【GAME34-4】鳳凰堂のゲーム戦士達!!
―TIPS―
ゲームワールドの副管理者・鳳凰堂孔雀がWGCに所属されたのは、前作『極限遊戯戦記 ゲーム・ウォーリアー』第2章にてブラックヘロンとのテロ事件が解決した直後の事。
その後画期的な政策を数々と施行し、トントン拍子で副管理者に成り上がったのは彼女の絶え間ない努力があったからに他ならないのだ。
――地底空間・アンダーグラウンドに自ら赴いたゲームワールド副管理者・鳳凰堂孔雀。
彼女は実力に覚えのあるゲーム戦士を招集し、新たなビッグゲームへの参加勧誘の為に地底空間に舞い戻った。というのも、この地底は孔雀率いるチーム『鳳凰超勇士』の聖地。
活動の核としてB7の層には『霊鳥殿』なる拠点も所有してるのですから、謂わば帰宅途中の勤務になるのでしょうか。
……あ、噂をすれば何とやら。旧都の路地にて一人歩くは鳳凰堂孔雀。拠点へ帰還する最中に何か思いに更けているようだ。
(やはりあの池谷倭刀というゲーム戦士……類稀なる能力も才能も無くとも、魂の持ちようでは強くなれる。人間の可能性を大いに感じさせる良いサンプルね)
彼女がプロデュースする新ゲームや政策の数々は、裏プレイヤー等に怯える人々に迎撃する力を蓄え、裏表平等な和平を築き上げる事。
特に倭刀が著しい成長を魅せている事を察した孔雀は、彼の活躍に陰ながら期待はしているようだ。
彼女の願望を阻む者との信頼、そして自身に対する疑惑も込みで今後も利用する企みなのでしょうか、それとも……?
「あ、孔雀様! こんな所に居たんですね、いやー探しましたよ!」
――はい、出ました! 本日初お披露目の新ゲーム戦士!!
某サマルトリ◯の王子風な掛け合いで孔雀と出逢ったのは、青髪の三編みに眼鏡っ娘! 彼女こそあの孔雀率いるゲームチーム『鳳凰超勇士』のメンバーの一人。井鷺瑞希(17)、別名【青鷺火の瑞希】だ!
「あら瑞希、こんな所でお出迎え? …………貴方に寒い所に行かせてごめんなさいね」
孔雀は例の“孔雀の眼”を使って瑞希の心情を把握して、改めて彼女を労った。
「もう大変でしたよ! ブリザードクイーンを説得するの怖かったですし、真奈が居なかったらどうなってた事か」
そういえば【GAME24】で槍一郎の試練にユニット・ブリザードクイーンを送り込んだのは、孔雀の計らいだと言ってましたが……彼女を連れてきたのは瑞希だったんですね。
それともう一人同胞を引き連れてきたと言う事は、相当骨の折れた仕事だったに違いない。
「二人して働いてくれて連れてきたユニットでも、天野槍一郎は屈しなかったのは残念ですね……」
「いや、私は仕事ですから苦労なんて……ってあれ? 何でブリザードクイーンが破れた事まで知ってるんですか?」
瑞希が報告するまでもなく刺客の決闘結果を存じていた孔雀。それは次の文節で直ぐに理解するでしょう。
「――もうここには誰も居ませんよ。降りてきてください龍牙さん」
殿の号令に直様反応するように、まるで天井裏にでも隠れて音も無く忍び寄る忍者のように、刹那のうちに孔雀の前に現れたのは……出ました黒影の忍者ゲーム戦士・忍野龍牙、【GAME17】以来の推参だ!!
「―――どうも、只今戻りましたぜ御主人様」
「えぇ、お疲れ様でした龍牙さん」
そういえば思い出しました。剣と絶縁した龍牙を孔雀がスカウトし『鳳凰超勇士』に招き入れたと。となると、主と契約した忍とここで初めて二人相並んだ訳ですな。
(嘘……アイツが居た事全然気づかなかったわ……! PASも使った形跡は無いし、何者なのよあの新人……!!)
長年の鳳凰堂のメンバーである瑞希ですら気づかなかった龍牙の御忍び潜術。彼女も実力有りだが龍牙はそれをも上回るようだ。
「龍牙さんもごめんなさいね。地上・地下で行ったり来たりさせて」
「全くだな。ゲームワールドの氷山行ったかと思えばまた地下に戻れたぁ、給与とは別途で交通費も出して欲しいくらいだ」
「えぇ、ちゃんと支給させます。何分ブリザードクイーンの寒波に耐えられるのは真奈さんしか居ませんし、しかし機嫌は良さそうで安心しました」
私でも完全防備で間に合わなかったブリザードクイーンの氷河パワーを耐えるとは!? 口々に告げられる“真奈”とは一体どんな仲間なのでしょうか?
「……しかし引き分けたが剣と同じくオーブは手に入って、任務のついでに剣の仲間の槍一郎とやらも、中々骨のある奴で気に入ったぜ。あんな元役者人間の癖して妙に仲間意識持って、アイツの心の中はどんな感じなんや孔雀さんよ?」
「それはプライバシー侵害です。幾ら敵とはいえゲーム戦士達の心の中を安易に教える事はしないとあれ程言っているでしょう?」
「チッ、変なとこでWGCのルール出しやがって」
オフィシャルプレイヤーを目指す槍一郎に孔雀は端的に『敵』と宣言していた。WGCの古い歴史に大きく関わる彼は孔雀にとって、野望を阻む邪魔な存在なのだろう。
そしてもう一つ過言すると、龍牙は新ゲーム【アメイジング・サバイバーモード】の参加は確定している。開催まで時間を有する為、孔雀はそれまでは休んでも構わないとは言っているようだが……
「ゲームワールド行けっつったり、アンダーグラウンドでの新ゲームに出ろつったりするのは勝手だけどよ。また剣と殺り合う時は設けてるんだろうな?」
槍一郎などに興味は向こうとも一番の目的は桐山剣の討伐。幾ら孔雀の命に従っていても譲れない標的がある。それに対して孔雀は、
「勿論ちゃんと剣さんとの勝負も設けさせます。しかしそれはこの壮大なフィールドで彼と対峙できればですが」
「……成程? アイツも新ゲームに招集させる気か」
「はい。私が開発した【ユニット・ウォーリアー】を彼にも体験させたいのです。切り札に愛された騎士が、如何にユニット戦士を扱うのかを」
「……ったく、お前は何でもかんでも実験台に使いたがるな。クレバーなチャレンジャー精神ってか?」
等と皮肉を口にしながらも、心の内に剣との再戦に心を躍らせる龍牙。
……さてそんな龍牙と孔雀のベストバディにも似た掛け合いに、一人取り残されているのは新ゲーム戦士なのに扱いぞんざいな瑞希。途方に暮れる彼女は思わず本音を想う。
(…………距離が、遠い。孔雀様が気付かない内に遠くに行ってしまいそうな気がする)
瑞希の薄々感じていた仲間との距離に溜息も溢れる。
だがここで普段と違う風景が見れるのは、当の孔雀が心を読み取れる事。当然瑞希の心の溜息に気付かない筈が無かった。
「――――瑞希。貴方も何回も言った筈、考えすぎ。多分色々と忙しいからそう感じてるだけ。私はチームの仲間の事を蔑ろにはしないわ。信じて頂戴」
「…………分かってます。弱音を吐いてごめんなさい」
エンヴィー程では無いが、瑞希も長年の仲間意識の影響か慣れない行いに疑い深く、嫉妬も深い性格であった。
それ故に先程『信じて』、Trust meの言葉に出した笑顔すらも、彼女にとってはそれもまた遠きに有りて、より虚しく感じていた。
(多分、この政策が落ち着けば、また孔雀様も暇が出来て霊鳥殿を留守にする事も少なくなるんだ。寂しい思いもしなくなるんだ。私はそれを願って孔雀様を信じます。………でも、最後に一つだけ弱音を吐かせてください。無視しても構いませんから。
――――私は昔のままの孔雀様が、好きなんです………!!!)
物語の悪側にも垣間見える、複雑な感情。
それを知ってや知らずか、鳳凰堂孔雀は何処までその野望に突き進むのでしょうか。
我々にも予想の余地が与えられつつあるこのアンダーグラウンド。実はこの時既に、新たな訪問者がこの地に足を踏み入れようとしていた!
▶▶▶ NEXT▽
――アンダーグラウンド・B2層。
ここは今世間を騒がしている好戦的な裏プレイヤーの集う危険な層。
さぞかし異様かつ禍々しい殺気が漂うだろうこの層で意外にも、死屍累々としたゲーム敗北の成れの果て、戦意を失って朽ち果てし裏プレイヤーの山が!?
一体誰がこの輩達を粛清したのか、果てた裏プレイヤーの近くには地面に埋め込まれたマグナムの弾丸の数々。ということは……!?
「―――裏プレイヤーなどの俗物が束になって掛かろうとも、この第21代立海城主・立海銃司の敵ではない!! 頭に風穴開けて出直して来い穴蔵住民風情が!!!!」
――遂に、アンダーグラウンドに立海銃司が降臨!!!
この遊戯貴族の襲来により、この地底空間が紅蓮の血で染まるのか!? 本日のゲーム、これまでッッ!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




