【GAME28-4】立ちはだかるジャズトリオ・ゲーム戦士!!
――TIPS――
【ゲーム戦士・プロフィール】
・弥風綾乃(17)
宮城県仙台市青葉区出身。シャッフルの大森穂香同様、プレイヤー討伐を専門とする『パニッシャープレイヤー』の資格を持つゲーム戦士。
性格は至って真面目だが、若干小心者で打算的に判断する故に自分の実力に自信を持てないジレンマがある。
――青緑の巫女装束を纏いし召喚師、時空を司る侍女、そして切り札騎士と三人のゲーム戦士が、気配も音も無いはずの『リロード樹海』から微かに聞こえた8ビートミュージック、即ちジャズセッションの音を拾った。
怪しさ並びに警戒も強まる中、三人は何か樹海脱出への手がかりが見つかるだろうと踏み、その音の元へと向かう事になった。
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――険しい樹海の標高高低乗り越えて、ジャズミュージックの音の強まる方へと向かった三人が辿り着いたのは、何と樹海の中をくり抜いて建てられた小さな町であった。
リロード樹海に位置する町の中には、そこから隣接する『アドベンチャーフォレスト』まで続く湖の河口があり、その湖と樹海の大いなる自然の恩恵によって町が成り立っているんだとか。
その町並みのエリア名【リロードバックリバー・タウン】と呼ばれている。
アメリカのアップタウンを思わせる散々とした町並みには、何とプレイヤーよりかはユニットが多く居住している。
というのもゲームワールド黎明期において、一部の愚かなプレイヤー達によって自由気ままに生きるユニット達を奴隷に使っていた忌まわしき過去がありました。
だがそれもWGCによって奴隷は開放され、その喜びを謳う為にゲームワールドでも音楽の文化が栄え、その発祥となったのが『リロードバックリバー・タウン』なのです。
……こう聞いてみるとあのジャズの発祥・ニューオーリンズと被る所が多々ありますが、それは偶然に過ぎず、現実と仮想は紙一重になる事もあるのです。悪しからず。
そして今この町、アップタウンにて現実世界の音楽の文化を継承しようとする、三人のジャズセッショントリオが演奏していました!
――赤のスーツで軽やかにサックスを吹き鳴らす次男・ハーフムーン。
――黄色のドレスでグランドピアノを奏でる末女・クレセント。
――そして青の背広で力強く8ビートのテンポでウッドベースを弾く長男・フルムーン。
三つの月で合わさったジャズセッションで、優雅に奏でるプロジャズバンドトリオ! 人呼んで【MOON RIVER BAND】、通称『MRB』で名高きゲーム戦士達なのだ!!
そして長男のフルムーンが8ビートのテンポを崩さずして、弾きながら何者かの気配を感じ取っていた……!
(…………来たか、私達の対戦相手が――!)
その対戦相手とは他ならぬ。時実桜、弥風綾乃、そして桐山剣!
「驚いたなぁ……あの樹海から抜けて、こんな小さい町があったとは」
リロードバックリバー・タウンに辿り着いた三人。ただ町並みあれどユニットや人の姿は見当たらず、殺風景な風景にポツンと存在を現したのは、ムーンリバーバンドの三人衆。
そこでセッションを中断し、剣に面を向けて長男直々に挨拶を交わす。
「『リロードバックリバー・タウン』にようこそ、迷えるゲーム戦士達。我々の演奏に誘われたようで……」
ここはプロらしく、客をもてなすように律儀に礼を交わす長男・フルムーン。
「貴方が桐山剣ね。……アーサー王のアバターでイケメンってのは噂通りだけど、正直あたしのタイプじゃないわねー」
対して長男よりも、外見批判で礼儀知らずな末っ子のクレセント。初対面早々に合コンに来たギャルのような評価が飛び出た。
「フン、硬派すぎるぜ。時代に乗り遅れてるようなセンスじゃロクに女にモテなさそうだし、人気も無さそうだな」
いや、初登場のアンタに言われたかないよ!と言ってしまいそうになる程、人気に自信過剰な次男はハーフムーン。
以上この三名でお送り致します……と自己紹介するには、個性バラバラで聴くこっちが不安になりそうだ。
「あっ、あの人達知ってる! よく仙台のジャズフェスティバルで注目されてる『ムーンリバーバンド』ですよ!!」
「噂は重々聞いておりますわ。何でも山梨県出身の名高ジャズバンドから派生された三兄弟バンドで、数多くの賞を獲得した程のプロセンス持ちのトリオであると」
どうやら綾乃と桜はこのトリオを存じていたようですが、対して剣は何が何だか分からない。
しかし宮城に山梨と、全国津々浦々に意外な才能を持ったゲーム戦士が、我々の知らない所で活躍してるんですね〜。
「……ってちょっと待て、何で三人も来てんだよ聞いてないぞ!」
「そうよ卑怯よ!」
「いや、お前らも三人だろうが!!!!」
置いてけぼりを食らうかとマイペースなハーフムーンとクレセントに食らいつく剣。主人公だけに空気は御免のようだ。
「……こんな弟と妹の無礼に気を害された事をお詫び申しあげます。ハーフムーン、クレセント、落ち着いて別レパートリーでいこう」
「別レパ? 『ラプソディ・イン・ブルー』弾くの?」
「違う、演奏じゃない方」
何やら話が違うやら別レパやらで揉めてるようですが、なんの事かさっぱりな剣達。そこで綾乃が思い切って問い掛けた。
「あ、あの……私達演奏聞きに来たんじゃなくて、リロード樹海を抜ける方法を知りたいんです!」
「要は早う仲間の元に帰りてぇの、綾乃も俺もな」
とお願いをする剣と綾乃に対して、フルムーンは……
「なる程。それなら容易い事ですが……条件が一つあります」
「桐山剣とその仲間達とやら! あたし達と決闘して勝ったら樹海を通してあげるわ!!」
「何……!?」
何と剣達の願い構わず、決闘申し込みと戦々恐々の構えで三人の前に立ちはだかったムーンリバーバンド!
「下手するとまた字数多くなるから単刀直入に言うけど、俺たちはお前の実力を試す為に、WGCに雇われた刺客プレイヤーって訳だ!!」
メタい発言はさておいて、立海内で暗示していた通りの展開が起きた。
WGCのトップである本宮社長が、シャッフルオールスターズのリーダーである剣の実力を試す為にこの町でMRBを待ち構えさせていたのだ!
となるとあのワープホールの発生はアクシデントではなく、意図的なものと考えてもおかしくはない。
「ここから出たければあたし達三人と決闘しなさい! ただし負けたらこのリロードバックリバー・タウンから二度と帰さないわよ!!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!! 桐山さんはともかく、私は無関係ですよ!? そんなの困ります!!」
「いやそんな言われても、演奏も決闘も無しで冷やかし半分で帰されてもこっちが不利益生むじゃん」
「そんなぁ〜〜!!」
彼女の説得に全く耳を貸さないWGCの皆さん、誠に御可哀想なのは剣の試練のとばっちりを受けた綾乃さんでありました。
「仕方がありません。残念ですが、決闘を挑む他選択肢は無さそうですわ」
「でも……早くここを脱出しないと大事なミッションが――」
「だったら、俺たちが勝てば良い話だぜ? WGC直々に力比べたぁ俺の腕も鳴るってもんや。早くみのりの顔も見てぇしな!!」
三人相手でも臆せず、決闘とならば真っ向で受けて立つのが赤い魂の熱血漢、桐山剣。桜も同じく戦闘態勢に入ろうとしている。
(……そうよね、私にはシャッフルのエースと立海のナンバー2もいる。三人一緒なら、私だって――!!)
そして綾乃も二人の意気込みに押されて戦う姿勢を固めた。宮城を代表する強豪ゲームチーム『瑞鳳旋風堂』のパニッシャープレイヤーの実力や如何に。
しかし、アメイジングに挑もうにも今まで3VS3の形式はやった事がない。だがどう決着を付けるかと思うのも杞憂な程にその点のルールも抜かりは無かった。
「3VS3のアメイジングルール、確かに実装されております。寧ろ私達トリオバンドの為にあると言っても過言では無いでしょう。
――マルチチームバトルルール【アメイジング・3 on 3モード】で雌雄を決しましょう!!!」
――長男・フルムーンの口から出たアメイジングのスペシャルルール!
3on3とはまたバスケみたいな感じを醸し出していますが、果たしてそのルールの詳細や如何に……と行ったところで一旦読み終わりとさせて頂きます。(ホントに字数長くなるし)
次回はルール解説からの決闘開始! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




