【GAME26-4】蜘蛛の巣張りの遺跡ダンジョン!!
―TIPS――
【ミステリールインズ①】
『アドベンチャーフォレスト』の大森林を北西へ進んだ境地に位置する古代遺跡エリア。
緑々しい草原に忽然と建っている古代文明の遺跡の数々。建物の中はダンジョンになっており、そこに仕組まれた謎を解きながら脱出するのが目的のゲームが用意されている。
――ここはゲームワールド、大森林の中にポツンと建った古代遺跡らが並ぶ秘境の地。謎解きの遺跡エリア『ミステリールインズ』。
電脳世界の空間で何故に古びた風格を醸し出しながら、訪れたプレイヤー達を招いてくるアンコールワットも真っ青の神秘の遺跡群。
今にも風化しそうな土色の建物にはどんな秘密が待ち受けているのでしょうか?
行きはよいよい、帰りは怖い。謎解きダンジョン、通りゃんせ〜帰りゃんせ〜♪
「歌ってる場合じゃないつの。――それよりもみのりちゃん、こんなダンジョンなんか入って何をしようっていうの……?」
「私と剣くんはオーブ探しの序でに新型カード召喚機の在り処を探してるの。
この遺跡も怪しいと睨んだんだけど、この遺跡エリアのダンジョンも踏破すればレアなアイテムとか貰えるって噂だし、手に入ったらレミちゃんにプレゼントしようと思うの。だから一緒に行きましょうよ! ね、ね?」
「そんなに言うなら……仕方ないなぁ」
――どうやら今回のみのりはかなり押しが強いようで。
何しろ陽気なお転婆娘で有名なレミが、念仏唱えるように意気消沈してるのを観てしまっては、黙って見過ごす訳にはいかない。
何としてでも元気を取り戻さんと、果敢にダンジョンへと向かう。
……さて、ミステリールインズでは小柄ながらも無数の遺跡が存在する。その数だけプレイヤーには未知のダンジョンゲームが待ち受けているが、その詳細はその中に入ってみないと分からない。
いや、強いて言うなら遺跡の扉に書かれた絵がそのダンジョンのヒントとなっている。
「んー……これ、“蜘蛛の巣”の絵よね?」
「うん、蜘蛛の巣だね」
石のように強固な扉中央に刻まれたアミダ模様の蜘蛛の巣。これをヒントにダンジョンゲームが形成されていると見るが、中々イメージが思いつかない二人。
「蜘蛛の巣の上に乗ってあみだくじ〜♪とかやるのかな」
「まっさかぁ! ……でもそう言われるとマジかも分からないわね」
入口前で各々が思いつくダンジョンのイメージを語らうもこのままでは進まない。危険の予知は己の勘で確かめつつも、特に嫌な予感はしないと判断した二人の覚悟は決まった。
「えぇい、こうなったらこのダンジョンから踏破してやるわ! どっからでも掛かってきなさ〜い!!」
「おー! その粋だよレミちゃんっ!!」
ゲームを前にしてはクリアせずには要られない。そんなゲーム戦士の性を騒がせつつ、二人は重い遺跡の扉を力一杯開いた!
「「よいしょっと!! ――うわああぁぁぁぁ……!!」」
禁断の遺跡の扉が開いた瞬間、遺跡の中に閉じ込められていた真っ暗な闇がみのりとレミを吸い込んで、未知のダンジョンへと誘われた!
このダンジョン、踏破かリタイアするまでは再びその扉が開かれる事は無い……!!
▶▶▶ NEXT▽
「……はぁ〜、とうとう始まっちゃった〜」
「もうこれで後戻りは出来なくなったよレミちゃん、張り切って頑張りましょ!」
薄暗がりの遺跡に閉じ込められたみのりとレミ。壁に掛けられた松明の炎のみが道標となるダンジョン。
中には石柱が行く手を阻み、周りが見えない中の何処かに謎解き要素の仕掛けも詰まっている。
言うなればこのゲームはリアルな『ゼル◯の伝説』。知恵と装備されたカードデッキを用いて踏破出来るのか。
「うっ、何これ!?」
レミの顔に粘着力の強い何かがへばりついたようだ。それを手で拭って確認してみると、
「何よ〜蜘蛛の巣じゃない! 気色悪いなぁ!!」
「ここだけじゃないよ、辺り一面蜘蛛の巣だらけだよ」
レミは巣を取るだけでも蜘蛛に苦手意識を持っている様子だが、意外にもみのりは蜘蛛とかは平気のようですね?
「うん、だって蜘蛛さんって家の害虫食べてくれるでしょ?」
「えぇ!? みのりちゃん蜘蛛平気なの? 嫌よあんな八本足でカサカサやってんの、気持ち悪いわ!!」
『―――ちょっとアンタ失礼しちゃうわ、蜘蛛だって生きてるのよ?』
「「!?」」
突然ダンジョンの個室の何処からか、みのりでもレミでもない声が聞こえた。そして微かに気配も感じている。前でも後ろでも横でもない……いや、天井だ!!
「危ないッッ!!」
みのりはいち早く危険を察知しレミを突き飛ばす。その直後に天井から急降下した何者かの襲撃を間一髪交わした!
『ありゃりゃ逃げられちゃった。久方の来客にしちゃ良い瞬発力してるじゃない!』
天井から糸を伝って降りてきたのはなんと銀髪のショートボブ、黒の長袖に黄色のワンピースを着た少女であった!!
「あ、アンタ誰よ? 蜘蛛の糸なんかで襲っちゃって、スパイダーマン!?」
「私はそんな正義のヒーローじゃないよ、女だし。私はこの“蜘蛛の巣張りダンジョン”を縄張りにしている『ジョロキア・スパイダー』っていう女郎蜘蛛のユニットだよ」
「「ユニット!?」」
何とこのダンジョンは野良のユニットが住処にしている場所だったとは。
しかも言葉を喋るユニットは前回槍一郎と戦ったブリザードクイーンと同じく、並大抵よりも知能の高いユニットと見たり。
「まぁここはプレイヤーを試す為の領域だから無断で入り込むのは仕方ないけど、ちょっと警告代わりに脅かしてやったんだ。生半可な実力かどうか試したくってね!」
「な、何ですって!?」
これにはレミも聞き捨てならないと怒ってジョロキアに反論する。
「ちょっとアンタ! 生半可って小馬鹿にしてるでしょうけど、あたしはこう見えてもテトリスで殿堂入りを取るほどの実力だからね!! 舐めないで頂戴!!」
「へぇ、そりゃスゴイね! でもそれだけでやっていけるのかな。パズルだけしか取り柄がないって、本心思ってたりして?」
(うっ――!!?)
ジョロキアにレミの本心を見透かされた事で動揺を買ったレミ。更にジョロキアは畳み掛けるように二人に宣告した。
「まぁ私にとっては貴方達は久々の遊び相手だ! 思う存分このダンジョンで迷わせてあげるから覚悟しなさい。私は最深部で待ってるから、頑張ってね〜☆」
「あっ、待ちなさい!!」
迷えるゲーム戦士を弄ぶかのように存分に煽ったジョロキアはご機嫌で天井の蜘蛛糸に捕まり、最深部へと逃げていった。これがレミの闘争本能を大いに着火させたのだった!
「んもーーあったま来た!!! 絶対このダンジョン踏破してやるんだから待ってろ蜘蛛女めーーー!!!!」
「ちょ、待ってよレミちゃん!!」
さっきまでしょぼくれていたレミは何処へ行ったやら。煽りに怒っていつものお転婆娘に元通り、これにはみのりも喜ぶべきか止めるべきか分からずじまいのどっち付かず。
ジョロキア・スパイダーの待つ最深部まで、辿り着けるかみのりとレミ! その続きはまた次回読み上げる事に致しましょう。
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




