【GAME33-8】倭刀・英雄への一歩!!
――裏表、ゲーム戦士対決・倭刀VSエンヴィー!
約2週間の更新、長い事繰り広げた戦いも終え善玉の倭刀の勝利で幕を閉じ、ようやく舞台のアメリカ村に平穏が訪れた。
もっと時間を遡れば、そんなアメリカ村を舞台にした裏ゲームの遂行からこれまた長い約3週間の更新を経て終結まで漕ぎ着けた。長かったね!
しかし正義の勝利で終えたものの、我々にとって失うものが余りにも多すぎた。
三角公園から南の商店街は、裏ゲームによって地形ごとひっくり返して底に溜まるは瓦礫と巻き込まれた人々の残骸……これまた惨い。
戦いには勝てども余韻に残るは苦い風景。罪を憎んで人を憎まずとは言うものの、それは『直してから言え!!』と後から憎しみが滲み出る。無情な裏ゲームの後始ま――――おや!?
「……! 豪樹さん、壊れた建物が修復されてます!!」
「それだけやない、VRフィールドでモヤがかった空も晴れてやがる! 倭刀のヤツ、ちゃんと使命を果たしたんやな!!」
あーりゃりゃ不思議やら!! ゲーム終了のリザルトか英雄の奇跡か、はたまた魔法少女の仕業か、裏ゲームによって破壊された建物が再生するように元に戻っていく!
いやそれだけではなく、ゲームに巻き込まれて瀕死寸前であった人々の深傷をも完全回復されて息を吹き返してるではないか!!
「確か新世界の時も、裏プレイヤーを倒していつの間にか街が修復されていた事がありましたが……倭刀が、倭刀がやってくれたのね!!」
自己修復の様相を見て倭刀の無事を確信した穂香。
実はこの裏ゲーム。実行した裏プレイヤーが決闘などで戦闘不能になると自動的にゲームは終了となり、破壊された建物や殺された人々は何事も無かったかのように修復される仕組みになっているのだ。
言うなれば『ゲーム終了させれば残酷描写は無し!』と、読者様にも優しい設定要素。
しかし今は一刻も早く倭刀の元へ向かわんと穂香はトップギア全開で三角公園、倭刀が戦ったフィールドへと向かうのでありました。
▶▶▶ NEXT▽
――さてこちらは三角公園。
並木並ぶ広場では、倭刀に渾身のフィニッシュによって顔面を殴打され気絶したエンヴィーと、精根尽き果て大の字で仰向けに倒れている倭刀の姿。
己の力を全て使い果たすも、逆転勝利を決した倭刀の表情は何処となく嬉々としているようだった。
「――――倭刀!!!」
そこでようやく登場は、息切れ切れで彼の元へ駆け寄る穂香と豪樹。
二人の姿を見るや、彼らのゲームがどんな結果で終わったのか、言わずとも直ぐに分かっていた。
「……ん……ぁ、穂香姉ちゃん、豪樹さんも……ふわぁ〜眠てぇ」
二人が駆け付けた声で目が覚めた倭刀。あんな激闘があったのに呑気に欠伸に眠たげな顔をしていた為、それが余計に穂香の眼を潤ませて感極まらせた。
「……心配して来たのに、申し訳無いって気持ちは無いのかしら。ホントにこの子は、もぉおお〜!!」
「ぅわっぷ!? ちょ、子供扱いすんなや姉ちゃん! おっぱい苦し……」
満身創痍の倭刀の顔に巨乳を押し付けて愛情たっぷしの穂香姉ちゃんの抱擁。抵抗する力も無い倭刀は苦しがるが、おっぱい押し付けで羨ましがった読者の方は正直に手を挙げなさい。
「やったな倭刀。有言実行、ちゃんと“漢”を魅せられたようやな! 流石ワイの教え子!!」
「……当たり前よ豪樹さん、余裕のよっちゃん水泳中! 俺の力でちゃんと裏プレイヤーに勝ったぜ!!」
何とか空気の吸いどころを見つけて、穂香にハグされながらも豪樹の期待に応えてVサインの倭刀。その笑顔もまた満点級だ。
今回の決闘は彼は確実に一皮剥けた戦いとなった。それはゲーム戦士としての自覚だけではなく、己が戦う上での個性を見付け出した大事な戦いでもあった。
格段にレベルアップしたドラゴン侍・池谷倭刀。だがこれからも彼には計り知れない試練が幾度も待ち受ける事だろう。その時が来るまで【勝って兜の緒を締めよ】。……とそこへ。
――ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜
突如として鳴り響くパトカーのサイレン、裏ゲーム終結を今か今かと待ち侘びてたかのように数台分の警報が三角公園で鳴り響き、あれよあれよという間にパトカー群が倭刀達を取り囲んだ。
「あらーすげぇパトカーの数!」
「あんな騒ぎがあったんだもの当然よ。私が白鳥さんに応援を頼んで貰ったの」
白鳥さんとは、ほら倭刀と穂香と協力する事になった見習いの白鳥美津子巡査の事ですよ!
今回の大事件を聞きつけて、白鳥と上司の杉並巡査部長も一緒に現場へ駆け付けてくれた。
「……倭刀くん大丈夫!? また裏プレイヤーにやられちゃったのね」
「いや今回は逆やで白鳥さん。この俺が裏プレイヤーをやっつけたんすよ!」
己の勝利を誇らしげに語る倭刀。しかし穂香に膝枕された状態じゃ様になりませんね!
「……こりゃたまげた、コイツは『妬み嫉みのエンヴィー』やないか! ゲーセンや丁度ここのピンボール場で幾度もヒステリーで暴行事件起こしてブラックリストに乗ってた裏プレイヤーだ」
「どーりで……嫉妬に呑まれた奴が絶対トラブル起こすだろうと思ったが、常習犯とは」
倭刀もエンヴィーの悪行の数々の暴露により、性格上合点がいくように皮肉を吐いた。
そんな彼女にも遂に御縄に付く時が来た。両手を後ろに手錠をはめられた所でようやく意識を取り戻し、暫くしてから事の事態を把握した所で倭刀を睨みつけるエンヴィー。
「ッ……アンタよくも……ッッ!!」
「おや、相当俺のパンチが効いたんやな。やっとお目覚めかい」
裏ゲームの終了により、決闘エフェクトによる痛みも回復しつつある二人であったが、エンヴィーに喰らわした倭刀渾身の顔面パンチだけは右頬に黒ずんだ痣が残っていた。
「……何故私を殺さなかった? 顔にこんな痣を残してまで生き恥を晒すなんて、情けでも掛けたつもりなのかしら、妬ましい……!」
ゲームが終わっても嫉妬の念は消えないエンヴィー。当然と言えば当然だが、それよりも裏ゲームで潔く殺される事を望んでいた彼女にとっては屈辱とみなされ怨恨が立ち込めている。
「――――俺はお前等は違う……!」
倭刀が彼女を生かした理由、それは至ってシンプルな答えであった。
「口とゲームの前で『殺す』『死ね』なんざ誰でも言える。でもそんなのはお前の為にならんし、もし殺したら俺はお前等裏プレイヤー以下の存在に成り下がっちまう。俺がお前を懲らしめるやり方は、綺麗な顔の中に隠れた黒い嫉妬心を顔に刻みつけて、傷つけた痛みを受けてもらうしか無かった。
それが身勝手に人を傷つける裏プレイヤーに対する、俺からの制裁だ――――!!」
「……………………そう、だったら好きにしなさい」
負けても尚負けず嫌いなエンヴィー、倭刀の答えに抗いもせず警察官に確保されてパトカーに乗りこまれる後ろ姿を見て、倭刀の無表情かつ無情な心情。それを見兼ねて杉並巡査部長が倭刀に言い諭す。
「倭刀くん。彼女の間で何があったかは心中を察するに余りあるが……本官としては、地底空間から出てきた裏プレイヤーの中には、彼女のような裏プレイヤーも少なからずは居る事を少しでも覚えていて欲しいな」
「……どういう意味ですか? 杉並さん」
「それは、君達が地底空間・アンダーグラウンドまで行ってみれば分かる事さ」
「「………!?」」
杉並部長から告げられた意味深な発言、それは倭刀・穂香・豪樹の三人を新たな戦いの場へと誘う予兆でもあった!!
そして裏プレイヤー達もまた、己の任務遂行を妨害するゲーム戦士達に牙を向けるべく着々と準備を進めている。
故に警察によって留置所に送り込まれる『妬み嫉みのエンヴィー』が、既に執念深い嫉妬の元で逆襲の意を燃やしていた……!!
「――――池谷倭刀……最ッッ高に、妬ましい…………ッッッ!!!!!」
倭刀とエンヴィーは再び何処ぞで直接、或いは間接的に出会う事になる。
それはもう少し先のお話で御座いますが、遂にゲーム・ウォーリアーは現実と電脳世界のみならず、現実の裏と表の舞台で戦いは展開する事となります!
果たしてそれぞれが対峙する数々の因果の中で、次にゲーム戦士達に待ち受ける戦いは何でありましょうか!? それはまたネクストゲームでのお楽しみに。
【GAME33 裏プレイヤー雪辱・後半戦】をもって、本日は読み終わりで御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶▶ INFORMATION▽
次回の更新はゲーム・ウォーリアー特別版!
今まで繰り広げたゲーム・展開を私Mr.Gがご説明するおさらいコーナー、早い話が【総集編】で御座います!!
最近読み始めた方も、長すぎてどんな話か忘れてしまった方もこれを読んで見直してみてはいかがでしょうか!?
明日、日曜夜更新予定! お楽しみに!!




