【GAME37-4】因果応報・拭えぬ罪の報復!!
――TIPS――
【ゲーム戦士・プレイヤーステータス】
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:アキンドツッチー(土屋将司) ♂
・プレイヤーレベル:43
・ジョブ:『商人』
・PAS:【???】
[プレイヤーステータス]
・アクション:S・シューティング:A
・ロールプレイ:B・タクティクス:B
・スピード:C・ブレイン:B
・ハート:A・ミュージック:B
・ラック:C
[プレイヤースキル]
・【タイタンの加護】【ガイアチャージ】など
[エンブレム]
・ファミリーコンピュータ・スーパーファミコン
全ソフトコレクター など
☆――――――――――――――――――☆
――アンダーグラウンド・エリアコード:ウエストOS-7。
ちょくちょくゲーム戦士も現れて、舞台も変わって混乱するかと思いますが。一旦時も戻して、とあるシーンから遡ります。
それはあの捻くれ黄金虫の綾小路優と出会う前、倭刀が何らかの経緯でプロレスラーのような男と揉め合いになった部分から見ていきましょう。
▶▶▶ NEXT▽
「……よ、久々やなおっちゃん。えーと確か……『ギガント鹿賀』だっけか。すげぇやん、まさか一年の間に格ゲーのタイトル優勝の殆どを掻っ攫うなんて」
何と200センチを越す長身に筋骨隆々の上半身を誇る男『ギガント鹿賀』(27)。
真っ赤なプロレスパンツに昔の名誉かプロレスのチャンピオンベルトを引っ提げて、このアンダーグラウンドに来たのはレスリングする訳ではなく、彼もまた有力なゲーム戦士の一人であったから。
しかし、倭刀とは何か因縁があったように思いますが……?
「…………」
鹿賀本人は無言を通すのみ。
「俺の事覚えとるか? ……いや、忘れてる訳ないよな。俺がアンタとシャークトレードしてカード騙し取ったんやから」
――カードゲームを嗜む読者の皆様は『シャークトレード』、この用語には反応するかと思いますが、一応御説明を。
シャークトレードとは、主にトレーディングカードゲームにおいて、相手を騙して不釣合いなトレードを持ちかける事。
簡単にいうなら、カードゲームをやり始めた初心者の知識の疎さに漬け込んで、強そうに見える普通のカードをエサにしてレアカードを交換と託けて騙し取る詐欺の手口なのです。
当然良い子のゲーム戦士は真似してはいけません。未来永劫嫌われます。しかし、
―――倭刀はやってしまったのだ。
「あの時はホンマ済まないと思ってる。プロレス引退してゲーム戦士になりたてのアンタを騙したんやからな。訳あってカードは無いが、必ずその埋め合わせはする。だからこの地底空間の事知ってる事あるなら―――」
「―――成長せんな、青二才」
……その一言、二言が倭刀に隕石のような重たい枷を担がれた重圧が伸し掛かった。
許すのではなく、怒るのでもなく、ただ青二才の言葉が倭刀にとってグウの音も出ない程の制裁となった。
「………当たり前だよな、一年前の馬鹿な俺にゃお似合いの言葉だぜ……」
因果応報、身から出た錆。
実は前作『極限遊戯戦記』にて、倭刀が初めて剣と対面した時もシャークトレードに持ち込んだ事があった。※第37話参照
剣は騙されなかったが、その次にみのりを標的にして先程の《ブルーバード》を奪った事に怒った剣が、倍返しにして勝利。
その後カードは戻ってきたが、なんの因果かその後のアメイジングウォーズで仲間になり、《ブルーバード》に至っては廻り廻って穂香のカードとなった。
しつこい様だがこの詐欺の一環から、こうして剣やみのり達の仲間になった倭刀の因果も、相当複雑なものであった。あぁ廻る因果は糸車、今は過去へ巡って反時計廻りの風車。
「どうしたの倭刀? さっきのあの人に何か用でもあったの?」
「え、あ、いやちょっとな……穂香姉ちゃんには関係無い話や」
「そう……?」
▶▶▶ NEXT▽
――というような訳で、その後の綾小路とのいざこざやらありつつ閑話休題。
気を取り直して新ゲームの舞台となるこの地底空間の地形・建物やら探索に乗り出す倭刀と穂香、そして豪樹に水谷トレーナー、商人のツッチーの五人衆。
「まぁどのゲームにも言えることやが、地形やら調べてもいざ相手と決闘となった時、万が一敵同士で手ぇ組んでチームで攻めて来られたら太刀打ち出来ひん。
FPSやから初期配置はどうなるか分からんが、もしこのメンツで出会ったら、一旦は共同戦線は踏んどこうや」
豪樹の言うとおり、今回の新ゲームは個人戦ではあるが、プレイヤー同士で手を組む事も無くはない。中には変な交渉を仕掛けて騙す方も居るかもしれませんが。
「でも最後は一人になるまで戦うんやから、結局は同士討ちもあり得るけどな」
「その時はその時で、正々堂々戦えば良いのよ。変なプレイヤーにやられるよりは倭刀も良いでしょう?」
「まぁな、それだったら姉ちゃんや豪樹さん達と組んだ方がいいな」
ともかく倭刀らはシャッフルのメンバーでもあり、友好な関係を築く者同士は攻撃しない戦法に出たのだった。
だがしかし、チームの内ならともかく他のゲーム戦士が彼らに持つ印象によっては、執着した敵視意識を持つ事も有り得ます。というのも、
「オイちょっと待て、アイツまさか……池谷倭刀じゃないのか!?」
「あっホントだ! あのクソガキまだ彷徨いてたのか!!」
「……げっ、お前ら――!」
有名人にあったような反応にしては嫌悪にも似た拒絶反応。それも道理です。
「俺一年前にアイツにレアカード3枚もシャークされたんだよ!!」
「俺なんか箱買いして開封した後にやられたんだぜ!」
シャークトレードの悪行は剣や鹿賀に留まらず、大阪の中核をメインに行われたツケが今になって倭刀に降りかかる。それを知った水谷やツッチーも驚く中、その動機を作った穂香が制止する。
「ま、待って下さい! トレードの事は倭刀が悪くないんです!! これには事情があって――」
「はぁ!? 事情があれば許して貰えるとでも思ってんのか!! それを行った時点で悪いんだよ、奪い取った時点でアウトなんだよバカ! 恥を知れ!!」
「もう頭きた、新ゲームじゃまずお前から先にキルしたるからな覚悟しとけ!!!」
……これは、申し訳無いですが被害者の言い分が正論。やられた側に相手側の事情など知ったことではないからです。
「……なぁ豪樹のあんちゃん、倭刀はん過去に何をしたんや?」
と、何も知らずのツッチーが豪樹に質問する。
「あぁ……穂香の親父がな、PASの暴走でカードのエネルギーを欲してた時に、そのカード集めを全部に彼女に任せてたんや。それを見かねた倭刀が手助けにとコネを使ってレアカードを収集した。でないと穂香は親父に虐待されるからな。
姉思いで献身的な倭刀のやり方が、今結果的に自分の首を絞める事になったんや」
「そんな事が……確かに倭刀くん、穂香ちゃんの事かなり気にしてたものね」
豪樹もツッチーも水谷も、倭刀の過ちに咎める事はなく同情の域に入る。
「いや、同情は良いすよ悪いのは俺ですし。俺足引っ張りそうなんで共同戦線は無しに」
「そんな事言わないで倭刀、あれは私だって悪いんだから」
などと倭刀と穂香は足枷にならぬよう豪樹らと離れるか否かで悩み始めた時、豪樹は言い諭した。
「言っとくがワイらはお前らを手放したりはせぇへんで。過去にやった事を悔やんでも後戻りは出来んのやから、ワイら大人はそれらの落とし前をちゃんと付けられるか、それをじっくり見守ったるわ」
それを聞いた水谷もツッチーも同調して頷き、倭刀らの味方に徹した。
「……倭刀はん、こんな良い大人は他におらんで? その温情はしっかりと感謝しときぃや」
「………分かりました、ツッチーさん」
▶▶▶ NEXT▽
―――倭刀らの探索は続く。
道中でやはり同じく倭刀のシャークトレードの被害にあった、若しくはその噂を聞きつけたゲーム戦士達に白い目で見られては陰口、或いは罵詈雑言の投げつけに宣戦布告と散々な目に合わされた。
(いずれはこう来るって自分でも分かってた筈なのに、いきなりこんな所で響くとなると……ホント悪い事は出来ねぇな)
それでも豪樹達良き大人は離れる事はせず、倭刀達の護衛に尽くす。そしてその優しさが倭刀にとっては自責の意に駆られていくのだった。
『―――あれあれ〜〜ェ? そこでしょぼくれてるのは何処の孤立組ですかぁ〜〜??』
―――嫌な事は時として連鎖するものか。自惚れ屋……失礼、綾小路優が同胞を数十名程引き連れてやってきた。
「……何やねんお前、挑発して一人じゃ心許ないから群れて来たか?」
「いや? 本当はそのつもり無かったけど僕ってば強いからさ、彼らも一緒に戦いたいって付いてきたんだよ。人気者って大変だなこりゃ」
……何でしょう、その割には金の匂いがしてきたんですがそれは。
「他のゲーム戦士の皆から話は聞いたよ、この僕に偉そうな口叩いた倭刀先輩がシャークトレードなんて、薄汚い根性してんのは結局アンタの方じゃないの?」
「……後輩が脅しに徹するとはな。そんな俺を貶めたけりゃ勝手に広めろよ」
「それも良いけど、アンタら僕が手を出さなくても自滅しそうだし、まぁ精々頑張ってねぇぇぇぇ☆☆」
えー現在、嫌味口を吐くゴキブリ野郎に特効的な殺虫剤『ジージェット』を無料配布中!
どうぞムカついた方は思う存分あの馬鹿にブッかけて下さいませませ!※勿論非売品です。
「あんなの気にせんでえぇよ、殺虫剤も要らん」
「……分かってますって、豪樹さん」
「倭刀………」
▶▶▶ NEXT▽
――さてこちらは、一人街並みを佇むプロレスラーゲーム戦士・ギガント鹿賀。
「……何者だ?」
心に邪念を振り払い精神統一を図る彼に、何やら禍々しい覇気を感じ取った。
『何よ近づいただけなのに気を取られるなんて、肉体自慢だけじゃ無さそうね、妬ましい』
ネチネチした口調にこの口癖、胃の中がムカムカしそうな懐かしい感じは、うわぁやっぱりそうか!!
「貴方が『ギガント鹿賀』ね? 始めまして、私は【妬み嫉みのエンヴィー】、嫉妬を主とする裏プレイヤーよ」
浪速警察署を脱獄した妬み嫉みのエンヴィーが、いつの間にやらアンダーグラウンドに帰還し、ギガント鹿賀に接近。そしてややあって…………
「うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!??」
地底の旧都に木霊する鹿賀の叫喚、一体エンヴィーは彼に何を利用しようとしているのか!?
次回よりは、彼を発端に地底のゲーム戦士を巻き込んだ報復・復讐のゲームが始まる!!
池谷倭刀、一年越しの禊果たしてなるか!!? ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




