【GAME24-1】迫る試練と暗雲の影!!
――廻る因果で駆け廻る、ゲームウォーリアーの白熱ストーリー!
それは仲間の元へ離脱した天野槍一郎とて、決して例外では無かった!!
遂に始まるオフィシャルプレイヤーの大試練、当然一筋縄では行かない過酷な戦いに、待ち受けるゲーム!
しかし同時に、仲間とは離れていようとも槍一郎はその絆は決して消えない事を再認識する事になる……!!
なにはともあれ次なるゲームの舞台へ、ご唱和下さい!!
“オープン・ザ・ゲート”!!
▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽
――自分のかつての誇りを取り戻すべく、一大決心を固めて、ゲームワールド管理機関WGCによって再建される“オフィシャルプレイヤー”になる為に、課せられた試練に挑もうとする天野槍一郎。
仲間たちに惜しまれながらも、快く出送ってくれたその絆を胸に、彼はこれから過酷なゲームへの細道を突き進むことになるだろう。
……えー、ところで。そんなオフィシャルプレイヤーの大試練とは如何なるものか。はたまた何処で行われるのか定かでは無い中で進行したこの大行事。もう始まる直前ですので順々に説明しますと……
オフィシャルプレイヤー大試練の目的は、数々のミッションをゲームを通じて全て制すること。これでWGC公式のゲーム戦士として認定されるという、至ってシンプルな内容。舞台は勿論ゲームワールド。
やはりこの電脳異世界の治安を任せる為には、当然未知の地であろうとも適応する力を備えなければいけません。問題はその転送する場所。
早い話が今回の大試練、槍一郎や同じくオフィシャルを希望するプレイヤー達のレベルとは、到底追いつかないハイレベルなゲームワールドのエリアが舞台となる。
一般プレイヤーが辿り着けない境地、遥か彼方の天界か、或いは冥界か。それを指揮し管理するWGCのみがその座標を示す。
即ちこの危険なエリアを無条件で向かう為には、全てのエリアを管理するWGCの本部へ直々に向かい、そこからゲームワールドに転送しなければならない。
――――WGCの本部。ズバリ、都心部・東京に向かう!!
▶▶▶ NEXT▽
……さて、基本的な説明はこんな感じですが、今度は槍一郎とその周りにいる人物とで、状況を把握してみましょう。
前々回の【GAME22】にて、WGCの代表取締役社長の本宮マサト、ゲームワールドの副管理者兼ゲーム戦士の鳳凰堂孔雀、そして自ら雑用係と自虐していたみのりのお母さんである河合麗子。
この三人によって、WGC本部へと連れて行かれる事になった槍一郎。
でも皆さん、槍一郎が居た所は大阪。そこから東京へ向かうだなんて、新幹線だって3時間以上は掛かる遠出なんですよ?
しかし、この物語の時代は『超次元ゲーム時代』。つまり近未来な訳ですから、移動くらい転送装置かハイテクなマシンかを使ってワープって事も―――
『ご案内します。この電車はのぞみ号、東京駅行きです。途中の停車駅は――――』
…………あれ? ここは関西の入り口、新大阪駅じゃないですか。そこに新幹線を待っているのは、本宮社長に孔雀に麗子、槍一郎と他に招集されたプレイヤー達じゃないですか! この絵面はまるで修学旅行みたい!
実はこの時代、VR技術は飛躍的に発展してても、新幹線や飛行機はあってもワープ装置とか、ハイテクマシンのような未来的な乗り物は存在しません。
つまり幾ら近未来で電脳世界が出来た時代でも、出来る事と出来ない事というのは、今と何ら変わらないものなのです。
「社長、新幹線が来次第至急デスクワークの用意を。本年度の総決算の表作成に」
「そのつもりだ。少し時間が押し気味だからな」
ちょ、ちょっと社長さん! WGCの総本山を収める御方が新幹線だなんて、出張にしてもトップとして風情がありませんよ! せめて飛行機に乗るとか……
「何だ、ナビゲーターのMr.Gか。また現実世界にまで首突っ込んでしゃしゃり出て。新幹線の方が仕事に向いてるんだから良いんだ」
とは言いましてもね……何かWGCのチャーター便とかで優雅に移動する手段みたいな事は無いんですか?
「無い。移動にまで余計な経費を使う余裕などあるか。私は移動で時間が掛かろうとも、落ち着いて安全な方を選ぶ。ゲームの時勢とはいえ現実はしっかり把握せんといかんのだ」
ゲームの時代を支える機関の社長に“現実を見ろ”って言われたって何処か矛盾してるような。あ、あらあら言ってる側から新幹線が来ちゃって、社長さん達ら皆が無言で入っちゃった。参ったなぁ……
▶▶▶ NEXT▽
――走る走る、新幹線は走る。東海道の一本道をただひたすらに突っ走る!
我々ゲーム好きにとっては、3時間の長旅はどうにも退屈なもの。そこで手荷物に忍ばせた携帯ゲーム機やらスマホで電池が切れるまで遊んで暇を潰すのが、我々ゲーム好きにとっては一般的な行動。
しかし、本宮社長さんら試練組御一行は。
「「「「「……………」」」」」
……うーわ、重っ苦しい空気!
誰一人も喋んないし、ゲームしてる呑気者もバカ騒ぎしてる人も無し。聞こえてくるのは社長さんのノートパソコンでカタカタ打つキーボードの音だけ。まるでサラリーマンの出張みたい!!
今回の主役、天野槍一郎も窓の奥の風景を眺めて黄昏れている。更にその横に座っているのが白い長髪に和を装った道着を纏った女性ゲーム戦士。
実は彼女、【GAME11】にて龍牙の初陣を制止させた同じくオフィシャルプレイヤーを志望する剣士プレイヤー、羽生優佳(16)だったのです。
彼女が半ば槍一郎に嫌気を指すような目を一瞬見せた事が、今回の大試練にて物語の知られざるベールを明かす事になる……かもしれません。
―――そして、槍一郎らの席よりも遥か先の最後尾、本宮社長さんと鳳凰堂孔雀も。
「……お前の予想通りの展開になったな孔雀」
「恐れ入ります。しかし桐山剣さんは興味深いです。龍牙さんが認めているゲーム戦士なだけあって常にポーカーフェイス、下手に動いたら探りを彫り込むタイプですね。私の“孔雀の眼”の能力の事も」
「称賛するのは勝手だが、私はお前の能力を全体的に肯定も信用する気も無い。お前を置く事さえリスクが大きすぎるからな」
「……承知しております」
「だが敢えてあの桐山剣と、そのメンバーの事は今後WGCでも視野に入れるつもりだ」
「分かりました。では本宮社長、今後の計画の事は……」
「お前に任せる。忌まわしき歴史を持つ一人、天野槍一郎を徹底的に叩き潰すも好きにするが良い。
――――私のように、ゲーム時代の新たな歴史を創り変える覚悟があるならな」
窓を見つめる槍一郎の眼前に、誇らしげに聳え立つ富士の山。そんな広大な風景も通り過ぎ、無機質な大都会へと足を踏み入れる事になるだろう。
いよいよ始まるオフィシャルプレイヤー大試練、槍一郎の進む先に未だ見ぬとてつもない闇が待ち構えようとしています……!
――――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




