【GAME33-5】嫉妬の執拗でしつこい逆襲!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔倭刀 HP1000 手札2枚 EG:①〕
・カスタム・ツールカード《轟竜刀》
・ユニット:《ブラックダイヤモンド・ガーディアン》
★〔エンヴィー HP350 手札7枚 EG:⑤〕
・ユニット:なし
・パーマネント・ツールカード《執念栽培促進機》
――余計な口は災の元、要らん事は言うもんじゃないと作者も思っちゃいるが、中々治らないもの。
そしてこのゲームウォーリアーでも池谷倭刀、PASの力に呑まれて嫉妬深く殺意を燃え上がらせるエンヴィーを宥め、その序でに戦意喪失させて勝利を収めようとちゃっかりした作戦に乗ったが浅はかだった。
特にヒステリックな女は人並み以上に心がデリケートに出来ているもの、倭刀はそれを杜撰に扱ったものだから説得は大失敗。お陰でPASの勢いは増すわ、理性はシャンとしてキルユーとばかりに殺気はメラメラ。
止む無く決闘は再開されるも、そこでエンヴィーが宣告する『致命的なプレイングミス』。果たしてそれは何か。と簡単に前回の話を纏めた所で閑話休題!!
▶▶▶ NEXT▽
「アンタは《ブラックダイヤモンド・ガーディアン》で攻撃した後に、武器での追撃もするべきだった! この丸腰の状態で《轟竜刀》の刃を持ってるアンタは、そのユニットに自惚れてる前に止めを刺すべきだったのよ!!」
「ッッ――!!?」
エンヴィーの指摘に倭刀、図星で胸に突き刺されたような感覚で心臓が締め付けられた。
(確かに、俺はガーディアンの強さに惚れていたのは否めへん……! だがコイツはブロックは出来るし、俺はまだ1000のHPもある。この状態でどうひっくり返す気や……!?)
焦燥する倭刀に己の盤面を確認し整理するのに精一杯。だがこの優勢は先の未来から見れば幻になる事も知らずに。
「ククク……! アンタのその慢心、そっくり私の嫉妬への糧にさせて貰うわ。PAS発動!!」
――いざとなったら魂を込めろ! 妬みに震えるエンヴィーから湧き上がるディープグリーンの嫉妬魂!!
◎――――――――――――――――――◎
・エンヴィーのPASスキル
【この妬みはらさでおくべきか】発動!!
ゲーム内で破壊されたユニットカードを
全てフィールドに出す!!
◎――――――――――――――――――◎
ゴゴゴゴゴ――――
「な、何やこの音……!?」
PASスキル発動と共に揺らぐ地響き、アスファルトの地面から亀裂が走り、蘇るのは倭刀にやられ破壊された筈のエンヴィーのユニット達!
《光合成グラスのエルフ》、《ホウセンカのエルフ》、《ダリアの老エルフ》、《暴食のジェラシウス》、そして《ビッグツリータイタン》。
効果によって墓地から手札に行ったユニットも居ますが、それも嫉妬の執念によって手札から直通でフィールド行き。
これぞエンヴィーの嫉妬PAS、しつこいなんてものじゃない。相手を妬み殺すまで終わらない驚異のグリーン・ストライクバックだ!!!
(ヤバい……! 確かアイツの手札の中には《嫉妬の底力》が2枚も残ってる!!)
倭刀の抱く不安は倍加するように、その予感を的中させた!
『カスタム・ツールカード、【嫉妬の底力】・二重発動!!』
一体このカードも何度出された事か、温存していた手札の中から2枚残した嫉妬強化カード。今度は《ビッグツリータイタン》に2枚とも装備。
〔《ビッグツリータイタン》AP500→900・[貫通]付与〕
(ガーディアンのDP800の数値を上回った! だ、だがコイツには先制攻撃の[ファーストアタック]と[カウンター]もある。幾らユニットらが束になろうとも……)
そんな頼りのユニット効果も、エンヴィーの次に出すカードの前にはどうしようも無かった。
『アクションカード、【怨念の邪気】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【怨念の邪気】EG:③
属性:黒
・効果:相手ユニットを一体選択する。
そのユニットの持つ効果は全て無効となる。
◎――――――――――――――――――◎
エンヴィーの右手に溜め込む黒い波動、それを《ブラックダイヤモンド・ガーディアン》に撃ち込んだその刹那。黒甲冑の底に秘めていた闘志が突如欠落するように覇気も消え、猛者の風格すらも消えつつあった。
「ど、どないしたんやガーディアン!?」
「《怨念の邪気》の効果よ。このカードで選択したガーディアンの[ファーストアタック][カウンター]を無効にさせる波動を撃ち込んでやったわ。これでソイツはただの木偶の坊に成り下がったのよ!!」
直様エンヴィーは《ビッグツリータイタン》に攻撃コマンドを下す。強化されてAP900など当然通すわけには行かない。
「マジかよクッソ!! ガーディアンでブロック!」
「そう、それで良いのよ。妬み殺せ!!!!」
あれだけ強靭な鎧でガードを固めていたガーディアンが、嫉妬の脅威で敢え無く崩された!
更にタイタンの付加能力[貫通]によってバトルで上回ったAPの数値分を倭刀に貫通ダメージを与えていく。
〔倭刀 HP1000→900〕
だがユニット両者共に相打ちとなって2体とも破壊。エンヴィーのタイタンも墓地送りかと思いきや。
「《ビッグツリータイタン》と2枚の《嫉妬の底力》の効果! 3枚とも墓地から私の手札に戻す!!」
倒してもきりがないとはこの事だ。更に拍車をかけるのはパーマネント・ツールの《執念栽培促進機》。
ユニットが一体墓地に送られた事で根を張る《怨根トークン》。倒しても群がる嫉妬の人海戦術が既に出来上がっていた。
「畜生が、こうなりゃヤケや!!」
倒しても戦力を上げてくるエンヴィーに苛立つ倭刀は、これ以上増やさんと軽量型のエルフユニットからバッタバッタと切り刻み破壊する。
そして《執念栽培促進機》の効果でまたトークンが生成されてそれもみじん切りにする倭刀。だがそんなチャンバラも無限に続く訳が無かった!
◎――――――――――――――――――◎
・倭刀の《轟竜刀》 PPが0の為、消滅!
◎――――――――――――――――――◎
「ヤベッ!? 刀のPPが切れた!!!」
とうとう2枚目の《轟竜刀》をも使い果たした。しかも不運な事にまだユニットが一体残っている!!
「《暴食のジェラシウス》でダイレクトアタック!!」
「がああああぁぁあぁぁああああ!!!!!」
〔倭刀 HP900→400〕
倭刀の身体を野蛮な牙で喰らいつくすジェラシウスに悶絶する倭刀。
あぁ何ということか! あれほどレベルアップユニットで優勢だった倭刀が、あっという間に盤上をひっくり返された!!
未だ《暴食のジェラシウス》や手札にユニットが残る今、確実に倭刀の首元に【王手】の二文字が突きつけられていた。
「……ま、普通のプレイヤーにしては良くやった方ね。一応褒めてあげるわ、一応ね」
PASの発動によって嫉妬を放出したエンヴィーがようやく冷静さを取り戻しての憎み口。だが追い詰められた倭刀は未だ諦めを知らない。
「まだ、終わってねぇぞ! 俺にゃまだ2枚の手札、それにデッキのなかにゃとっておきの火力カードも眠ってらぁ!! そいつさえ引ければ俺の勝ちや!!」
倭刀デッキのメインカラーは赤。赤は効果ダメージに特化した火力がベースの色。勿論それらも多量に入れている事を込めての豪語。
「それを引ける運は残ってればの話ね」
「……そんなん、引いてみな分からんやろ」
「50枚のデッキのうちに今まで消費したカードが20枚程度なら半々の確率にしても、ユニットやサポートも混ざってる中であんな切り札を出せた時点で十分な奇跡よ。そう何度も続く訳が無いじゃない?」
「ごちゃごちゃうっせぇよネチネチ女……! それでもお前に勝たなアカンのや、絶対引き当てたる!!」
どんなに皮肉を言われようとも、どんなに罵られようとも決して消してはいけない闘志の炎。その陽炎の中には槍一郎・穂香と信頼するシャッフルオールスターズの仲間の面影が……!
『そうや、俺の周りにゃ強いからって散々に苦しめられてるつーのに、俺がそんな事で負けの言い訳にされてたまるか!!
俺の目標としてる剣さんは、桐山剣さんはな……こんな土壇場勝負を何遍もやって勝ち続けたんや!! “奇跡”ってヤツを武器にして振り回してる凄い奴が居る前で、おめおめと無様晒せへんやろが!!!!』
自分よりも格上に凄い力を魅せつけ、池谷倭刀の目標として聳え立つ『桐山剣』という存在。
その意地が己の向上心となり、野望となって己の武器・デッキの束を信じ、戦う意志となる。
――――それが倭刀の原動力であった。
――――それが倭刀が倭刀でいる為のアイデンティティであった。
――――それが倭刀が強くなる為の、唯一の闘争心であった。
「…………………………いや、違う。そういう事じゃねぇな」
――――――池谷倭刀が、本当の本質に気付くまでは。
この核心の気付きが、彼にとって本当に成長する序章になる。その真相はまた次回! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




