表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
3rdSTAGE―プレイヤー心・裏表! ゲーム戦士の試練を超えてゆけ!!―
163/468

【GAME23-7】俺の目標!!

 

 ――裏プレイヤーとのアメイジング激闘を終えて、復元バックアップを終えた通天閣、並びに新世界の街は再び下町風情溢れる繁華街へと戻った。


 VRフィールドの薄透明なベール、戦いの終わりを示唆するエクシードストライクの桜大樹と共に、戦いの痕跡を残らずデータ消去していく街並み。

 その端部、恵美須東でポツンと仰向けに果てていた倭刀を守っていた魔法陣の加護もスーッと消えて、彼も清々しい表情で晴天を仰ぐ。


「――はぁ、空ってこんなに蒼かったんやな……」


 晴天を仰いで、彼はプレイギアで穂香の戦いのログを確かめてそのまま溜息をつく。

 戦いの中で一瞬だけ死を覚悟した倭刀、それ故に今こうして生きている事の重さを痛感しつつ、戦いにおける自分の浅はかさを思い知ったのでした。


 ウーウーウー


 ――その時、何処からかパトカーのサイレンのような音が近付いてきて、そのまま通り過ぎるのかと思いきや大音量のままで倭刀の耳をつんざく。それもそうでしょう。

 何しろ路上で仰向けになっている倭刀を見かねて、パトカーに乗ってた婦人警官さんが降りてきて尋問してきてるんですから。


「君、大丈夫!? 裏プレイヤーにやられたの!?」


 必死の形相で倭刀の応答を確かめる三編みの髪と眼鏡を掛けた婦人警官。言われなくとも魔法陣の中で休んで元気な倭刀は、鬱陶しそうな顔しながら応えた。


「やられはしましたけど……五体ピンピンっすよ、お陰様で! この分だとどーやらゲームは終わったみたいやな」

 それを見た婦警さんはガクッと膝を落として安堵した。


「……はぁ、良かったぁ……! でもびっくりしたわ。貴方が路上で倒れてたから、犠牲になったかって思うじゃないの!」

「はぁ、紛らわしい事してすんません。――でも穂香姉ちゃんが居なかったらマジで死んでたかも……」


 倭刀は激闘を振り返って悍ましい気持ちに浸る中、穂香の名を聞いて婦警さんはピクッと反応した。


「穂香姉ちゃんって……もしかしてシャッフルオールスターズの穂香さん? じゃ君は弟分の倭刀君って事!?」

「ふぁ!? せやけど……何で婦警さんが俺たちを知ってるん?」


 そりゃ貴方達シャッフルオールスターズは、浪速区ではトップクラスの有名人でしょうけど……この婦警さん、特別な意味で彼らに思い入れがある様。というのも、


「私はサイバー犯罪捜査官の巡査見習いの白鳥しらとり 美律子みつこ(22)。剣さん達とは一年前のブラックヘロン壊滅を手伝った事があるの!」

「白鳥……あ! もしかして、前に剣さんが言うてた白鳥さん!?」



 ――――えー、白鳥美津子とは何者か? 当然分かる人は居ますまい、何せ彼女が登場したのは前作『極限遊戯戦記』から遡っても、随分前の事でざっと一年半振りの登場ですから!

 読者の中でもずっと読んでる方でも覚えてないでしょう。ではサラッと説明しましょ。



 実はこの白鳥は、当時テロリスト集団・ブラックヘロンが同胞集めにゲームワールドの賭博エリアにて勧誘された事で、悪事に加担された事も知らずにバイト感覚で片棒を担がらせていた。ちょっとしたネズミ講みたいな詐欺ですな。


 その時に白鳥は騙されたと気づいたのは、ブラックヘロンがゲームワールドの消滅を企てるテロ計画【D-Z計画】の作戦に不審に思った事。


 無知とは罪なもの、知らず識らずの内に悪事の手伝いをされていた事を拒絶した白鳥は、その計画書を悪者の目を盗んで強奪し、それを剣たちに見せた事でブラックヘロン壊滅への糸口を見つけたのでした。

 ※詳しくは『極限遊戯戦記』第21話を読んでね!



 ――それから白鳥は、自ら罪を償う為にブラックヘロンの悪事を全て警察に自白。

 彼女が処分を終えた頃に警察側は、間接的にもテロの壊滅を協力した事とハッキングといったサイバー犯罪に纏わる知識を備えたことから、白鳥をサイバー犯罪捜査官としてスカウトする事になった。


 しかしスカウトから一年ではまだ実務に届かない為、今は見習い巡査として裏プレイヤーの裏ゲーム捜査に乗り出す事になったのだ。

 因果は巡る糸車、廻り廻るは風車。剣たちの活躍が一人の女性の未来をも変えることになろうとは!


「あの時はまだ、剣さんや皆は普通の高校生だったけど、脅威にも屈しない勇気と度胸があった彼等は私にとっては英雄(ヒーロー)だったわ。

 だから私も、私に出来る事を精一杯やろうって決めて、サイバー捜査の婦警を目指す事に決めたの!」


「…………はぇ〜、こん時から剣さん達って凄かったんやなぁ」


 改めて自分や穂香をも救った、剣たち仲間の偉大さを思い知った倭刀。それに比べて自分は何と未熟か、何と小さい器か。比較して思い知らされる雲泥の差に思わず唇を噛む倭刀。とそこへまた現れたのは、


「倭刀!!」

「……あっ、穂香姉ちゃん!!」


 鮮やかな戦術で裏プレイヤー・キャノンボールの鉄を成敗した穂香が、倭刀が心配で自ら駆け付けてくれた。互いに無事を確認してギュッと抱き合う絆の抱擁。そして婦警さんの白鳥に穂香は呼びかける。


「婦警さん! 今丁度他の警官が裏プレイヤーを捕獲した所です。早く行ってあげてください!」


「いけないすっかり忘れてた! それじゃ落ち着きましたら、裏プレイヤーの情報聴取のご協力も宜しくお願いします倭刀くん、穂香さん!」


 白鳥は2人にビシッと敬礼し、再びパトカーを走らせて現場へと急いだ。また彼女とは別の形でゲーム戦士達の力になりそうですな!



 ▶▶▶ NEXT▽


 ……そして、残すは倭刀と穂香。何やら言いたげな事が沢山ある様子の倭刀が思い切って話す。


「…………ゴメン、姉ちゃん。俺がなりふり構わず突っ走ったからこんな事に……ホント俺ってばどうしようも無いわ」

「うぅん、気にしないで。倭刀は自分のミスは反省できるんだから、これ以上引きずって自分を責めるのはダメ」

「んな事言ってもよぉ……! 俺こんなんじゃ剣さんや槍一郎先輩に合わす顔がねぇよ――!!」


 先程まで情け無用に戦った穂香も、修羅が終われば優しいお姉ちゃん。責める倭刀を撫でるように受け止めるがそれでも彼はグズるばかり。彼女から話を持ちかけた。


「……倭刀、貴方は私に“退治人(パニッシャー)にしちゃ優しすぎる”って言ってたじゃない? あれはちゃんと私なりの意味があるの」

「意味……?」


「私みたいなパニッシャープレイヤーは悪い人を懲らしめたりはするけど、殺したりはしない。過度な戦意は逆に相手を深く傷付ける事になるし、PASの暴走で感情も制御出来なくなる。

 ――――倭刀、貴方は裏プレイヤーを()()()()()だったんでしょう?」


「え……!? 何を言ってんだよ姉ちゃん――――!??」


 倭刀はこの発言に一驚したが、振り返れば思い当たる節が一つあった。


 “身勝手な裏プレイヤーをこの手でぶっ潰してやりたい”。


 そんな思いが倭刀の無意識の中にあり、戦いの中で傷を付けることを楽しんでいた自分が居た事を、穂香姉ちゃんは既に見通していたのだった。


「倭刀。貴方は暴力で悪い人を止められると思ってるかも知れないけど、それは間違ってるわ。相手が拳を出してきて、自分も拳を出してしまっては、止められる喧嘩や暴動は永遠に止まらなくなるの。最悪止める方が相手を殺す事になるかもしれない」



「――――俺がさっきやった事は、裏プレイヤーと変わらないって事なのか……?」


「退治人が退治するのは()()()。私は人そのものを傷付けない為に、優しさを貫き通すの」


 ……しかし、裏プレイヤーの止めを指した穂香のエクシードストライクは、そんな優しさをも通じない何かを物語っていた。


「……でもね、優しいだけではどうしようもない事だって私にもあるわ。さっきみたいに倭刀をこんなになるまで傷付けられたり、人を怖がらせる事を平気でやる人を見たら、私だって倭刀みたいにボコボコにしたいと思っちゃった。――結局、私もあの人達と同じなのかも」


「そんな事……!!」


『そんな事ない』。倭刀は言い切るつもりだったが、論破するにも力量と心が満たしていない自分がやるせなくなってしまった。


「それでも私は暴力だけでなく話し合いとか、傷付けないで和解するやり方で正していきたい! …………倭刀は、どんな自分になりたいの?」


 もう既に、倭刀の答えは出ていた。

 いいかげんなヤンキー気質の彼が成し遂げた“正義”を、自分自身も貫き通すという()()の形が……!



「――――俺は、剣さん……いや、桐山剣を超えたいッッ!!!!!」




 頑なな意志を掲げて、戦いに挑むシャッフルオールスターズ。穂香も、試練に旅立った槍一郎も、他の仲間もそれぞれの意志で動く中で、倭刀が初めて見つけ出した自分自身の“目標”……!


「いつも上から目線で、俺の考えの先を行ってて、正直ムカつくって思ってた! けどそれは剣さんが、確実な自信と勇気があってこその事!! だからさっきの婦警さんも姉ちゃんも、他の皆も救った【切り札騎士】って言われるんだって分かったんや!!!


 ――――あの人が“英雄”と呼ばれるなら、俺だってなってやる!! 『英雄(ヒーロー)は独りじゃない』ってのを、俺が証明したらぁッッッ!!!!!」



 ――――倭刀の眼に蘇った鋭い眼光、それは天より高く聳え立つ壁を超えんと突き進む、龍の眼にも似ていた!!

 ドラゴン侍・倭刀の目標は切り札騎士、桐山剣を超える為に戦う決意を新たにしたのだった!!!


「……うん、よく言えましたっ! それじゃ覚悟が決まった所で、聴取手伝いに行こ! 通天閣の警察と白鳥さんの所まで競争!!」

「ッしゃ!!!」


 二人のいる恵美須東から通天閣まで約500メートル、タワーを各々の目標と見立てて、進むは己の進む道!!


「「いっくぞーーーーー!!!!!」」


 走る走る、倭刀と穂香。大切な所に自分を磨く目標がある限り!!

 彼等の決意は今後の展開にどう左右するのでしょうか? 今はまだ我々は活躍に期待するのみ。



 そして同じ頃――――



「遂に、来たか――!!」



 ――――オフィシャルプレイヤー試練に旅立った天野槍一郎は、東京・臨海部のWGC本部に来ていた!!


 次回よりはいよいよオフィシャルプレイヤー試練の初陣が彼を待つ!

 本日は【GAME23/裏ゲーム阻止・倭刀の決意】を持ちまして、読み終わりで御座いますッッ!!



 ▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


次なる舞台はお待ちかね、槍一郎のオフィシャルプレイヤー試練!

初陣を飾るのは、な、な、なんと【ゲームワールド・氷山エリア】!?


彼に待ち受ける苦難の戦いや如何に――!?



この小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!!

更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ