【GAME23-1】新世界に潜む闇!!
――さぁさ皆様お待たせしました。3rdSTAGE最初のゲームへのご案内!
初っ端から槍一郎の話になるんじゃない?と思った方はごめんなさい。まずは現実世界・倭刀と穂香の名コンビによるゲームへと向かいましょう。
――戦いの舞台は、大阪・新世界!!!
作者が何回も行きたがるほど大好きな場所にてとんでもないゲームが待ち構えます!!
それではご唱和下さい、“オープン・ザ・ゲート”!!!
▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽
――ここは大阪・浪速の街。
淡路の海に隣接し、商人の栄ある街並みは数多くあれど、古くから大阪の象徴として浪速区恵美須東に聳え立つ108メートルの塔・通天閣。
明治から大正にかけて造られたこの塔は、パリとニューヨークの二大欧米都市の模倣として、昔は凱旋門の上にエッフェル塔を乗せたような、無茶苦茶な塔だったそうな。
そんな通天閣を筆頭に、“大阪の新名所”の意味を込めて、これら恵美須東付近の繁華街を人は皆【新世界】と呼んだ。
しかしゲームウォーリアーの時代は、現代よりも遠からず、もしかしたら近い未来なのかもしれない“超次元ゲーム時代”。
我々のお父さん、おじいちゃん、更にもっと前の世代に馴染んできたものは、文明の進化や文化の嗜みの変動によって廃れる運命にありますが……
新世界は時代の流れにも負けず、何度も蘇ってきた大阪を代表する繁華街。故にゲーム時代であろうとも、下町風情溢れる暖かな風景は、何にも変わりは無いのです! じゃちょっとだけ雰囲気だけでも皆様にご案内を……
▶▶▶ INFORMATION▽
――御堂筋線の『動物園前駅』を降りて、車道下のトンネルを抜けると直ぐに待ち構えるのは“ジャンジャン横丁”。
ここでは串カツ屋とか寿司屋とか、十歩飛んで50円ゲーセンとかとか、新世界へ迎え入れる手前から『商売しまっせ〜♪』の構えで喧しくも活気に溢れています。
横丁を潜り抜けて、やっとこさ新世界の敷地に入った途端にも店の住宅団地・クロスロード! 横丁以上に飲食店の大嵐で、金の心配抜きで食い倒れてくれと言わんばかりの大盤振る舞い、更には服屋もグッズも劇場だって何でも来いの娯楽街!!
勿論ゲーム時代ですからゲーセンも豊富、特にレトロゲームに重点を置いた筐体立ち並ぶゲーセンは、マニアから熱い支持を受けております。
それもこれも、天守閣を守護するビリケンさんの御加護なのかも……?
……そして今日もまた、今をときめくゲーム戦士達が、この新世界に足を踏み入れようとしています。今回はそんな新世界に蔓延るゲーム戦士に視点を入れたゲームをご案内しましょう。そうと決まれば閑話休題!!
▶▶▶ NEXT▽
「もう〜倭刀ったら、何処に行ったのかしら……?」
通天閣の周囲の店にて、あちらこちらと人を探している様子の女性ゲーム戦士。
金髪の煌めくロングヘアーに、大樹の刺繍の緑ジャケットを着てても、はち切れんばかりの巨乳が上下に揺さ揺さ。……やっぱり、現実も仮想もおっぱいの大きい、大森穂香さんじゃないですか!
「また私のおっぱいの話して……あ、Mr.Gさんですか。ここらで倭刀を見かけませんでしたか?」
倭刀さんですか? 案内中は見てないですけど、どうしたんです?
「私と倭刀とで裏プレイヤーの出処を探そうって話で新世界に来たんですけど、倭刀ってばまた一人で出歩いてるみたいで……」
――ここでもう一度、おさらいしていきましょう。
現在シャッフルオールスターズは6人、というのもメンバーの一人である槍一郎がオフィシャルプレイヤーの試練に出て離脱し、残りはWGCの依頼で裏プレイヤーを探すことになった。
そこでゲームワールド・現実世界・ネットの情報網を利用して二人一組バディを組んで裏プレイヤーの発見、討伐を進めながらオーブを探す行動に出たのでした。
そのバディの一組が穂香・倭刀の名コンビ。
地元からの口コミで新世界を拠点に裏プレイヤーの活動を目にした情報を元に探索に出たのですが、風来坊な性格が目立つ倭刀の独行動で、穂香姉ちゃんが彼を探索する羽目になった。まーたどっかでゲームしてんじゃないですか?
「ゲーム……あっ、あの子もしかして――!」
私の助言で何か勘づいた穂香、久々にナビゲーターらしい仕事をしちゃったぞ私、エライ!!
その行き先は通天閣周辺のゲーセン・パチンコ屋に紛れた少し変わった店。背が低めの看板に書かれた“スマートボール・1回100円”の文字、さっそく穂香がその店に入ってみると……
入口正面から一列若干右にて、『スマートボール』なるものを絶賛プレイ中のツーブロックヘアと、龍と侍刀の刺繍を背にしたオレンジのジャケットに高校生。そんな彼に穂香姉ちゃんの怒号が襲う。
「コラッ、倭刀!!!」
「わ゛ッッ?!!」
驚いた拍子に条件反射で発射レバーを握った右手が滑り、咄嗟に何事だと彼は振り向く。その顔見るや生意気な風貌に鋭い眼、やっぱし倭刀さんでした!
「……何や穂香姉ちゃんか。探索がてらに一稼ぎしよ思うてたのに」
「いけません! もう倭刀ってばいつも景品とかお金に眩んで……」
「えーやんか、ケチー!!」
血の繋がりは無いが、ゲームを縁に繋がった兄弟仲の倭刀と穂香。このやりとり見てると反抗期の子を持ったお母さんな感じもしますが……
それはともかく、今倭刀がやっていたゲーム『スマートボール』。あまりご存知で無い方も居るでしょう。
スマートボールとは、ピンボールの一種でパチンコの変種。つまりピンボールとパチンコの境目に立つゲームなのです。
100円投入するとビー玉のようなボールが25個出る。そのボールをピンボールの要領でレバーを引いて発射し、数字の書かれた『入賞穴』と『スタートチャッカー』と呼ばれる穴にボールを入れて数を増やすのが目的。
そして獲得したボールの数に応じて、お店よりお菓子といった景品と交換できるのです!
……でも皆さん、感心してはいけません。
こういったゲームで景品交換するような店は18歳未満は立ち入り禁止! パチンコ屋とおんなじルールですね。
更にもっと悪いのは倭刀の年齢が16歳である事!!
明らかに違反だろと文句も分かりますがこの物語はフィクション、即ち架空のお話でゲーム関連の法律に関しては、相当寛大になってる設定ですので御了承下さいませ。
ただし実際のスマートボールのお店で18歳未満の読者の方は、倭刀みたいな真似はしないで下さいね! Mr.Gからのお約束ですよ。
(はぁ……元々この子が元は孤児だから、お金の有難みを先に教えたのが私の教育上宜しく無かったのかしら……?)
(んだよ……この御時世皆がゲームで金稼いでる時代なのに、何で俺だけ駄目かんだよ……!)
穂香と倭刀の胸の内に秘めた想いが、明らかに離反している中で二人はスマートボールの店を出る。
――そもそも繁華街故に栄えたこの新世界も、あらゆる所から人が紛れる為にトラブルも絶えず、第三者から聞いても治安も良いとは決して言えない。
倭刀も穂香も新世界は地元の為、最低限の警戒は怠らないつもりではいた。だが本当の治安を脅かす起因は、誰も気付かない所から始まるものなのです。
その場所は何と、通天閣の真下。地下ブースの更に下、寂れた人気の寄らない地下通路にて、何とも怪しげなプレイヤー達数名が集まり、決起集会を行っていた――!
『――――これより、【裏ゲーム】を行う。目標人数は……10名』
『しくじれば“死”。心して掛かるが良い……』
――カチャッ、ピキュュュンンン……!
地下の狭い空間で、カードデッキを装填させたカードスキャンブレス数台の起動音が、エコーのように響かせる。
これぞ初公開、裏プレイヤーによる死亡遊戯・【裏ゲーム】の開始を告げる決起の合図……!
次回よりはいよいよ裏プレイヤーによる地獄のゲームが、倭刀たちと新世界のプレイヤーらに襲い掛かります!!
――――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




