【GAME17-8】双魂の切り札騎士!ゲームで繋いだ絆!!
――闘志の剣と、守護の盾。騎士の二大武器がゲーム戦士の魂の形『PAS』となりて桐山剣の新たな力となった!!
「剣くん、凄ぉい……!!☆☆」
シャッフルオールスターズの面々も個性があればリアクションも人それぞれ。みのりのように目をキラキラさせるのもいれば、倭刀みたいに若干嫉妬に走るのも居る。
そんな中で第ニのPASの覚醒を予感・示唆していたのは槍一郎ただ一人。それにレミが説明を求めたがった。
「槍ちゃん! 貴方知ってたんでしょ、剣くんが覚醒するって事を!! 何で二つも覚醒できたのよ教えなさいよ!!」
説明の求め方にしてはちょっと乱暴過ぎやしませんかねレミさん? 内緒にされたのにムッとくるのは分かりますが。そこにも有無を言わさず槍一郎は答えた。
「僕も前にみのりちゃんと剣が喧嘩した時に気づいたんだ。最初は剣のPASの突然変異かと思ったが、その時には既に二つのPASの波動が剣には持っていた!
そして今こうして二つ同時にPASを発動させたという事は、既に剣はプレイヤーの枠を超えた!! 土壇場で極限の力を編み出したんだ!!!」
▶▶▶ NEXT▽
槍一郎の推察はメタい程に明確であった。
ゲーム戦士の魂・PASを二つ同時に発動するという事は、類を見ない極稀なケースである事。そしてそれを実現させたのは紛れもなくゲーム戦士である桐山剣の限りなき心の力であった!
「お前……その盾ぶら下げた所で逆転でもしようって考えか? あぁッ!?」
龍牙も連続発動のPASを知るはずも無く、少なからずも動揺は隠せないようだ。
「……逆転出来るか何て分かんねぇよ。吹けば飛ぶようなHPでお前に削られるか知らねぇのに。俺はこの二つのPASでどれだけお前にやり会えるか、試してみたい気分や」
新たな力を得た剣だったが、その心境は意外にも弱気なものだった。
そもそも残りHP100の状態で、猪突猛進な龍牙にいつ狩取られるか分からない状況で覆すのは剣とて難しい。だが剣は長い時間でも龍牙と取り組み、本音をぶつけ合う時間が欲しかったのだ。
ゲームという平等な聖地で、友とぶつかり合う為に……
「だったら……直ぐに俺様が終わらせてやるよッッ!!!」
龍牙はいきなり忍刀を構えて食らいつくように剣を斬りに掛かった、ところが!
―――ピキィィイイン!!!
「がっ……?!!」
〔KUROSASUKE HP900→750〕
突如剣の周囲に覆われた薄透明の白いベール。それがバリアの役割を果たし、龍牙の一太刀を防御する。それに伴って龍牙の《シノビブレード》のダメージもそのまま龍牙に受けた。
「な……何だとぉ……俺の攻撃が反射される――!!」
剣の新PAS【セイントシールド】のスキルは【絶対なる盾】。自分が盾を装備している際に構えると自動的に攻撃無効の反射ダメージを与えるバリアを放つ。
だが一つだけ欠点があるとすれば……
(反射は良いんだけど、構えてばっかじゃ攻撃が出来ねぇ!)
防御に長けてるが攻めには皆無。この一長一短な能力は何処のPASも同じ。だがそれを補うために剣がある!
「うぉらああああああ!!!!」
盾の構えを解いて雷の剣 《ボルテック・セイバー》で《シノビブレード》を弾き飛ばし、それを消滅させた剣。
「しまったぁ……!!」
「オラァ今度はこっちの番や!!!」
劣勢転じて形勢が剣の方へ傾き、《ボルテック・セイバー》を片手に龍牙に逆襲を仕掛けた!!
龍牙の殺意とはまた違った剣の戦う芯の違いに、龍牙はまた苛立ち始めた。
「何なんだよテメェ……テメェの魂の何が変えた!? 何が俺様を止めようなんて考えに落ち着きやがったんだァァァァ!!!?」
剣の真意をゲームの中で読み取った龍牙。それには野暮だと訴える顔で剣は彼に近づき嫌味口で答えた。
「お前はもうとっくに気づいてんだろ? ――――俺とお前も、ゲームで繋がった仲だって!!」
更に切り札騎士の猛攻は、止まらない!
「ゲームが低俗だとほざく奴、時間の無駄だと嘆く奴……んなもん勝手に言わせりゃ良い。だがこの時代にゲームで人との繋がりを持つことは、俺らゲーム戦士には特大の力にもなる!!
お前と別れて孤立した俺をみのりや槍ちゃんや、他のメンバーと出会って『遊戯』というツールで奇妙な縁に繋ぐことが出来たッッ!!!」
剣の右手、《ボルテック・セイバー》に漲る電流よりも更に高圧で熱気に溢れたPASの波動。それが高揚と共に波動の強さを加熱させた!
「一人で意地張ったって、人を枷に使おうったって、んなもん強さの糧にならねぇ……!! それを証明する為に俺は仲間と共に生き抜く事を決めた!!!
――――ゲーム戦士の誇りとッ!!! 絆の紋章ってヤツをッッ!!!! 貫き通してお前を超えるためにこうして戦ってんじゃねぇかッッッ!!!!!」
龍牙の抵抗にも臆せず、ただ前を見つめて突き進むは剣の剣捌き。その雄々しくも頑なな精神が、曲がった性根をも叩き潰す勢いだ。
「俺もこの際決心したんや。いつか俺らの元ダチに出会って、お前自身が頭下げて謝らせるまでは、昔と今のダチに対して……
―――――申し訳が立たねぇんだよォォォオオオオオオオオオ!!!!!!」
「黙れぇぇえぇええええぇえぇぇえええ!!!!!!!!」
遂に龍牙の苛立ちが頂点に達し、例のPASを再び発動させる。
◎――――――――――――――――――◎
・プレイヤースキル【忍七道具・変化】発動!!
・PAS【手裏剣】確認。
PASスキル【忍法・影地獄】発動!!
◎――――――――――――――――――◎
取り出したるは影の手裏剣、それを眩いオーラに纏った剣に出来た影にドスッと打ち付けた。
「グッ……!!!」
再び剣に半永久なる金縛りが襲いかかる。その隙に龍牙は決め手となるカードをスキャンさせた!!
『アクションカード、【火遁の術】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【火遁の術】EG:⑥
属性:赤
①相手フィールドのユニット・プレイヤー
に500ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
〔KUROSASUKE HP150〕
同じくして龍牙も残り僅かのHP、長期戦は無用とここでケリをつけようと企んだ。
「俺の炎でくたばっちまえーーーーー!!!!!」
怒りに狂う龍牙、その刃を影に突き刺し思うように動けない剣。今にも掌から飛び出す火炎獄炎に焼かれる寸前、万事休すか……? ――いや、剣はこんな事で諦める輩では無いのだ!!
(諦めてたまるか……! 切り札騎士に、悔いの残る戦いは要らねぇ!!!)
――いざとなったら魂を賭けろ! 切り札は最後に残して勝利をもたらす、その切り札こそ魂の剣だ!!
「うぉぉおおおおッッ!!!!!」
胸元のPASの光が更に輝きを増し、それが影をも晴れるほどに眩しく突き刺された手裏剣をも消滅させた!
「何ぃ!!??」
◎――――――――――――――――――◎
・PAS【ロングソード】確認。
PASスキル【エーススラッシュ】発動!!
◎――――――――――――――――――◎
PASの発動、そして同じタイミングで《火遁の術》も発動。燃え盛る火炎が剣を襲おうとしたとき、剣の煌めくロングソードがクリスタルの輝きを放ち、炎をつんざいて敵を討つ!!!
「エーススラッシュ……結晶斬りィィィイイッッッ!!!!!!」
「ガァァァァアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」
絶叫する二つの叫び、炎と結晶の刃が乱れ飛び爆裂するエネルギーの大激突。
その爆破のモヤが晴れて、我々が刮目出来た時には、二人共々力尽き朽ち果てた姿が…………
「――――つ……剣くぅぅぅぅううううんッッッ!!!!!!!」
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




