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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME17-7】右手に剣を、左手に盾を!!

 

 ――いざとなったら魂を込めろ! 力溢れる魂の切り札『PAS』を発動させたのは龍牙。幾度の騙し討ちに掛からず、逆に出し抜かれた事に激昂した彼はドス黒いオーラを胸元から放って忍刀を殺意恨々と構える。


 しかし、このPASのスキルを経験した剣は以前喰らった時とは何処が違う、違和を感じて後に悟った。

 何故ならクリアーウィンドウの表記からPASの発動が表記されても、PASスキルは発動されていないからだ。


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・PAS【手裏剣】確認。

 ◎――――――――――――――――――◎


「やっぱりそうか。お前のPASスキル【忍法・影地獄】は暗いとこじゃ使えねぇって事か!」

「……聞くだけ野暮ってもんだろうが」


 龍牙のPASスキル【忍法・影地獄】は、相手の影をPASで作り出した手裏剣で突き刺して金縛りにする技。しかしここは常闇のメトロポリス摩天楼、足元の影も創れない状態では突き刺す影も無しという訳なのだ。



「そろそろ教えてくれや龍牙。昔から頭に血が登りやすいお前は、どんだけ頭に来ようと俺らを傷付ける事は無かった。そんなお前が何で卒業式のあの日、俺らを傷つけた? 何故俺達ダチを裏切った!?」


 PASが発動している時のプレイヤーは、嘘・偽りをせず己の本心のままにゲームを貫く。それを知っていた剣はこの場で真実に迫ろうと龍牙に問い掛けた。


「傷つけた……ヘッ、ヒェへへへへへ……!!!」


 それを聞かれて龍牙、何を思ったか不気味に笑い出し、ギラついた眼で剣を睨みつける。


「確かに俺様はどんなにイライラしてようがテメェらに手ぇ出した事は無かったさ、それは認めてやらぁ。だが俺様は卒業が迫った時ふと考えついた。


 ――『いつかは離れ離れになるダチを引きずって、俺様は強くなれんのか』ってな。そんな時にスカウトされたんが京都の強豪プレイヤーギルド【鳳凰超勇士】って団体や。それに加入した時にテメェらと縁を切ろうと決めたまでや」


 その真実をカミングアウトした時、剣の表情は何の変化も見せず、ただただ真摯に聴き留めるだけ。


「……自分の強さを優先して、俺達を蹴落としたのか――?」

「そうや。テメェら仲良しこよしとつるんで重い枷を引きずっていちゃ、邪魔で仕方がねぇからな!!!」


 それが龍牙の本心……それを想った剣は怒りも嘆きもせず、ただ龍牙に無碍(むげ)にされた事への虚しさに駆られるのみ。そして呟いた。


「……ったく、泣けてくるぜ。そんなん言われたら誰だって絶交したくなる。でもそんなんしたってお前自身が変わる訳じゃなし。結局そいつに関わった奴の誰かがやるしかない……!」

「あぁ? 何ブツブツ言ってんだテメェ!」



「ゲーム続けんぜ。こうなりゃトコトンお前のイライラに付き合ってやらぁ!」

「……あぁ是非とも頼まぁ。途中でくたばんなよ!!」


 ――龍牙にどんなに蹴落されようとも、誰からも相手にされなくなろうとも、剣はただ龍牙を元の仲に戻す為に戦う事を選んだ。お節介が行き過ぎる程に親友想いの男、それが桐山剣なのだから。


「《隼剣士・ファルザー》、《サラ・チャンドレイユ》で龍牙にダイレクトアタック!!」

 飛び交う2体の剣のユニット。やるせなさを唇で噛み締めながら司令する攻撃コマンドがやけに重く感じる。


「……俺様と殺るのがそんなに苦しいかお節介野郎。だったら一思いに楽にしてやるよ」

 すると、龍牙がブレスで何かを作動したと同時に予想だにしない事が起こった!


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・プレイヤースキル【忍七道具・変化】発動!!


 ・PAS【()()()】確認。

 PASスキル【焙烙火矢(ほうろくひや)】発動!!

 ◎――――――――――――――――――◎


「!!?」


 スキルの発動後になにやら手元に手榴弾のようなものを投げつけた龍牙。投げて3秒、その玉は火柱を上げて炸裂した。


 ドォォォオオオオオン!!!!


「ウォォおぉおぉおお!!?!?」


 〔エース HP500→100〕


 その玉即ち『焙烙火矢(ほうろくひや)』、実際の忍者が障害物突破の為に使われた十字火縄の手榴弾。これがPASスキルとなると、相手フィールドに存在するユニット・プレイヤーに400ダメージを与える火力スキルとなるのだ。


 これによって剣のユニットは全滅、剣自身も100のHPを残して首の皮一枚繋ぎ止めた。


「……な、バカな……!? 龍牙のPASの形が、()()()()――?!!」


 先程まで真っ黒なオーラを放っていた手裏剣型のPASが、いつの間にか赤に黒を混ぜた暗い色の焙烙火矢の形のPASに。これはどういう訳か?



「ジョブ『忍者』のみが使用できるプレイヤースキル【忍七道具・変化】だ。これによって俺様のPASの手裏剣から更に忍者の七つ道具に姿を変えることが出来る。相手を始末するタネは多い方に限る……!!」


 ▶▶▶ NEXT▽



 これには観覧のモニターで見ていたプレイヤー達も騒然。通常覚醒するにも並大抵の実力では果たせないPASが変化するという事実を融通していない者にとって、それは衝撃この上ない事だった。


「PASの色だけでなく()()()()()を変えるなんて……」

「槍くん、このままじゃ剣くんが……」


 実力者である穂香ですら驚愕したこの能力、心配になったみのりは槍一郎に心の拠り所を探そうと話し掛ける。


「……ゲーム戦士の魂、PASの力は無限大だ。例え形が変わろうともそれで臆していたら超えるものも超えられなくなる! 剣ならそれを超えられる力はもう備わっている筈だ!!」


 その言葉は何を意味する兆しなのだろうか……?


 ▶▶▶ NEXT▽


 一度放たれたPASスキルは同じものは二度も使えない。だが【忍七道具・変化】のスキルを使えば、残り6つの道具が使える。


「今度はコイツでどうだぁ!?」


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・プレイヤースキル【忍七道具・変化】発動!!


 ・PAS【()()】確認。

 PASスキル【武器強奪之鎖】発動!!

 ◎――――――――――――――――――◎


 ――シュルルル、ガチッ!!


「あッ、俺の《ファイティングブレード》が!!」


 火器の次は鎖鎌、その鎖で絡みついた剣の《ファイティングブレード》が龍牙の元へ引き戻され、何と所有権が龍牙にすり替わってしまった!!


「これでお前の剣と、俺様の忍刀の二刀流だなぁ……これで存分に切り刻めらぁな。HPも残り僅かだし、どう料理してやろうか?」

「ッ……!」


 いつの間にか剣のHPが100しかない事をここで初めて知った剣。もうがむしゃらな事が出来ないと悟った彼は、残りの装備である《ナイトシールド》を無意識に全面に構える。


「一つだけ確認するぜ剣。このゲームの後で俺様との縁を捨てるか、拒んで俺様に小間切れにされるか……? どっちか選べ、返答次第じゃ手加減もしてやるさ俺様は優しいからな。――――もう二度と昔の事を思い出させるなッッ!!!」


 優勢に立って剣に選択肢を与えて情けを掛けようとする龍牙。だがどんな状況に立たされようとも剣の答えは決まっていた。



「……たとえ死んでも、お前の縁は捨ててたまるかッッ!!!!」

「そうかぃ…………!!!!!」



 ――――ガキィィィン!!!


 振っては弾き、弾いては返す攻防の殺陣。怒り狂った龍牙の双刃にただ一枚の盾でそれを防ぐ剣。

 両者の譲れない思いが更にゲームを激化させた!



「お節介にも劣るお邪魔虫が……!!! 何処まで俺様をイライラさせる気だ、俺様の行く道を阻んで止めようとしやがるんだあああああ!!!!」



「長年の()()()って奴がよ……お前の暴走を止めたがって、戻ってこいって言ってやがるんだ。『これ以上人を傷つけんな』って問いかけて来やがるんだよぉ!!!!」


 激化するゲームに、燃え上がる両者の想い。それが魂と共鳴しあい何物にも寄せ付けぬ激戦と化していく……



「だったら……昔のダチだけじゃなく、今度は今のお前の仲間6人諸共ぶっ殺してやるッッ!! これで完全に縁が切れるだろぉおおおお!!?」

「させねぇよ、ボケぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 刃と盾の迫り合い、殺意の表れを抑えようと剣は盾で強引にその猛攻を押し出そうと必死に足掻く。




「俺はもう決めたんや!! みのり、槍ちゃん、倭刀、レミ、豪樹さんに穂香! ゲームで繋がった仲はお前らが引裂こうが俺が守るって!! 口先じゃねぇッ、本心で決めた事や!!!

 ただ刃を研いで傷を深めさせようがそんなの強さって言わへん、仲間を枷と思う奴に強いなんて言わせねぇ!!!! 傷は俺だけ付けられれば良い、大事なもんを歯食いしばって守り抜くために…………



 ――――俺は、皆を守る【盾】となるッッッ!!!!!!」




 ――――――その時、奇跡は起こった!!!!!



 カッ…………!!



 剣の胸元に煌めく漂白の眩い光、それが一つの小さな(コア)となって剣の左手に宿る。そしてその核は……逆三角形の盾となった――!



「あれは……()()()()()P()A()S()()()――――!!!!」



 槍一郎を初めとするシャッフルオールスターズ、そして刮目するプレイヤーと、私Mr.Gと、読者の皆様。

 更に追い打ちを掛けるように表記するクリアーウィンドウが証明となった!


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・PAS【セイントシールド】確認。

 PASスキル【絶対なる盾】発動!!

 ◎――――――――――――――――――◎


 もう既にもう一つのPASの覚醒を悟っていたのか、鋭く熱い眼で龍牙を睨みつける。



「……盾も格好エエけどさ、やっぱ剣がねぇと様になんねぇや」

 と言いながら剣はデッキからカードを1枚引いて、カードスキャン!


『カスタム・ツールカード、【ボルテック・セイバー】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <カスタムツール・カード>

【ボルテック・セイバー】EG:⑤

 AP(攻撃力):300 PP(使用回数):10

 属性:黄 装備:プレイヤー


 ≪必殺技≫

『稲妻閃光斬』EG:④ AP:400

 ・切っ先に雷の電流を蓄積させて

 周囲円月に敵を切り裂く。

 ◎――――――――――――――――――◎


 夜空に一閃の雷、それと共に地に突き刺された《ボルテック・セイバー》を抜いて、更に剣は意を決して発動した!



「俺の魂に眠る聖なる剣よ……今こそ勝利の為にに大いなる力を与え給え!

 ――『Player(プレイヤー) Ability(アビリティ) Soul(ソウル)』、|PAS発動・【ロングソード】!!」


 《ボルテック・セイバー》に宿った烈火の波動のPAS。更に盾のPASも加わってプレイヤーを超越した力を得る。



「PASが、二つ――――!!!!」


 これぞ決意を固めた切り札騎士が起こした奇跡!!

 剣と盾、騎士に相応しき二つの武器を手に桐山剣、決意の時。



「――――俺は戦うぜ。もしお前がまた誰かを傷つけようとするなら……もう二度と、お前はお前で無くなるッッ!!!」



「…………それを望んでんだから闘ってんだよ!!!!」



 さぁいよいよ次回、怒涛のバトルは終結へと向かう!!

 勝つのは剣か、はたまた龍牙か!? 見逃し厳禁約束げんまん!!!



 ――――本日のゲーム、これまでッッッ!!!!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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