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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
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【GAME25-3】吹き荒れる“孤独”という名の風……!!

◐AMAZING MIDWAY RESULT◑

 ☆〔ゲイル(槍一郎) HP400 手札3枚 EG④〕

 装備:《トライデント》

 ・ユニット《聖なる泉の僧侶》《自然の工芸人》《氷塊》×7

 ・パーマネント・ツールカード《絆を紡ぐエール》《上昇気流》


 ★〔ブリザードクイーン HP1100 手札2枚 EG④〕

 ・ユニット《霧氷輝龍―グレイシャー・ホワイトドラゴン―》


※《上昇気流》の効果により、全フィールドに存在するプレイヤー・ユニットは[フライヤー]を得る。

 

 ――ここはゲームワールド氷山エリア・アイスバーンマウンテン。

 久方で本格的なアメイジングバトル。片や大嵐、片や吹雪。二つの風が抗い(せめ)ぎあう極寒決闘。


 ここまで来ると両者の運の束ともされるカードデッキと、PASと魔力、更には寒さとの耐久勝負にまで突入してしまう長期戦にまで持ち込まれる寸前。

 本心で言うならば、私も皆様と一緒に暖かくなりつつある部屋の中で観戦したい。

 だがそれも出来ない悔しさをバネにしながら、語りは続きますッッ!!


「そんなに温々した所が好きなの語り部さん? それじゃ、もっとその気にさせて上げようかしら!?」


 ―――ビョォオオオオオ、ピキキキッ


 ちょ、ちょちょちょチョイ待った!!? 私何か気に触る事言いました!?


 ブリザードクイーンの魔力による吹雪の冷気が空気中の水分をも凍り付いて、カードではなく自然の氷塊が彼女の周囲に凍てつき始めている! ひぇえ〜こりゃ防寒対策してもたまらん!!


「くっ……まだ魔力が上がっていくのか!? 僕はPASの力で冷気は遮断出来てるが……Mr.G、ここはもう危険だ早く遠くへ避難してくれ!! 遠目でも語れるだろう!?」


 え、えぇ私は遠隔語りも御手の物ですから……ごめんなさい、お言葉に甘えて私は一旦引き上げますーー!!


 ▶▶▶ NEXT▽


 ……はぁ、私も余計な事言うんじゃないよホントに。

 何とか冷気に耐えうる地帯まで避難した私ですが、気づけばその場所はアイスバーンマウンテンの麓。剣とみのりがいた場所ですな。


 だが幾ら離れようともリモート対応の為にと釈台ホバーに遠隔モニターが付いているのだ。これなら槍一郎のバトルも余す事なく語れる。


 しかし、私がこの場を離れた事で気付かなかった点が一つありました。



「……これで、この氷山に居るのは私と貴方。()()だけね。」

「ユニットは……お陰様で凍結中だ」


「当然ね、カードはともかくこの氷点下で並のプレイヤーが耐えられる筈も無いでしょう? それで……独りになってもまだ続けるの?」

「当たり前だ。まだHPも残っている。それに僕にはやらなきゃいけない事があるから」


「……フン、仕事でも義務でも無い癖に」


 槍一郎と雪女、それにユニットの仮想生物以外の生体反応が無いこの地である故に、第三者から見た槍一郎の孤独のイメージが増していた。


 空中に浮かぶは彼と7つの氷塊のみ。仲間と呼べるユニットも霧氷輝龍によって凍結させられた為、現状の盤面は孤軍奮闘する彼のみ、戦いへの印象を与えていく。


「……ねぇ貴方、どうしてそうオフィシャルプレイヤーに拘るのかしら。人間の手で創り上げたゲームワールドの生物である私らユニットが、人間の手で調達して退治するプレイヤーだなんて、人間って自分達で複雑にするのが好きなようねホントに」


「僕はオフィシャルの経緯は父さんからも聞かされてないから詳しくはないが、これは僕の意思で決めたものだ。文句を言われた所で『余計なお世話』と返すしか無いだろう」


 猛吹雪の中で余裕を醸し出しながら、雪女は戦意を一旦置いて語らう。PASの力で抑えようと必死な槍一郎にとっては焦りも生じながら苛立つばかり。


「貴方はそうかも知れないけど、私は強いユニットの側に立って、ようやくオフィシャルプレイヤーの存在意義が分かっちゃってね。

 人間の文明で作り上げた電脳異世界で優れた人間を選別してユニットを退治するのは、ユニットとの共存・プレイヤーの安全の為でなく…………


 ―――どっかの権力を持て余した一部の人間が、()()()()()()()()為に創られたんだって」


「………!!?」


 世の中は弱者にこうも理不尽に振り回すのか……? 人の上下に人を作るなと万札の人物が語った格言をもかなぐり捨て、人間が人間を駒のように扱う者の権力によってオフィシャルが創られたとは……!!


「………その権力を持て余した人間が、父さんや僕をオモチャとして扱ったというのか―――?」

「そうらしいわね。そいつも四年前の大凍結を最後にどっかに消えちゃったわ。遊んだ後のお片付けもせずに。だから今度は私がユニットを代表して、そのオモチャを廃棄処分にしてやろうって訳」


「いい加減にしろ……! ここで辞めたら幾ら僕でも笑顔で剣たちの所に帰れなくなるんだ!! お節介が過ぎるぞ!!!」

「だったら大凍結の後始末くらい、自分で片付けてみなさい!!」


 槍一郎の怒りがPASに反応して覆う嵐の威力が増す。だがそれは自分の体力をも著しく消耗し、ゲームに対する集中も乱れる危険がある。

 一方で槍一郎は乱される前に即座にカードを引き抜き、そのままブレスにスキャン。


『カスタム・ツールカード、【時間稼ぎの鎖】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈カスタム・ツールカード〉

【時間稼ぎの鎖】

 ・属性:黄 EG:③ 装備:ユニット

 ・効果:①このカードを発動した時

 自分はHPを500回復。

 ②このカードを装備したユニットは

 全てのコマンドが不能となる。

 ◎――――――――――――――――――◎


「《時間稼ぎの鎖》の効果、まずは発動によって僕のHPを500回復!」


 〔ゲイル(槍一郎) HP400→900〕


「続いて装備効果! このカードは装備されると攻撃・ブロック、そして起動型の効果も全て無効となる!! 対象は《霧氷輝龍―グレイシャー・ホワイトドラゴン―》だ!!」


 これは良いカードを発動した! 槍一郎の回復と共に装備したユニットを封じ込める束縛装備カード。これを霧氷輝龍に装備したということは、攻撃はおろかEG消費で発動する凍結能力も封印される!!


「チッ……ならば先にカウンター・レスポンスで凍結効果を発動させる! 《自然の工芸人》をもう一回凍らせてあげるわ!!」


 さっきまで凍結を終えて『やっと行動出来るヒャッハー!』と思うや否や、またしても凍結させられた《自然の工芸人》さん誠にお可哀想。

 しかしこれで晴れて《時間稼ぎの鎖》の効果が解決し、霧氷輝龍に装備されて封印完了。


「ツールカードが発動したから、《聖なる泉の僧侶》の効果で僕は手札を1枚追加する」


 硬直しているが僧侶の効果でカードドロー、こーゆー所は語る上で忘れがちになりますがそこは抜かりなし。とにかくは一旦の危機は逃れた槍一郎だったが……



「それでもまだ僕は“独り”か…………」



 未だ共に戦う配下が戻らない戦場、そして自分が孤独に戦っている事を自覚した槍一郎はある記憶が甦ってくる。



 ▶▶▶ RECOLLECTION...▽



 ――それは、槍一郎が幼少期に近所のゲームセンターにてプレイヤーとレースゲームをしていた頃……


『……よし、ゴールイン! タイムは2分29秒!!』


『はぁ……? トップの差でも40秒広げて、ニューレコード15秒も更新しただぁ!!?』


 まだ現在のようにクールでなく、天真爛漫で幼心を持っていた槍一郎だったが、この時点から天才的なゲームセンスは磨かれていた。


『クソッ……よーしもう一度勝――』

『アホお前! 一緒にゲームしてんのオフィシャルプレイヤーの息子じゃんか!! んな奴がお前に勝てるわけねぇだろ!?』

『えっ!? コイツがあの真槍(しんそう)さんの息子!? 10歳のガキが!!?』


『うん、僕のお父さんだよ』


『オフィシャルプレイヤーでも群抜いての強豪ゲーム戦士の血引いてるって事は、俺らマンマと噛ませられたって事じゃねぇか!!』


『え、いや、別にそんなつもりじゃ……あ、それじゃ僕が20秒ハンデ付けるからそれで――』


『……は? 何やそれ嫌味か、クソガキ』


『こんな奴とゲームしたって面白くねーよ。帰ろうぜ、これ以上やっても俺らが気分悪なるだけや』

『ったく……無駄な時間過ごさせやがって、お前なんかこんな田舎のゲーセンじゃ役不足だと思うぜ。てか二度と来んなボケェ!!』




『――――――ごめんね………』




 槍一郎の幼少期に、“親友”と呼べる仲間は誰一人とも作れなかった。

 それでも誰かのせいにする事は絶対にしなかった彼だが、心の中では父・真槍の風評が付き纏う事の重圧が交流を阻んでいた事を察していたという……



 ▶▶▶ NEXT▽


 ……おや? 回想の途中で何やら釈台モニターの反応が。剣とみのりのアイスクライマーですね。


「剣くん! 野菜は取っておくから、頂上行っちゃってーー!!」

「おぅサンキューみのり!! ぜってーコンドル掴んだる!!!」


 40秒間のボーナスステージに再び挑まんとする剣とみのり。

 果敢に上へと目指す剣を尻目にステージ内のきゅうりをせっせと獲得するみのり、と言う事は4面まで進んだということか。


 幾度も挑戦し、一度も頂上に届かなかった剣に絶好のチャンスが訪れた。軽やかなフットワークとジャンプで滑る足場を飛び上がり、とうとう頂上付近の両端、コンドル飛んでく白景色の空。そして……



「とりゃあああああああああ!!!!!」


 ―――CATCH(パシッ)!!

 〜♪(アイスクライマー・頂上到達BGM)


 おおっ! 剣が祈願の頂上到達、コンドルタッチ達成だ!! ゲーム戦士ゲーム諦めずに為せば成るものなり。



「……オイオイ、せっかく高い景色拝もうとしてたのに真っ白しろじゃねぇか!」


 残念でした、氷山は気まぐれ天気。誰かさんのお陰で猛吹雪に煽られて空中でも真っ白な景色しか見えない。……でも、それはかえって好都合だったのかも。



 ―――剣の見える範囲内では、槍一郎と雪女が激闘を繰り広げていたのだから。



 ――本日のゲーム、これまでッッ!!




 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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