【GAME29-7】勝負に賭けた逆鱗の炎!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆①〔エース(剣) HP1000 手札5枚 EG⑤〕
ユニット:《ヴァルキリー・フレアドラゴン》《太陽の騎士》
装備:《ファイティングブレード》《ナイトシールド》
②〔ウィンディ(綾乃) HP800 手札5枚 EG⑥〕
装備:《ロッドサモナー》※召喚機であり武器。
★①〔フルムーン HP4400 手札3枚 EG④〕
ユニット:《天鈿女命の大歌龍》
②〔ハーフムーン HP800 手札2枚 EG③〕
③〔クレセント HP2000 手札2枚 EG⑤〕
※時実桜の脱落により譲渡していた《太陽の騎士》は元の持ち主である剣に戻った。
――さぁ皆さんお立ち会い。寄って読んで、カードの中にゃすんごい生物も居たもんだと驚いちゃって頂戴な!
『岩戸隠れ』の伝説で有名な芸能の女神様、日本神話と聞いてピンと来たらば【天鈿女命】、神楽の舞と旋律に寄って乗せられユニットの魂となりて蘇らん。
【天鈿女命の大歌龍】、フルムーンのエースカードとなりて剣と綾乃の前に降臨せり!!
「どーだ見たか、フルムーン兄貴の切り札の大歌龍! 下手にダメージは喰らわねぇ方が身の為だぜ、下手に倒したらお前らのHPを根こそぎ吸い取っちまうからな!!」
ハーフムーンさん、アンタが出した訳じゃないのにしゃしゃり出るんじゃないの!
勿論剣ら二人にも、今の状況が如何にヤバい展開かは肌身感じて引き締めている所。しかし彼らにも巻き返せるチャンスはちゃんとありますよ。
「アホかシックス野郎! こっちにゃ騎士竜とブレードがあんねん、丸腰のお前から先にバーベキューさしたろか!?」
その通り。形勢一変色々フィールドはコロコロ変わったが、気が付きゃ生意気弟・妹の陣営は守るものなし丸の腰。
これを剣の装備している《ファイティングブレード》と、2体のユニットで攻撃を喰らえばムーンリバー・バンド側の脱落も不可能では無い。だが相手も何を仕掛けるかは分からない。
だからこそ、仲間の助力で攻撃に一押ししたい所……!
「頼むぜ綾乃。俺たちのチームワークで押し切ってやろうぜ!!」
「あ、はい……!」
(……そうよ、こんな所で時実さんの二の舞にはなりたくない。神奈さん、どうか私に奇跡をお恵み下さい――!!)
苦しい時の神頼み、いや神奈さん頼みか。巫女のアバターの弥風綾乃の一途な願いが勝負の女神を振り向かせられるのか。
30秒経過、各プレイヤーに手札から1枚のカードが施される。
《CARD DRAW》
(……おっと、コイツぁ……!)
ここで剣に微かに手応えを感じたリアクション。そして綾乃は、
(ユニット、じゃない……! こうなったら意地でも!!)
剣とは対象的にドローカードに微妙な表情を浮かべた綾乃。しかし引きが駄目なら強引にと、引いたカードをそのままスキャン!!
『アクションカード、【ノーレッジ・ムーブメント】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【ノーレッジ・ムーブメント】
属性:青 EG:①
・効果:自分はカードを3枚引く。
その後自分の手札の2枚をデッキの上に順々に置く。
◎――――――――――――――――――◎
出したいカードが無いなら3枚纏めてと、強気の勝負に出た綾乃に3枚のカードが手札に加わった。果たして……?
「…………私はこの1枚を手札に加えて、後はデッキの上に置きます……」
期待転じて曇り顔、こうなると結果はどうだったかは言わずもがな。
「ありゃ、ユニット出ぇへんかったか?」
「ごめんなさい……でも次のドローで必ず――!」
「…………よし分かった。そんなら俺は綾乃を信じるぜ。だから綾乃も俺の事、信じててくれな!」
剣はそう言って、右手のブレードを構えて戦闘態勢に入った。
「綾乃はドローまで自分の身を守る事だけ考えてくれ! 攻撃は、俺に任せろ!!」
「分かりました……!」
剣の作戦を信じ了承を得た所で剣はブレスのモニターからユニットにコマンドを下す!
「戦闘開始! 先ずは《太陽の騎士》でクレセントにダイレクトアタック!!」
「しょーがないなー、通すよ!」
〔クレセント HP2000→1750〕
少し塩っぱい攻撃にも当てられただけで充分な剣。
その後ガードの意味も込めて譲渡コマンドで《太陽の騎士》を綾乃に渡し、第二攻撃に入った!
「そろそろぶった斬らせて貰うぜ、アズマックス野郎!!」
「げッ!?」
もうサックス関係ないじゃないの。
と私の愚痴にも顧みず、《ファイティングブレード》片手にハーフムーンに斬りかかる剣。
女子はともかく、同性に煽られるのはよっぽど頭に来たのか、猪突猛進で攻撃を仕掛けて相手も避けるのが精一杯。そしてハーフムーンの身体にかすったブレード一閃。
〔ハーフムーン HP800→400〕
(よし、目標数値まで減らせた!)
流石は騎士竜にパワーアップして貰ったブレード、一太刀大ダメージでニアピン数値まで達した。そこで何を計らうか一旦ハーフムーンへの攻撃を止めてクレセントに攻撃を仕掛けるが……
「これ以上の攻撃は許し難いですね……迎撃しなさい、アメノウズメ!!」
迎え撃つはフルムーンの《天鈿女命の大歌龍》、クレセントへの攻撃を横切り衝撃波を与えようとするが、咄嗟に剣は間合いをとってブレス片手にコマンド入力。
「《ヴァルキリー・フレアドラゴン》でブロック!!」
2体のユニット激突、結果は両者玉砕!
相打ちで終わったという事は、例の大歌龍の効果が来る!!
「天鈿女命の墓地効果、全ての相手プレイヤーのHPを500ずつ吸い取り、私のHPへと吸収させます」
〔エース(剣) HP1000→500〕
〔ウィンディ(綾乃) HP800→300〕
〔フルムーン HP4400→5400〕
剣と綾乃のHPを吸い取り、遂に5000台まで達成したフルムーンのHP。こんなに体力摂取してどうするんでしょうかね……? エネルギー代謝が偏るような、いやいやゲームですから健康面は大丈夫でしょうけど。
しかしこれで3体の大歌龍は墓地に送られ、ようやく持ち返しそうな展開。ここで再びハーフムーンが減らず口を叩く。
「チッ……何も出せねぇ癖に、俺の体力を大幅に削って終わりかよ。まぁ最も、どんな姑息な事して来ようとも大したことは出来なさそうだけどな!」
「じゃかましいわテメホンマに……、えぇ加減口閉じねぇと一回きりの登場で出番終わらすぞボケ!!」
剣さん、その役目は作者の仕事ですから。
「作者がどーだってんだ! 俺の人気力がありゃ幾らでも俺達のスピンオフ書けるだろうさ!!」
そんな事したら作者さん過労とストレスで死んじゃいますよ。
それは冗談として、彼ら兄妹にとっては剣ら利害の一致で結成された仮初めの絆では、絶対に敵わないと豪語しているもの。浮かれの天狗になるのも分かる気がします。
――ただそれを観て不安になりつつあるのが、綾乃でした。
「…………あの、桐山さん。本当に大丈夫ですよね……? 私信じてますから……」
「心配すんなって! 俺と手ぇ組んで戦ったゲームで『敗北』って文字は、東の空に飛んでっちまうからよ!!」
ちょっと言ってる意味が分かりませんが、自信は十二分の桐山剣。
(そうよね、桐山さんには手札もユニットも揃っているし、きっと何とかしてくれる筈だわ……!)
やはり自分と周囲の差を見比べて打算的に状況を把握しては、安堵する事を繰り返す綾乃。この二人の信頼は何処まで可能性を広めていくのか。
と、ここでハーフムーンが逆襲とばかりに新たなカードをスキャンする!
『アクションカード、【カードリターン】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【カードリターン】属性:無 EG:③
・効果:墓地に送られた
カードを1枚手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
これは裏プレイヤーの『キャノンボールの鉄』も使っていた手札回収カード! 対象を《山祇の大歌龍》に指定して再び手札に舞い戻った!
「甘いぜ騎士さんよ! 墓地に行けばもう安全だと考えるのは素人のやるこった! 次にコイツを出す時はお前の最期だと思うんだな!!」
と勢い凄まじく挑発するハーフムーン、それに右端からそーよそーよと拍車を掛ける末女クレセント。
ここまで来たらばもう先延ばしする必要は無い。剣の蓄積EGは丁度⑦、決めるなら今しかない……!!
「桐山さん、お願いします……!!」
「ッしゃ行くぜ!! これが俺の勝負に賭けた炎だ、受けてみやがれッッ!!!」
桐山剣、満を持してカードスキャン!!
『アクションカード、【インフェルノ・バーン】!!』
「――――――《インフェルノ・バーン》…………?!!」
綾乃は剣の繰り出したカードにこの上なく驚愕した。その効果とは、
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【インフェルノ・バーン】
属性:赤 EG:⑦
・効果:各プレイヤー・ユニット全てに
700ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
全体に700の特大ダメージを与える全範囲型火力カード。ここで肝心なのは全体に及ぶという事。
それは味方の綾乃にも影響されダメージを受ける。そして彼女のHPは300……!!
自分を信じろと宣言した剣が何故、こんな事を―――!?
気になる詳細は……ごめんなさい、また次回に持ち越してお送りします。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




