【GAME24-2】大試練初陣! 進め白銀の境地!!
――TIPS――
【GWギア・転送の仕組み】
ゲームワールド転送用ヘッドギア・GWギアは、装着したプレイヤーの脳から直接ゲームワールドに転送させる事で、五体情報をそのまま受信し、アバターとして行き来出来る。
また接続する携帯プレイギア内のプレイヤーステータスのレベルに応じて、行った事のあるエリアへ即座に転送出来る。
しかし例外として特殊なエリアへ行ける拡張USBメモリを接続すると、そのデータがラーニングされて条件無視でそのエリアへ転送する事が出来る。
――大阪からの長旅を終えて、WGCの社長さん及び槍一郎ら含む試練組御一行は、ゲームワールドの無法エリアへと転送すべく、そのリンク先がラーニングされた東京・WGC本部へと向かう。
青い空に緑の自然、見る者を心安らぐ風景は都会に入れば、静寂の鉄が辺りを囲む無機質な空間。
言ってみれば、空は皆高層ビルに覆われて、床はアスファルト或いは大理石で埋もれた強固なもの。
都会は人が安らぐ所と言うよりかは、“働く所”と言うのが道理か。
今日も今日とて、人々は仕事に明け暮れ動く。そして彼等もその一員。
「……WGC本部か。三年ぶりに来たけどあまりにも高すぎるよ。成層圏突っ切るんじゃないかな」
新幹線を乗り終えて、いつの間にやら東京駅から港区まで移動して、ようやく辿り着いたWGC本部の総本山施設【ディメンション・ターミナルビル】。
槍一郎の言う事が大袈裟に聞こえるかもしれませんが、高さはゾロ目で777階もある超々高層ビルですから東京タワー以上、スカイツリー以下な高さだそうで………ちょっとアバウトかしら?
「……河合、オフィシャルプレイヤーの件はお前に任せたぞ。手筈通り行うんだ、いいな」
「承知致しました」
とビルの入口前で本宮社長さんと鳳凰堂孔雀が他の仕事に徹する為にこの場で集団から離れ、二人はそそくさと先にビルの中に入っていった。
関西から集められたオフィシャルプレイヤー、槍一郎と羽生優佳を含む数十名の志願者の指揮は、みのりのお母さんの河合麗子に託された。
でもこの人は社長依頼されるほどの上層員なのに、雑用係と称してるのは分かりませんねぇ。
「―――それではこれより、WGC公認の新生オフィシャルプレイヤー・認定大試練を開始します! 現在お集まりになっている皆様は関西代表のプレイヤー。
しかしこの試練では、各地域によって選別された全国一斉の試練であるため、他の地域グループは別々に行動しつつ、ゲームワールドにて各々課せられた試練を行う事になっています。まずは転送する部屋まで御案内致します、付いてきてください」
麗子さんの丁寧な説明を淡々と行った後、彼女はビルの中へと槍一郎を案内する事に。まるで就職案内みたいですね……
▶▶▶ NEXT▽
――高層ビルを移動するには当然エレベーター。東京タワーなど高い所を登るエレベーターは音もなくスーッと登り、尚且速いものを使います。
ディメンション・ターミナルビルもそれと同類。ただこれはオフィスビルですので、出来るだけ役員を乗せるために横幅は広く、ガラス窓も透け床も無し。ただ引力に従って移動する籠のよう。それ故に、
「「「「「………………」」」」」
またしても無言のピリッとした空気! あ゛あ゛ぁもう嫌!! 私のような講談型ナビゲーターには無言の空間は耐えられない!!!
「だったら喋んなきゃ良いでしょ」
イヤ、レイコサン、シャベンナカッタラチノブンノイミガ……(涙目)
(ゴメンMr.G、今はそんな空気じゃないから。一旦お喋りは抑えて)
……そうですね、槍一郎さんの言う通りだ。私も少しは沈黙の時としてただひたすら目的の階になるまで我慢しましょ。
――――――チーン、ガーーッ(エレベーター到着音&ドア開閉音)
…………ッッぷはぁ!!!! 思わず息止めちまっただぁよ私……という訳で、やっと喋れた私と槍一郎らが着いたのは666階の“特別転送室”。
ちょっと不吉な階層ですが、扉が開いて現れた風景は、ホテルのような扉ばかりで何にも用意されていない廊下。ここで一体何が待っ
「転送室では静かに。ここは私語禁止よ」
…………はい、すいません。
※Mr.G、語り小声モード。
槍一郎ら含むプレイヤー達は、各々に指名された個室へ。
その中に設置された潤滑な通信速度とユーザーの安全を確保する筒型の転送促進装置『スキャニングスポット』に入り、“GWギア”を頭に装着してゲームワールドオンラインに転送する。
しかもこのGWギア、WGC専用の拡張USBメモリによって、初めから指定されたエリアに行けるようにラーニングされている。
そんな個室にプレイヤー達は一人ずつ入っていくが、槍一郎の方は何と、GWギアとスキャニングスポットが二台ずつ。優佳と同席という形で転送されるようだ。
「……麗子さん、どうして僕等は二人同時転送ですか?」
「槍一郎君には言ってなかったけど、優佳ちゃんはオフィシャルの志望でなくて、貴方の案内役で同行する事になってるの」
「…………」
なるほどと私も感心しますが、当の優佳は何も反応を示さずに黙々とGWギアを装着する。
「槍一郎君は前にオフィシャルになった身だから、未経験のプレイヤーよりも難しくする前提で、安全を保証する上で優佳ちゃんに案内させる事にしたの。ね、優佳ちゃん?」
「…………」
……ちょっとちょっと優佳さん! 麗子さんが言ってくれてるんですから何か反応しないと!
「別に貴方達と親陸深めるためにこの仕事を受けた訳ではありませんので。仕事の事以外で私に話しかけないで下さい。特に講談家の貴方は鬱陶しいので」
……講談家って私の事? 何か感じ悪いなぁ……
(まぁまぁそっとしてあげて。彼女が愛想悪くなったのは僕の責任でもあるんだから)
槍一郎さんが? それを聞いたらと益々羽生優佳さんが分からなくなってきた。って言ってる側から無視してる感じで準備終えてますよ彼女。
「おっと、僕も準備しないと……」
壮行している内にGWギアを転送し終えた二人。そういえば新幹線に乗ってる時から険悪ムードな感じでしたから、ちょっと心配ですがそんな二人に我々はグッドラックのエールを送ろうではないか。
――いざいかんゲームワールドへ! 座標は未だ見ぬ無法のエリア……
「うるさいですよ講談家」
――やりづれぇなぁ、このコンビ……
「それでは槍一郎君、優佳ちゃん。ご武運を!!」
「「ダイブ・オン! ゲームワールド・TRANSFER!!」」
――麗子さんの出送り、二人の掛け声と共にGWギアは起動。全神経が一つの魂となりてハイブリッドブルーの転送回路へと駆け抜ける!!
いつもより余計に長い転送回路の道が、あたかも新幹線の通過するトンネルのように抜けた出口の空間を期待しつつ、二人はひたすら流れ行く。
そして転送回路のトンネルを抜けると、そこは……
――――ビュォォォオオオオオ!!!!
「寒ッッッ!?!?」
迫る吹雪の極寒の地、ゲームワールドの氷山エリア【アイスバーン・マウンテン―ICEBURN MOUNTAIN―】だった!!
しかし、軽装備の槍一郎アバター“ゲイル”は、この猛吹雪による凍てつく空気を諸に身体に受けて、流石に寒さに堪えている。
対して優佳、アバター名は“7代目佐々木累”。その出で立ちはライムグリーンの白の着物に銀の一つ結な髪をしたまさに女剣士のようだ。
だが槍一郎と違い寒さは感じないようで、まさに心も身体共に鉄の女……それじゃマーガレット・サッチャーだ。
「何を寒がっている場合ですか。そんなんではこの氷山の長との決闘どころではないですよ」
「長!? そんなの何処に居るんだ?」
「貴方の直感は飾りですか? 私と貴方の眼前に立っているでしょう」
吹雪によって何処もかしこも白銀景色な氷山、目を凝らして見てみると確かに……槍一郎と優佳の眼前に現れている白い着物で同化していた女の姿。
――――彼女の名は、“ブリザードクイーン”。馴染みの高い名称で例えると雪女……!!
「―――ごきげんよう、プレイヤーさん。寒すぎるほど良いお天気ね」
『寒すぎるほど良い天気』だなんて、そんな挨拶が通じるのはホッキョクグマか貴方だけですよ……
涼やかな笑顔で槍一郎らに挨拶するブリザードクイーン。すると気のせいか、物凄い吹雪は挨拶と共にスンと音もなく消えていった。
「……アイスバーン・マウンテンの主であり、プレイヤー達に氷河の地獄を味わわせるユニット・ブリザードクイーン。我々がWGCの試練の最中に出向くとは何用か?」
無機質だがいかにも和な口調で問答する優佳。それに対してブリザードクイーンは応えた。
「勿論じゃない。何故なら私は、鳳凰堂孔雀の依頼で受けて出たんですもの。天野槍一郎を徹底的に叩き潰して欲しいってね」
「!?」
「鳳凰堂の刺客……失礼しました。ならば存分に潰して差し上げて下さい」
―――これは一体どういう訳か!? 氷山エリアに転送され待ち受けるは雪女の槍一郎ノックアウト宣言!
更にこれが鳳凰堂孔雀の差し向けたユニットであり、優佳もそれを賛同している。何がどうなってるのか大試練、槍一郎は嵌められたのか、それとも……?
色々気になる所ですが一旦ここで読み終わり。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




