【GAME24-3】カードで戦う雪女ユニット!!
――TIPS――
【エリア紹介:アイスバーン・マウンテン】
場所はゲームワールドの中心部『プレイヤーバザール』を核にして、遥か彼方の北。地球で言う北極に近い地方『アイスバーグエリア』にて位置する白い雪の壁とも見まごう山脈をアイスバーン・マウンテンと呼ばれている。
設置されているゲームは、『アイスクライマー』や『クラッシュアイスゲーム』などとにかく氷に纏わるものばかり。更に氷山の奥には秘密のアメイジングカードが眠ってる、とかとか?
――オフィシャルプレイヤー大試練・初陣。勇んでゲームワールドに転送された槍一郎であったが、速くも彼に襲うは猛吹雪。
ここは氷山エリア・アイスバーンマウンテン。白い霧と積もる雪によって、白銀の世界と化した氷山の上に槍一郎は転送された。
だが更に、不運は続けてやってくる。その白銀世界の風景を同化し溶け込むように現れた雪女のユニット“ブリザードクイーン”。
白い着物に真っ白い髪に真っ白いお顔。何もかも真っ白しろなユニットは、事もあろうに槍一郎を潰すと宣言して立ちはだかる。
しかもそれが、ゲームワールドの副管理者である鳳凰堂孔雀の刺客と言うんだから驚いた!
「鳳凰堂の刺客が、試練を受ける僕の邪魔するってのはあまり関心はしないね。それに優佳も……」
「私の役目は案内と予期せぬ事態への対処です。上方の鳳凰堂の刺客を止めることは命令違反になりますから。精々ご武運を祈ってます。私としてはここでリタイアしてくれれば、仕事の手間も省けますから」
なんと役所仕事な頭してるんでしょうねこの小娘……じゃなかった羽生優佳さん! 対して槍一郎、無責任な彼女は置いといて、自分の思考世界に入りお得意の推察タイムに入った。流石スピードに長けたゲーム戦士は心の切り替えも速い。
(鳳凰堂が僕のオフィシャル試練を良く思っていない事は前から知ってたけど、そうしたら何故その刺客ユニットのいるエリアに飛ばすんだろう……? もう既に試練は始まっているのか、彼女の策略か……まぁどっちにしても、僕は相手に背中を見せる気は無いけどね!)
槍一郎は己の直感を信じて、果敢に挑む事を決める。どんな強敵にも臆しない勇気は、剣同様に彼も兼ね備えていた!
「……随分と自信がお有り気なようで。ただ分かってるんですか? この氷山に雪女が現れたという意味が」
「――――分かってるとも。分かっているからこそ、僕がそのけじめを付けなければいけないんだ」
槍一郎が見せた揺るぎない覚悟。それは彼の知られざる過去に結び付いたものであると、私の語りの勘が呼びかけております。
故に雪女ことブリザードクイーン。彼女の周りに氷点下の冷気を纏ったオーラがその強さと、怨念を物語っている。
……今現在この氷山は雪女の能力で吹雪は止んだ。だがそれでも青空は見せず、周りは濃く真っ白な霧で覆われていて、下手に動くと遭難も有り得る危険地帯と化したフィールド。槍一郎はそれでも雪女の元に近づいた。
「お初にお目にかかるわ、槍の魂のゲーム戦士さん。近くで見るとカッコいいのね。まるで顔を崩さないお人形さんみたい」
「……それは、褒め言葉にしてはトゲがある言い方ですね」
彼女の言霊が耳元に達した時、無性にも背中に寒気が走る程に涼やかな雪女の声。槍一郎はそれに隠された辛辣な意も感じ取った。
「まぁね、出来れば鳳凰堂の依頼でもこんな事したくないもの。……分かってるでしょうけど、私が勝ったら貴方のオフィシャルプレイヤーの申請権は破棄させてもらうわ」
「それは承知の上だが、それでは君に何も得はしないぞ?」
「勿論倒せばWGCから報酬の約束はされているわ。じゃ逆に聞くけど、貴方が私に勝ったら何を所望するのかしら? 経験値かレアカードか、それとも私をカードとして契約するか……」
「悪いけどどれも要らない。僕は先を通すだけで良いから」
「……そう、じゃさっさと始めて終わらせてみれば?」
互いの煽り及び報奨の交渉を終えて、二人は戦闘態勢に入る。
槍一郎はカードスキャンブレスに50枚のカードデッキを装填。そして電源を入れて、中央のコアからクリアーなコマンドウィンドウが展開され、初手の5枚の手札がブレスのウィンドウ内で公開された。
そして、ブリザードクイーンは……?
「―――フゥゥゥウウウウウ……!!」
両手を水平に広げ何やら念を込めたかと思いきや、彼女の眼前に浮かび上がるアメイジングカードの姿が! まさか、プレイヤーだけでなくユニットもカードを使って戦う事が出来るのでしょうか!?
「何を驚く事があるの。ユニットと言えども貴方達ゲーム戦士と同じ、カードを召喚する発動エネルギーを私の魔力に変換すれば容易い事よ」
という事は紛れもなく、この雪女は我々の目から見ても最上級に強いユニットと見た。それでも槍一郎は立ち向かう姿勢を崩さない。
「君がカードを使うことくらいは分かっていたさ。このアイスバーンマウンテンは君の住処であって縄張り、故にその地を汚すプレイヤーを情け容赦なく凍り尽くす。だから僕は……」
◎――――――――――――――――――◎
・プレイヤースキル
【クイックシュート】発動!
1分間蓄積するEGの量を2倍にする!
◎――――――――――――――――――◎
「全力で戦うよッッ!!!」
挨拶代わりに槍一郎のプレイヤースキル。これでカード発動に使うEGの獲得は開始1分間だけ、1秒に②という驚異のスピードとなった! それぞれの執念が募る氷山の決闘、その覚悟と準備は……決まったか!?
「「アメイジングバトル! READY!!」」
『――――START UP!!!』
〔ゲイル(槍一郎) HP1300〕
〔ブリザードクイーン HP1600〕
ブレスから鳴り響く決闘のスタートコール、その余韻を待たずして神速のスピードを誇る槍一郎が動いた!
『ユニットカード、【スピーダーランサー】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【スピーダーランサー】EG:②
AP:100 DP:50 AS:3
属性 黄 ユニット/ヒューマン
・能力:[スピードアタック]
◎――――――――――――――――――◎
開始から1秒、スキルの効果で速攻に召喚するは大きな槍を携えしユニット、《スピーダーランサー》は召喚直後から攻撃できる[スピードアタック]の効果を持つ。
「そのままダイレクトアタック!!」
――ドシュッ!!
「あんッ……」
〔ブリザードクイーン HP1600→1500〕
薄着物の雪女を槍で突き刺す容赦ない槍一郎の《スピーダーランサー》。ファーストアタックは槍一郎が掴んだ。だが彼の追撃は続く。
装填したカードデッキから2枚引き抜いて、そのままブレスのカード装填口に連続スキャン!
『ユニットカード、【自然の工芸人】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【自然の工芸人】EG:②
AP:100 DP:100 AS:10
・属性:緑/青 ユニット/ヒューマン
・能力:自分のツールカードが
フィールドから墓地に送られる時、
自分はカードを1枚引く。
◎――――――――――――――――――◎
『ツールカード、【聖なるオブジェ】!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ツールカード〉
【聖なるオブジェ】
・属性:無 DP:500 EG:③
・効果:このカードが破壊されるとき
自分はカードを1枚引く。
◎――――――――――――――――――◎
槍一郎が召喚したのはこの2枚。配置として《聖なるオブジェ》を盾に後ろには《自然の工芸人》を守らせて、いざという時にカード補充に使おうとする考えだ。
これぞ槍一郎の“ツールコンボ”! スピードとツールカードを連携させたデッキで、試練の制覇を狙う!!
一方、ブリザードクイーンは……?
「……そろそろ私も動かないとねぇ」
たった10秒の間でかなり盤上を展開した槍一郎に対し、ようやく動いた雪女。
彼女はブレスは持っていないが、空中に浮かぶカードに魔力を注入して、自分から詠唱する形でカードを発動する。
「ツールカード、【アイスクリスタル】!」
ゴゴゴゴゴ……
詠唱と同時に雪の床から突如突き出るように現れたのは、先の尖った“氷塊”。それが結晶のように光反射で煌めく所以から、《アイスクリスタル》と呼ばれているらしい。
◎――――――――――――――――――◎
〈ツールカード〉
【アイスクリスタル】
・属性:青 EG:①
・効果:自分または相手側に
『氷塊』を1つセットする。
◎――――――――――――――――――◎
「もう2枚発動するわ。――ツールカード、【アクアクリスタル】二重発動!!」
何と初手から《アクアクリスタル》が既に3枚待機していたブリザードクイーン。『氷塊』が3つ、槍一郎の行く手を阻む。
「……どういうつもりだい? ただでさえ足の踏み場も覚束ない中で氷塊を放り込むなんて」
「さぁ、どうでしょうね? それを見極めるのもゲーム戦士の力量次第では無くて? ウフフフフ……」
不気味に笑うブリザードクイーン、槍一郎のフィールドに置かれた3つの氷塊は一体何を意味する前兆なのでしょうか?
あぁ〜良いところで丁度読み終わりのお時間。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




