【GAME27-7】ゲーム戦士の個性!!
――戦い終わって、再び静けさを取り戻し神秘の雰囲気に包まれた『ミステリールインズ』の遺跡群。
この遺跡の最深部にて、傷ついた身体を癒やしつつ健闘を称えるゲーム戦士が二人。
みのりとレミ、特にレミは自分の可能性を再認識した価値あるゲームとなった。
それをフォローした親友のみのりには感謝感激雨あられ、愛を確かめ合う一方的な抱擁……要するにレミがイチャイチャしたがってるだけの話だが。
「あ〜んみのりちゃん大好き〜〜♡♡」
(嬉しいのは分かるけど……ちょっと鬱陶しいな……)
とかくレミが元気になって何よりだが、自信を取り戻した反面元気になりすぎて、終始むぎゅーやら顔すりすりやらしてきて若干タジタジのみのり。まぁ満更では無さそうですけど。
対してみのりは何をしているかと言うと、決闘相手のユニット『ジョロキア・スパイダー』を、回復カード等を使って手当している所。
やはり対戦相手とはいえ、正々堂々誠意を持って相手をしてくれたユニットには手厚く礼を返すもの。情けは情けを持って返すのがゲーム戦士の礼儀なのであります。と言ってる側から……
「ん……うぅ……」
「あ、意識戻ったわ」
ユニットとはいえ、彼女もまたゲームワールドに生きとし生けるもの。ジョロキアはみのりの手当のお陰で、決闘で受けた傷も痛みも消え、半ば驚きながらも彼女らがやってくれた事をすぐに察した。
「……良いの? あんなに二人を痛ぶったボスキャラに手当なんてしちゃって」
「それはゲームでの話でしょ? 貴方はただ私達プレイヤーを阻む壁として正々堂々と戦っただけ。友達が怪我したら助けるのは当たり前よ」
みのりの懐の大きさにジョロキアは一驚した。プレイヤーとは常に報酬目当てで自分勝手な輩だと思いこんでいた彼女は、この上ない優しさに戸惑いながらも表情は一瞬綻んだ。
「……フフフッ、優しいなぁ二人共。こんな気持ち悪い蜘蛛のユニットなんかでも友達って言ってくれるなんて」
「気持ち悪い? とんでもない! 貴方はあたしの心の恩人……いや心の恩ユニットよ。自分が何をするべきかはっきりさせてくれたんだもの!」
意外にもジョロキアの自虐を否定したのは、蜘蛛が苦手な筈のレミであった。
散々煽られ、トラウマを指摘してきた彼女だが結果的にはレミを成長させる起因となった。その事をレミはちゃんと分かっていたのだった。
「……あんた、見かけ以上に素直なのね。さっきまで蜘蛛の巣すらビビってたのに……気に入ったわ! ちょっと二人共私に付いてきて。ゲームの勝者にはちゃんと報酬をあげなくちゃ」
ユニットの生命力は凄まじい。決闘で腹に風穴を開けられた程の重症だったにも関わらず、手当一つであっという間に五体満足に動けるようになったジョロキア。
彼女のか細い手でおいでおいでしながらみのりとレミを連れてきたのは、最深部の更に奥に位置する秘密の部屋。
そこには独特な形をした古代文字が壁際にぎっしりと刻まれていた。ポケ◯ンの点字遺跡並にミステリックだ。
「ここはミステリールインズのみに刻まれた、ゲームワールドの歴史・秘密を記録した日記みたいな部屋だよ。二人がこの異世界で冒険するんだったら、写メでも記録でもして何かの時に使って欲しいな」
写メって言い方はちょっと現代的ですな、遺跡の中なのに。いや疑問に思う所はそこではない。
「記録って言ったって……こんなエンブレムデザインみたいな文字なんかあたしでも読めないわよ?」
「ジョロキアは読めるの?」
「全然。でもこーゆーのは記録して損は無いと思うよ。RPGみたいに意外な所で役に立ったりするし、これはゲームに勝たないと見れない場所だから尚更だよ」
「……確かに」
RPG好きなみのりは否応無しに納得せざるを得なかった。住民もといユニットの話は意外なヒントになる事を知っていたからである。
さっそく二人はプレイギアで、刻まれた古代文字を部屋全体に撮って保存したのでした。
「……これでよしっと。で、もうこれで報酬は終わり?」
「まさか! もう一つとっておきを用意してるよ」
「なになに?」
『勿体ぶらないで教えてよ!』と眼で訴えるレミに、ジョロキアは指す指を自分の方に向けた。
「……わ・た・し! この《ジョロキア・スパイダー》がユニットカードになって、あんたの力になるよレミちゃん!」
「えぇ〜!!?」
どうやらこのゲーム、謎解きを突破して倒した遺跡のボスキャラがカードになって仲間になるのが報酬だったようですね。
そうとは知らなかったレミは、呆気に取られてどーしたものか状態だ。
「……むっ、もしかして私じゃ役不足?」
レミの戸惑った反応に若干ムスッとしているジョロキアさん。
「いやそうじゃないけど……あたしでいいの? ほらみのりちゃんも居るんだし……」
「いいの! 私はレミちゃんを御主人にしたいの!!」
謙遜するレミに対しそれでもパートナーは彼女だと主張するジョロキア。それにはちゃんとした訳があった。
「ほらプレイヤーってさ、人の個性を割り振ってそれぞれ役割ってのがあるじゃない。猪突猛進に攻撃に専念する奴とか、みのりちゃんみたいにガードを固めて味方を守ろうとする戦い方とか」
「う、うん……」
「私戦ってみて分かっちゃった。レミちゃんの場合はそのどっちでも無くて、『臨機応変に戦い方を変える』タイプなんだって! 道具と調合の力が予想を遥かに超える可能性を生み出してるんだって!!」
ゲーム戦士の可能性に惚れ込んだジョロキアの眼は輝いていた。
――ゲームをやる上では自分の個性と照らし合わせて、それぞれの向き不向きが決まると言われているが、己の行動選択の一つ一つをカードに例える時、どんなカードを出すかによって人の個性は固まっていくという。
レミにはその幅が平均以上に広い。道具カードを駆使するプレイングもまた、ゲーム戦士故の境地だから出来た事なのかもしれませんね。
「私は蜘蛛糸を出すくらいしか出来ないけど……レミちゃんならそれを最大限に活用してくれると思う。自分の『ブラックボックス』のPASで秘めたヒラメキの力を信じていれば……ね!」
「…………分かった! あたしがジョロキアを格好良く使いこなしてみせるわ! まっかせなさ〜い!!」
「やった! じゃブレスを私にかざして、契約して私がレミちゃんのユニットカードになるよ!」
ユニットを仲間にする為には、契約としてプレイヤーの配下に付く必要がある。その方法はプレイヤーのカードスキャンブレスの走行部分にある青色のコアをユニットにかざして、リンクさせれば良い。
レミのブレスのコアがジョロキアに向けられ、彼女も魔力を注入しリンク完了。契約を成立させた事によりジョロキアの身体が青白く光る!!
「――それじゃ、これからも宜しくねレミちゃん!!」
その直後、ジョロキアはブレスのコアの中に身体が吸い込まれ、カードの挿入口から1枚のカードが引き出されクリアーウィンドウも流れ出た。
◎――――――――――――――――――◎
・レーミィ(レミ)はアメイジングカード
《ジョロキア・スパイダー》を獲得しました!!
◎――――――――――――――――――◎
「……宜しく! ジョロキア!!」
みのりも両手を天に仰いで『やったー!!』のポーズ。レミはこのゲームで自分自身のアイデンティティを取り戻し、更には頼もしい仲間も加わった!
仲間とゲームの繋がりが彼女を大きく成長させていく。レミの進む道に振り返る暇はなし、次に彼女を待ち受けるゲームは一体何なのか。
それはまだ明日も分からぬ風便り。今後の活躍に御期待を――!
▶▶▶ NEXT▽
――――さて、余韻を浸る間もなく次なるゲームへと皆様を誘います!
その場所とは、大いなる森林エリア『アドベンチャー・フォレスト』から更に遥か北の無法地帯にして最深部【リロード樹海】!
というのも並大抵のプレイヤーをも跳ね除ける未知の地にて、なんの因果か迷い込んだ一人のゲーム戦士が次なる主役。つまり……
「もう分かってるやろ? 数話以上も放ったらかしにしやがって……ほんじゃ改めて。
―――――誰か助けてぇぇぇぇええええ!!!!」
はい、ご存知我らが桐山剣! 只今通信圏外で連絡も取れずに絶賛遭難中。
だがご安心を、そんな彼を救うべく期待大の助っ人が、密林上空の戦闘機を背にしてスカイダイビングしている所だ!
『――上空1200フィート、桐山剣現在地・北北西250メートル先の方向。時実桜、突入します!!』
何と剣の宿命のライバルチーム、立海遊戯戦団のメイド・時実桜が剣に恩返しをすべく駆けつけようとしていた!
という訳で次回より舞台はリロード樹海に移しまして、剣と桜との共同戦線で樹海脱出に向かうわけであります。―――そしてもう一人!
「あれぇ〜? プレイギア何処落としちゃったかな〜??」
リロード樹海のまた別の方向にて、緑の長い髪と神に使えし巫女の服で彷徨うゲーム戦士の姿が……!!
この新たなゲーム戦士の存在がどんな展開を魅せてくれますやら、それは次回のお楽しみに!
本日は【GAME27・畠田レミ、覚醒】を持ちまして、読み終わりで御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
リロード樹海にて、奇跡のコンビ結成!!
シャッフル・桐山剣と立海・時実桜が樹海脱出を目指す!
そして、新たなゲーム戦士も現れる……!!?
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