【GAME32-6】ゲーム戦士・NEXT LEVEL!!
――戦いの窮地に突然裏プレイヤーに問い掛ける倭刀。それに対して拍子抜けたかのように憎み口を叩く。
「……私の好きなものは何か、ですって? ふざけんのも大概にしなさいよ。何企んでんのよ!?」
「別に何も企んじゃいねぇさ、今更だが俺も裏プレイヤーの事を知りたくなってよ。『妬み』だとか『嫉み』だとか、人の負の感情を読むにゃ天下一品だが……逆はどうかなってな?」
「逆?」
「恐らくお前は好きなもんの問いにゃ『ジェラシーが全て』だとか単直な答えになるだろうが、それは否定せぇへん。だが俺が求めてる問いはそんなんじゃねぇ」
「……アンタ一体何が言いたいのよ。言い訳ならゲームの後にしてくれる?」
倭刀への問いには無駄だと、中々口を割らないエンヴィー。そこへしびれを切らして倭刀は折れることなく単刀直入に問いを正す。
「分かったよじゃ率直に! ――――お前、WGCは好きか?」
「……益々意図が分からない。まぁその問いに答えてゲームが進めるなら答えてあげるわよ。――――大 嫌 い。
あんなの妬みを起こす以前の問題、嫌悪とか憎悪しか無いわ」
「……まぁな、俺も良い感情は浮かばへん。――じゃ、オフィシャルプレイヤーは?」
と、エンヴィーが話に乗っかった事をいい事に調子合わせに次の質問に移る倭刀。
「それも嫌いよ。同じプレイヤーの分際で正義感付け加えてカッコつけちゃって」
「ゲームに馴れ初めた初心者は?」
「それなりに大嫌い」
「見知らぬ誰かとのオンラインプレイは?」
「やりたくない」
「政治は?」
「興味ない」
「ほらそれや。結局何でもかんでも“嫌い”で物事通してんじゃねぇかッッ!!!!!」
問答を幾らか通しての倭刀、いきなりの怒号が飛び交った。
「俺みたいな凡人に舐められんのも嫌だ、WGCのお偉いさんにとやかく言われんのも嫌。そんで結局お前の求めてんのは何やって話や!! 何やそのクソワガママ、世捨て人か!?」
倭刀にしては稀に見る血の気の多さ。尖ってた頃の桐山剣を思い出す風情ですねぇ。
「面倒くせぇんだよお前ら裏の連中ってのは! 変なトコにプライド掲げて、好き勝手暴れて結果的に誰が迷惑かけてんのかも考えもせぇへんで!!」
「何よ今度は説教? 甘ちゃんのガキが偉そうに――」
「説教はテメーもしただろうが!!! 弱いもん見てあからさまに見下す面は、俺ァもううんざりなんだよボケェ!!!!」
な、なんか……倭刀さんいきなり強くなってません?? 一体このゲームで彼の何を変えたのでしょうか!?
「俺ぁな、このゲームで“証明”してやんだよ。やっぱりこの勝負は大した取り柄の無い凡人な俺がヤバい奴に勝っていかなアカンし、普通な奴がいっちょ勇気出して戦ってやらにゃ死ぬ事よりも後悔するから! ――――裏表関係無しに負ける訳にはいかねぇんだ!!!!」
「笑わせるなこの弱者!! 弱い輩が私ら裏を地底へと追いやった癖に! カッコつけて倒すだとか粋がった事ほざいてんじゃないわよ!!!」
互いに譲れない意地を張り合ってエスカレートする押し問答。だが口で言い合っては埒が明かない。
ならば証明してみせようホトトギス、間もなく倭刀に訪れるドローカードの時期。そこで腰を低く下ろし、刀の鞘を握って居合抜きを見立てての姿勢になる倭刀。そして時は来たり。
《CARD DRAW》
ブレスのモニターにて渡る1枚の宝札、その詳細を確認するや否や、倭刀の鋭い眼差しが輝く。
(――こいつが来たか! だったら出し惜しみするよりかいっそ、賭けに出るか。これでミスったら、俺はまた剣さんに近づく事が叶わなくなる――!!)
獲得したドローカードはまだ出さず、代わりに倭刀がブレスでコマンドを入力したのは……プレイヤースキルだ!!
◎――――――――――――――――――◎
・倭刀のプレイヤースキル
【居合斬り】発動!
デッキ内にて選択した1枚のカードを
50%の確率で引き当てる!!
◎――――――――――――――――――◎
「フン、何をするかと思えば……、トップデッキじゃ頼りないからスキルでも頼ろうって訳? 図々しい」
「そうボヤくのは早いぜ。確かにこのスキルは1枚カードを引くだけのキャントリップ。だが1/2の確率で俺が今一番求めているカードを持ってくる事が出来る! 要はギャンブル勝負って奴よ!!」
「実力じゃ相応ないから運にも頼っちゃうの。妬ましさ通り越して情けないわね」
「別にそーゆーのはルール違反してへんから、
えぇんとちゃうか? それに俺もここまで来たら味わいたくなったんよ。―――レベル1が2になるより、0から10や20に跳ね上がった時の恍惚ってヤツを!!!」
プレイヤースキル発動によって更に倭刀の姿勢が低くなり、クラウチングスタートでもやるんじゃないかというくらいに屈んで宝札の入手を願う。
「――――行くぜネチネチ女。今度はお前が凡人プレイヤーにビビる番だぜ……!!」
気合充填、竜刀の魂引っ提げた逆鱗のカード――――抜刀ッッ!!
《CARD DRAW》
――――シュンッ…………!
己が目標とする“切り札騎士”が横一文字にカードを抜くならば、倭刀は縦。地の底から天を駆け上るように斬り込む居合のカード。
――侍が騎士を超える為に、“成長”する時――!!
「先ずは一枚目!! EG⑤でユニットを召喚!!」
『ユニットカード、【ブラックガーディアン】!!』
やややッ!? この黒い甲冑のユニットはもしや、GAME3にてアメイジング・ダンジョンの猛者として倭刀と相見えその実力に見惚れてカードとなった《ブラックガーディアン》じゃありませんか!!!
登場から約八ヶ月、満を持しての召喚であります!!
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【ブラックガーディアン】EG:⑤
AP:200 DP:400 AS:10
属性 黒 ユニット/ナイト
・能力:[カウンター]
①このユニットが相手プレイヤーまたは
ユニットにダメージを与えられた時、
30%の確率でそのダメージを無効にし、
相手に200ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
「悪いな《ブラックガーディアン》、中々場に出せへんで退屈してたろ? でも今まさにお前の力が欲しかったんや、思う存分暴れてくれ!!」
その主の声を聞いて『御意』とばかりにジェスチャーを交わす黒甲冑。
「……それだけの事? その程度が私の嫉妬力に勝るとでも思ってるの!?」
「アホか、これはまだ一枚目や。次に出すイケメン、じゃなくて二枚目はマジでスゲェからな、ビックラこいて腰抜かすなよ!!」
《ブラックガーディアン》は前座と言い張って倭刀、本命となる二枚目のカード『居合斬り』によって引かれたカードを装填、カードスキャン!!
『アクションカード、【レベルアップ―LEVEL UP―】!!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【レベルアップ―LEVEL UP―】
属性:無 EG:③
・効果:①自分フィールド上のカードを対象にし、
そのカードを墓地に送って
《レベルアップユニット》をフィールドに召喚する。
②このカードが墓地に存在する時、1分後に
EG③支払うことでこのカードを手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
「レ、《レベルアップ》!!? 《進化》《融合》に続くカードそのものを強化する特殊カード――!! 何故アンタ如きがそれを!?」
「『廻る因果は糸車』ってな! GAME14のツヨシ城クエスト報酬でちゃっかり貰っちゃったんだよ!」
あの時にですか!? 色んな所で回収してきますね新要素!
「《レベルアップ》は対象にしたカードを墓地に送って、召喚条件無視でフィールドに【レベルアップユニット】を出す事が出来る!
俺は場の《ブラックガーディアン》を“レベルアップ”させて新たなユニットを生み出す!!
――――いでよレベルアップユニット・【オニキスブレイド・ガーディアン】!!!」
『【ブラックガーディアン】LEVEL UP!!!!』
レベルアップの聖なる光の柱に身を捧げる《ブラックガーディアン》、その消滅した身体の中に秘めた御霊が新たな身体を生成させ、漆黒の甲冑に光と磨きを掛けた新たなユニットが誕生した!!
黒の宝石・オニキスの鎧と大剣を掲げたレベルアップユニット、その名も【オニキスブレイド・ガーディアン】! 倭刀の第二のエースカードだ!!
「さぁて、俺もいっちょ成長しねぇとな! がっぽり経験値稼がせて貰うぜ、裏プレイヤーッッ!!」
さぁ日々是精進、身も心も磨いて池谷倭刀。レベルアップの心意気で裏プレイヤーに勝負を仕掛ける! 果たしてこのまま押しきれるか、それとも妬み嫉みのエンヴィーにまだ隠し玉を持ち合わせているのでしょうか!?
裏表相対する決闘、どちらに勝利の軍配が上がるか。この続きは後半戦でのお楽しみに!!
本日は【GAME32 裏プレイヤー雪辱・前半戦】を持ちまして、失礼を致しますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
倭刀VSエンヴィー、怒涛の後半戦!!
最後の最後まで、ゲームは何が起こるか分からない!
途中で読むの止めたら責任取らないよ!!
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