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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
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【GAME29-9】ゲーム戦士よ、己だけの魂を奮え!!

 

 ――驚愕の展開のち茫然、と見せかけて更に驚愕な展開に突入した!! ……いや自分で言ってて意味は分かりませんが。


 全体火力カードの《インフェルノ・バーン》の犠牲になるかと思った弥風綾乃を防衛する聖なる盾、剣のPAS【セイントシールド】の発動で完全防御・回復が施された!


 しかもこの盾、譲渡していた《太陽の騎士》までも防げる優れもの。

 とは言うものの多少ながら己は身を削って放った切り札であるため、相手側も驚愕はしたが冷静に考えれば理解に苦しむ決断であった。



「何なんだよお前はよ……! 戦力にもならねぇ、人気もねぇ、そんな役立たずの味方を守る為だけにPASを発動するなんざ、どうかしてるぜ桐山剣!!」


 相変わらず人気に託けて大層な事を仰ってますがハーフムーンさん、脱落しちゃっては説得に欠けますよ。


「ぬー! ハーフムーン兄ちゃんの敵はあたしが取ってあげるわ、見てなさい!!」


 人気を張り合う者で兄妹同士ウマがあったか次男と末女、クレセントが次男の脱落に怒りを込めてのカードスキャン!


『ユニットカード、【修道院の熟練者】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【修道院の熟練者】EG:⑤

 AP:300 DP:400 AS:10

 属性:黄 ユニット/ソルジャー


 ・効果:このユニットがフィールドに出たとき

 自分はHPを500回復する。

 ◎――――――――――――――――――◎


 〔クレセント HP1050→1550〕


 召喚と同時にHPを回復する中堅ユニット。攻め型であったハーフムーンと比べてクレセントはあくまでも防御で制圧する型か。


「フルムーン兄ちゃん、あたしのユニット譲渡しとく?」


「いや大丈夫だクレセント。私にも配下は付いている」


 配下、即ちユニットを手札に隠していたフルムーンもカードスキャン。


『ユニットカード、【五重塔の守護霊】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【五重塔の守護霊】EG:④

 AP:200 DP:200 AS:10

 属性:青 ユニット/スピリット


 ・効果:このユニットが召喚されたとき

 自分のデッキから2枚カードを引き、

 そのカードのうち1枚を手札に加え、

 残りは墓地に送る。

 ◎――――――――――――――――――◎


 何処かの塔を守る浮遊の守護霊、洋風なランタン手に提げてフルムーンのデッキを除き込む。


「私はこのカードを手札に加えて、あとは墓地に落とす」


 現在フルムーンのHPは4700。タンクと呼ぶに相応しいが表情も感情もポーカーフェイスで装う長男こそ、今回のゲーム最大の脅威に相応しい。


「どーだ! 張り切りすぎたバツだぜ切り札騎士さんよ。頼りねぇ仲間守るより自分の身を守っとけばよかったんじゃねぇか!?」


「じゃかましいわ!! 俺は自分のプレイングにゃ一切後悔しねぇ主義や! 騎士は自分(てめー)の命を仲間に託すくらい覚悟がねぇと務まらねぇぜ」


 ハーフムーンの煽りに負けじと張り合う剣。

 それでも諦めない姿勢に綾乃も心を動かされつつも、現実はそう綺麗事では済まさないものだ。


「……この状況で巫女が何かを為せるとは思えません。手札も1枚、PASもスキルも知らない。そんな状況に過度な期待でプレッシャーを押し付ける事が真のチームワークとは呼べないですよ」


 フルムーンの棘に刺さるような酷評にも、剣は更に言い返す。



「……それもちとちゃうかな。仲間に重いもん背負わせるくらいなら俺が全部背負う気や。そんで俺のプレイミスで負けたら責任は俺が全部追うべきやろ?


 ――兄妹でトリオ組んでるお前らと違って、俺は綾乃の事は知らんしデッキもPASも全く分からんが、オンラインゲームましてやVRMMOじゃそんなんザラな話。それで信じないんじゃただ人間不信だぜ」


 まさに仰る通り。ゲーム・ウォーリアーのみならず、あらゆるVRMMOで活躍するゲーム戦士はゲームの因果に誘われて共に戦い、絆を生み、己の魂を築き合う事で強くなるものなのだ。


「だがまぁ、中にゃ人見知りとかコンプレックス抱えた奴だっているがな。でも俺はそんな味方にも全力を出すためなら、何時でも切り札を呼んでやる。

 強敵と立ち向かう【剣】と脅威を防ぐ【盾】。そいつは大事なもんを守り抜く為の俺の魂、俺のアイデンティティって奴や。



 ――――そしてその双魂こそ、“切り札騎士(エースナイト)”である俺が、俺である証だッッッ!!!!」



 噴き上がる闘志にグアァァッと燃える赤い剣のPAS、絆を尊ぶ優しい心にキラリと煌めく白い盾のPAS。

 これぞ桐山剣が【桐山剣】であるために輝く騎士の魂!! その魂、誰がために奮い起こす!!!



「ッざけんなよ!! 言ってる意味わかんねぇし兄妹の俺らがお前に敵うと思うなよ!!!」


 負けじとガーガー吠え合うはハーフムーン。張り合いもここまで来ると本当に喧しくなる所、ここで口を挟んだのは例の彼女。



「いえ……私、やっとその意味が分かったような気がします――!!」


「え? スゲェなお前の読解力」


 よし、うるさいハーフムーンが呆気に取られたその隙に……


 ――その時、弥風綾乃の脳裏に過った『瑞鳳旋風堂』の団長・神奈との稽古の過去。あの時冷たくあしらったとお思いでしょうが、とんでもない!

 ちゃんとその続きがありますよ。そうと決まれば閑話休題、回想シーンPart2!!


 ■■■■■■



「私はゲーム戦士になれない。……そうですか、私にはゲームのセンスも素質も無いんですね……」


 団長・伊達神奈に厳しく言われ、落胆する綾乃。前の回想ではここで終わってましたが、ここからが本題。まぁじっくり読んで頂戴。



「こら、誤解するにはまだ早いよ。キツく聞こえたかも知れないが、別に綾乃の事を悪く言ったんじゃない。私はアンタが素質があるからスカウトしたんだし、と言っても今はまだ見出だせていないんだが、……そんなのはどうでもいい事さ」


「……? それはどういう意味ですか?」


 実は伊達神奈さん、『瑞鳳旋風堂』を宮城を代表とするゲームチームにしようと、躍起に綾乃をゲーム戦士としての一流域にさせようとしたが、

 何分綾乃が生真面目な性格故に、余計なプレッシャーに圧されるのを察したようで、危うく道を間違える所だったのでした。


「……なぁ綾乃。アンタはどうして、ゲーム戦士になろうと決めたんだい?」

「そ、それは勿論! 武将・伊達政宗様の信仰を取り戻す為、そして宮城の栄えを目指す為に……!!」


「そう、私もその二つの願いの為にこの『瑞鳳旋風堂』を結成した。そしてアンタは私の御先祖、独眼竜・伊達政宗の御霊の元に選ばれたゲーム戦士としてここにいる。同じ意志を持つ者同士でな」


 成程、それで綾乃を選んだ訳なのですね!


「アンタは宮城を代表とするゲーム戦士になる本質だ。だがゲームばかり強くて、目標とする信仰と故郷愛を集められると思うかい?」

「それは……でもこの超次元ゲーム時代は、ゲームの実力が実権を握る唯一の手段です。それでも……」


「確かに、この時代のゲームの在り方は昔とかなり変わって特殊になった。でもね、本質は昔と何も変わらないんだよ。

 剣士が剣の術を極め、魔法使いが魔法に磨きを掛けるのも全ては()()を得るため。それを征く『道』であり、過程にしか過ぎないって訳さ」


 綾乃が5年もの年月を掛けて鍛錬・特訓を重ねたのは綾乃自身の強さを得るため。しかし己自身の腕を上げるだけがゲーム戦士の強さを得る方法では無いと、伊達神奈は語る。


「いいかい綾乃。全てのゲーム戦士には()()がある。

 剣士は瞬発力に長け、魔法使いは己の智謀を活用して決闘に挑む。RPGに幾多の職があるように全て一長一短の個性がある。でもそれを理解し、一途に鍛錬を極めている奴はどんな決闘にも一流さ」


 要は綾乃が長年ゲームに迷いを生じているのは実力云々よりも、()()の問題であったからなのです。


「綾乃は私らよりも全然若い。修行を怠らずに続ければ幾らでも強くなれる。ただし、自分の本質だけは間違えちゃいけないよ。

 ……私はね、綾乃を強さに惚れ込んだ戦鬼とか、戦うだけの操り人形みたいにはなって欲しくないんだよ」


 ゲームの勝敗だけで結果に囚われることは三流のやる事だと考える神奈は、綾乃がゲームにおけるジョブ『召喚師』としての本質を鍛える事を決めていた。それはゲームの強さではなく、その強さに至る為にそれを見極める眼を養うためであった。



「――アンタは類稀なる召喚師の心意気を持っている、そして己の魂をゲームで振るうべき武器は【信頼】。自分にも他人にも信じる心が、アンタのPASの力なんだよ!」


 もうここまで来たら、皆様に隠す必要は御座いませんね!


 弥風綾乃のPASはズバリ【信頼の杖―TRUST ROD―】!!

 形は巫女杖、色は青緑! 誰かを信じる心が綾乃の強さとなりて凄まじい力を招来させる唯一無二のPASなのだ!!


 故に神奈は己以上より強く経験則を言わせる者、千差万別の個性と種族で生きる真に強き本質を持ったゲーム戦士達を信じる事を、綾乃の肝に銘じさせたのだった。

 常識や打算で囚われず、ただ一途に信じるその覚悟で……!



「勿論、私だって綾乃の事は心から信じてるさ! だからアンタも私ら以外の強い本質を持った仲間に出会ったら目一杯に信じて、そして思いっ切り言ってやりな!


 ――――『瑞鳳旋風堂』の弥風綾乃は、()()()並に凄いゲーム戦士だってな!!」



 ■■■■■■


 ――――そして時は廻り……綾乃は遂に真の信ずるべき者と出会い、確信した――!!!


「桐山さ……いいえ、剣さんッッ!!」

「……おぅ! 何や綾乃?」


「私は改めて、貴方の魂に宿る剣と盾に惚れました! それと守ってくれて……私の事を信じてくれてありがとうございます!! ―――今度は、私が剣さんを守る番です!!!」


 綾乃の巫女アバターの碧き眼が神々しく輝く。

 信頼から結ばれた二人の絆が、紛れもなく弥風綾乃というゲーム戦士を変えたのだ!!


「騎士野郎に感化されたか巫女ちゃん! だがフィールド見てみろ、んな全ホールドの状態で桐山剣を守れると思ってんのか!」


 ではここで、もう一度今の状況を説明しましょう!


 《海神の大歌龍》の効果で全ての手札、フィールドの武器ファイティングブレードを30秒間封印されてしまった剣。

 それでなくても先程ムーンリバーの二人が召喚したユニットが剣に標的を向ければ剣も脱落してしまう。


 綾乃には幸いにも攻撃対象を変更出来る『プロテクトコマンド』があるが、それでも時間稼ぎにしかならない。


 となれば攻撃宣言前に綾乃が何かカードを引いて形勢逆転するしかない。

 攻撃コマンドが下る3秒前にドローカードが彼女の手に渡る。チャンスは一度きりだ……!!



「悪い、どーやら俺も無茶が過ぎてこのザマらしいわ。騎士が泣き言なんざ言いたかねぇが、俺は綾乃に賭けるしか無さそうや。――――だから、もう一度お前の事信じてもえぇか?」



「勿論です剣さん、信じる事こそが私の力なのですから。――――私は切り札騎士である貴方の本質に全力で答える為に、この『奇跡を呼び起こす巫女』弥風綾乃、【勝利】を招来させます!!!」



 ――さぁ長丁場で迎えております3on3! 次回はいよいよお待ちかね、弥風綾乃のPAS【信頼の杖―TRUST ROD―】の真価を発揮する時!!


 綾乃の切り札が唸り、ゲームが激震するならば皆々様も楽しみ、私も楽しみ! また次の更新でお会い致しましょうネクストゲーム!!



 本日は【GAME29 ゲーム戦士チーム激戦・中編】を持ちまして、失礼を致しますッッ!!



 ▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


シャッフル・立海・瑞鳳連盟VSムーンリバーバンド、いよいよ最終局面突入!!


唸れ弥風綾乃、召喚師PAS!!

そしてフルムーンがリミットブレイク……!?


ゲーム後半戦でも油断禁物、あらゆる死角が読者の貴方を襲う!!!



この小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!!

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