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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
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【GAME32-4】嫉妬は万人をも殺す……!!

 

 ――恐ろしや嫉妬のパワー!!

 嫉妬深い妻との夫婦喧嘩の如く、後の始末も関係無しに破滅的にフィールドを荒らしたエンヴィーのアクションカード《破滅を呼ぶヒステリー》。


「く……! コイツぁヤバい……、フィールドのユニットならともかく俺の武器まで破壊しやがった……!!」


「これで分かったでしょう? アンタみたいなガキはその程度のセンスしか無いのよ。これで終わったと思わないことね、身の程知らずは後悔して死ぬくらい裏の怖さを叩き込んでやるわ」


 現在エンヴィーの7枚の手札には装備カードの《嫉妬の底力》が2枚控えている。次に彼女がユニットを召喚すれば、淡々と装備カードによって強化され倭刀のHPを削っていくだろう。


 しかも最悪な事に、倭刀の手札は序盤で一気に消費した為、手持ち無沙汰のゼロ!! 間もなく訪れるカードドローに全てを委ねなければならないのだ。


「クソッ、全体除去が無きゃこんな逼迫(ひっぱく)したドローも無いぜ。頼む何か来てくれ!!」


 《CARD DRAW(カードドロー)


 因みにエンヴィーはプレイヤースキルの『チャージドロー』で1分半はカードを引けない。攻めるなら今しかないと念を込めての倭刀のドロー!


 ……しかし、


(……ダメや、今の状況で軽型ユニットじゃ……!)


 倭刀が引いたのは先程群れて召喚したEG③程のライトなユニット。近いうちに強化してくるエンヴィーのユニットと相対するには力不足。

 だがそんな余裕などある筈も無い倭刀は思い切ってそのカードを召喚した。


『ユニットカード、【強運のサムライ】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【強運のサムライ】EG:③

 AP:100 DP:100 AS:5

 属性:赤 ユニット/サムライ


 ・能力:このユニットが墓地に置かれた30秒後に

 それを自分の手札に加えても良い。

 ◎――――――――――――――――――◎


 ステータスは攻守乏しいが、墓地に置かれても30秒後に手札に戻ってくるというゾンビの如し生命力で手札に戻る今の状況では最適なカードだ。


「……貴方と同じで、貧弱なカードね」

「あァ……?!」


 おおっと、ここで敵プレイヤー御得意の煽り撃ちだ!


「大したカードも揃えないで、考えなしにトップデッキに頼るから雑魚に戦場を委ねる事になるのよ」

「裏プレイヤーが説教かよ。最後まで抗ってりゃそのうち女神もデッキに良いもん持ってくるやろ、勝ち誇るにゃ早いと思うぜ?」


「強情張っても無駄よ。私のPASが、神にも拝むかのようにデッキを引いて、その期待外れな展開に怒りにも似た()()の意を捉えた」


 何と、妬み嫉みのエンヴィーの秘めたPASには、人の心を読める能力が備わっていたのでしょうか?

 この展開に倭刀もイカサマかトリックか、その真意に疑いを尽くしたが、それも無駄な考えと知る事になる。


「……アンタ、私のPASをイカサマ扱いしてる様だけどそんな類では無いわ。

 ――私のPASは【ジェラシー・エナジー】、つまり“嫉妬エネルギー”が実体化した能力よ。人の感情を根掘り葉掘り探って真意を読むのが得意なの」



 ――PASの形には『剣』『刀』『拳銃』などといった万物を心の形と例えて、アイデンティティのままにゲームにてその能力を発揮してますが、エンヴィーの場合は至ってシンプル。


 人の誰もが持つという【嫉妬】という執念深い感情がそのままPASの力として現れている。故に形というよりは()()()()という類の方が妥当でしょう。

 嫉妬そのものをPASで覚醒したエンヴィーは、憎み・妬み・嫉みといった負の感情を読む事に特化した能力を併せ持っているのだ。


「そんな嫉妬の心と付き合ってると退屈しなくてね、アンタみたいなガキの未熟な感情やら、傲慢な大人、ガラスハートな女共々……そんな奴らの妬み嫉みを見てくうちに人間の醜さもたかが知るようになってきたのよねぇ、勝手な奴ばかりでさぁ――――!!!」


「……お前もソイツらと同等な汚い面してるように見えるぜ俺ぁ。気持ち悪い……!」


 最早己の美貌もかなぐり捨てて、嫉妬というPASに呑まれる事も受け入れながら、倭刀も引くほどに下衆な笑みを浮かべるエンヴィー。映像化されたらまず昼ドラ枠に突き出されるだろう。


「……今の私の顔を見てキモいとでも思った? 怖いと思った? 嫉妬の恐ろしさを少しは分かってくれたかしら」


「冗談! 俺はお前みたいなモンスターやら相手になんぼ討伐した思てんねん、ゲスい女相手に今更怖がるか!」


 そういえば倭刀さんモン◯ンやら魔◯村が得意だって言ってましたものね。


「へぇ、ゾンビやら巨獣相手なら怖くないのね。でもそんな事よりも()()の方が一番怖い事は分かってるのかしら?」

「……何の話や」


「――アンタ親の顔も見たこと無い()()なんでしょう。随分優しい仲間によって助けられて来たけれど、それで身元の分かるプレイヤー達の事を陰ながら嫉妬とかしてたりして」


「う……!!」


 これは痛すぎる精神攻撃だ。エンヴィーのPASから相手の嫉妬のエネルギーを読み取る事によって、己が封じ込めていたコンプレックスまでも見透かされていた。


(アイツ、俺が孤児で有ることまでも読み取ってんのか……!? 見ず知らずの赤他人の分際で――――!!!)


 弱みを知られて瞳孔も開きつつ憤る倭刀。彼女がその心理に辿り着いたのはPASの力もあるが、もう一つヒントを握っていたのだった。


「アンタのデッキ、遮二無二に攻撃を続けるだけの『ビートダウン』が心理の全てを物語ってるわ。『自分よりも優る相手を早くぶっ飛ばしたい』『我が物顔でソリティアしてるあんちくしょうを潰したい』って思った末に、導き出したのがこの速攻戦法なのよね?」


 この問いに倭刀、反論も出来ずにただ呆然と話を受け流すのみ。どうやら正解のようだ。


「人間性溢れる戦い方ね、自分の劣等感を誤魔化すためにスピードで勝とうとするんだもの。あとは馬鹿力でゴリ押す感じも尚更」


(…………黙ってりゃズケズケとヤなとこ突きやがって……こんな戯言受け流しゃえぇ話やのに、何で俺の耳から離れようとしねぇんだ――!!!)


 倭刀の胸奥で沸々と湧き上がる彼女への負の感情。それこそ彼女の操る嫉妬のエネルギー、為すがままにコントロールされているようだ。



「悔しいでしょう、憎たらしいでしょう?? これが年季の差ってヤツなのよ。裏の力は刃物無くして容易く人を殺せるものなのよ。他の裏プレイヤーもそう、私のように()()をPASの力に変えて大虐殺する事だって出来る。思い上がった表のプレイヤーがちょっかい出して来なければ、こんなとこで裏ゲームなんてしないで済んだのよ!!」



 表と裏、どちらかのバランスが崩れ混乱を招いた時にどちらかが反乱を巻き起こして、制圧に向けて反乱を巻き起こす。

 現実とアンダーグラウンドの平穏の維持も込めて“平和”と呼ぶのなら、今の時世は比喩をすれば()()()


 つまり裏プレイヤー達は、自分の住処の平穏を戻す為に『サザンクロス』等に入団し、裏ゲームを仕掛けて復讐を企んだのだろう。

 だがそんな暴論に対して、倭刀はここはと反論を掛ける。


「お前らはそう言うけどな……俺は自分の雪辱の為とかの前に、大事な仲間の為に戦ってんや!! テメーが仕掛けた裏ゲームで巻き込まれた人の平穏も背負って、こっちは命賭けてんだよ!!!」


「それを知っていて毒沼にハマるなんて尚更馬鹿じゃない。アンタそれで結局命落としたら恥ずかしい事この上ないわよ」


 何やら役柄のアイデンティティやらも拍車にかけて脅そうという魂胆かエンヴィー。

 そう、本日のゲームは()()()。盤上と己の心に天秤を掛けて決闘への運命を委ねる戦い!


 怒りと嫉妬を抑えつつ、数少ない札で戦いに挑まんとする倭刀。その精神に揺らぎを見せるも彼の闘志は沈まない!!



(俺だって、やりゃ出来る。穂香姉ちゃんや剣さんや、槍一郎先輩が居なくたって……俺が裏プレイヤーを倒すんや――――!!!)



 ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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