【GAME1-7】鋼と機龍の驚異!!
――TIPS――
【カードスキャンの仕組み】
50枚のデッキをセットした召喚装甲具『カードスキャンブレス』ではゲーム進行時に蓄積したEGの数値や手札の枚数を調整させるデータが保存されている。
手札のカードを使う時には、事前にブレスのモニターで手札のカードをチョイスする。その時にブレスのデッキホルダーの上に1枚以上のカードが転送され、それを引いてカード装填口に挿入・スキャンさせて発動となる。
何故なら武器も持って、カード持ちながらバトルするのってかなりシュールと思ったからである!!
――いよいよ開幕、極限遊戯英雄譚・ファーストゲーム『アメイジング』!!
剣達7人は皆、1000のHPと手札5枚、そして登録した武器を片手に敵に挑む。
その敵はブラックヘロンの鳩山たった一人。これで7対1で立ち向かおうなんざ正気か!?と言いたくなるが、油断してはいけない。何やら黒い戦略があるそうだが……?
カードゲーム・アメイジングはスタート時から既に闘いの時を進めている。1秒1秒、デジタル表記に数字が刻まれる度にカードを使うエネルギー『EG』の数値が溜まっていく。
発動の時期を待つ間もなく動いたのは、ランサーの彼だった!!
「こういうのは長引く前に早いとこ決着を付けといた方が良いからね。ここは僕一人に任せてくれ!」
「槍ちゃん!!」
7人の中で疾風の如くスピーディーに行動を始めたのは槍一郎!
それもその筈、彼もまた剣と同じく【ステータス極振り】で速さ重視の『スピード』に全て振り込んだのだ! ……っていうよりこの作品も極振りが当たり前な風潮なのでしょうかは!?
他の6人よりもEGの蓄積が早い槍一郎は咄嗟に手元のカード1枚をブレスに装填させて、発動した――!!
『カスタムツール・カード、【トライデント】!!』
すると槍一郎の手元に光の粒子が宿り、長い三又槍に形を変えてシャープで鋭利な武器へと実体化した!
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【トライデント】EG:②
AP(攻撃力):100 PP(使用回数):10
属性:青 装備:プレイヤー
・効果:[貫通攻撃]
《必殺技》
『突風丸』EG:③ AP:200
・フィールド隅まで一直線に
青属性の真空の竜巻を起こす。
◎――――――――――――――――――◎
「悪いけど、ここで一気に決めさせて貰うよ!! ――疾風の槍『トライデント』!!!」
槍一郎が鳩山目掛けて構えるは三又の槍。
トライデントが風を斬るが如く駆け抜け、零距離で鳩山に迫り突き上げた……が!!
――――ガキンッ!!
「ッッ!?」
鳩山に突いた槍の矛先が鈍い音を立てながら弾かれる予想外の衝撃。しかもそのダメージは皆無、ノーダメージだ!!
「幾ら貴様が素早かろうと、攻撃が通らなければ意味は無い!!!」
すると鳩山を中央に神殿の橋良、左右サイドから無機質の機械が動いたような気配が2機も。レーザーキャノンのような機械先端にエネルギーを溜めながら、槍一郎を標的にロックオンした!!
――ピシュン……ッ!!
「ぐぁッッ!!?」
暗がりの神殿に一閃のレーザーが槍一郎に直撃した!!
〔ゲイル HP1000→500〕
フィールド空間に薄っすらと浮かぶクリアーなエフェクトウィンドウが、ゲイルこと槍一郎のHPが大幅に削られた事を知らせた。急所には外れた様子だがそれでもダメージが大きい。
「やべッ……槍ちゃん早く戻れ!!」
剣はレーザーに危惧して呼び掛ける。急いで槍一郎は仲間の元へ退却すると、今度は侍姿の倭刀が名乗り出た。
「――今度は俺の番だ!!」
倭刀はその場で手札のカードをブレスに装填し、溜めたEGを③消費してそのままカードを発動させた!
『ユニットカード、【ヒート・プロミネンス】!!』
ブレスに流れる電子音のエフェクトアナウンスと共にフィールドに現れたのは、巨大な火の玉の生命体!
これがプレイヤーの配下として共に戦う『ユニット』の一種なのだ!!
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【ヒート・プロミネンス】EG:③
AP(攻撃力):300 DP(守備力):50
AS(攻撃に必要な秒数):1
属性:赤 ユニット/エレメンタル
・効果:[貫通攻撃]
①このユニットが攻撃した後、
リリースとして墓地に置かれる。
◎――――――――――――――――――◎
「そのまま燃え突っ込め! ≪ヒート・プロミネンス≫でダイレクトアタック!!」
これは生きた火の玉特攻隊長か!? しかしユニットの強烈な突進に鳩山は避けようともしない。そのまま……直撃!!
「…………火遊びにしちゃ火力不足だぞ小僧」
〔ハトヤマ HP1000〕
ダメだ、火力を持ってしても鳩山はびくともしていない!!
「これでも効かねぇのかよ……」
ブレスのモニターウィンドウに表記された相手のHPは不動のまま。ノーダメージで攻撃処理は終わり、ユニットは自発効果により攻撃終了後に消滅し、別次元に存在する墓地に送られた。
「悪あがきはもう終わりか? ならばこちらから行くぞ!!」
鳩山の両端に設置されている機龍の首のようにクネクネと曲がるレーザー砲が、剣達に再び標的を定めて発射!!
――ピキュン、キュンッ!!
「アブねッッ!!!」
間一髪レーザーから逃れる剣達。HPを半分も削られるレーザーにダメージを受けたら致命的だ。
「こんなんじゃ俺らレーザーで風穴空けられるぜ! 何か弱点は無いのかよ!?」
倭刀が狼狽えている中、レミがあることを閃いた。
「……あ、そうだ! こーゆー時の『プレイヤースキル』だよ!! ちょっと待ってて」
レミは敵のレーザーを交わしながらブレスのモニターを操作して、カードとは別のオプションでスキルを発動させる!
◎――――――――――――――――――◎
・プレイヤースキル【ステータススキャン】発動!
相手プレイヤーのステータスを確認しました!
◎――――――――――――――――――◎
なんとレミが発動したスキルは『学者』ジョブで初期装備されていた相手のステータスを覗き見出来るスキル、これで攻撃が効かない鳩山のスキルや武器を確認しようという訳だ!
そしてステータスがレミや他の仲間のブレスモニターに転送された!
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:ハトヤマ(鳩山照雄) ♂
・プレイヤーレベル:1
・HP:1000
・ジョブ:『機工師』
・PAS:なし
[プレイヤースキル]
・【メタルボディ】【双機龍 降臨】
☆――――――――――――――――――☆
――気がかりな2つのプレイヤースキル。
【メタルボディ】はAP500以下のダメージを無効にする鉄壁のスキル。
【双機龍 降臨】はゲーム開始時から≪レーザードラゴン≫(AP:500 DP:500 AS:15)のユニット2体を場に出すという強力なスキルだ。
しかしリリース直後からこんな強スキルが2つも出る筈が無い。恐らくまたお得意の改造ツールでのチート細工でもしたのだろう。
「こんなのズルい!!」
「500以下無効って何だよ!? メタルス◯イム以上に強固やん!!」
レミと倭刀がブーイングをかますなかで、アクションを起こしたのは……
「だったら飛びっきりの拳骨を食らわしたらえぇ話や!!」
豪樹が勇んでカードスキャン!
『アクションカード、【クラッシュフィスト】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクション・カード◎
【クラッシュフィスト】EG:⑤
属性:無
・効果:プレイヤーまたはユニット1体に
700のダメージ。
◎――――――――――――――――――◎
「ワイの可愛い教え子を虐めたお仕置きやで!! 喰らえや!!!」
平均16歳のメンバーに豪樹は25歳とただ一人の成人。彼にとってはゲームジムでの教え子であり、仲間の剣達を傷付けた事への怒りの正拳が鳩山に直撃しようとした――――その時!!
――カチッ。
『――カウンター・レスポンス発動』
「!?」
巨大なグーが飛び出した際に刹那のように飛び交った乱入電子音声。
これがカードの処理前に横入りする形でカードの処理を畳み掛けるカウンターシステム『カウンター・レスポンス』だ!
「お前の正拳も私にとっては無力だという事を知るがいい!!」
『アクションカード……【ハードメタルベール】』
鳩山がカード発動した瞬間、鋼のボディを露にするアバターから突如、全身がシルバーメタリックに変化した!
◎――――――――――――――――――◎
<アクション・カード>
【ハードメタルベール】EG:④
属性:無
・効果:1分間プレイヤーは移動が出来ない代わりに、全てのダメージを1/2半減する。
◎――――――――――――――――――◎
そして鳩山のカード処理は解決、改めて豪樹の≪クラッシュフィスト≫が処理した時にはダメージ半減でまたしても鳩山の傷を付けられなかった。
「クソッタレェ……!!」
「バカめ、私が何も仕掛けずに貴様らに挑むとでも思ったか!? 私は勝つためには手段を選ばん!! この機龍レーザーで7人全員処刑してくれるわ!!!」
鋼鉄のボディと立ちはだかる2つのレーザー。鳩山の逆襲に、シャッフルオールスターズはどう相対するか!?
全てはゲーム戦士の誰かのデッキに宿る切り札が鍵を握る――!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




