねぇ〜、決闘してるあの池谷倭刀ってガキも、ギガント鹿賀も嫉妬に操られてる奴らも無様で醜くて可哀想。でももっと可哀想なのは、勢力や資源を平等に分け与えようなんて考えるようになったWGCの馬鹿共かな。

 強い者が何でも得られるのがこのゲーム時代なのに、弱い奴に情けでも掛けるように資源や力を渡すとか、バッカじゃないの??☆」


 どうやらこの兄さんはかなり欲に誠実なようで。


 というのもこのサザンクロスもカルト宗教みたいな立ち位置ですが、デクルックスやジーナのような幹部は長年ゲーム戦士として一強した実績がある者たち。


 こういった集団は歴史的経緯により慣習、法的根拠に基づいて、長く維持している権利・権益を持っている。この事は俗に【既得権益(きとくけんえき)】と言いますが、彼らはそれに非常に強い拘りを持つのです。



「でもさ、アンタを脱獄させる前にここらで立海の貴族と大山女将が戦ってたんだけどさ。良い勝負だったよ。相手が良かったのもあるし」


「……何の話?」


「仮に血も涙もない鳳凰堂が相手になってたらどうなってたか。規制制約でうっせぇ世の中で大山組の同胞を守るとか、極道の面子守ってくうちに精神減らして鬼みたいな角もポキ☆っとなるのは請け合いなんだよ。


 ―――大山の友達だった、そこの()()()()みたいになっちゃうよ?」



 え、小原?? 確か一年前のイベントで鳳凰堂らに嵌められて精神崩壊で搬送された彼女が、おぉ……?!!



「…………………」


 無言で上の空を眺めるは確かにあの小原恵美(おはらめぐみ)。ハチマキに裾の長い特攻服装束の古典暴走族のスケバン姿は変わらず。

 しかし眼はうつら、焦点は合わずの不気味な印象は明らかに精神が壊れた際の後遺症を顔で表していたようだった。これにはさしものエンヴィーも哀れみの表情を隠せない。


「……ご愁傷様だね。権力者の前でボロクソに負けて、GWギアの試作品の故意な事故で脳神経をズタズタにされて、カードも資産も取られて。散々なのに良く精神病院を抜け出したと思うよ。凄い生命力だ」



 その経緯、物凄く生々しいんですが……


「……何ダテメェら……同情カ?」


 これは酷い。精神ダメージからかマトモに喋る事もままならなくなってます小原。


「アト、デクルックスも忘れてねぇよナ? お前に協力したらカードを寄越すって取引」

「味方ならそれは約束するさ。惜しみない支援がこのサザンクロスの売り言葉さ」


 サザンクロスが変な立ち位置故か、胡散臭いんですけどその売り言葉!!


「勘違いスルナ、あたしゃお前の味方にナッタつもりハなイ。あたしはただ鳳凰堂孔雀を殺してやりたいダケダ!! でなキャこんな無様ナ姿は大山にモ、誰にもミセラレナイ……!!!」



 憎々しい恨みのオーラを放つ小原。そりゃそうですよゲーム戦士達の前でこの上ない醜態を晒したのでは、間接的に殺されたも同然です。

 この一年、彼女も復讐の為にその執念で病院を抜け出し必死に生きてきた。だがその恨みの成就にはどうしても力やカードが要る。ゲーム戦士であるならば尚更、力無くして対抗は出来ません。


「……飢えてるねぇ。それくらいの気迫が無きゃ面白くないよ。ほらエンヴィーちゃんも、主力なんだから休憩ばっかは許さないよ。裏ゲームなんだから本気でやって」

「………分かったわ」


 対して、一言返事で返すエンヴィーの思惑はこうだ。



(結局コイツも鳳凰堂と同じ強欲な奴ね。ゲーム戦士の心の迷いをヨダレを垂らして喰らいついて利用する。悪魔以下な連中ばっかり。でもそいつらの組織に入らなければ、私も小原さんにも会えないで苦しんでた。ならば………私も()()するまで!


 小原さんと大山さんを苦しめる奴等の【復讐】の為にやる。生き残る為に戦うまでよ!!!!)



「………やる気十分だね。それじゃ僕達も――――殺 ろ う か ♪」



 いざとなったら魂を込めろ! 裏プレイヤーのドス黒い波動を放つはPASの三連発動!!


 ――まずはエンヴィーの深緑色PAS【ジェラシー・エナジー】!


「私のPASの嫉妬エネルギーを、ありったけにギガント鹿賀に送り込む!!」


 ――第二は小原のPAS、土色波動は衝動性と集団思考を操る感情型【アクセル・ディバイダー】!!


「好奇心と衝動性を操り、VRフィールドに周囲の人間共を集める!!」


 ――そして第三、デクルックスは何と()()()の正体不明なPAS、【アンノウン】!!!


「僕のPASで、エンヴィーと小原のPASの存在を隠す!!!」


 これぞ裏プレイヤー達の完全犯罪コンボ! それを称呼にはおろか、駆けつけたシャッフル・立海らのゲーム戦士ですらその詳細を掴めずにいた!!



「今や池谷倭刀は爆弾と化した!! 奴が決闘に破れて嫉妬のターゲットが消えた時、人間共の嫉妬はこの層全てに広がる!!!」



 デクルックスの凶策の通り、PASの三連コンボは数十キロの半径にまで広がり、嫉妬のディープグリーンに支配されたゲーム戦士・一般市民が更にその群れを増していった。



「また、人が増えて来る……!!」



 裏プレイヤー達の居場所を必死で突き止めようとする穂香も思わず溢れる絶望の展開。


 呆然とする者もあれば、決死の覚悟でそれを止める者もいる。ゲーム戦士・アラカルト。

 そして集中的に嫉妬の餌食になっている倭刀は、シャークトレードの餌カードユニットを前にしても諦める事はしなかった!


『アクションカード、【隼戦法の極意】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクションカード〉

【隼戦法の極意】

 属性:赤 EG:④


 ・効果:自分のステータスの

『回避力』を3段階上げる。

 ◎――――――――――――――――――◎


 プレイヤーのステータスで回避率を50%も上げるアクションカードで、ギガント鹿賀の技とユニットの猛撃を対抗する!


(絶対倒れるもんか……! この裏ゲームが止まるまでは、最後の最後まで粘ってやる!!)



 数々の罵詈雑言に叩きのめされながらも、立ち上がる気迫だけは失わない倭刀。だが、攻略打破への糸口はまだ見つからないまま。嫉妬への痛みは収まらない……!!


「クソッッッ、タレェェェェ…………!!!!!」



 ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ