【GAME16-3】スピリットプレイヤーに選ばれた奴ら!!
[ゲーム戦士・プレイヤーステータス]
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:フルル(河合みのり) ♀
・プレイヤーレベル:26
・ジョブ:『プリンセス』
・PAS:なし
[プレイヤーステータス]
・アクション:C・シューティング:B
・ロールプレイ:B・タクティクス:B
・スピード:C・ブレイン:B
・ハート:SS・ミュージック:B
・ラック:B
[プレイヤースキル]
・【お近づきの印】・【ライフ・スワップ】・【ド根性】・【癒やしの施し】
[エンブレム]
・【第1回 レトロゲーム・スコアランキングサバイバル 優勝】
・【ハートフルオーブ獲得】
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――ゲームワールドの管理機関『WGC』の公式発表により、一人のスピリットプレイヤーの出現に伴いオーブを賭けたビッグゲームの開催を報告した。
このゲームの出場受付を請け負うのはゲームワールドの『プレイヤーバザール』。受付案内のコミュニティエリアにて行うのだが無論黙って見過ごす訳もなく、受付開始と発破をかけた途端、知らせを知ったプレイヤー達が一気に雪崩の如く押し寄せた。
その数なんと20万人!! この勢いはかつてドラ◯エⅢが平日に発売され、学業や勤務も放ってまで買いにいった長蛇の列とさも似たり。知らない人はファミコン世代のお父さん達に聞いてみてね。
そういう訳で最先端の電脳世界もそこまで万能な訳もなく、これによりサーバーが混み合って一分足らずで応募中止のメンテナンス状態になったんだから恐ろしや。メンテナンスも兼ねてWGCは再度ビッグゲームの挑戦者の調整を図るのであった。
その模様は『ゲームワールドマスター』が管理する司令室にて行われる――!
「迂闊だった……まさか一気に20万人以上も応募に押し寄せるとは、幻のポケ◯ン応募の再来を見てるようだった」
それはもしかしてミュ◯の事でしょうかね?
「我々が過去のゲームの歴史や知識を身につけていても、予期せぬことは起こるのですね……」
過去最大規模のスケールを誇る『ゲームワールドオンライン』。
そのオンラインのゲームを指揮するゲームマスターの称号を持つ者たちは、当然ゲームの知識・発想力・運営スキルに実力とトップクラスの連中ばかりなのですが、それをどれだけ寄せ集めようとも今を生きる人々の動きまで読める筈はない。
いつの時代のお偉いさんは、いつだってそこで悩み果てるものなのです。
「……仕方あるまい。こうなれば誰がスピリットプレイヤーのビッグゲームをやるに相応しいか、本人に聞いてみよう」
「大丈夫なのですか? コードナンバー【義】は特にこだわりにうるさいAIで有名ですよ」
「承知の上だ。管理の上で無駄な時間を割くよりも、スピリットプレイヤー本人が認めたプレイヤーを選ばせた方が早い」
やはり仕事をやる以上は、定義云々よりも効率を先に考える理論派の考えを推すゲームマスター。早速ゲームワールドにネットを繋げてリモート通信で呼び掛けた。
『コードナンバー【義】、スピリットプレイヤー・ジャスティス! 聞こえたら応答してくれ!』
ゲームワールドに鳴り響く号令に反応したのは、軽装備に年季の入った大剣を砥石で研ぐ歴戦の戦士の出で立ちのNPC。彼こそが二人目のスピリットプレイヤー『ジャスティス』であった!
「――――何だ貴殿であるか。そんなに怒鳴らんとも聞こえているぞ。私を呼んだのは恐らくビッグゲームの件で揉めているからであろう?」
態度も出で立ちも何から何まで威風堂々のジャスティス様、呼ばれた理由も先刻ご承知とばかり立ち構えも見事なもの。
『分かってるなら話が早い。サーバー負荷を起こした問題を解決するには、お前自身がゲームを参加させる相手を選ぶしか無いと思って呼んだんだ。その答えを私に見せてほしい』
それを聞いてジャスティス様、有無も言わさず真剣の砥石研ぎを止めて、ゲームマスターが提示した参加プレイヤーのリストを確認した。
「欲望まみれのプレイヤーが私のオーブを簡単に渡せると思っているのか、自惚れも甚だしい。どれ、私がその眼で誰が戦いの儀に立つに相応しいか見てやろう」
などと捨て台詞を吐いてジャスティス様は黙々とプレイヤーリストを一読し始めた。20万人も居るのだから一つずつ確認するだけでも時間が掛かる。
ところで読者の皆さんがこのゲーム・ウォーリアーを一話分読む際にどれくらい掛かってるのでしょうか? ちょっと参考にしたい所ですと言ってる側から、
「終わったぞマスター殿、これで少しは肩の荷が降りただろう」
……どうやらジャスティス様は速読派だった様ですね。しかも決まった人数を見てみたらこりゃまた驚いた。
20万人以上のプレイヤーが一気に10人にまで搾り取られちゃった! ホントにちゃんと確認したんですかジャスティス様!?
「何を申すか語りの方。私がデータを確認せんでも私のPASからはプレイヤー達の邪念や悪意が取るように分かるのだ。そんな者は私の試練に出る資格は無い。……しかし残りの10名は見込みがありそうだ」
なるほど10人でもジャスティス様には多い方と意識されている。
どれどれ、その書類選考で生き残ったプレイヤーは…………これは中々、ゲームが益々面白くなりそうですねぇ―――!!
「これで決まりだマスター殿。残り三日、至急ゲームの準備を進めるのだぞ」
『分かっている。助かったよジャスティス、後は任せてくれ!』
と推定以上の確定に手応えを感じたゲームマスターは満足げに通信を切断した。
かくして管理の幅が行き届いた所でWGCは再度ビッグゲームの施行に急いだ。しかし20万人いたプレイヤーから10人絞ったんですから、計算してもその倍率は0.00005%という恐ろしく狭き門。
その内容を随時公式で発表したところ、当然ながら批判は殺到。掲示板には攻撃的かつセンシティブなレスポンスバトルが繰り広げているではないか。規定違反なんですけどね。
そんな1ミクロン程に狭い門を潜り抜け、この抽選を引き当てた極運なゲーム戦士が居た!
▶▶▶ NEXT▽
「え〜ッ!!? 俺一人だけスピリットプレイヤーのビッグゲームに当たったんか!?」
その極運ゲーム戦士こそ、みのりの助力によって迷いを断ち切ったばかりの桐山剣。ここぞとばかりに運の力で壮大な土俵に立つことになるとは。
「驚くのはこっちの方だよ。あんな宝くじみたいな確率でオーブ獲得の切符が手に入ったんだから」
「何で剣さんばっかこんな美味しいもんに当たるんすか!?」
他の仲間も時に嫉妬も垣間見える所も見えたが、それでも皆が剣のビッグゲーム進出を讃えた。もちろん親友の彼女も。
「きっと剣くんがまた笑顔になったからまた運が戻ってきたんだよ! 良かったね!!」
「……ヘヘッ、違えねぇ!!」
嬉しさ余って剣とみのり、硬い絆のハイタッチ。
「ほんで、どんなゲームをやるんか決まったんか?」
「それが凄いゲームになりそうだぞ、心して掛かった方がいい」
槍一郎は公式で明かしたビッグゲームの詳細を剣に見せた。そのリアクションを伺うと、一驚はしたものの疑問の意が強く出ているようだった。
「……【プレイヤーVS1000人・アメイジング無双モード】!??」
それはアメイジングの新たな決闘モードであった。詳しい詳細はまた後日公表するとして、一旦は槍一郎の解説でも聞いてみましょ。
「簡単に言えば『戦国◯双』のようなアメイジングバトルだ。事前に仕掛けた1000人の軍勢を相手に、武器やユニットカードを使ってバッタバッタと倒していくゲームだ。
――ただ色々ギミックがあって、フィールドが町になっているから一般市民の巻き添えを阻止したりとか、敵の戦力半減の為のイベントもこなしたりもする。一つのゲームでやるべき事が沢山あるからグズグズしてられないぞ」
「要は自分の行動力と正義を試すゲームって訳か。面白ぇ、ようやく俺のPASを見せられるぜ……!」
長いこと特訓の甲斐あって編み出したPASの剣武術。その真骨頂を魅せられると思うと、腕が鳴るなるドレミファソ。
……しかし、更に調べた槍一郎の顔が険しくなったのを前兆に、今回のビッグゲームが一波乱起こすであろう予感を感じさせるのだった。
「……剣、せっかくみのりちゃんに助けられた所で酷だと思うが、例のアイツがこのゲームに参加している」
「――――まさか……!!?」
「忍野龍牙も挑戦者の一人に入っていた」
「……!!!」
何の因果か、神のいたずらか。いずれはぶつかり合わなければならない者共の邂逅が、こんなにも早く訪れようとは。
剣の全身に襲う戦慄、それと同時に利き手の右手から無意識に作る握り拳。その拳から滲み出るPASの波動が剣の心境を物語っていた……!
「こいつはマジで……覚悟決めねぇと。中途半端してちゃ殺されるぜ……!!」
ビッグゲーム開催まであと三日。立ちはだかるゲームと目指すべき目標を掲げて、桐山剣、2つ目のオーブ獲得へと魂を振るい起こす!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




