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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
113/468

【GAME16-2】切り札騎士の本当の優しさ!!

[ゲーム戦士・プレイヤーステータス]

☆――――――――――――――――――☆

 ・ネーム:エース(桐山剣) ♂


 ・プレイヤーレベル:28

 ・ジョブ:『ナイト』

 ・PAS:【ロングソード】


[プレイヤーステータス]

 ・アクション:S・シューティング:A

 ・ロールプレイ:A・タクティクス:S

 ・スピード:A・ブレイン:A

 ・ハート:A・ミュージック:B

 ・ラック:SS


[プレイヤースキル]

 ・【精神統一】・【ド根性】・【騎士剣 招来】・【絆の盾】


[エンブレム]

 ・なし

☆――――――――――――――――――☆ 

 ――親友の剣を思うが為か、みのりが提案したとんでもビックリな元気付け。


「何で俺がみのりと()()せなアカンねん!?」


 前から喧嘩をフッかける輩と言えば、剣か一つ年下の倭刀か。その事を先刻ご承知の槍一郎は、まさか平和主義一直線のみのりから喧嘩を仕掛けるとは思いもよらず目の玉丸々。


「私も考えなしに剣くんに喧嘩やろうなんて言わないよ。ずっと龍牙くんや他の友達の事が未練で苦しんでるのは、『誤解だってことを話したかった』とか『止められなかった』という後悔があるからって、剣くんが私に聞かせた事だよ?」

「あ、あぁ……その通りや」


「もう今は昔の剣くんじゃないんだよ。私や槍くんや皆と出会って、剣くんは身も心も強くなってるの。私が一番近くに居たんだから分かるもん! だから今から私の喧嘩も()()()で止めてみてよ!!」

「そんな無茶苦茶な理由でみのりと喧嘩付き合えるかよ!! なぁ槍ちゃん!?」


 いつもより余計に強気なみのりを前に剣は槍一郎に助けを乞うが、


「諦めろ剣、今日のみのりちゃんは『本気』と書いてマジだ」

「そんなぁ〜〜!!」


 槍一郎にも首を横振られ、逃げる術も無くなった剣は困り果ててしまった。


「私もね、剣くんに前から言いたい事がいーーーーっぱいあるんだからね!! まず一つ目。いい加減テスト期間で私の学習ノート当てにするの止めなさい! 授業中居眠りしてる剣くんが悪いんでしょ!!!」


 ――――金ッッ☆


「み゛ッッッ」


 何という所業か、みのりは親友の股間目掛けて蹴り上げ一発・金的攻撃! こんな事女性キャラの一人としてやらなかった、それ故にこの展開の衝撃の凄まじきこと、観ている男性陣も思わず玉ヒュン。


(いったそ〜〜……)


「……ッッ痛ぅ〜〜、何しやがんだみの――ブッ!!?」


 槍一郎ですらも絶句の境地、優しい女の子程怒らすと恐ろしいものは無い。床に倒れ込んで悶絶する剣に返す言葉も無く、追撃の往復ビンタ炸裂。


「この前だってそうよ! 私がちょっとダイエットしたいって時に剣くんにたこ焼き奢られて食べられなかったし、剣くんが新世界のスマートボールやりすぎて帰るの遅くなってお母さんに怒られたし!

 ――――少しは人の気持ちくらい考えなさいよバカッッ!!!」


 溜まった鬱憤を出せば出すほど憤るみのり。対して自分のやらかした不詳を我々に暴露されてなんとも言えぬ顔のまま、ただみのりの攻撃を受けるのみ。


 その騒ぎを聞いて駆けつけたのは、スピリットプレイヤーの件で相談しようと倭刀、穂香、レミ、豪樹が全員集結。転じて二人の修羅場に各々ビックリ。


「ありゃ〜派手にやっとるなしかし!」

「どないしたんすかみのりさん! 痴話喧嘩か?」

「バカなこと言うんじゃないの倭刀!!」


「ちょっ、みのりちゃん何してんの!! 止めなよ!!!」


 と二人の喧嘩を止めようとレミが仲裁に入ろうとした所、その行手を槍一郎が片手で遮って制止した。


「――そっとしてあげて。剣にとって大事な喧嘩なんだから」

「はぁ……?」

 そのレミに向けた槍一郎の眼は、何とも優しげであった。


 対してみのり、憂さも晴らして息も切れ切れ。それでも何一つ反撃せずサンドバッグ状態になりながら朽ち果てた剣は仰向けに倒れていた。



「……何でやり返さないの剣くん? 私が女の子だから? 親友だから? 一方的にやっつけたって、私は虚しいだけじゃないの……!!」


 傷を付けたのはみのりだけ。その為に怒りに身を任せて剣を殴ったりくしゃくしゃにした事に後から罪悪感が生まれて涙目になる。

 その時、殴られても喋らなかった剣が乾いた声で口を開いた。


「――そう、虚しいんや。人を傷つけるってのは心も痛むし、滅茶苦茶しんどい。だから俺はみのりを傷付けたか無い。……勿論他のメンバーにも同じ気持ちや」


 剣は辺りを見渡し、いつしかメンバー全員が集まったのを気づいて自分の気持ちを顕にした。


 しかし意外な事に、その答えにみのりは()()()()()()()()かのような素振りで笑顔を見せてそっと倒れた剣に顔を寄せた。



「……それじゃまた龍牙くんに会ったら、剣くんはどうしたい?」

「……俺は、アイツが平気で人を傷付けてる所を止めたい。そしていつか昔のダチに会ったら、真っ先に龍牙に謝らせる。憎んだもんは何時しか償って取り返さなアカン」


「――むにゅ!?」


 剣は近づいてきたみのりに軽く彼女の頬をつまんで横に伸ばす。やられっぱなしはみのり相手でも癪だったか精一杯の仕返し。そしてそのまま息を思い切り吸い込んで、腹の底で剣は叫んだ。




「――――もうこれ以上、俺の大事なダチを泣かしてたまるかァァァァァァアアアアアア!!!!!!!」




 フリースペースの空間に覆われ、轟く剣の真剣の如し真っ直ぐな意志の叫び。蝕まれていた怨を振り払うようにスカッとした輝く剣の眼。これを見て安心したのはほっぺつねられ中のみのり。そのまま身を落とし抱きついた。


「剣くんの本音、大変よく言えました♪」


 愛くるしいまでにムギューして更には剣の胸に顔を擦り寄せるみのり。

 その時胸元に湿ったような感覚に気付いた剣は、心を鬼にして自分に喝を入れてくれたみのりの優しさに思わず涙腺が刺激し溢れ出した。


「……荒療治にも、程があん゛だろ゛……馬鹿野郎――――ッッ!!!!」


 泣き顔転じて溢れる幸福。それをしみじみと見守る仲間たち。


「――剣は優しすぎたんだろうね。自分のことよりも他人の事を一番に気にしちゃってさ。僕が試練で離れる時も気にかけてたのは剣だったし、いつしか僕等も彼に負担かけてたのかもしれないね」

「剣はワイらと一緒に居たいからこんなに苦しんだんや。だが決してそれは悪い事とちゃう、成長する為に必要な試練なんやで」


「……強いなぁ、剣くんもみのりちゃんも……敵わないや」

 槍一郎、豪樹、レミ。剣とみのりの絆を魅せられて各々の思いも交錯する。



「……ほんじゃ何ですかい剣さん。俺も今後は殴られずに済むって訳っすか? いやーほんに剣さんは優しい先輩ですわ!」

「お前は調子乗り過ぎやアホ」


 ――BLAP(バシッ)!!


「痛ッ!? 何すんすか剣さん暴力嫌いは何処行ったん!!?」

「暴力ちゃう、()()()()や。あといい加減三日前割り勘した飯代返せ」


「あれ奢りつったの剣さんでしょ!!?」

「まぁまぁまぁ……」


 そこでよせば良かったのに全く……またしてもお調子者の倭刀がしゃしゃり出て、第二次喧嘩対戦前に穂香が宥める。


 ゲームジムのフリースペースに七人の笑いが飛び交う絆の輪。未来永劫その絆を壊さぬようにと、心から願う剣の魂にある()()が起きていた。その変化を槍一郎が気付いた。



(ん……? 微かだけど、剣の【ロングソード】のPASの波動とは、()()()()が見えたような……??)


 剣の魂・PASはソードの形。だがこの時槍一郎が感じ取ったPASの波動はなんと全く別物。

 ――剣の魂の奥で()()()P()A()S()の動きが見えようとしていた!!


 果たしてこれは桐山剣のPASの進化の前兆なのでしょうか? 時迫る第二のスピリットプレイヤーのビッグゲームでその変動が現れるのでしょうか!?


 ――ビッグゲーム開始まであと一週間。本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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