【GAME31-2】裏プレイヤーの巣窟!!
――TIPS――
最近では経営難によってゲームセンターの閉店が相次いでますが、この【超次元ゲーム時代】ではV字回復の如く再びゲームセンターが脚光を浴びてプレイヤー達の流行の発信元となっている。
――裏プレイヤー討伐に専念すべく、警察署との連携も取りつつ彼らの動向を探っていた倭刀と穂香。
しかしそこは超次元ゲーム時代にて活躍するお巡りさん。
裏プレイヤーの本核はまだ明らかには出来ていないが、その格下の裏プレイヤーが蔓延る巣窟の場所が確定されて、直様倭刀らにその場所を提供してくれたのだ! さてその場所とは……?
「ありゃ、コイツぁ心斎橋の【アメリカ村】やないか!」
「俺もびっくらこきましたよ豪樹さん。大体アイツらゲーセンかどっかで屯してるかと思いましたが……」
「警察側から提供された防犯カメラから、それらしき人物を特定して場所を教えてくれたんです!」
次なる裏プレイヤーの溜まり場となっていたのは、何と【アメリカ村】!
一応念に押しますが読者の皆様、『日本にアメリカでも作ったの!?』だなんてアホな事は考えてはいけません。まぁ居ないでしょうけど。
アメリカ村とは、大阪市中央区にて『梅田』『難波』と隣接する【御堂筋】の西心斎橋付近にて多くの古着屋や衣料店、レコード店などが並ぶ若者向けの小さな街なのです。
「成程……人目に寄り付きにくい所でコソコソと悪巧みってとこか」
「おそらくまた新世界の時のように、ゲームで人を痛め付ける事を企んでるに違いありません」
「そうなる前に……俺がぜってーぶっ潰してやらぁ!!」
前回、新世界にて繰り広げた裏ゲームを阻止した穂香と倭刀。
穂香はその以前に対峙した『サザンクロス』の幹部・イプシロンのジーナとの決着を望み、倭刀は屈辱的にも裏プレイヤーに瀕死寸前までやられた倍返しにと、リベンジを誓ってこの執念。
しかもこれら展開がまだ数時間前の話であるからして、それを見兼ねて豪樹が釘を差した。
「おおっと、チョイ待ちぃやお二人さん。こんなボロボロの格好でまた決闘かいな? もうちょっと、自分を大事にしてから挑んだ方がええとちゃうか?」
「「あ……」」
時刻は丁度夕刻午後6時を回り、あの死闘からそれ程回復はしていない二人共、満身創痍も良い所。
アドレナリンも滾る中で自分の受けた傷の痛みも忘れる程の二人の執念には、豪樹が指摘されるまで気付かなかったようだ。
「極限状態になってまで、アイツラと必死に戦ったのはワイにもよー分かる。だが無理は承知せぇへんど。裏プレイヤーの事は明日に備えて、ゆっくり休みなはれ。またラーメン奢ったるから!」
「ホンマでっか!?」
「それじゃお言葉に甘えて……!」
流石、教え子想いの大人は労い方も上手な事で!
倭刀曰く『奢られる飯ほど美味いものは無い』だとかケチ臭い事にも顧みず、特大ラーメンをすすって穂香と倭刀、次なる戦いに備えて宿屋へ……じゃなかった我が家へと休息の時を過ごした。
▶▶▶ NEXT▽
――日付代わって翌日の朝。舞台も代わって大阪・西心斎橋は『アメリカ村』!
複雑な交差点の間に位置する『三角公園』を中心とした街並みは、梅田や難波のような喧騒よりかは静かな方だが、ファンキーな音楽と自由に店を行き来するティーン・エイジャーな若者達でごった返していた。
「アメリカ村なんざ何年も行ってへんわ。穂香ちゃんくらいの兄ちゃん姉ちゃんばっかで、ワイじゃ浮くんとちゃうかな」
「でも豪樹さんも私達と一緒に行くって言ったじゃないですか。有給まで取っちゃって」
「まぁ俺と穂香姉ちゃんとじゃ、さしずめ豪樹さんは『お節介なオッサン』ってとこかな?」
「アホ抜かすな倭刀! ワイはまだ26や、オッサンにするにゃ早い!!」
等と和気藹々に町並みを歩くは穂香&倭刀コンビにプラスしての豪樹さん。やっぱり店の中で調べ物ばかりじゃ性に合わないんでしょうね、今回はシャッフルメンバー三人での同行だ。
――とかくこの『アメリカ村』、古着・レコード専門店だけでなく町を歩けば街頭ビジョン、ライブハウスに『ピースオンアース』という鳥人をモチーフにした巨大壁画。
個性を追い求める若者達との繋がる発信地として、アメリカ村は今日も流行へのアンテナを張り詰めて活気を集めていく。
ところで、このゲーム・ウォーリアーという物語ですから『アメリカ村にもゲームはあるの?』という疑問も浮かぶ事でしょうが、答えを述べるなら【あまり置いていない】と出てしまいます。
しかし、このアメリカ村ならではのゲームが一つあるのです!
「なぁ穂香姉ちゃん、ちょっと俺ピンボールんとこ偵察してみるわ」
「ピンボール?」
「ほらデッケェショッピングセンターの中にあるピンボール専門店! 雰囲気からして裏プレイヤーの一人や二人出てきそうやんか?」
どうやら倭刀が言ってるのはアメリカ村にある巨大施設内のピンボール専門ゲームセンター。
1プレイで10〜100円の筐体で、コーラもしくは彼女片手にピンボールを遊べるデートスポットとして有名なのです。ただし理想の彼女は非売品だ。(当たり前)
「偵察って言いながら、まさかそのまま遊ぶんとちゃうか倭刀?」
「倭刀ったら、新世界でもゲームしてたじゃない!」
「大丈夫やって、今日は裏プレイヤー討伐に専念すっから!」
半ば強引に二人と離れて巨大施設に入る倭刀。口ではゲームをやらないとは言ったものの、
(ゲームがあるって聞いてりゃ、そのままスルーなんざゲーム戦士の名が廃るぜ! 丁度ポッケにゃ100円ワンコイン、ちょびっとやってくるだけやで)
なんとまぁ……聞かん坊な倭刀君ですな!
▶▶▶ NEXT▽
《開店時間 AM11:00〜》
「あっ、しまった! ここ開店時間が遅かったんやっけ!!」
今の時刻は午前の10時、ピンボールはまだ閉店中のまま。ほーら見たことか! 歯止めも聞かずに突っ走るからこうなるんですよ倭刀君!!
「じゃかぁしい!! ―――ん、あれは……?」
とその時。倭刀の眼が店の扉から横目に視点をずらせば、同じく閉まった扉を見つめていた緑のショートヘアーなびくスレンダーな八方美人が居るではないか!
(おぉー!! 何ともグリーンで綺麗な可愛い娘ちゃん!!!)
シャッフルの中でも一番欲に従順な倭刀。穂香姉ちゃんというベッピンさんが居ながら、それをも尻目に彼女の色気に誘われて声を掛けた。
「やぁご機嫌麗しゅうお嬢さん。貴方もピンボールで出会いをお求めで? しかしまだ開店には早いでしょう。良かったら僕と一緒にお茶でも――」
おやおや思春期の坊ちゃんがイケボでキザな台詞でナンパとは、似合わないですねぇ!
緑髪の彼女も倭刀とは三つくらい歳は離れてそうな感じ、第三者から観ても坊やとして見られているのか軽蔑な顔でこう返した。
「うるさい。チェリーなお前にナンパされる程、私は堕ちてないわよ。憎たらしい」
と捨て台詞を吐きつつ、彼女はその場から立ち去った。
「……チェッ! 釣れない女!」
▶▶▶ NEXT▽
フラれた倭刀はさて置いて、それにしたってあの緑髪の女。確かに美形なんですけども、何かが引っ掛かる。顔の裏には恨みやら妬みやらのドス黒い憎悪が隠れているような気がしませんか?
気になった私Mr.Gは忍び浮遊で彼女の跡を追ってみると、当の彼女は『関係者以外立ち入り禁止』の扉をスッと開いて入っていった。
という事はショッピングセンターの店員さん? いやいやそれにしては愛想も悪そうですし違うでしょう。
と扉の奥の薄暗がりの空間を見渡せば、彼女と対峙するは同じく不穏な空気漂う者たち!
『……跡は付けられてないだろうな、エンヴィー』
「平気よ、自惚れた坊やがナンパしてきたくらい」
倭刀に対してエライ言われようですね……って言ってる場合じゃない!!
この展開新世界の通天閣の地下でも似たような集まりがあったような、と私察すれば予感的中!
『では午前11時より、定刻通りに裏ゲームを実行する! プレイヤーは全員準備体制に入れ!!』
裏ゲーム、という事はあの緑髪の女は裏プレイヤー!?
またまた彼らによって大阪の街並みが地獄の戦場と化すのか、第ニの裏ゲーム開始まであと一時間!! 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




