【GAME25-7】永遠の冬に、春風を……!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔ゲイル(槍一郎) HP1200 手札3枚 EG④〕
装備:《トライデント》
・ユニット《ライトクリスタル・ドラゴン》《氷塊》×7
・パーマネント・ツールカード《絆を紡ぐエール》《上昇気流》《異次元誘導ホール》《回復のオアシス》
★〔ブリザードクイーン HP1100 手札1枚 EG①〕
・ユニット:《スカジの氷天鳥》《氷柱鬼》
※《上昇気流》の効果により、全フィールドに存在するプレイヤー・ユニットは[フライヤー]を得る。
《回復のオアシス》によって槍一郎のHPは900→1200に回復。
――猛吹雪と大嵐、二つの荒れ狂う風が互いの全身全霊を物語る。
静と動でプレイヤーを冬の脅威へ陥れる雪女ブリザードクイーンの止むなき氷の地獄、それに対し自己防衛として発動していた槍一郎のPASに変化を起こした!
◎――――――――――――――――――◎
PASスキル【グレイテストストーム】発動!!
相手フィールドのカードを全て手札に戻す!!
◎――――――――――――――――――◎
「これが僕の全身全霊! 我が槍の魂の元に嵐よ吹き荒れろ!! ―――【グレイテストストーム】ッッ!!!!」
爆音の如し風の叫び。風のエネルギーが一点に集中すると旋風になるが、それを辺り一面に撒き散らすことで大木をも靡く凄まじき嵐を巻き起こす!
その風速ざっと17メートル、即ちプレイヤーの魂が台風を起こせる程のパワーを持つ!!
―――ゴォォオオオォォオオオォオオオオッッッ
「くっ……立って、要られない……!!」
槍一郎のパーマネント・ツールの効果によって雪女は[フライヤー]付与による浮遊状態。足場も無く支える地面も無い状態では五体満足に浮かぶ事すらままならない。そして槍一郎のPASの風が収まった頃には、
〔ブリザードクイーン 手札1枚→3枚〕
「何てこと……氷天鳥まで――!」
立つ鳥跡を濁さず、と言っても風に吹き飛ばされての巣帰り状態。《スカジの氷天鳥》《氷柱鬼》諸共、槍一郎の大嵐が真っ白な地をまっさらに空っぽにしていった。
「EGを⑦も消費させるような巨大な鳥だ、手札から再度召喚するにも時間が掛かる。
これで心置きなく反撃が出来る!! ――《ライトクリスタル・ドラゴン》!!」
迎撃準備とばかりにダイヤモンドの翼がスターダストを散らして羽ばたく結晶輝龍。
攻撃コマンドにより繰り出される必殺の『星屑の吐息』!
「く………うぅッ!」
〔ブリザードクイーン HP1100→600〕
久方ぶりに当てた雪女へのダメージ、形勢転々として思うような結末にならない雪女の苛立ちはピークを迎えた。
「おのれ怨めしや……!! 気まぐれな風如きが、二度までも私の執念を邪魔してくれるのかッッ!!!!!」
恐ろしく冷え込みつつも禍々しい波動を放つ雪女の魔力は、槍一郎のフィールドに囲まれた『氷塊』に向けられ、その氷は心なしか彼に標的を構えるように魔力を帯びて浮遊する。
それはブリザードクイーンが、奥の手とばかりにベールに覆われていた【???】のユニットスキルの正体であった!!
◎――――――――――――――――――◎
・ユニットスキル
【氷塊爆華散】発動!
決闘開始から3分経過で発動出来る。
フィールド上の氷塊の数×200のダメージ
を相手に与える!!
◎――――――――――――――――――◎
「お前の氷塊は合計7つ、よって1400ダメージをこの氷塊の洗礼を持って受けるのだ!!」
「これはマズイ……!!」
マズイのも道理だ、槍一郎の現在のHPは1200。このままカウンターで防げずにダメージが通れば致死に値する!
「さぁ、冬の産物から生み出した氷の裁きで息絶えるが良い!!!!」
同じ氷使いで親近感、ドラ◯エⅢの魔王ちゃんよろしく勝ち誇った台詞を吐き、魔力で操る氷塊を槍一郎にぶつけようとしたその時!
〔ゲイル HP1200→1500〕
パーマネント・ツールカード《回復のオアシス》の時間経過による回復処理……!!
―――ドガガガガガガガガッッ!!!
氷塊直撃に飛び散る白煙。その煙をもあられとなって凍結するほどの地で、槍一郎はまだその足で我が身を立たせる!!
〔ゲイル HP1500→100〕
「首の皮一枚……!! まだまだ神様は僕らの戦いを拝見したいみたいだね!」
「そのようね……全く骨を折らせてくれるわ!」
雪女の執念に槍一郎の意地。それぞれの諦めきれない意思が長く過酷な戦いを物語る。
まもなく次のカードドローの時間が来る。両者ともクールな性格とは裏腹に、早くこの決闘に決着を付けたいという焦燥もない面で読み合っていた。
(もう手札の氷天鳥と氷柱鬼を出す暇は無いわ。パワーとなる氷塊は無いし、ドラゴンに迎撃されるのが落ち。――悔しいけど、次に来るカードに頼むしか無さそうね……)
本当ならば【氷塊爆華散】で槍一郎の息の根を止めるつもりだった。だが時間・タイミングのズレが彼を延命させる結果になった。
―――何としてでも大凍結の怨みをこのゲームで晴らしたい。凍てつく心に願うは執念の成就か……!?
〘CARD DRAW〙
……30秒経過、両者手札にカードを1枚追加!!
「………!!」
先に動いたのはブリザードクイーン!!!
「アクションカード、【ツール・ブレイク】!! 対象は《異次元誘導ホール》!!!」
本日2度目のツール破壊カード! 撃つのは《霧氷輝龍―グレイシャー・ホワイトドラゴン―》を除外空間へ封じ込めた《異次元誘導ホール》。
それはフィールドに離れた時、除外したユニットは再び戻ってくるデメリットがある。………と言う事は!?
「戻ってきなさい、霧氷輝龍!!!」
――――キュルルォォォオオオオ!!!!!
ひぇええ〜!! また出ちゃったよ“氷河期の災厄”霧氷輝龍!! また安全な所へ逃げな……あ、私避難してたんでした。
「……随分短い旅だったみたいだね、霧氷輝龍さん」
「『ただいま』なんて言わないわよ。寧ろ閉じ込めたお前を凍らしたくてウズウズしてるわ」
そりゃそうでしょう、除外空間は凍らすものなんて何も無いんですから。さぞ退屈だったでしょ……って労う必要は無いか。
だがこの雪女、真の企み霧氷輝龍の復活だけでは無かった。
(あの《ツール・ブレイク》は元から温存してたカード、私がさっき手に入れたのは、アクションカード【造作中断】。相手のツールカードの発動を打ち消すカード。
お前がツールカードを主軸にした速攻デッキなのは序盤から明白な事。これが通れば……私の勝ちは確実なものとなる――!!)
狡猾にも雪女、カウンター狙いで打ち消しカードを控えていた。
………だが、雪女がこれで優勢になったと錯覚して貰っては困ります。肝心要の槍一郎は、それを上回るカードを持っているのか、それとも……?
「僕はこのカードをスキャンする」
『カスタム・ツールカード、【大防御の盾】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈カスタム・ツールカード〉
【大防御の盾】
属性:黄 EG:④ 装備:ユニット
・効果:このカードを装備したユニットは
戦闘ダメージでDPは減らず、破壊されない。
◎――――――――――――――――――◎
装備することによって戦闘による破壊やダメージを受けない鉄壁のカード。
これを《ライトクリスタル・ドラゴン》に付ければ、カードにも戦闘にも破壊されない最高の盾となる。
「……何かカウンター・レスポンスは無いかい?」
ブリザードクイーンの反応は……
「――――何もないわ。続けなさい」
仕掛けてこない。残り3枚の手札に警戒しているのか雪女。晴れて《大防御の盾》が結晶輝龍に装備される。それに対して槍一郎……!!
「…………僕の直感なんだけど。――――この勝負、貰ったよッッ!!」
「なんですって?」
槍一郎の無表情に構えたその顔はポーカーフェイスだった!!
二重にトラップを仕掛けた槍一郎の、決めのラストカードとは!!!
『アクションカード、【神風――DIVINE WIND――】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【神風――DIVINE WIND―】
属性:青 EG:⑥
・効果:フィールドの全ユニットを破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「なっ……?! アクションカード……ツールじゃなかったの!!?」
これには雪女も度肝を抜かれた。何しろ控えていた切り札がツールカードだとばかり思っていた上に、そのカードは全除去カードというとてつもない威力を構えていたのだから!
「これが僕から君に贈る春風だ!! 永遠の冬に今、終わりを告げる!!!!」
―――神の世界より送られし、暖かくもその命をも安らかに消し去る神の風が、極寒の地に万遍なく降り注ぐ……!!
「霧氷輝龍がやられた……だが、相手だけでなく自分にも除去範囲に入っているなら、結晶輝龍とて――」
「それはどうかな?」
ダイヤモンド印の結晶ボディは、神風などでも傷一つ付かない! カードの効果で破壊されない《ライトクリスタル・ドラゴン》は場に留まっていた!!
「しまっ、た………!!!!」
雪女に迫るは《ライトクリスタル・ドラゴン》と装備された《トライデント》の槍。そのダメージ数値を計算しても600、ジャストキルに値する。
そして雪女の手札は《スカジの氷天鳥》と《氷柱鬼》のみ、だが氷天鳥のパワーとなる氷塊は無く、迎撃するにしても微小過ぎる。と言う事は……!!
「…………潔く認めるわ、槍のゲーム戦士。貴方の勝ち。私はこれで降参よ」
〔ブリザードクイーン SURRENDER!!〕
怨みを込めた猛吹雪は、決闘終結と共に再び音を立てることなく止んだ。凍てついた氷と雪も温度が上がって柔らかくなり、やがては溶けていくだろう。そして……
「おめでとう、天野槍一郎。――オフィシャルプレイヤー・第1の試練はクリアよ」
―――槍一郎の未来にも、一瞬の春が来たようです……!!
▶▶▶ SOUICHIRO AMANO WIN!!▽




