【GAME2-2】帰って来た奴ら!!
――TIPS――
【ゲームワールド・エリア】
今回登場した『テーブルトップ・シティ』の他にも数多くのエリアがこの電脳異世界に構成されている。
アーケードゲームの街、レースゲームの未来都市、、アクションゲームの森、シューティングゲームの宇宙、クリアーデータの海、等など……
これらを全て踏破したプレイヤーはまだ一人も居ない!!
エリア内に設置されたゲームをクリアして、まだ見ぬ秘境の地へと突き進もう!!
――いやはや……極運のステータス振りをしている剣とはいえ、どうして変な輩に眼を付けられやすいのでしょうか。
彼らの目先には古風な番長、ゴツめのスキンヘッド、陰キャの妖怪、いかにもアバズ……ビッ◯(咳払い)、とにかくケバめなギャルの不良カルテットに因縁付けられてますよ!!
「きさむぁ……二度も戦っておきながら知らぬとは相変わらず不届きな奴やなぁ……!大阪の不良軍団【伊火様】の服部と名乗ってもまだ知らぬと言えるかコルァ!!」
何のためのハンドルネームか、何のためのアバター補正か? プライバシーは飾りか?? それすらもかなぐり捨てて名乗り出た番長の正体は、剣と過去に二度もゲームで挑んできた服部詫摩(18)であった!
因みにジョブは『シーフ(盗人)』アバター名は【ハットリ様】である。あと君は後で匿名の意味を辞書で調べてきなさい。
「…………あ゛ーーー!!! 誰かと思えば服部のあんちゃんじゃねぇか!! 久しぶりやなぁコンニャロー!!」
「わっ、アホ! 引っ付くなや!!」
剣は驚いたと同時に怯むどころか馴れ馴れしく肩なんか叩いちゃって、そんなに彼と縁があったのだろうか? それには理由があった。
「話は聞いてるぜあんちゃん、一年前のアメイジングウォーズで立海遊戯戦団の城で避難してた際に、自ら名乗り出てプレイヤー達の救助を手伝った功績でWGCから称賛されたって!」
「お前らチンピラがよくまぁここまで更正したとは、僕もビックリしたよ」
剣のみならず槍一郎までも感心し、レミや以前被害にあっているみのりは複雑な心境で苦笑いしていた。
一年前にゲームワールドから裂け出た超次元空間より放出し襲った猛毒霧から逃げていた服部達は、同じくしてその脅威を敢然と戦っていた剣達の様子をライブ動画で観たことで彼の心を動かした。
“桐山剣を越えたい”。
そんな彼の想いがプレイヤーとしての信念を呼び起こしたのだ。それにしても絵に描いたような不良がこのゲームワールドを経営している管理機関WGCに称えられたとは、人間変わるものですなぁ~!
「そして今日この場で俺様は、掲示板の力を借りてお前らの元に来たというわけだ!! 剣、この俺様と勝負しろォォォォ!!!」
やっぱり匿名無しに掲示板で書いたのはアンタだったんですか……
とまぁなんとも強引な、いきなり決闘の如く服部はアメイジングのブレスの電源を入れて構える。剣も……ってあれ?
剣は左腕のブレスを作動せずにただ平然と立ち尽くすだけ。これには服部も呆気に取られる。
「……え、オイちょっと……あんたホントに剣さん?」
「あぁ、本物の剣さんだよ」
自分でさん付けすな。
「だったら何で決闘で構えない? 今更俺様に怖じ気づいたんか!?」
「別に怖かないさ! 第一、俺はあんたの決闘に申し込む理由が何処にも無いもんね」
「何ををををを!!?」
服部は剣に食って掛かろうとしたが、それを剣は素手で止めて真剣な目付きで言い諭した。
「以前はみのりにちょっかい出したり、カード売り場で迷惑掛けたからゲームに挑んだだけ。でも今は違う、俺はあんたに恨みもねぇしお互い夢持ったプレイヤー同士でフェアや。気に入っちゃったんだよあんたを!
だからアンタとアメイジングで決着付けるにゃ早かねぇかって思ってな」
冒険スタート直後で互いに未熟な状態で戦うのは性に合わないのか、アメイジングでリベンジするには時期尚早と考えた剣であった。
「ん……まぁ、そりゃせやけどな……じゃ何でお前に勝負を挑めばえぇねん?」
流石の服部も剣の口車に乗せられたというか何と言うか、服部も一応は剣の意見を聞いてみた。
「あんたは俺へのリベンジの為に魂を磨き掛けたらしいが……それならアメイジングじゃなくて違うゲームでしようや。少しは俺を負かすゲームも一つや二つあるだろうしな」
「うーん…………」
服部は思い悩む。何か釈然としない感情と、まさか剣からゲームの交渉をされるとは思わず困惑の意と混ざりあっていた。
「まぁゲームは俺に決めさせてくれ。勿論小細工は無しでな」
「……いいだろう」
ありゃりゃ、結局成り行きで交渉成立になっちゃった。大丈夫かな?
「ねぇ剣くん、何か勝てそうなゲームとか検討付いてるの?」
レミも急展開に心配になったか剣に提案があるのか聞いてみた。
「全然。遊び相手出来たから適当に決めようかなって」
ガクッ、何ですかそれ!!
((やっぱし…………))
みのりも槍一郎もリーダーのいい加減さには慣れていたようであった。
▶▶▶ NEXT▽
いくら百戦錬磨の剣たちとはいえ、不良四人連れてるとどうも周りの目が気になって仕方がない。かと言って剣に任せてもどうも優柔不断で中々ゲームが決まらないし、服部もこれにはイライラ。
「オイ早うせぇや! 何時までゲームに迷っとんねん!!」
これじゃ埒が明かない! それを見かねたみのりが思いきって剣に提案した。
「ねぇねぇ剣くん! 彼処のゲームならどうかしら?」
みのりが前に指差した先には、赤と黒が交互する巨大なボード。さっきのチェスボードに似てるが、こっちは赤と黒のコインのような駒が黒のマスにずらーっと並んでいる。これに連想するゲームは……
「あ、分かった! 【チェッカー】か!!」
――――――――PLAY GAME――――――――
☆テーブルトップシティ ゲーム①☆
【チェッカー―CHECKERS―】
・ジャンル:ボードゲーム
・プレイヤーレベル:10
概要
相手の駒を飛び越えて取り合うゲーム。世界的には『ドラフツ』の名で呼ばれており、日本語では西洋碁とも呼ばれる。
ルール
・チェスボード(8×8)の黒マスだけを使う。
・プレイヤー双方は交互に、盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす。
・最初に自分が座っている側の3列に12個の駒を配置する。
・駒は常に斜めに動き、初期状態では各駒は斜め前の2方向に1マスずつしか動けない。
・斜め前に相手の駒が存在し、かつそのマスの向こうのマスに駒が存在しない場合、自分の駒を向こうのマスに移動させ、飛び越えた相手の駒を取る。取られた駒は盤上から除かれる。
☆先に相手の駒を全滅させたプレイヤーが勝利!
プレイ報酬(PvPの場合)
・勝利賞金 3000円
・アメイジングカード レア以上 ランダム2枚
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ジグザグの飛び越し駒取りゲーム、チェッカー。これで互いのゲームセンスの手並み拝見という訳だ!!
「ほほぅ、嬢ちゃんにしては洒落たチョイスだなぁ。良いだろう! 今回はそれで剣の相手になってやる!!」
別に誉められたものでも無いが……みのりも「いえいえ」と促し程度に応対した。
「何てったって俺もゲームしたくてたまらねぇんだ、早いとこ始めようぜあんちゃん!!」
「俺様もだ剣、この時がプレイヤーとして一番心踊る時だからなぁ!!」
互いにゲームを愛する想いは同じ。
かくして同じ戦場に相対する剣と服部のバトルが始まった!!!
――――そして、その街路のチェッカーフィールドの隅で1人傍観するプレイヤーが……!?
「やはり来たな……剣――!!」
この続きは一旦読み終えて、次回に続きます。――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
【ここぞに使えるゲーム豆知識】
『チェス』も『チェッカー』も、『チェスボード』と呼ばれる盤を使って遊ぶ。
このような同じ形状のボードを使用する事から市販ではチェッカーとチェスのどちらもプレイできるように両方の駒がセットで販売されていることも多い。




