【GAME35-5】酒呑女将の豪快返し!!
――TIPS――
【ゲーム戦士・プレイヤーステータス】
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:シュテンねーさん(大山杏美) ♀
・プレイヤーレベル:70
・ジョブ:『バトルマスター』
・PAS:【???】※現時点分析不能
[プレイヤーステータス]
・アクション:SS・シューティング:C
・ロールプレイ:A・タクティクス:S
・スピード:A・ブレイン:B
・ハート:A・ミュージック:A
・ラック:A
[プレイヤースキル]
・【鬼に金棒】【美酒の盃】など
[エンブレム]
・『オンライン手元引』獲得賞金 7,000万円突破など
☆――――――――――――――――――☆
――立海銃司よ、アンタは何故、悪魔に魂を売ったのか!? ……なんて売り文句は置いといて。
そんな悪魔が己の宿す生き血と引き換えに力を宿すように、序盤から殺意有頂天のコンボが炸裂!
―――《デーモンユニットトークン》、AP/DP共に2000!!
そんな超弩級の一撃が酒呑童子の御霊を加護とする大山杏美・大山組女将に迫る!!
「さぁ死ぬよりも苦痛な2000ダメージだ、家畜の雌豚のように無様な悲鳴あげて苦しむがいい!!!!!」
ダークな悪役徹するならば躊躇無し、高圧かつ侮辱的な煽りも飛んで気分もノリノリの銃司。対して大山さんのレスポンスは……
「――誰があげるかクソガキ!!!!!」
悪魔如きに恐れを成すなど、般若の相と角が廃る!!
大山さんカウンター・レスポンス。からのブレスレットに装着したデッキからカードを一枚引き、持ち手の下部分の底からカードを差し込んでスキャンした!
『アクションカード、【弩弓部隊の罠】!!』
「な……トラップカード?!」
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【弩弓部隊の罠】EG:③
属性:緑
・効果:【トラップ】
相手ユニットの攻撃宣言時
①緑属性以外の相手ユニットを1体破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「幾らお前さんが、うちの事を単細胞だとか脳筋だとか罵られようと、罠を貼るくらいの知恵はあるわいな。そゆことだから、地核に戻って煮込まれちまいな西洋子鬼が!!!!」
魔界の悪魔がどんなに力を蓄えようとも、自然の知恵には勝てなかった!!
《デーモンユニットトークン》、ビッグバン級の攻撃を与えられず、撃沈!
「何を焦っとるんよ。お前さんが死なん限りは遊戯は続く、直ぐに殺しはせぇへんから腰を据えて楽しもうやないか?」
「チッ……」
互いに破天荒なゲームを嗜んだ者同士、年季の違いは大山さんのが格上だったか。
「うそー!? 今度は銃司様が不利になっちゃったですのー!!」
「これが東洋の鬼のゲーム戦士か……!」
シェイパー兄妹も序盤の急展開に一驚させられっぱなし。しかし状況を見るからに銃司は半分程コスト払いでHPは減ってはいるが、手札は5枚と十二分。
戦況は目を見るからに五分と五分。先手を取れなかったのは痛手であったが、荒業を冷静に対処した大山さんに銃司はその実力を認めざるを得なかった。
「……フッ、俺も偏見が強くて困る。鬼がこうも知恵を働かせるとは大した事だ。良いぞ、もっと抗うがいい」
不意のカウンターに負け惜しみを言うどころか、それすらも楽しんでいる表情の銃司。
「しかもあれを素で言うから恐ろしいもんだ」
……銃司さんなら、やりかねませんね。
減らず口を叩く銃司に対し、それを赤子の手を捻るかのように大いに構える大山女将。
悪魔の鉄槌を軽く促した大山さんは一体何を出して反撃するか、お手並み拝見と銃司も武器を構えるが……一向に出す様子を見せずEGのみが蓄積される。
「……どうした、掛かってこないのか。その溜まりに溜まったEGを酒代わりに宴でも始める気か?」
「EGが酒。成程なぁ、そない発想はうち無かったわ。それもええけどこれも立派な戦術やさかい、気にせんとって」
現在大山の蓄積EGはなんと12! ここまで来ると鬼のアイデンティティを則って何か大型なユニットが飛び出そうですが、真相や如何に。
「アッハハハ! 語り部さんにはちょいと捻りのない解説やったかいな?」
いえいえ滅相もない! シンプルもまた然りですよ。
「まぁそれも宜しおすな。でもまぁこないシンプルな戦術でも、もっとド派手にしたら退屈せんとちゃいまっか?」
……大山さん、これ以上何を溜めるつもりで?
「行きまっせ、EG③でパーマネント・ツールカード発動!」
『パーマネント・ツールカード、【ビッグバンエネルギー】!!』
大山女将が繰り出したツールカード、それは地底の薄暗いフィールドに太陽を照らされたように、神々しい輝きを持つエネルギーの塊!
これには暗がりに慣れている銃司をも光に眩み、尚且ゲーム戦士達の召喚エネルギーが迸る!!
「な、《ビッグバンエネルギー》だと!?」
◎――――――――――――――――――◎
<パーマネント・ツールカード>
【ビッグバンエネルギー】EG:③
属性:赤
・効果:全プレイヤーはEGが蓄積される度に、
その数値を①追加する。
◎――――――――――――――――――◎
「このカードは互いにEGが貯まる度に、その数値をもう①ずつ追加するパーマネント。まぁ要するに……お互い溜まるEGの数値は②ずつ増えるんよ」
……はい、ややこしくならないうちに私が解説を。
アメイジングカードを召喚させる為に使うEGは、ゲーム戦士のステータスに従って何秒か毎にEGが①追加されるかは個人差がある訳で。
今回の場合、銃司も大山女将もそれぞれ高数値なステータスを誇り、EGが①蓄積される秒数は両者共に『5秒』!!
仮にスタート30秒経過で互いに溜まるEGは、30÷5で⑥蓄積されるとする。
それが先程の《ビッグバンエネルギー》で追加EGを倍にすると、⑥×2=12!
30秒で一気に高コストカードも出せる恐ろしいカードなのだ!!
「これまた豪快なのを出してきたな」
思わず史也も舌を巻くカード。しかし、このカードにはデメリットがある事をシェイパー兄妹が気付いた。
「……あれれ? でもあのカード、テキストでは【全プレイヤー】が対象と書かれてますの」
「という事は、大山のみでなく銃司様も倍のEGが溜まるのでは?」
「その通りだ兄妹諸君。強力な能力を持つカードはリスクも大きく伴う。豪快と裏腹に扱いづらい。玄人が好むカードだな」
確かにEGが倍増えるカードなんて、自分だけ使える程都合良く出来ていません。要はリスクを背負ってどう使いこなすか。ゲーム戦士の器量が問われるのだ。
「だが相手は同じく豪快プレイの銃司だ。そいつにEG加速を持たせるなど、無謀この上ない事を知っての行いか……?」
などと史也が戦況を分析している隙に―――
「……あっ、銃司様危ないッッ!!!」
フローレンの叫喚が飛ぶ、その刹那に銃司の頭上から金棒の鉄槌が襲う!!
――――ドォォォォオオオオオオン!!!!!!
直撃に唸る地底の地響き、更に激突時に発生した半径50メートル級のクレーター。
金棒一撃で隕石でも降ったかのような凄まじき破壊力。まさに人間メテオインパクト、酒呑童子の酒気に帯びて凶暴化した、その闘争本能に差も似たり大山組女将!!
「……チッ、逃げられたか」
大山女将思わず舌打ち。ターゲットの銃司は直撃寸前でひらりと打点から遠くエスケープして事なきを得た。
(先程の鬼の鉄砕はAP1000。それと攻撃前20あったEGは今は10。カードを使った形跡無し。―――召喚機か)
銃司はブレスレットのビジョンモニターで決闘の形跡を綴られた『エフェクトログ』で、大山女将の攻撃の詳細を確認した。
そして銃司の分析通り、先程の金槌の攻撃は紛れもなく金棒型召喚機【ACS・ゴルドサモナー】のものだった!!
◎――――――――――――――――――◎
<カード召喚機>
【ACS・ゴルドサモナー】
AP:300 属性:無
能力:≪必殺技≫
『鬼神一徹』EG:X
・消費したEGの数×100の
近距離・貫通・打撃攻撃!
◎――――――――――――――――――◎
召喚機が武器になるだけでなく、強力な必殺技も備わったゴルドサモナー。加速するEGを前にして、いつ特大な攻撃が襲ってくるか分からない!
(それだけではない。奴はEGを10も残している上、手札も減っていない。俺もエネルギーは加速してるが攻撃力はあっちのが断然上。となると……)
悪魔城主・銃司は時として冷静となり、相手を潰す好機を探る。常にクールで時にヒート、それが銃司のバトルに対する心構えだ。
「……うちの金棒に怖気づいたんか? まだビビるには早いんとちゃうやろ、早う掛かってこんかえ」
金棒を手にした鬼は自信を溢れさせて銃司に手招き。余りある手札もあって対策も万全の様子か。それを危惧しての史也の警告。
「気を付けろ銃司、4枚の手札にEGは10。どんなカードが飛」
「鬼が繰り出す姑息なカードなど、潰せばいい」
「……ごもっともだ」
傲慢城主を前に、参謀の警告は不要のようだ。
酒呑女将の豪快プレイ、EG加速のヒートアップも加え、銃司はこのパワーを制圧出来るのか!?
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




