【GAME33-7】ラストフェイズ・決着への刹那!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔倭刀 HP400 手札2枚 EG:⑥〕
・ユニット:なし
★〔エンヴィー HP350 手札6枚 EG:⑤〕
・ユニット:《暴食のジェラシウス》
・パーマネント・ツールカード《執念栽培促進機》
――遂にラストフェイズ、池谷倭刀の運命を別つドロータイムの秒読みは、彼のブレスの停止ボタン起動によって再び刻が動いた!
「……ふん、随分と時間を掛けてくれちゃって、一体何を考えてるのやら。デッキの上の一枚を引くだけで居合斬りの構えでカッコつけて、悪足掻きするにも風情を保たないといられないのかしら?」
相手のタンマに悠長に待ってくれたエンヴィー。どうせデッキに見放されて終わるだろうと思い、どうやって妬み殺しにしようか交錯していた所。相変わらず優勢余って憎み口。
「どうだろうな、そう言って今度はお前が傲慢な心の隙に刃が飛ぶかも……だぜ?」
「何ですって?」
『もうお前の憎ったらしい口は聞き飽きた』と言わんばかりに言い返す倭刀。
ともあれ、自分自らがゲームを続行したということは、既に彼の思考回路には火力カード以外に隠された突破口を見つけた事に等しい。
――盤面での状況、手札の枚数、墓地のカード達に込められたデッキタイプと、それに纏わるファイティングスタイル。
これらを倭刀のデッキとエンヴィーのデッキを刀同士の鍔迫り合いの見立て重ね合わせた時、戦略の闇の彼方から勝利へと導くロードを確実に見切ったのだった――――!!
(俺の今までのプレイング、ミスも何度もあったが後悔はしねぇ。ここまで首の皮繋げられた奇跡は胸の内に取っとけ。打つべき手もやる事も全てやり切った! これで正真正銘、俺の力を信じるだけだ――――!)
心の中で意を決する倭刀。自分に言い聞かす、一瞬先・寸先の未来。理想の勝利イメージをビジョンする。それが果たして現実のものになるか、それとも幻影に呑まれるのか……!
「最後に一言だけ言っとくぜ『妬み嫉みのエンヴィー』。――――俺はクソガキじゃねぇッッ、シャッフルオールスターズ・ドラゴン侍、池谷倭刀だ!! 覚えとけ性根腐れ女ッッッ!!!!!」
―――運命のラストドロー、タイムアップで通告する立体ビジョンメッセージ!!
《CARD DRAW》
倭刀とエンヴィーに渡った最後の宝札、倭刀は真っ先にそのカード詳細をブレスのモニターから横目で確認する……!
「…………………………」
おおっと……? 倭刀の表情から確信的な変化は全く見られない!?
歓喜も落胆も、妬みも嫉みも全く感じない無の極地。ポーカーフェイスで装っているとしても決めつけるには尚早か……??
全く、不動な程に、動く様相が見られない―――!
「……火力が引けなかったようね」
「……あぁ。さぁ、俺を妬み殺すんだろ? 躊躇してねぇで早くしたらどうだ」
この潔さの念からして、本当に火力カードが引けなかった様子の倭刀。
「それでも降参はしないなんて。それも侍の流儀なのかしら。まぁどっちにしても―――やるなら徹底的にやらないと……!」
これはえげつないぞ!? 武士の無念に応えるにも、加減も良心の呵責も無いのか裏プレイヤー! 更に追い打ちを掛けるように、今まで温存していたカードをスキャンした!!
『ユニットカード、【ケシ花のエルフ】!!』
何とこれでもかとユニットを構えていたのかエンヴィー。今回は終盤の為に効果・ステータスは省略。EGは②攻守はAP/DP100だ。
「何や、俺を殺すならエルフ総員で袋叩き……か。それがお前の妬み殺しの仕方ってか」
「そうよ、私だけじゃなくアンタに切り刻まれたエルフの仇も含めて粉々に叩いてくれるわ」
何とまぁ物騒な始末の仕方でしょうか! ところが倭刀はそんなドSな仕置きにも怖気づかずに更に問い掛ける。
「……どうせならお前の出してないユニットを並べて殺ったらどうや? 出番も無しに手札に籠もってりゃ、今度はお前のユニットから妬まれちまうぜ」
「――――そうね、アンタがお望みなら。《ビッグツリータイタン》と2枚の《嫉妬の底力》を除いたあと3枚のユニットで始末してあげる……!」
『ユニットカード、【ヒノキ弓のエルフ(EG:① AP100 DP50)】!!』
『ユニットカード、【ダリアの老エルフ(2枚目)】』
『ユニットカード、【ゴミ荒しのエルエッティ(EG:③ AP/DP200 効果:召喚時自分のHPを200回復)】』
(……っと、回復ユニットも居たか!)
〔エンヴィー HP350→550〕
ちゃっかりHP回復もしながら、手札に貯めていた4体のユニットは総出となり、フィールドには5体のユニットが倭刀を殺意ギラギラに粛清の構え。
それに対して倭刀は、やはり動じず居合抜きの構え。そして呟き出す。
「……いやー全く、マジでスゲェぜ裏プレイヤーさんよ。こんなんと戦おうとした俺は改めて浅はかだったって痛感しますぜ。これで心置きなくあの世へ逝けっかな」
「死んで恨んでも化けて出ないでよね。生意気なクソガキの倭刀くん。―――攻撃コマンド司令、ユニット総攻撃!!!」
遂に動き出したエンヴィーのユニット軍団!
その時、倭刀の右手がピクッと動いて、彼の俯いた鋭い眼も向かう軍勢に向き合ってニヤリと笑う。
「……悪いが『恨むなよ』って言う台詞は―――」
『アクションカード…………』
「――――俺が、お前に言う言葉やッッ!!!!!」
っとここで倭刀が瞬時に引き渡る1枚のカード、それを装填口に素早く差し込んで会心のカウンターが炸裂する!!
『――――【リバウンドウェーブバリア】!!』
「!!!」
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【リバウンドウェーブバリア】EG:⑤
属性:赤
・効果:相手ユニットの攻撃宣言時に発動する。
フィールド上の全ての相手ユニットをデッキに戻し、
その後シャッフルさせる。
◎――――――――――――――――――◎
「このカードは攻撃宣言した時に、デッキの束まで混ぜ戻す強力バウンスカード! これならお前の《執念栽培促進機》によってトークンも生成することは無い!! そのまま一掃や!!!」
妬みの赴くままに突撃した5体のユニットは、突如現れた真っ赤な《リバウンドウェーブバリア》の反動によって突き飛ばされて、挙句の果てに自分のデッキ即ち原初の彼方に飛ばされてしまった!
「何、ですって……!? 私のユニットが全滅!!?」
「お前の執念深さで手札にあるユニットの殆どを出した事が仇になったな。お陰でユニットを召喚するEGはゼロ! 溜めて他のカードをドローするにも時間がかかる!!」
「ま……まだよ!! まだ私には《ビッグツリータイタン》と《嫉妬の底力》が――――」
まだ打つ手は残ってると主張するエンヴィー。
――――しかし、倭刀はその刹那にも既に止めの行動に移していた!!!
残り2枚の手札、《先達サムライ》と《ダークフォース・ドラゴン》を墓地に捨てて繰り出すは、残された三つ目の【プレイヤースキル】だった!!
◎――――――――――――――――――◎
・倭刀のプレイヤースキル
【憤怒の一撃】発動!
手札内のユニットを任意の数だけ捨て、
そのユニットのAP分、自分からの渾身アタック!!
◎――――――――――――――――――◎
何と最後のプレイヤースキルは、自分の手札に眠るユニットカードを捨てて、その捨てたユニットのAPの総数値分を倭刀自身のパワーに変えて一撃を食らわす起死回生のスキルだった!!
先程捨てた《先達サムライ》と《ダークフォース・ドラゴン》の合計APは600!! エンヴィーのHPは550、と言うことは……もう言わなくても分かるでしょう!
刀の無い倭刀は代わりにそのパワーを右の拳に溜め込み、底知れない思いの丈も込めて、エンヴィー目掛けて突入する――!!!
(…………なぁ剣さん。俺の目標、俺がゲーム戦士として尊敬を止まない桐山剣さんよ。シャッフルオールスターズの旗は、やっぱリーダーのアンタが守んなくちゃいけねぇんだ。
――だけど、その守る為の刃を一人で背負わせる気は俺はねぇぜ! 俺もこの刀の魂引っ提げて、大事なモンを守って戦ってやる!! いつか俺達でゲーム時代の天下取ってやろうぜ!!!!)
倭刀の握る拳の裏には、チームとしての責任と素直で意地っ張りな魂の傍らが詰まった塊が見えてくるのか。
それを目一杯握り締めて、振りかぶるはエンヴィーの顔面目掛け!!
極悪非道な裏ゲームを行った報いは、鉄拳で成敗する!!!
「ぃ……嫌、大山さ―――」
「この、わからず屋クソ女がアアアアアアアアーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!」
――――バキィィッッッッ…………!
怒りの鉄拳、エンヴィーの顔面に痛恨の強打ッッ!!!
女とて人々を残酷にも痛めつけ、傍若無人に暴れ振るった罪は彼女の美貌を犠牲に償わせた!!
嫉妬深い女の性をも信じ、その衝動を利用して絶好の機会が訪れる事も信じた倭刀の大逆転勝利、今ここに成就したり――――!!!
〔エンヴィー HP550→0 KNOCKOUT!〕
「み……たか……! 裏プレイヤー……!!
――――これがッッ、ゲーム戦士の底力だァァァァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
▶▶▶ YAMATO IKETANI WIN!▽




