【GAME26-1】討伐特捜作戦とワープホール！！

　

　――幾千のゲームと、幾多のゲーム戦士たちで繰り広げる極限の遊戯物語『ゲーム・ウォーリアー』！

　前回は天野槍一郎が、ゲームワールドの氷山にて繰り広げた雪女ブリザードクイーンとの決闘に辛勝し、試練の一環を乗り越えた。

　我々は今後の健闘を祈りながら、はてさて次のゲームは何処からやろうかとこの私Mr.G、首を傾げて現実・ゲームワールド両方の展開確認するならば……

　――よし決めた！ 【GAME23】にて現実世界・新世界で決闘を繰り広げた穂香と倭刀の名コンビから行ってみよう！！

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　――そうと決まれば善は急げ。現実世界に戻ってMr.Gは倭刀たちの元へ向かって辿り着いたのは、昼下りの大阪の浪速警察署。

　というのも、新世界で大暴れした裏プレイヤーの『キャノンボールの鉄』の逮捕に協力した穂香と倭刀は、ＷＧＣから討伐依頼を要請されている事から情報収集の意味も込みで聴取に協力する事になった。

「ねぇここカツ丼出ぇへんの？」

「バカね倭刀ったら！ 捕まって取り調べされない人にカツ丼なんて出るわけ無いでしょう？」

「だって死ぬ思いしてまで戦ってたら腹減っちゃってさ！」

　倭刀さん、警察署は定食屋じゃ無いですよ。

　警察署の個室にて机に座って待っている二人に、今回の事件に関連することになった白鳥美津子巡査見習いと、その上司が資料と何やらコンビニ袋も持ち込んで入室してきた。

「ごめんね遅くなっちゃった！ 資料集めるついでにコンビニ寄ってたの。倭刀くんお腹空いてるかなと思って、良かったら食べて！」

「わぁ牛乳にアンパン！ 張り込みで良くあるやつやん！！ ご馳走さんで〜す♪」

　もしかしたら穂香姉ちゃん以上に、気遣いが上手いと見た白鳥巡査。そして同じく入室してきた白鳥の上司も二人に挨拶する。

「良い子だろう？ まだ半人前だが気が十分利いてる。……おっと先ずは始めましてだな。――私がサイバー犯罪捜査官巡査部長の杉並守(すぎなみまもる)(36)だ。宜しく」

「あ、シャッフルオールスターズの大森穂香です……」

　貪欲にアンパンを喰らいつく倭刀を尻目に、杉並部長に丁寧に挨拶を交わす穂香。互いに椅子に座り資料を広げながら話を進めた。

「さて、君たちシャッフルオールスターズの活躍は我々も存じている。故にＷＧＣの本宮社長からの命で裏プレイヤーの討伐を頼まれた事も聞いてはいたが……その件の事で詳しく話を聞かせて貰えるかな？」

「はい、実は……」

　――穂香は以前自分が裏プレイヤー率いる“サザンクロス”の面々と対峙した事。

　槍一郎のオフィシャルプレイヤー試練出発の序でに、副管理者の鳳凰堂孔雀から貰った《裏プレイヤー・データ》カードを渡された事など、至る出来事を杉並部長に話した。

「そうか……という事は、ＷＧＣも本気で裏プレイヤーを潰しに掛かっているという解釈にもなるな」

「私や他の仲間も、裏プレイヤーの討伐に関しては殺生までするつもりは毛頭ありません。ただあの時の鳳凰堂さんの眼からは、とてつもない殺(・)気(・)を感じたんです」

『罪を憎んで人を憎まず』。穂香や倭刀が掲げる意を表す中で杉並部長、

「無論私たちも、君たちと同じ想いで裏プレイヤーの犯罪撲滅に全力を尽くす。彼らとて元は人の子、想いが通じれば改心だって不可能では無い。現に悔い改めた巡査見習いが目の前にいるしな、白鳥君？」

「部長！！ 一年前の話はもう良いでしょう！？」

　テロリストに騙されて、悪事に加担してしまった白鳥には耳が痛い冗談でありました。

「とにかく、我々は君たちの裏プレイヤー討伐に全力でサポートする。今は大阪付近にて確認された彼らの動向を纏めた資料しか出せないが……君たちの力にはなれるだろう」

　杉並部長と白鳥が持参してきたサイバー警察側の裏プレイヤーの資料。

　それと穂香たちが鳳凰堂から渡された《裏プレイヤー・データ》を元に照らし合わせた結果、一つの線が繋がった。

「『イプシロンのジーナ』……！？ 大阪をメインで活動してると言うの？」

「彼女を知ってるんですか？ 穂香さん」

「知ってるも何も……私が戦ったサザンクロスのプレイヤーが、彼女なんです！」

　時遡って【GAME15】、穂香とレミのタッグで工場エリア『パズルファクトリー』がサザンクロスに占領されたのを妨害しにやってきたのですが、そこで現れたのがコンバインカードで彼女らを苦しめたサザンクロスの幹部『イプシロンのジーナ』。

　惜しくも逃げられてしまったが、資料を探ってこの大阪で、悪事の限りを尽くしていたと知った穂香の顔が険しくなった。

「君たちが討伐した『キャノンボールの鉄』は、そのイプシロンのジーナの命で裏ゲームを引き起こしたグループの一人だったんだ。おそらく彼の他にも裏プレイヤーが居るその上に彼女が立っている。だが一向にその尻尾は掴めないままだ……」

「…………いいえ部長さん。必ず彼女は私達の前に現れます。彼女が最後に狙うのは、私なのですから――！」

　イプシロンのジーナとの決闘で決着を付けられなかった事が、後々別の機会で対峙することとなる。

　それを確信した穂香の心には、着々とその覚悟を固めつつあるのでした――！

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　……さて、穂香と倭刀の展開は一旦これくらいにして。

　変わって今度はゲームワールド・氷山エリア『アイスバーンマウンテン』の麓！

　……え？ 槍一郎はもうやったじゃないかって？ 何をおっしゃいますか、まだもう一組居るのを忘れてませんか？

「ふぃ〜！ 13面々でゲームオーバーだぜ」

「でも結構頑張ったよ私たち！ カードも集まったし、スコアも15万点行けば十分だよ」

　同じ氷山で『アイスクライマー』に挑んでいた剣とみのり。

　丁度ゲームは終わった所で、ボーナスステージで手に入れたアメイジングカードと、野菜から換算されたスコアを元に賞金も1500円ほど得られたようだ。

「結局オーブも新型のカード召喚機の手掛かりも無かったしな。今日は一旦引き上げようぜ」

　本来の目的には達成できなかったが、ゲームとあらば曇った心も晴れやかになる剣にとっては満足の域。

　一旦ログアウトして、現実世界に戻ろうとした……その時！！

「――！？ 剣くん、あ、あれ……！！」

「何やねんみのり、豆鉄砲食らったような顔しえ゛ぇぇええええ！！！？」

　突如白く曇った空から、ドス黒い渦を巻いた巨大なブラックホールが出現した事に驚く剣とみのり。

　それと同時に二人のプレイギアが、激しくバイブレーションしながら緊急アラートを知らせた。

　《アイスバーンマウンテンにて【ワープホール】接近！！ 近辺のプレイヤーは直ちに転送・ログアウトで避難を！》

「「ワープホール！！？」」

　ゲームワールドの壮大なオープンエリアは全てが安全な地である訳ではない。現実世界と同じく災害のように予期せぬ出来事はここでも存在する。

　その一環が【ワープホール】。凄まじい吸引エネルギーを持ったブラックホールに吸い込まれると、入所条件無視でランダムなエリアへと飛ばされてしまうのだ。

「やべぇぞ、俺らも急いで戻んないと！！」

　即座にプレイギアを開いてログアウト宜しく転送準備に入る二人。そ

　の間にワープホールの吸引エネルギーが増したかと思った刹那、剣の身体がフワッと浮かびそのままワープホールの中心へと吸い込まれていく！！

「……えっ！？ 剣くん！！」

「―――うわあああああああぁぁぁぁぁぁ！！！！！」

　ログアウトの準備が完了し一瞬安堵したのも束の間、一方の剣がワープホールに飲み込まれた事に驚愕するみのり。

　連れ戻そうにも既に時遅し、みのりの身体は瞬間移動の真っ最中。何も出来ぬまま、現実世界に戻されてしまいました。

　誰しも予期しなかった急なる展開で二人のバディが引き裂かれた緊急事態！ 剣とみのりの運命や如何に！？　――本日のゲーム、これまでッッ！！

　▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽