【GAME32-3】緑の眼・底無しジェラシーパワー!!
◐AMAZING STATUS◑
・池谷倭刀 HP1400 侍
PAS[ドラゴンブレード]
Pスキル【刀は己の魂】【憤怒の一撃】【居合斬り】
・妬み嫉みのエンヴィー HP1800 エルフ
PAS[???]
Pスキル【チャージドロー】【執念の転生】【増草剤】
――さぁまだまだ続く、裏表のプレイヤーによる攻防戦!
……前書き入れるとまた長くなりそうなので、そのまま直でゲームの続きを見ていこう!!
「話が早くて助かるぜ、Gのオッサン!」
はい倭刀さんから早速の称賛、ありがとうございます!
〔倭刀 HP1400 ・装備:《炎剛大剣》・ユニット:《先達サムライ》〕
〔エンヴィー HP1550 ・ユニット:《ダリアの老エルフ(AP100/DP50)》〕
さて、ゲーム開始早々から依然として先制を取る倭刀。未だエンヴィーからのダメージは受けておらず、私が解説する間もなく手札を全てすっからかんに消費させてはユニットを召喚して、圧倒的にフィールドでの差を見せつけていった。
〔倭刀ユニット:《先達サムライ(AP/DP100)》《下働き飛脚(AP/DP100)》《単細胞浪人(AP/DP300)》《江戸気質の大工(AP/DP200)》〕
ちょっとユニット名も効果も気になる所ですが、字数の関係でテキストは省略しますので御容赦。
とにかく倭刀のユニットの大半は赤属性でコストが軽いサムライで占められ、召喚した四体のユニットも皆サムライユニットなのです。
このようにユニットを並べて、積極的に相手を攻撃して直接的に殴り倒す事を“ビートダウン”。カードゲーム用語では略して【ビート】と呼ばれています。
「ふーん……安物で軽いユニットを出したかと思えば、パワーは強めでデッキサーチもあって。一般プレイヤーにしちゃ良いカードも使ってるじゃないの」
〔エンヴィー 手札6枚〕
対するエンヴィー、倭刀とは対象的にパワーとは程遠いユニットやアクションカードらを出すかと思えば、カードドローやデッキサーチを使ってコツコツと手札を溜めている様子。
緑属性のデッキは赤属性とは相性は良くない印象ではあるが、無表情なエンヴィーの様相から苦手意識は感じない。何を見計らっているのか。
「さぁて、どこまで強情を貼り続けられっかな。裏ゲームで皆を痛ぶった分だけ俺のユニット軍団で袋叩きしたる! 一斉攻撃や!!」
倭刀のサムライユニット四体に攻撃コマンドが下された!
ここで《先達サムライ》の効果でエンヴィーのデッキトップのカードが公開される。カードは《ホウセンカのエルフ》、二枚目だ。
だがサムライユニット一斉攻撃がこのまま通れば合計700ダメージをエンヴィーが受ける。彼女の捌き方はこうだ。
『カウンター・レスポンス発動』
「うっ……!?」
サムライ達の攻撃を遮る時間停止のカウンター、そこにエンヴィーの手札1枚が割り込まれる。
『アクションカード、【液状化】!!』
ドロォ……!
「げっ!!?」
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【液状化】EG:③
属性:緑
・効果:自分に与えられる全ての
戦闘ダメージを10秒間、0にする。
◎――――――――――――――――――◎
なんと倭刀の全ての攻撃を無効にさせる防御カード! 四体のサムライユニットの一太刀をスルリと抜けてノーダメージ!!
それよりも倭刀が驚いたのはそのカード効果によって、エンヴィーの身体が緑色の液体と化して地面に溶け込んでいる所だ! 昔の特撮の敵の末路じゃあるまいし、リアルなエフェクトは一層不気味だ。
「……フン、ビート戦法も所詮攻撃が通らねば意味が無いの。妬む気にもなれない程に無意味ね」
「分かったからスライムみたいな状態で喋んの止めろ。気色悪いわ!」
倭刀がナンパする程に美人な風情は何処へやら。エンヴィーの《液状化》によるスライム人間状態も効果を終えて、彼女は反撃に入る。
(さっき公開したカードは《ホウセンカのエルフ》、カードドローのキャントリップで加速は付くけど……いっその事使った方が有効的ね)
ここで何を思いついたかエンヴィー、カード召喚とは別に今度は自分の『プレイヤースキル』のコマンドを入力し、登録した三つのスキルから一つ発動した!
◎――――――――――――――――――◎
・エンヴィーのプレイヤースキル
【チャージドロー】発動!
カードドローのタイムを犠牲に
最大3枚までドロー可!!
◎――――――――――――――――――◎
【チャージドロー】とは通常30秒間に1枚、カードをドローするルールを超えて最大3枚までカードを先取って引くことが出来る。
ただしドローした分通常ドローの時間が延びる為、3枚引くと1分半はドローが出来なくなる。
《3CARD DRAW》
一気に3枚のカードを引いたエンヴィー、その中には公開された《ホウセンカのエルフ》も入っている。
早速そのユニットをフィールドに召喚し、召喚効果によってカードを1枚ドロー。これで一気に4枚も手札に追加された。
(3枚もドローした上に、キャントリップでまたドローだぁ? 何かデカイユニットもアクションカードも無い感じだがこれで手札は8枚。何を隠しとんねん……?)
序盤の手札消費でハンドレス、即ち手札0枚を維持する倭刀は、8枚も手札を温存するエンヴィーに否が応でも警戒せざるを得なくなった。だがその危険予知は的中する事になる。
「さてと……そろそろこちらも仕掛けを用意しないとね」
いよいよエンヴィーの手札の束の一部が明らかとなる! 取り出したのは2枚のカード、それを同時に発動だ!!
『カスタム・ツールカード、【嫉妬の底力】・二重発動!!』
「な、何――――ッッ!!?」
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【嫉妬の底力】EG:①
属性:緑 装備:ユニット
・効果:①このカードを装備したユニットは
AP200アップと[貫通]を得る。
②このカードが墓地に置かれた時、5秒後に
持ち主の手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
これには倭刀も一驚した。何しろ《先達サムライ》によって事前に公開されていたカードがいつの間にか2枚も手札に忍ばせていたのだから!
「これら2枚を両方とも《ホウセンカのエルフ》に装備。AP400プラスと、その攻撃力ブロックユニットの守備を超えた数値分ダメージを与える[貫通]を得るわ」
〔《ホウセンカのエルフ》AP50→450・[貫通]付与〕
「さぁ、好き勝手にフィールドを荒らした報い、この恨みの一撃で受けてなさい!!」
ここでエンヴィーの嫉妬の緑の眼が輝き、倭刀に牙を向いた!
ユニットの一斉攻撃の隙を突いて、倭刀はノーガードでエルフの攻撃に直撃する!!
――ガキンッッ
〔《炎剛大剣》PP10→8〕
「……ッと!! 危ねぇ、《炎剛大剣》のガード効果でPPを2減らしてダメージ無効や。幾ら強化されようとも押し切れらぁな!!」
威勢を放って余裕を魅せつける倭刀。しかしエンヴィーはそれに動じる素振りを見せないどころか、嫉妬への念が徐々に強まるのを感じた。
「随分と調子に乗ってるわね。……段々に妬ましくなってきたわ。下等な侍なんか並べて主導権を握られてるのも妬ましいったらありゃしない」
いや、『ビート』ってのはそういう戦法ですから。妬まれてもどうしようも無いですよ。
「それに《炎剛大剣》なんて重苦しい剣も得意げに振り回してるのも妬ましい、嫉ましい。そして何よりも――――この程度で勝ち誇ってるような低脳な様が、最大級に妬ましいのよ!!!」
嫉妬に溺れた深緑のPASの波動、発動するまでもなくエンヴィーの体内から迸り、それが彼女への嫉妬から殺意へと変わった!!
「お前に裏ゲームをぶち壊してくれた恨みも纏めて、私がブチ殺してくれるわ!! この全てに賭けても!!!」
そして解き放つ怨恨の一撃を手札一枚に宿してカードスキャン!
『アクションカード、【破滅を呼ぶヒステリー】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【破滅を呼ぶヒステリー】EG:①x
属性:緑
・効果:x以下のEGの数値を持ったフィールド上の
全てのカードを破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「な、何やそのカードは!!?」
「このカードは発動時にx分のEGを支払った数以下のEGコストを持ったフィールド上全てのカードを破壊する!!」
この時、倭刀の血の気が一気に消えた。
倭刀のフィールドには《炎剛大剣》のEGが⑤、四体のユニットはその数値以下のEGを持つ。
そしてそれらを全て破壊する為には、⑥のEGを消費するところエンヴィーに蓄積されたEGは⑧。即ち……!
「EGを⑥消費させて効果発動! 私とお前の全てのカードを破壊する!!」
エンヴィーの緑の眼よりも目移りする不気味な笑み。憂さ晴らしに一気にその鬱憤を晴らすかの如く《破滅を呼ぶヒステリー》の効果は場をあっという間に一掃させる。
その様相はヒステリックな母が見境なく怒りに呑まれて家を破壊するような文字通り家庭崩壊を思わせる程の生々しい破壊描写。これには執筆してるだけにも関わらず、こころなしか作者のトラウマを呼び起こす程の威力だ!!
「お……俺のユニットが、大剣が……全滅した――――!!!!?」
恐るべし嫉妬のパワー! この破滅的破壊を無慈悲に受けたエンヴィーのユニットも破壊されたが、二枚の《嫉妬の底力》は墓地に送られず手札にリターンバック。
手札も盤面も一気に逆転し、倭刀の首に嫉妬への標的に定められようとしていた!!
――――本日のゲーム、これまでッッ!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




