【GAME37-8】シャッフル・立海、ゲーム戦士集結!!
「立海の皆さんまで……どうして!?」
「そりゃこっちの台詞だよ穂香、何で銃司まで来てんねや!?」
「ここ来るってあたし聞いてないわよ!?」
「銃司様いつこちらへ!?」
「これは素晴らしい、桐山剣らも揃うとは因果とは不思議なものだ」
「随分騒がしいな」
「桜さん無事に剣と合流したんですね!」
「コイツに何かされなかったですの!?」
「お前ら……うぅ」
「豪樹さんまだ喋っちゃダメです!」
「ちょうどえぇわちょいとワテの品見とくか」
「はいッッ、一旦整理ッッッ!!!!!」
みのりの号令で一つずつ事の成り行きを整理するシャッフル&立海のゲーム戦士軍団。
剣は桜と合流してリロード樹海を抜けた事。その出口で奇遇にもみのりとレミとも合流しアンダーグラウンドへ向かう事になった事。
そして立海は史也・シェイパー兄妹を連れてB2層で大山組と喧嘩になった事など順々に説明していった。
2つのチームが揃ったのは『スマッシュ・ブレイカーズ』の総力戦以来。とはいえシャッフルは槍一郎、立海は瑠璃と奈々子が不在してる所もありつつも、互いに挨拶を堅く交わす。
ある程度情報消化した所で、ようやく穂香も集結した動機に合点がいった様子だった。
「話は全て理解出来ました。みのりちゃんのお願いを聞いて頂けて、何とお礼をしたら良いか……」
「構わん。俺もあれ以来暇だったのでな。剣らに節介掛けるのも良いが、地底空間にも興味はあったしな」
数々の感謝、暖かな交流も多々見られるこの空間。だけど皆さん、今の状況分かってますよね?
「語り部の言う通りだ。観てみろ、空気が荒れてるなんてレベルじゃないぞ」
立海参謀・史也も察するに視野を広げてゲーム戦士見渡せば、ご覧の通りの有様です。
「長考もいい加減にしろテメー!!!」「この盗人野郎!!」「お前がシャッフル語るなクソボケェ!!!」「この欲求不満!!」「弱いならはよ死ねや!!」「早くサレンダーしたらどうだ!?」「自首しろーーー!!!」
常人の誰もが耳を塞ぎたくなる程の罵詈雑言に観るも醜態、聞くも残酷。さしもの剣らゲーム戦士達もPASの力で意識は保ってはいるが、ただただこの光景に唖然となるばかり。
「穂香ちゃん、倭刀くん決闘してるの?」
「ぬー……物凄い人集りで全然見えないよ〜!」
みのりもレミも様子を伺おうにも、最後列の人の壁に阻まれ直視出来ない。
「それが………」
―――ここで穂香が事の成り行きをシャッフル・立海、外部から水谷、ツッチーも加わって何故にこのゲームが起こったのか、そして倭刀が一年前に起こしたシャークトレードの事もありのままに説明した。
▶▶▶ NEXT▽
「だから言わんこっちゃない……自業自得が募って、ここまで来たのか」
史也もシャークの件は耳に通していた。一年前のアメイジングウォーズで戦った際にも、史也が倭刀に示唆していた通りの出来事が現実になった事に、呆れも通り越す程の感想が飛ぶ。そして仲間内の桐山剣は、
「……あいつのシャークの事は、一年前の戦争の後に近所で被害にあった奴らに直接出向いて、俺と倭刀で弁償したりして謝罪はしたんだけど……どうやら俺の思う以上に規模が広すぎて贖罪しきれんかったんやな」
種を残したまま放置したツケが後々に倭刀の首を絞める結果となった。剣も改めてその罪の深さを知った。
「……狡い詐欺でこれだけの恨みと嫌悪を買える事など滅多にない。俺からすれば羨ましいくらいだな」
「しかし銃司様、穂香さんの言う通り嫉妬心を操るPASの気配がありません。何というか……人々が勝手に怒りをエスカレートしてる様にしか思えませんわ」
ヘイトを掻っ攫う事に興味を持つ銃司と、かつて人間を嫌っていた桜は、この暴挙に嫌悪を思い出させる醜態が哀れに思えていた。
「……いや待て、全然感じない訳では無いぞ。PASかは定かではないが正体不明の“何か”がその本質を遮っているように見える。厄介だな、WGCに気付かれないのも道理だ」
流石は参謀の史也様! 誰よりも早く本命のPASを遮断させるもう一つの存在を視野に入れ始めた。
「それでは、我々はどう致しますか!?」
「シェイパー兄妹は周囲の偵察だ。我々はこのPASの発信源の特定を大至急務める」
「了解ですの、史也様!」
先陣を切るはシェイパー兄妹。身軽なフェンサーの二人が混乱する旧都を飛び交い、怪しい者を見つけ出す戦法か。
「とにかく犯人が見つかるまでは、倭刀にはこのままゲームを続行させるのが最善だな」
「ちょっと待って下さい! こんな酷いゲームを倭刀に続けさせる気なんですか!?」
と、史也の捜索プログラムにしゃしゃり出たのは、穂香であった。
「こんなに蔑まれて、ヘイトをぶつけられていて、ゲームも劣勢になっている。このままじゃ倭刀は身体もメンタルもボロボロになってしまいます!!」
「……何を言っている。その状況も彼にとっては当然の報いと言うのではないのか?」
「そんな……! 倭刀が一体何をしたというの……!?」
うーん、何と言うべきか……。溺愛してる故なのか、罪の重さやその痛みに盲目な者というのも、ある意味大きな罪なのでしょうか――?
「被害者であるギャラリーの連中は、例え裏プレイヤーに負の感情を増大させようとも、倭刀が許されざる悪である事は変わらんのだ。悪者がのうのうと太陽の下で生きているのを気分を害しない者など居ない。
いや……もっと言えば善悪なども託けに過ぎん。自分より優れたものを持っている者を妬まずにはいられないんだ。でなければ競争社会にも生きていけない。人間というのは、悪魔以下にも劣る闇を心に宿してるのだからな……!」
SNSが普及している現在にも通ずる史也の人間論。一欠片の嫉妬が不自由なグローバルネットにクラスターを発生させるように、トレンドには風刺やヘイトの文節が我が物顔で残る日常。
こんな世の中に誰がした? 言わずもがな人間達がしているのだ。悪意に支配された人間共が…………!!!
『テメェ技から逃げてんじゃねぇぞゴルァ!!!』『鉄パイプ持ってこいや、アイツフィールド出たら殺してやるよ詐欺野郎!!』『脳天かち割ってやれ!!!』『生意気なんだよガキ!!』『消えろ雑菌が』『キモいんだよ』『それでも金○生えてんのかザァコ♡』『“生きててスミマセンでした”って土下座してみろバーカ!!!』
「……確かに、あのトレードは倭刀くんが悪い事だけど……それよりも、大勢で寄って集って暴言吐いている皆の方が私はよっぽど怖いよ………!」
みのりもこの地獄絵図を観るに絶えなくなったか、剣の元に駆け寄って抱きつく程に怯えていた。
対して剣はみのりを優しく抱えながらも、客観的に倭刀らの決闘で分析を始めていた。
「……仮に裏プレイヤーが嫉妬を増幅させるとしてさ、何で倭刀んとこばっか集中して向けられるんだ? あーゆー嫉妬ってのは倭刀だけじゃなくて、周りの連中も見境なく感情を向けるものとちゃうか?」
……確かに! 言われてみれば剣さんの言うとおり。シャークトレードの一件が『理由付け』にして勢いを増すのならば、何故他の者とぶつかり合わずに一点集中しているのでしょうか?
「何だ、剣は見えてないのか? 倭刀の発動したPASを良く見てみろ」
「あ……?」
銃司に言われて、剣は目を凝らして倭刀の胸元に発動した橙色のPASを観てみると。
「…………あ! オレンジ色のPASにちょこっとだけ紫色のカラーが見えてる!!」
ゲーム戦士のPASの色は、己のアイデンティティを表すのだが。感情や相手への意識に合わせてその色は時折変わる事がある。
そして倭刀のオレンジカラーのPASに一部だけ紫色に変えた。この色は『憎悪』『嫌悪』を表す黒に近い紫。
「……銃司、アイツまさか―――!?」
「そうだ。人間どもの憎悪を倭刀の紫PASの力で一点集中させるように自ら仕掛けたんだ。暴走して一般市民共が憎み合って、被害を加えさせんようにな!」
「って事は……決闘してるマッチョと倭刀は、黒幕にとっては人を集めるための寄せ餌か!!」
「その通り! おそらく奴らの企みは地底空間の人々を混乱させて壊滅させる為の施策!! これは紛うこと無き裏プレイヤー共の仕掛けた裏ゲームだ!!!」
裏プレイヤーの裏ゲームを示唆した銃司。おそらく裏プレイヤー達の本命は嫉妬でピークに狂わせ、暴走した所でアンダーグラウンドの街を地獄絵図にさせる事が目的と睨んだ。
だが倭刀はそのパニックを防ぐために、自ら憎まれ役をPASの力で買って出て、二次被害を防ぐために集中ヘイトを仕掛けたのだ!
「アイツ……覚悟決めたな―――!!」
剣も彼の罪を知る故に、倭刀の見せた度胸に改めて関心した。だが、それを良しとしない者もいた……!
「剣さん……、銃司さん……! 一体貴方達は何を考えてるんですか!!? こんなの、早く止めないと倭刀が……!!」
(穂香……?!)
「止めてどうする? 人間共は倭刀という悪を焦点に合わす事で一線を保っているのだ。三流の罵詈雑言など左に受け流せば良いだけだろう」
「違う、違うんです! 倭刀はそんなに強い子じゃ無いんです!!」
「何……?」
「あれだけ大勢の人に嫌われ、蔑まれて、動揺しない人は居ません! だって倭刀は英雄でも何かに特化したゲーム戦士じゃないんです!! 意地っ張りで負けるのが悔しいから、人一倍努力してきただけのゲーム好きな【ごく普通】の男の子なんですよ!!!」
(……………)
覚悟を決める者と躊躇う者の対格に、銃司と剣は何を思ったのか。
丁度その時、狂乱が上昇するゲームでは思わぬカードが倭刀に追い打ちを掛けようとしていた……!
▶▶▶ NEXT▽
――ギガント鹿賀と倭刀、何とここまで両者ダメージがゼロのままゲームは進む。
と云うのも鹿賀の装備した《チャンピオン・パワーベルト》の近距離技スペシャルから回避する為に、倭刀はトップスピードで距離を取りながらその技を避け続ける事の繰り返し。
これには観客の苛立ちも増すばかり、その反応に鹿賀も痺れを切らしたのか、ここで動きを止めた。
「どうも貴様はわたしの技を受けるのが嫌らしいな」
「ッッたりめぇだろ!! HP半分以上削がれるプロレス技を受けたいアホが居るか!!!」
現在倭刀のHPは半分以下の650。パンプアップされて攻守強化された鹿賀を前に為す術もない。
「仕方あるまい。こうなればわたしもユニットを出そう。ただし仕留めるのは……このカードだ」
『ユニットカード、【ビッグマウンテン・ゴーレム】!!』
「!!!!」
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【ビッグマウンテン・ゴーレム】EG:⑧
AP:700(MAX) DP:600(MAX) AS:20
属性 赤 ユニット/ジャイアント
・能力:なし
◎――――――――――――――――――◎
「このユニット、貴様は覚えているだろうな?」
火山の岩石群の塊が生命を宿し、怒りの巨人となったユニット《ビッグマウンテン・ゴーレム》。能力は無いがビッグ級の攻守のステータス。そしてこのカード、かなりの曰く付き。何故なら……
「嫌でも思い出すぜ……、俺が、俺がシャークする時に交渉に使っていた餌カードやないか……!!」
何という因果か、何という辛辣な皮肉か!?
高ステータスを交渉の種にして、能力皆無・高コストのノーマルカードの《ビッグマウンテン・ゴーレム》を餌にしてレアカードを買い集めていた倭刀の制裁が、よりにもよってその餌カードで行われようとしていた!!!
「フゥゥゥウウウ!!!! 流石ギガント鹿賀、フィニッシュを分かってるうううう!!」
「俺らもそのカードでハメられてたんだよ! 仕返しにはうってつけだぜ!!」
「俺らを騙したノーマルカードでやられるとかだっせええええええ」
「良い加減身の程を知れよそんでクソゴーレムにゴキブリみたいに潰れちまえ!!!」
「スカッとするわあああああ☆☆☆」
まるで被害者の期待に答えたかのようなユニット招来に歓喜と狂気が混ざり合って混沌と化したフィールド内外。この勢いは誰にも止められない!!
「「「「頑張れ、ギガント鹿賀!! 俺達の敵をぶっ殺せ!!!!!」」」」
その煽りを超越したヘイトコールが、裏プレイヤーのPASの波動と共に四方八方に倭刀を一点集中、凄まじい嫉妬が彼を襲う!
(これが………ゲーム戦士の誇りを汚した俺からの痛み……! 分かってる、俺が100%悪い事はお天道様に誓ってでも言える!! けど………苦しすぎる…………!!!!!!)
倭刀の揺らぐ心に一粒零れ落ちた大粒涙。精神に衝撃を与える程の痛みにPASの輝きも一旦消えては灯り続ける。
「………キツイなこりゃ」
「その様だ。凡人故にヤツのPASが軋み始めている。剣、貴様は助けにいかんのか」
「―――――行かねえ。ここで手ぇ出したら、アイツは一生小物のままだ………!!!」
剣をも助太刀を拒む程に、倭刀に背負った十字架は重い。決闘を止めることは不可、救出も不可な状況下の中で倭刀の処刑は刻一刻と迫る。
ゲーム・ウォーリアー史上最も残酷、かつ自業自得な決闘にどのような結末が待ち構えるのか。
今はただ、嫉妬で狂いに踊る観客達への生贄捧げに、地底空間は愚劣な喧騒に包まれるだけ……………!!!
――――――死ね殺せ死ねカスドクズがクソ野郎殺せ死ね殺してやる骨かち割ったる内臓バラバラさしたろかくたばれや死ね死ね死ねうっせえわチェーンソー持ってこい大阪の豚が死にぞこないモウロクモン単細胞ママのオッパイでも吸ってろオムツほちいでちゅか弱いんだよカス目ン玉潰せ臓器抉り出してやる微小金○カード返せや身包み剥いだる死ねクズ人間のクズ肥溜め人間殺せ死ねシネコロセコロセシネヨコロセコロセシネコロセシネコロセシネコロセコロ◁▲!◇?◆!△◀○▲?☆▲△▲*#?▶◐◆☆!◑☆♂▲♀◆△◑△!◆◑△!△◇!◇★?★!!◀◁○?●!▲□▲◑▶■
“愚者は己れの舌を抑えられない。”
――チョウサー 「バラの伝奇物語」――
ゲームは、後半戦に移ります……!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
池谷倭刀VSギガント鹿賀 妬みと狂気のリングマッチ 後半戦!!
今度こそ、倭刀の本当の“弱さ”に決着を付けてやる!!!!
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