【GAME3-2】眠れるゲームを揺り起こせ!!
――TIPS――
【『PAS』と『プレイヤースキル』の違い】
・『PAS』とはプレイヤー自身の個性で生み出した魂の形を意味する能力で覚醒したプレイヤーのみが使えて、ゲームの性質に合わせて臨機応変に繰り出せる「最後の切り札」。
ゲーム中に1回だけ使える。
・『プレイヤースキル』はゲームクリアやレベルアップでゲット出来る誰でも使えるゲームお助け能力。
予めゲーム前に使うスキルをセットして、最大3個までゲームに使うことが出来る。
これら2つの能力を駆使して、幾多のゲームをクリアしよう!
――幻の決闘場への道標、ゲームワールドに眠る8つのオーブを探しゲームに挑む剣達。一足先に一つ目のオーブを手に入れたライバルに遅れまいと負けじと闘志を燃やす剣、槍一郎、みのり、レミだったが……
そんな中で他の三人は何故GWクエストを挑むことになったのか――?
剣がチェッカーに挑んでいる時間まで、ちょっとだけ遡って観てみよう。
▶▶▶ WAITING... RETURN BACK!▽
――テーブルトップシティ・南西部。つまり剣達四人が向かった場所とは反対側。そこでシャッフルオールスターズの他のメンバーがしらみ潰しに探索を続けていた。
『魔法使い』ジョブの穂香と、『モンク』即ち格闘家の豪樹。豪樹のが上で9つも年の差もあるが二人ともトップクラスの実力を持つプレイヤーだ。
「豪樹さんどうですか? 何か情報は掴めました?」
「いやアカンねん。掲示板とか覗いてみたけど核心づいた情報も一つもありゃせぇへん。他のプレイヤーからも話聞いてみたんやが、返ってくるのは『知らん』の一言や」
豪樹はゴツい両手を上げてお手上げの様子。オプションで教えられる情報と言っても設置されたゲームの攻略やカードの事ばかり。
「穂香ちゃんはどうや?」
「私も同じですよ……あ、そう言えば倭刀は?」
「あぁアイツなら、ヨットやってるわな」
「――――ヨット?」
恐らく読者の皆様も何を可笑しな事を言ってるのだと思うでしょう。『ヨット』と言っても帆を上げる方のヤツの事ではござんせん。
「ダイス・ロール!!」
威勢の良い掛け声が丁度遠方から二人の耳に入り、そのテーブルの元へ駆け寄った所……やっぱり居ました!
呑気にダイスゲーム『ヨット』で遊んでる倭刀が!!
サイコロを使って遊ぶダイスゲーム『ヨット』(またはヤッツィー)は、5つのサイコロの出た目から成る役を作って、その役の点数の合計を競うゲームなのだ。簡単に言うならば、サイコロ版ポーカーと言ったところでしょうか?
倭刀は相手プレイヤーに40点以上も差を付けられた劣勢状態。これを突破するには次のターンで、サイコロ5つ全ての目が同じの時に出る役『ヨット』を目指さなければいけない。
「よっしゃ、行くでぇ~!!」
と気合十分にダイスを振ろうとしたが、
「倭刀ッ!!」
「ふぁッッ!!?」
慌ててガクッと体勢を崩した倭刀は振り返って、近くに穂香と豪樹が居たことをようやく気付いた。
「何や穂香姉ちゃんか……どないしたん?」
「『どないしたん』じゃないわよ!」
「ワイら遊びに来たんとちゃうねんぞ! オーブの情報を探すんやろ?」
倭刀の勝手な行動に若干お二方は御冠だ。
「いや、分かってる分かってますってば……今ケリ付けますさかいちょっと待ってくださいよ! ――ダイス・ロール!!」
コールと同時にボタンを作動し、深紅のマットからジャンプするように5つのサイコロが天を舞った! そして……
「ブレード流遊奥義・『龍我一閃』!!!」
いざとなったら魂を込めろ! 橙色の刀の形をしたPASの波動を右手に宿し、空中のサイコロ達を波動一突きでピシィッ!と一直線上に並び、そのままマットに落下した。その目の役は……?
「……全て『1』、役は【ヨット】だ!!!」
PASの能力で出た目がオール1! 学校成績なら最悪だが、ヨットなら最強の役。見事に50点獲得の大逆転だ!!
「ひえぇ! 御手上げだぁ!!」
これには相手プレイヤーの一般的両腕を上げて降参の合図。よって倭刀の勝利だ!
◇――――――――――――――――――◇
・決闘勝利により 経験値200 獲得!
・勝利賞金&得点加算により 25600円 獲得!
クサナギは LEVEL4 にレベルアップしました!!
◇――――――――――――――――――◇
しっかりと倭刀のプレイギアから通知と報酬を頂いた。特に注目すべきは賞金、二万円以上は小遣いでも貰えないものだから彼もウハウハ気分だ。
(……アイツ、金儲けの為にゲームしとったんか?)
残念ながらそうらしいですね……ご、覧なさい彼の金に焦がれたギラギラな目付き!
「ニシシシシ……これでヨット達成で5000円ボーナスだから飯代ガッポリ頂いたぜ、儲け儲け!」
主人公側のメンバーとは思えないほどの守銭奴ですね……
(あの子孤児だったから自立して生きるためとはいえ、倭刀にお金の大切さを教えたのがいけなかったのかしら……)
今更ながら面倒を見てきた穂香お姉ちゃんの後悔が目に染みるのだった。
「……あ、そうだ! 実は姉ちゃんと豪樹さんに頼みたいことがあったんだった!!」
金稼ぎにゲームしときながら今度は二人に頼み事ですか。
「何や? ギャンブル必勝の手助けなら御断りやぞ」
「いやいやそうじゃなくて! 実は何かの手掛かりになるかなって『GWクエスト』を要請したんすよ! それを2人に手伝いとうて……」
「……GWクエスト?」
えー、そこは私が説明しましょう!
――『GWクエスト』とは、ゲームワールド内にて設置されている【NPC】ことノンプレイヤーキャラクターの頼み事や事件を、プレイヤーの力で手助けをするサブイベントの事を言います。
レベル毎に難易度の異なるクエストが続々掲示され、プレイギア等で依頼要請をした後に依頼人の元で承認を得るとクエストスタート。クエストの条件を達し、依頼人に報告をした所でクリアとなる。
早い話がGWクエストは素敵な報酬が貰えるアルバイト、御奉仕が幸運を呼ぶ素晴らしいシステムなのだ!
そして選んだのが前回でも表示の『幻のゲームを復活させる』というファンタジーなクエストという訳。賞金3万円とか何気に大金なクエストなのでした。
「これとオーブと、何か関係があるの倭刀?」
流石に穂香お姉ちゃんは指摘が鋭い。だが弟分の倭刀にも考えがあった。
「ほらRPGって人との助け合いがストーリーの意外な筋を引くことってあるやんか? だからゲームワールドのNPCの話やお願いを聞いてあげたらオーブの手掛かりも見つかるかなーってさ」
確かに、RPGは人の話を聞いて助け合ってなんぼのゲームですからね。その理屈は間違ってはいません。
「何や倭刀もそれなりに考えとったんか。てっきりワイは報酬に目ぇ眩んだんかと思うたよ!」
「まさか! 俺だってやることはやりますよ」
何て最もらしい事を言ってるけど、倭刀の本心は……
(ここまで言っちゃ、今更報酬の3万円とカードに目が眩んだなんて言えやしねぇよ……)
賞金絡んでるだけあって、ホントに現金な御方。
▶▶▶ NEXT▽
――何はともあれまずは依頼人に会わないと始まらない。テーブルトップシティの南西部の住宅街に住む『イワン』さんの元へ。
「おお、君達がこの依頼を引き受けてくれるんか! じゃ例の封印されたゲームの場所へ案内するから付いてきなんせぇ……」
ちょっと訛ってますが、このお方はゲームワールド側の住民でNPCのおじいちゃん。そんな彼に連れられて向かった先は、深い洞穴だった。
「ここは『古の遊戯洞穴』じゃ。この中にゲームを復活させるために必要なパーツが眠っておる! それを全て探して戻ってきんしゃい!!」
その洞穴は奥を覗いてみると、真っ暗な闇の世界。何しろ地下10階のダンジョンともいうべき名所でもあるからだ。ドラ◯エで言うならばガラ◯の墓に入るくらいの覚悟と、松明が必須であろう。
「まぁ今更後戻りする気も無いし、ここでやらにゃ侍が廃るぜ。俺はやったる!」
侍アバターの倭刀は敢然と洞穴に進む決意を固めた! そりゃそうだ、何故なら賞金とカードが待っているからだ!!
(要らんことゆーな)
「……分かったわ、お姉ちゃんも一緒に行く!」
「無論ワイもや、洞穴探検も男のロマンってヤツやからな!」
穂香も豪樹も同意したところで、三人で洞穴の中へと入り込んだ……!
「頼んだべ~~!!」
▶▶▶ AND NOW...▽
――と、こんな感じで洞穴探索によって現在進行形で時が流れた訳。さて今現在倭刀達はどんな感じかというと……?
{古の遊戯洞穴 地下3階}
「――――宝の山なんかに釣られるんじゃなかったこんちくしょう!!」
◎――――――――――――――――――◎
・【モンスターハウス】だ!!
モンスター合計50匹の群れが現れた!!
◎――――――――――――――――――◎
何処の『不思議のダ◯ジョン』ですか!!?
いきなし3人大ピンチ! 逃れる為のチャンスは『アメイジング』しかない!! しかし丁度読み終わりとなりまして本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
【ここぞに使えるゲーム豆知識】
『ヨット』は1954年にカナダ人の熱々カップルが『ヨットゲーム』の名称で考案したのが始まりなんだよ!
これは彼らが友人とヨットの上でサイコロ転がして遊んだことによるらしい。
ヨットでデート中にゲームを考えるとは、このリア充め!!




