【GAME32-5】執念深きエルフの襲撃!!
―TIPS―
【スキルの再使用】
PASは一度切りの切り札として使えばゲーム終了まで使うことが出来ないが、
最大三つまで登録出来る『プレイヤースキル』は使用後3分経過でもう一度使う事が出来る!
※ただしスキルの内容によっては対象外になる場合もあります。
――さて、心理フェイズ転じてゲームに戻りましょう!
〔倭刀 HP1400 手札0枚 ユニット:《強運のサムライ》〕
〔エンヴィー HP1550 手札7枚 ユニット:なし〕
エンヴィーの放った全体除去カードの後、先にユニットを出した倭刀がリードを取っているように見えるのですが、安心してはいけません。
倭刀の手札は無し、それに比べエンヴィーは7枚も温存かつ《嫉妬の底力》という強化カードを2枚持ち合わせている。
それでも倭刀は一歩も引く姿勢は持ってはいない。竜の刀のPASに籠もった“意地”がある限りは……
「……言うまでも無いでしょうけど。アンタのPASの波動から強大な嫉妬を感じるわ。そしてそれがアンタの闘争心のエネルギーになっている事も名前も取るように分かる。――――その名は、【桐山剣】」
「!!!」
既にゲーム開始前から分かっていた事なのか、倭刀が裏プレイヤーへのリベンジの原動力となる剣の名がエンヴィーに悟られた瞬間、改めて倭刀もその目標掲げの裏にあるものは嫉妬である事を静かに悟った。
「舐めないで頂戴、妬みこそが私が私である為の存在意義。私の嫉妬力より勝るものは何も無いわ。
――太陽が妬ましい、青空が妬ましい、特に意義を持たないで生きてる者が妬ましい、時世の深刻さを他人のように振る舞う能天気さが妬ましい。
そして池谷倭刀、アンタごときがキャラ作成にホー◯スの選手をイメージしてる事も底知らずに妬ましいのよ!!!!」
それは作者はホー◯スファンですから……って暴露すること無いでしょう!!?
「とにかく嫉妬さえあれば、恨みは無くともアンタを始末する動機くらい幾らでも作れるのよ!!!」
さり気なく作者にも飛び火しているような。そうでなくとも悪人に見境無しな暴挙、そして彼女のEGも時間と共にみるみる蓄積していく中で、更に倭刀を追い詰める展開が待っていた!
『ツールカード、【種族からのストライクバック】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<ツールカード>
【種族からのストライクバック】EG:④
属性:黒
・効果:自分の墓地にあるユニットの中から
種族タイプを1つ選択し、
その選んだ種族のユニットを3枚まで手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
これまでのバトルで破壊されたエンヴィーのユニットを種族を固定して手札に戻すカード。と言っても、
「ちょ、待て。お前種族タイプって『エルフ』しかいなかったよな!?」
「そうよ、アンタに潰された恨みを晴らす為に3枚のユニットを手札に戻すわ!」
あれ潰されたというか、確かエンヴィーの全体除去で巻き込まれたのも居たような。
いやそれはともかく彼女の墓地から手札に戻すユニットは《光合成グラスのエルフ》、《ホウセンカのエルフ》、《ダリアの老エルフ》の3枚だ。
『ユニットカード――』
そしてそのまま《光合成グラスのエルフ》と《ホウセンカのエルフ》を召喚。ホウセンカの効果で召喚時にデッキから1枚ドローで手札がまたもや潤う。
(プレイヤースキルで1分半ドロー出来んのに、あんなに展開させて手札が一向に減らねぇ。あの《嫉妬の底力》はEG不足で出せてないが、その前に俺もなんかデカイユニットを出さねぇと止められない!!)
攻守が軽い《強運のサムライ》では装備無くとも太刀打ちは出来ない。戦力を増やして迎撃に備えようとする倭刀だがドロータイムまでまだ時間が足りない。非情にもエンヴィーのEGが蓄積され、カードが解き放たれる。
『カスタム・ツールカード、【嫉妬の底力】・二重発動!!』
「来た……!」
〔《ホウセンカのエルフ》AP50→250・[貫通]付与〕
〔《光合成グラスのエルフ》AP50→250・[貫通]付与〕
温存した《嫉妬の底力》2枚を、エンヴィーのユニット一体ずつに装備させて倭刀に襲い掛かる。一斉攻撃!
「チッ……《強運のサムライ》でブロック! ターゲットは《光合成グラスのエルフ》や!!」
EGチャージの効果から光合成の方をブロック選択した倭刀。
「無駄よ。ブロックユニットのDPから引かれて残りAP150の[貫通]ダメージ、残りの《ホウセンカのエルフ》でダイレクトアタック!!」
身を挺して倭刀を護るサムライユニット。しかしその健闘むなしく溢れた貫通ダメージが倭刀のHPを削り、残りの攻撃ユニットは直で倭刀を執拗に攻撃した!
「ああああああああッッ!!!!」
〔倭刀 HP1400→1000〕
倭刀のファーストダメージ、嫉妬に溺れた力の痛みは骨の髄まで嫌悪感を出すような嫌な痛みであった。
「まだまだぁ……!!」
そんな痛みに耐えて奮起する倭刀の勇姿、だが数秒過ぎて墓地から1枚のカードが戻るエフェクトを確認した。《嫉妬の底力》の手札回収効果だ。
「まだ理解してないようね。私のエルフの攻撃は執念深いのよ、嫉妬に呑まれてれば尚更」
ファンタジーにおけるエルフの習性として、自分の住処である森や集落に侵入者が襲おうものなら、枝一つ折るように敵の骨を一本折るまで気が済まない縄張り意識を持つと言われておりますが……
その個性はまさしくエンヴィーのような排他的な個性。相手の息の根を止めるまでは、執拗に戦う執念を持っているのであります。
(コイツぁ……呑気にドローカード待っていたらマジで息の根を止まりそうやな。手札も場にもカード無しで、ビートの個性もへったくれも無いんじゃ詰んだも当然。――――俺、また負けちまうんか……!?)
戦いを進めていくうちに、自分が徐々に追い詰められていく事を肌を持って実感しつつある倭刀。
強がってはいるが裏プレイヤーの恐ろしさに明らかに恐れ慄いている事も感じつつ、倭刀は急に冷静になって己の心の中を整理する。
(…………油断やな。裏プレイヤーの事を知りもせんで、勝手に相手を格下と決めつけてた時点で俺は既に三流だったんや。それなのにしゃしゃり出て裏ぶっ倒すとか決め込んじゃってまぁ……!)
猪突猛進型であった倭刀が一旦立ち止まって初めて理解する己の未熟さ。過去のバトルや言動にフラッシュバックすれば、沸々と浮かび上がる嫌悪感。自己評価での成長は“幻”に過ぎなかったのか、と。
「……ったく、こんな時だつーのに自分が嫌になってくらぁ。剣さんや槍一郎先輩にゃ一度も勝った事ねーし、思えば立海の史也兄とか穂香姉ちゃんの馬鹿親父んときもマルチバトルで俺一人で勝った訳じゃねーって、分かった途端にこのザマだよ。【勘違いの自惚れ】たぁ言ったもんだ」
「……私が知ったこっちゃないわよ。それを引き起こしたのは自分の実力全てじゃない。才能が無いって分かったんなら諦めれば早いでしょ?」
「…………アホか? お前のPASは節穴か」
倭刀は未熟非力故に諦めたと思ったでしょうか。自己嫌悪でヤケを起こしたと思ったでしょうか。とんでもない!!
まだ彼の竜刀のPASは、メラメラと闘志を昂ぶっている!
「―――なぁ、妬み嫉みのエンヴィーさんよ。お前の好きなもんは何だ?」
「………………はぁ??」
池谷倭刀、戦いの窮地に問答を仕掛ける! それを聞いてどう答えるか妬み嫉みのエンヴィー!? 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




