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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
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【GAME25-8】試練は尚も続く……!!

 

 ――ゲームワールドの氷山エリア『アイスバーンマウンテン』。

 現世か冥界か分からぬ白景色に踏み入れた者を凍り尽くす怨念の吹雪風、対するはその試練に抗い吹き荒れる太陽の陽に照らされた春の風。


 常冬の地はあれども“永遠の冬”などはありはしない。冬とは命耐え忍ぶ静の季節、それが過ぎれば命芽吹く暖かな風と太陽が春を運んでくるもの。

 そしてそれはアイスバーンマウンテンでの決闘とてもさも似たり。



 二人の風を司り、極寒の氷山で繰り広げられました雪女と天野槍一郎とで繰り広げたアメイジング決闘。

 結果は春一番、土壇場の大嵐を呼んだ槍一郎の勝利。


 そして風の便りに贈られた仲間のエールに押されての勝利。私も麓から避難してましたが、ようやくそれも収まっての帰還でございます。


 しかもそれがオフィシャルプレイヤー試練の一環であったというんですから、内心ホッとしたとか、やはりなと言うべきか迷う所ですが……戦い終えて雪の地で腰を下ろした槍一郎はブリザードクイーンにこう言った。


「……君はそれで良かったのかい?」

「何の話かしら?」


「電脳異世界で創られたユニットとはいえ、元はと言えばWGCの不祥事で起きた大凍結の被害者だ。本当にゲーム一回で魔力とか気は収まったのか?」


「勿論、大凍結を起こした真の黒幕の事は心底恨んでるわよ。電脳異世界とて四季を(もてあそ)んだ愚か者は、凍死からの粉砕でもしてやらないの気が済まないわ」


 でしょうねぇ……ユニットだけでなくプレイヤー達も危険に晒したんですから。雪女ブリザードクイーンの怒りも分かります。


「でも貴方は違うわ、WGCの任務に従って運悪く失敗しただけの事。そんな貴方に恨み込めて八つ当たりする程、私も子供じゃないもの」

「……そうか」


 何はともあれ槍一郎と戦った事で、少しは怒りも抑えられた様子のブリザードクイーン。

 いつの間にやら吹雪どころか悪循環だった電脳の空は、白い霧が晴れて微かに青空が垣間見える。


「……貴方って優しいのね。こんな喧嘩ふっかけてきた三下なユニットにも心配してくれるなんて」

「そうかな。僕はそういうのは言われ慣れて無いから……優しいというよりは“礼儀”を見せただけかも」


「だから私がオフィシャルを終わらせてやりたかったけど……貴方の意地に負けた私がとやかく言う権利は無いわ」


 ゲームに敗れた者は抗う権利を失うものでもあるが、勝者への忠告に制限は無し。それに則って雪女が槍一郎に諭した。


「……ただし、この試練はただ悪を討つだけじゃない事だけは覚えておきなさい。貴方が仲間を想うように、相手も何かを守るものがあって貴方の前に立ちはだかって来る者が居たら……きっとこんなゲームでは済まさない筈。肝に銘じておきなさい」


 それを聞き受け入れての槍一郎、


「―――そうだね。でも心配しても仕方が無いさ、風の便りに任せて僕は精一杯戦うだけだよ」


「……ふふふ、呑気さんねぇ。でもそれが貴方の選んだ道だもの。ふりむかずに最後まで前向いて貫いてみせなさい。私は……化け物みたいに暴れるとかは、やっぱり性に合わないから――――――」


 その時、雲の切れ間に見えた青空と共に電脳の太陽が顔を出して、二人の居る白銀の地を照らす。


 久方のおてんとさんの光を浴びて表情が綻ぶ雪女と槍一郎。

 すると、その刹那に太陽の下で溶けていくかのように雪女の姿は徐々に透け始め、春風の頼りに乗せて何処かへと消えていった……



「ブリザードクイーン…………」



 ▶▶▶ NEXT▽


 ―――さて、猛吹雪と極限の寒さによって大幅に体力を消耗した槍一郎は、決闘の場に偶然設置されていたペンションに一旦籠もり、身体を暖しながら今後の決闘に備えて休憩を取ることとなった。


 ペンション小屋には気の良い管理人のおじいさんが温かいココアを造って槍一郎を手厚く受け入れてくれた。PASも発動して極限まで力を使った彼にとってはココアが五臓六腑にまで沁み渡る感覚だ。


 そしてもう一人……あ、いたいた、小屋の外で見張ってる薄情な薙刀持ちの女剣士の羽生優佳!

 案内人役割とはいえ槍一郎が勝ったかと思えば不機嫌な面で迎えて労いも手伝いもしないで……もう何なんですかアンタは!!


「Mr.G、彼女の事を余り悪く言わないで。あんなにやさぐれたのは僕のせいでもあるんだから」


 そうは言いますけどね槍一郎さん、彼女との間に何があったんですか。


「……うん、全てはゲームワールドの大凍結でね。これは剣たちにも言ってないことだし、君だけでも……ね」


 剣さんにも言えない事を私にカミングアウトするんで?


「剣とはまた会ったら直ぐに言うよ、洗い浚いにね。今はこれだけでも言わないと語り上宜しくないだろう」


 私にまで気を遣って頂いて……、すみませんね何から何まで。



「確かに僕は四年前のゲームワールドの大凍結の時、いつも通り解決の為に発生源の『ヘブンリー・ゾーン』っていう天界エリアに向かって失敗した。――強いて言うなら1VS1の決闘で負けたんだ、優佳に」


 優佳!? まさか大凍結を引き起こした黒幕ってのは……


「いや、黒幕は彼女の()御主人であった奈良の遊戯組織の女将で、『ヘブンリー・ゾーン』の近くの太陽から何かを蘇らそうとしてたらしいんだ。何かは明らかにされてはいないけど」


 何と……そんな繋がりが……


「当時のオフィシャルプレイヤーは一度ゲームに負けたらコンティニューが出来ない仕組みになってるんだ。だから僕はそのルールに従い天界を引き返し……WGCの次の指示が来るまで撤退した」


 確か一年前のアメイジングウォーズでもそんな展開がありましたが……しかもそのルールを破ればゲームワールドから天罰も下されるし、ちょっとそれは厳しすぎるでしょう?


「それから一ヶ月くらいかな、次の命令が来たのは。もう一度天界に行って、ゲームワールドの太陽に蘇った何かに大掛かりなプログラムコードを打って封印した。大人数で来たのに丸一日掛かる程に。

 ただそれを起こした黒幕は何処にも居なかったのと……優佳が泣いていた」



 ……それで、先代の社長さんらは権限が弱くなって、槍一郎さんは殊更(ことさら)優佳さんに嫌われたと――?


「…………うん」


 ―――こればかりは語り部の立場ゆえ、私も槍一郎に何とかしてやりたいという気持ちになった。

 だが干渉はしても助言はマニュアルな事しか出来ない。相談はやはり剣らにしかできない事。そう悔やみつつも突然小屋の扉が開いた。


「――そろそろ休憩は宜しいでしょうか。日が落ちる前にまた宿まで向かいますので、もう暫く登山しますよ」

「済まない、今行くよ」


 そこに現れたのは休憩から再出発を促す優佳。―――優佳さんも正直言って、何だかねぇ……


「……何ですか? 語り部のナビゲーター」


 いいえ、何でも御座いません。……今暫くは。


 等と呟いてる間にも槍一郎は私との話付き合いも終えて、そそくさと準備を整えペンションから出て出発する事となった。


(……Mr.G、僕の話を聞いてくれてありがとう。まだ先は長いけれど……試練、頑張ってくるよ!)


 ――――えぇ、えぇ! 頑張ってくださいね槍一郎さん!! 応援してますよーーー!!!


 と、私業務を半ば忘れながらも次の試練へ進む槍一郎を大きく手を振りながら見送ったのでした!



 ▶▶▶ NEXT▽



 …………えー、私も長い事語りを致しまして。登場する人物の心境だとか、それに纏わる因果も見据えながら皆様に案内をしてる次第なんですが……



 槍一郎もオフィシャルプレイヤーを創り上げた男の息子であるだけでその使命を託された。

 それ以外は何も変わらない普通のゲームが得意な高校生である筈が、どうしてこんなに辛く重い()に縛られなければいけないのか。


 私とて感情がありますから、先程の話を聞いてても薄っすらと“怒り”にも似たような感覚が芽生えました。

 これは鳳凰堂やWGCらに、その矛先を向けるだけでは済まない複雑な話に向かう様です。


 そうでなくても裏プレイヤーの事やらオーブの事など話を何処から先に片付けるべきか難しい。これから先ゲーム・ウォーリアーの物語は一体どんな形で進んでいくのでしょうか?


 それは剣や槍一郎ら、ゲーム戦士の動きが物語を左右することになるでしょう。

 彼らに待ち受ける次なるゲームは果たして何か!? その模様はまた次回、申し上げる事に致しましょう。



 ――本日のところは【GAME25/槍一郎VS雪女 後半戦】、読み終わりで御座いますッッ!!



 ▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


槍一郎の試練、倭刀・穂香の裏プレイヤー討伐、剣・みのりのアイスクライマー、そしてもう1つ……!


それぞれが物語の糸車を廻す中で、次に待ち受けるゲームは何か!?



この小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!!


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