【GAME35-6】遊戯貴族の支配! そして急展開!?
――Q.カード召喚エネルギーEGを倍の速度で蓄積させる《ビッグバンエネルギー》、それを発動させた大山女将は既に⑩以上のEGがあるけど、展開上大丈夫?
―――A.じゃ使えなくすれば良いだけじゃん。
などと相手の心配を他所に、言語道断己のプレイングを貫き通す銃司であった。
「ちょ、ちょいとお前さん!? まさか本気で私のHPを削り切るつもりかい!?」
現在大山女将のHPは無傷で2500。
数刻前のエロイムエッサイムなデーモントークンのコンボでもAP2000がやっとの事であった故、余りにも無謀はあるまいか? と不安になりかねませんがここは銃司、考え方がちょと違う。
「馬鹿め、似ているが標的が違う! 俺が削り切るのは貴様の生命ではなく、無い知恵を働かす精神だ!!」
精神、カードゲームに例えるなら即ち……手札!!
その転機を起こす為に戦うゲーム戦士二人に宝札が舞い降りる。お待ちかね、ドローカードタイムだ!
《CARD DRAW》
銃司と大山女将に1枚のカードが手札に宿る。先に仕掛けたのは銃司、EGを⑨支払ってカードスキャン!!
『ユニットカード、【ソウルテイク・ヴァンパイア】!!』
夜に蠢く血を欲する貴公子・ヴァンパイアの属に位置する戦士が銃司の配下として舞い降りた!
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【ソウルテイク・ヴァンパイア】EG:④
AP:200 DP:200 AS:10
属性 黒 ユニット/ヴァンパイア
・能力:[アドエネルギー]
※このカードを召喚するとき、
EGを追加で①以上払ってもよい。
・①このユニットが召喚した時、
[アドエネルギー]によって追加したEG分
相手の手札を捨てさせる。
◎――――――――――――――――――◎
「何だいそのユニットは……? EGは④の筈なのに⑨も余分に払っとるやないか?」
「俺のヴァンパイアの能力[アドエネルギー]によるものだ。通常より余分なEGをコストにする事で、コイツの能力は過剰にパワーを上げる!!」
《ソウルテイク・ヴァンパイア》のEGは④。しかし銃司はそれをプラスして⑤も追加コストに支払った為、このユニットの手札取捨効果がその数値分となる!
「よって手札取捨は5枚! 貴様の自信の種となる知恵札を、全て地獄に叩き落としてくれる!!!」
「なんやて……?!」
手札もEGも豊富な大山女将。ところがそれらの好都合にも関わらずカウンター・レスポンスの発動は無し。苦虫噛み締め5枚とも墓地に捨てられた。
実は彼女の手札の殆どは、EGがデカい高コストなユニットカード。カウンターを仕掛ける罠のカードは殆ど入れ組んでいなかったのが、迂闊となってしまった。
墓地を確認したところ、手札から群を抜いてEG⑩以上のとてつもなくデカいユニットが1、2枚あったが、それも持ち腐れとなった。
「フン、幾ら馬鹿力なユニットが控えようとも墓地に沈んでは意味も無かろう。そのまま地獄で眠って悔やんでるがいい」
これで大山女将の残された戦力は召喚機の金棒のみ。攻撃力はズバ抜いて高いが、近距離で範囲が絶望的なためEGを蓄えようとも決定打にはなりづらい。
この圧倒する銃司のプレイングに裏プレイヤーのギャラリー達は皆怒り心頭、『フザけた野郎が!』『殺してやる!!』と殺気際立ってブーイングの嵐。
「黙れ下等民族!!! 貧弱が粋がってデカく見せただけの価値観を俺に押し付けるな、恥を知れ!!!!」
宥めるどころかその殺気を逆撫でるのが恐ろしい所。立海銃司、まさに怖いもの知らず。
「やはり金棒だけでは怖気づくか酒呑童子。ならば俺が火力を上げて楽しませてやろう!!」
◎――――――――――――――――――◎
・銃司のプレイヤースキル
【狙撃手の愛銃】発動!
デッキから《ゼータマグナム》を呼び出し、
そのまま装備します!!
◎――――――――――――――――――◎
召喚機のアサルトライフルに更にもう片方、マグナム銃を左手に装備。紅蓮の狙撃手、2丁拳銃スタイルだ!!
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ゼータマグナム】EG:④
AP:300 PP:6
属性:赤 装備:プレイヤー
効果:[バスター]このカードによる攻撃は50%の確率でクリティカルヒットが出やすい。
・≪必殺技≫
『チャージバレット』EG:③ AP:500
ブロック・ダメージ低減不可の渾身の狙撃技!
◎――――――――――――――――――◎
―――ドガガガガガ、ドォンッッ!!
アサルト弾の雨あられ、時々マグナム弾。銃司の情け御無用拳銃連射・注意報!!
これには大山女将も金棒一つで弾を弾き、時に交わしたりとするがそれでも回避には追い付かなくなってきた。そしてその隙を銃司は決して見逃さない!
「――『チャージバレット』!!」
―――ガオオオオォォォン!!!!
「くっ………?!!」
大山女将、銃司の《ゼータマグナム》による必殺技、野獣の雄叫びのような号砲一発でとうとう被弾。大柄な身体に痛撃迸る!!
〔大山 HP2500→2000〕
「…………きっついなぁ〜」
大山もこれには苦笑い。遊戯貴族の傲慢な支配を前には成す術が無いと言った所か。
「どうした、俺の花火で余計に威勢が落ちたでは無いか酒呑童子?」
「……ホンマに口の減らん貴族やなぁ。言われんでも、ここで負けはったらここらのガキンチョの示しは誰が付けはるんや……!」
無論ここらの不利で諦める大山女将では無かった。未だ残されている2000のHPと15のEG。勝機はまだ十分残っている。そして立海側の面々。
「とはいえ今のフィールドに配下も武器も備わっている銃司が有利なのは変わりない。貴族が油断する筈も無いだろう。締めはちゃんと着けておけ」
「銃司様の勝利、我々はしかと見届けます!」
「あんな鬼なんか勝てる勝てる〜ですの☆」
……多分無意識だと思いますが、フラグを立てますねぇ貴方ら。
「まぁ良い、精々俺を楽しませろ。同じ裏プレイヤーでも貴様は小原恵美よりは骨が有りそうだ」
「何を小癪な…………………」
―――とその時。何故か大山女将の動きが急に止まった。というのも先程の銃司の口から【小原恵美】という人物の名が出て、それが耳から離れなかったようだ。
「ちょいとお待ち。何でお前さんが小原の名前も知っとるん??」
「……? 貴様こそ何を言っている。上流のゲーム戦士なら皆が知っている事だろう」
上流のゲーム戦士どころか、全国の読者の皆さんも全然知らないんですが。名前も初めて出ましたし。
「意外な事もあるもんだ。銃司が城主になったのは知っていたのに『あの件』の事は耳に届いて無かったのか?」
「……史也様、『あの件』って何の事ですの?」
そこは読者を代表して私も聞きたいです。
「小原恵美。関東で『小原組』というゲームチームを創り、数多くの裏プレイヤーを仕切ったゲーム戦士の一人だ。地底空間出身では珍しく、先陣を切って地上に名を馳せた数少ないプレイヤーだったんだが……ちょっと厄介事に巻き込まれた」
あら……という事は、かなり不名誉な事が……?
「うちら大山組の層ってのはちょいとコミュニティが狭うてね……不便な話で地上の出来事はあんま入らへん。
――私からも読者と同じく頼む。小原に何があったのか教てくれんか? 気になうてゲームに集中出来へん」
読者の皆様と同じ思いで懇願する大山女将、なんて懐の深い人なんでしょう。銃司さん、私からもここはお願いします。
「……しかしな、小原恵美が貴様の友と言うのならば、この話は余計に戦意を失うかもしれんが……仕方あるまい、言わぬ後悔よりも言った方が楽だろう。―――俺があの時見た事をそのまま話してやる」
―――傲慢だが根元は情に熱い立海銃司。
彼がこれから話す事は一年前、シャッフルと立海が激突した『アメイジング・ウォーズ』終結から一月経った、あるイベントが事件の引き金となるのでした……!
次回よりは一旦ゲームから離れて回想シーン。そして予想をも上回る途轍もない闇に触れる事になりますが、これから展開はどのようにいくので御座いましょうか!?
【GAME35/遊戯貴族VS裏プレイヤー女将】はこの辺で読み終わり。続きは後半戦で御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
――立海VS大山組戦 後半戦、の前に!
一年前に起きたイベントで、【小原恵美】という裏プレイヤーの身に一体何が起きたのか!?
その事実を知った時、鬼は覚醒する。
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