【GAME36-8】立海の魂に宿るもの!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔銃司 HP800 手札3枚 EG:⑨〕
・武器:《ACS・マグナサモナー》
・ユニット:なし
★〔大山杏美 HP1000 手札6枚 EG:20〕
・武器:《ACS・ゴルドサモナー》
・ユニット:なし
※5体のオーガ、鬼神戦隊が銃司によって全滅!!
――逆転、一転、また逆転!
鬼神ユニットの猛攻にも怯まず、真っ向勝負でその壁を撃ち破った立海銃司!
彼はそんな単細胞な先方に酒呑童子の魂を『時代遅れの種族』と蔑む! ところが大山女将、その蔑称に半ば肯定しつつもPASの波動を解いた。
「――私もな、時代が流れとる事くらいよーく分かってんねや。それでもそれに飲まれん為にあれこれ無い知恵振り絞って、こうして生きてきとんよ。でもアレやで、そんな時代でも忘れちゃアカン事ってのはあると思う」
そう言うと大山女将、再びフィールドの片隅に置いていた一升瓶の横に置いてあった大蓋のような盃を持ってきた。
「この盃、えぇ色してるやろ? 漆で塗られた滑らかで真っ赤な色。コイツで容れた酒を戦いの前に飲むとな、この上なく元気が湧いてくるんよ」
「……知るか。家宝の自慢話は構わんが、決闘の前では邪魔になるだけだ」
仰る通り。その上この真っ赤な盃には、まだ清酒の溜まりが器の中に残っていた。
「昔はこうして私もゲームに励んだんやけどな。ところが時代と共に段々と裏の連中も強うなって、終いにゃアメイジングなんて決闘ゲームが出来た頃には、盃で酒も呑ます暇も与えやせぇへん」
確かに非常事態で起きたこの決闘で酒を呑ます暇は無かったのが確かだが、こうして大山女将が酒を注いだ状態の盃を持っていたと言う事は、何か未練があったのでは無いでしょうか……?
「その通りや語り部はん、私は今の時代でも忘れたくはあらへん。この盃を呑みながら嗜んでたゲームの、楽しかった日々ってのをさ……!!」
……大山さん、貴方はやっぱり……
「さっきから貴様は何を言っているのか話が全く見えん。未練だとか、思い出話とかで負けの言い訳にするつもりか?」
何度もゲームを中断されて苛立つ銃司。勝つ事に誇りを持つ遊戯貴族に大山女将は物申した。
「……別にそんなんする気は更々あらへん。誇りだとか、勝ちに拘る気持ちも分からなくは無いけども、ちょいとお前さんには酔狂ゆーのか……遊び心が足らへんなと思うたんや」
「………何?」
「私ら極道は何かとバクチ好きな種族でもあってな、自分が痛い目見るからその先の大当たりが楽しゅうてついやってまう。実際お前はんに痛い目なんぼも見せられた、ヤバい目にもあった。
―――もう十分落ち目は出たさかい、これで私が勝てそうやわ」
「!!?」
何と幾度も逆境に立たされた大山女将、自ら勝利宣言を誇らしげに語った!
丁か半かナンボか賭けて、ボロ負けで裸一丁されそうになれば、ピンゾロの丁ピタリと当てて鼻を明かした事もあっただろう極道の博打遊戯。
だからこそ負い目を追った先に見えるものがある。大火傷上等プライドの大博打、大山女将の仁義が語る……!!
「言わば私の残された5枚の手札は賭け金みたいなもんや。だがあと1枚! その1枚の札で一気に賭けりゃ……お前さんの命、地獄の底まで叩き潰せるわ」
「バカな? 6枚の手札でどうやって銃司を潰す気だ!?」
流石の参謀・史也様も狼狽える程に、銃司の敗北宣言にまさかと思った立海勢。
しかし良く考えれば依然として6枚も手札を温存してる以上、一つや二つは切り札を抱えてもおかしくはありません。銃司のHPも僅かならば、尚更!
「さて、宜しおすか? 仁義と酔狂をサラシに巻いた極道の生き様……お前はんにも身を持って味あわせたる!!!!」
『カスタムツールカード、【気力装填大砲】!!』
召喚で飛び出した巨大武器、太く支える3本のスタンドに鬼が獲物を喰らう時に魅せる大口のような大筒大砲。結局鬼も飛び道具を使うんじゃないか!!!
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【気力装填大砲】EG:⑦
AP:X PP:3
属性:赤 装備:プレイヤー
効果:①このカードによる攻撃は
ブロック・ダメージ低減不可。
②攻撃の際、自分は手札をこのカードに
装填することでセットした枚数×200を
APとする。
◎――――――――――――――――――◎
「俺のHPは800、それに大山の手札は4枚以上あればキルは確定……! まさかそれを狙って温存していたのか……!!」
「私は時代で背負うもんの為に色んなの捨てちまったが、デッキだけは素直になりとうてね、浪漫詰め込んだらこないな結果が出来てもうた! ホンマ運命ちゅうもんは、粋なもんやわぁ!!」
そして有無を言わさず大山女将は《気力装填大砲》に4枚のカードをセット。発射時にカードは自動的に墓地に送られるが今重要なのはそこではない。
――銃司に気力の打ち上げ花火が、ロックオンされた!!
「燃え尽きたりや傲慢貴族!! 『気力大バスター』ッッッ!!!!」
エネルギー満タン、唐紅の気力のこもった特大エネルギーが放出!! 通れば800ダメージだ!!!
「…………“浪漫”、“酔狂”? ―――馬鹿め、俺もそれくらいとっくに持ってるわ!!!!!」
遊戯貴族・立海銃司、瀬戸際に吠えた時、黒く染まった眼から一転、白の輝きが戻り温存していたPASの波動が解き放たれた!!
「代々銃の名を持つ我が立海の前に、大砲で仕留めるなど片腹痛いわ!! 見るがいい、俺達のPASの力を!!!」
――いざとなったら魂を込めろ! 遂に開放、立海銃司のPAS【クリムゾンマグナム】!! そして彼が漏らした『俺達』の意味は、PASの中に答えがある!!!
◎――――――――――――――――――◎
・立海銃司のPASスキル
【偉大なる主君の裁き】発動!!
発動中のカードを対象に
攻撃・効果を無効にし破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
紅蓮の赤、真っ赤な銃司のPASを放ちそこで出幻するは、おぉッ!?
何と夢か幻か、かつて立海の落とし前をつける為に自害した先代立海城主にして銃司の兄、立海丈の霊幻が現れたではないか!!
『愚か者めッッ、我が立海の前で銃を向けるなど笑止!!! 下がれェェェェッッッ!!!!』
ご丁寧にお兄さんのボイスまで付いてるじゃないですか!? ライブラリー音源かな。
何はともあれその威厳のある一声に《気力装填大砲》の攻撃は熱風と共に吹き上がり、武器もろとも塵となりて消滅していった。当の銃司は無傷!!
「な……何やて……ッ!? 《気力装填大砲》はともかく、お前はんのPASに……何故、死んだ筈の立海丈が宿ってんねや!!?」
「お前が言った通りの事をやったまで。俺のPASに“酔狂”とやらを込めた」
ま、まさかその遊び心で、亡き兄・丈を呼び起こしたと言うのですか銃司さん……?!
「俺はゲームに狂気と破壊を求める事しか出来ん男だが、幾多の運命で生まれた因果によって俺の魂は進化し続ける。
立海の誇りと、俺を生かすために死んだ兄貴・立海丈は今も俺の魂の中に生きている! 肉体・精神は死せども、魂は永久不滅だ!!
―――良く覚えておけ、立海の魂は二人の絆で出来ているのだッッッ!!!!」
―――敬愛すべき兄が死しても、受け継がれる誇り高き貴族の意志。
勝利を得るために狂える力を振るう恍惚、立海の頂点に立つべく己を偽らず気高く生きる誇り。
遊戯貴族の兄妹の魂は、今この決闘に輝く――!!
「見ててくれ兄貴、俺は時代に遅れなど取らぬ!! 気高く強いゲーム戦士になる為に俺はッッ、進化する!!!!!」
『ユニットカード、【鮮血の貴公子―BLOOD・LOAD―】!!』
黒のタキシードの裏に血染めされた鮮血の赤のマントがたなびく。冷血なる血の貴公子が地底の闇に降臨する!
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【鮮血の貴公子―BLOOD・LOAD―】EG:⑥
AP:500 DP:500 AS:10
属性:黒/赤 ユニット/ヴァンパイア
・能力:①このユニットが攻撃し
ダメージを与えた時、相手のデッキの
上から10枚墓地に送る。
◎――――――――――――――――――◎
しかし……まだ儀式は終わっていない―――!!!
『ツールカード、【進化】!!』
「―――進化、やて……!!?!」
◎――――――――――――――――――◎
〈ツールカード〉
【進化―EVOLUTION―】
属性:無 EG:③
・効果:自分フィールド上のカード1枚を
対象にして、[進化]させる。
◎――――――――――――――――――◎
「さぁ、刮目するのだ。俺の進化は切り札の進化!! 廻る因果に赤い血の裁きを!! 【真紅の吸血帝王―BLOOD・EMPEROR―】!!!」
鮮血の赤、残虐の黒。2つの色が紳士服に溶け合い満月の闇に狂気に震える時、貴公子は闇を制する吸血鬼の帝王と化した!!!
これぞ立海銃司の理想のビジョンなのか!? 誇り高き遊戯貴族が最強の吸血鬼を従い、今度こそ酒呑童子にとどめを刺す時が来るのか!?
―――次回、いよいよ決着!! どうなる頂上激戦。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




