【GAME29-2】どっちが上手か!? チームワーク合戦!!
――TIPS――
【ゲーム戦士・プレイヤーステータス】
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:クロノ・チェリー(時実桜) ♀
・プレイヤーレベル:47
・ジョブ:『メイド』
・PAS:【オールドクロック】
[プレイヤーステータス]
・アクション:A・シューティング:A
・ロールプレイ:A・タクティクス:S
・スピード:A・ブレイン:S
・ハート:B・ミュージック:B
・ラック:B
[プレイヤースキル]
・【クイックチャージ】【フィールドスキャナー】【同胞へのもてなし】など
[エンブレム]
・『ドルアーガの塔』完全制覇
・『TIME SURVIVE』No.1プレイヤー など
☆――――――――――――――――――☆
――ゲーム戦士、諦めの悪い奴ほどよく勝てる。
序盤から劣勢に立たされた剣ら三人のチーム、有り余る程のユニットを前にしても決して折れぬゲームの闘魂。
剣のユニットが対戦相手の[ユナイト]ユニットを成敗したのを皮切りに、不安転じて破天に戦う剣らゲーム戦士。
さぁ諦めを知らない者が如何なる底力を魅せてくれるのか、刮目してみましょう!!
「悪い桜、俺が不甲斐無いばかりに初手からHP削らせちまった。お前に感情に振り回されるなって言われたのにさ」
「いいえ、お気になさってはいけません剣さん。まだ挽回の余地はあります。それにこの時実桜、この程度で朽ちるほど腕は鈍っておりませんわ」
剣のイージーミスを責めず宥めてフォローする桜。となれば、挽回する為にはやはり行動あるのみ。まずは剣からカードスキャン!
『カスタム・ツールカード、【ファイティングブレード】!!』
出ました定番! 梅にウグイス、剣にソード。十八番と書いて“オハコ”の《ファイティングブレード》、天から授かりて剣の右手に宿された!
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ファイティングブレード】EG:③
AP:100 PP:15
属性:赤 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『ソニックブレード』EG:③ AP:150
・弧状のソニックブームに似た赤属性の
斬撃を撃ち飛ばす。
◎――――――――――――――――――◎
「ヘヘッ、コイツがありゃ百人力ってこった! 行くぜぇぇッッ!!」
抜けば魂散る闘魂の刃、切り札騎士の名剣携えて構えるはムーンリバーバンドの[ユナイト]ユニットとトークンの雑兵。
「攻めてきましたね……ここは[ユナイト]ユニットを討たれる訳には行きません。回避あるのみです!」
振りかぶる刃に討たれまいとフルムーン率いる[ユナイト]能力持ちのユニットも含めた軍勢と間合いを取って回避する。
攻撃をする隙は無いが、その代わりに生成された《バリトントークン》4体をEG消費していきながら、末女・クレセントに続々譲渡されていく。
「んぁ! 野郎、戦力を拡散させやがったな! こっちも何かユニットを出さへんと桜が……」
剣・綾乃はまだしも桜のHPは既に200の瀕死寸前状態。なんとかガードさせたくもユニットを譲る懐もなし、今は剣が前線に立って[ユナイト]能力ユニットを攻撃させまいと必死。
「よし、これなら戦えます!」
ここで名乗りを上げたのは綾乃、新型召喚機【ロッドサモナー】を携えてカードスキャン!
『ユニットカード、【リキッドスライム】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【リキッドスライム】EG:③
AP:100 DP:300 AS:5
属性:緑 ユニット/スライム
・効果:手札のカードを1枚捨てる。
その後このユニットのAP・DPの数値を入れ替える。
◎――――――――――――――――――◎
防御型だが手札を捨てればあっという間に攻撃型、変幻自在な水も滴るスライム生命体を綾乃が召喚。
「おっ! よし綾乃、早速そいつを桜に譲」
「《ガイアの天空戦士》でユニットを攻撃!!」
「……あら?」
〔ハーフムーン HP1500→1300〕
リーダーらしく綾乃にユニット譲渡を指揮しようとしたが、故意か過失か先に綾乃がユニットで攻撃をし始めて呆気に取られる剣。
「……え、何か不味かったですか?」
「いや、綾乃のスライムを桜に譲渡してって言おう思ったんやけど……」
「それはイヤですよ。EG勿体ないし、防御が半減されちゃいますって」
剣の指示にあっさりと断り打算的に考えている綾乃。意外とハッキリ言うタイプなんですね彼女。
「そっちは二体いるからスライムだけでもえぇやろ? でないと桜が早いうちに脱落しちまうぜ」
「でも……」
性格や個性の問題か、やはり初対面では話が纏まらない剣と綾乃。対して桜は、
「厚いお気遣い痛み入りますが……そこまでするには及びませんわ、剣さん。綾乃さんの仰る通り、攻守共に備わっている状況では、少しでも彼女に攻め込む必要があるかと」
確かに剣は必死に仲間を守ろうと躍起になる所が目立っている。今回のプレイヤースキルでも防衛系が多く登録されているのを見ると、守ってばかりではらちが開かないと桜は判断したのだった。
「ん……せやな、言われてみりゃ俺も守りに機敏になりすぎたかもな。よしここは綾乃にアタッカーを任せっか」
(本当に大丈夫かな、あの二人で……)
傾き始めた期待がまた下がって不安の境地に立つ綾乃。これが負の連鎖にならない事を祈りたい。
「オイオイオイ、もう仲間割れかお前ら? デュエットもろくに出来ねぇんじゃ俺みたいな大人気ソリストは夢のまた夢だな!」
サックスプレイヤーらしき皮肉を並べて再び煽るは次男・ハーフムーン。
「うっせぇ、ソックス吹いてる奴にチンタラ言われたかねぇぜ!」
剣さん、ソックスじゃなくてサックスですよ。サクソフォンの口語。
「どっちでもえぇわ。ほんじゃ俺はもう一度ユニット譲渡、《太陽の騎士》を桜に譲渡する!」
丸腰と見るや再び自分のユニットを譲渡する剣。メイドちゃんに騎士とはなんと頼もしい事か。だがその様子を黙って見てるムーンリバーバンドではない。
「さて、サビ前のBパート演奏と行こう。調律は私だ。二人共頼むぞ」
再び長男・フルムーンの演奏にさも似たりな号令が飛び交う。つまりはユニットによる再攻撃が飛び交う予兆だ。
「オッケー! じゃあたしはあのメイドさんを!」
「俺は巫女の姉ちゃんで行く。ついでにユニットも召喚だ」
『ユニットカード、【ミュージック・パンカー】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【ミュージック・パンカー】EG:③
AP:300 DP:300 AS:10
属性:緑 ユニット/ソルジャー
・効果:なし
◎――――――――――――――――――◎
次男・ハーフムーン、特に個性は無いが軽いEGで攻守も硬いパンクロッカーユニットを出す。同じくユニットで固められた綾乃に1VS1で勝負に出る模様。
そして片方はクレセントと桜、片やクレセントは長男から授けられた四体のトークンユニットがいる。襲撃の予感……!
「よーしトークン共、総攻撃だあ!! ヒャッハァァァァァァ!!!!」
クレセント、女性ピアニストの風情面目総崩れ……
「迎撃します! 《カウンターナイト》《太陽の騎士》でトークンをブロック、そしてカードを――」
「無駄無駄ぁ!! 『カウンター・レスポンス』!!!」
最早ジャズピアニストからパンクに変わってしまったクレセントに止める者なし。こりゃ彼氏は出来んわ……と言わせる間もなく、ブレスで『カウンター・レスポンス』の起動ボタンを押してからその隙にカードスキャン!
『アクションカード、【スタン・チェーン】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【スタン・チェーン】EG:③
属性:黄
・効果:相手プレイヤー1人を対象にする。
対象プレイヤーは10秒間[行動不能]となる。
◎――――――――――――――――――◎
「く……!?」
強固な鎖、《スタン・チェーン》がカードを仕掛けようとした桜の身体にギチギチと縛り付ける。[行動不能]とは攻撃もカード発動も出来ない状態異常を言う。
触手プレイの次は束縛か!と性癖捻じ曲げ行為はさて置いて、事前に桜の二体のユニットにブロックコマンドを起動させてトークン二体は防げるが、残り四体のうち二体は攻撃が通ってしまう。そして与えられるダメージは200、ジャストキル……!
(だ、駄目……動けない――!!)
万事休す、桜もこれまでかと思ったその時!
「待った待ったァァァ! 切り札騎士のお通りだいッッ!!」
◎――――――――――――――――――◎
・【プロテクトコマンド】発動!
《バリトン・トークン》四体の攻撃対象を
クロノ・チェリー(桜)からエース(剣)に
変更しました!
◎――――――――――――――――――◎
「つ、剣さん……!!」
剣から受けた恩は必ず返す。騎士道よろしく誠実な信念を持つ剣が、桜に恩返しの【プロテクトコマンド】炸裂! 小柄な雑兵は剣にとっては軽いもの!
「あらら〜メイドちゃん相手に何を張り切っちゃって。ナイト様気取り?」
「俺ぁジョブから根っからの『ナイト』じゃアホ!」
「あっそ、でも戦ってるのは貴方だけじゃないわよ!」
その御方こそ他ならぬ、後方で出方を構えていたフルムーン!
『カスタム・ツールカード、【ビッグベースシールド】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ビッグベースシールド】EG:③
AP:800
属性:黒 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『黄昏のブルース』EG:③
・ユニットまたはプレイヤーを対象にし、
5秒間[行動不能]にする。
◎――――――――――――――――――◎
キンッと硬い衝撃音で剣の《ファイティングブレード》を弾き、怯んだ隙に奏でるウッドベース型盾の哀愁メロディー!
「必殺コマンド『黄昏のブルース』……!」
ウッドベース盾の8ビートがまるで酒場のメランコリーな夜を思わす音を響かせる。剣はこの大人びた音楽に酔いしれているうちにフルムーンは再び攻撃コマンドを下す。
「ミュージックソルジャー《バス》・《ソプラノ》で、時実桜にアタック!!」
「ヤベッ! このままじゃ桜が……!!」
再び桜に襲いかかるジャストキルの魔! だが壮行しているうちに彼女を縛っていた《スタン・チェーン》の効力は消えた!
「剣さんの助力に感謝します。この時実桜、束縛と触手での屈辱は倍にして返して差し上げますわ!!」
ここまでやられては立海の侍女の名が廃る! 桜渾身のカードスキャン!!
『カスタム・ツールカード、【シルバーナイフ】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【シルバーナイフ】EG:②
AP:100 PP:20
属性:無 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『アサシンスティング』EG:③
プレイヤーまたはユニット1体に、
200ダメージまたは即死ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
そして音もなく忍び寄る桜の突入に目を凝らす隙を見せず、銀の刃をユニットに向ける。
「――――『アサシンスティング』!!」
――ドスッ……!!
立海に忍ぶ無法者を情け無用に刺す暗殺術、それにも長けた桜の情け無用の仕置技2連発。二体のミュージックソルジャー《ソプラノ》はドオッと倒れ、《バス》は運悪く即死ダメージで墓地送り。そしてもう一つ桜の刃が光る!
『アクションカード、【ブレードレイン】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【ブレードレイン】EG:①
属性:黄
・効果:相手フィールドのユニット及び
マテリアル全てに100ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
「《バリトン・トークン》には、私の刃の雨を受けてみなさい!!」
前方に刃なら上からも刃! メイドを怒らせれば切り傷だけでは済まないという警告か、血も涙も流し朽ちて《バリトン・トークン》も全滅だ!
おおっ、これで桜も剣も無傷で済んだ。これぞ侍女と騎士の守り守られ絆のファインプレイ。音楽ユニット等恐れるに足らず!!
「やるやんか桜! 俺が心配するまでも無かったか?」
「いいえ、剣さんが庇わなければ私も危ないところでした。ありがとうございます」
それを見兼ねて襲撃を未遂で終わらせたフルムーンも呟く。
(……やはり、切り札騎士は仲間にも可能性をもたらす力があると見た。共に戦う者に敵味方は関係無いという訳か……!)
いきなり泊熱の攻防戦に読む者を酔いしれ、字数も増えていく。
惜しいところですが一旦読み終えて、次回に引き継ぎましょう!
――本日のゲーム、これまでッッ!!




