【GAME14-2】爽快なりゆきゲーム・雷鳴ツヨシ城!!
――作者からのご報告――
お陰様で今回で『極限遊戯英雄譚 ゲーム・ウォーリアー』は100部分目に突入しました!!
前作から読んでいる皆様、そしてここから読み始めて興味を持ち始めた読者の皆様。今後ともご贔屓の程を! ゲーム・ウォーリアーシリーズはまだまだ続きますよ!! 〜慶〜
――電脳世界・ゲームワールドオンライン。
全体地図をパッと開いて真ん中から北北西の位置に緑で覆われた樹の海、即ち『樹海』と呼ばれし地域があります。
プレイギアのマップ画面を二本指でクイッと拡大すれば、樹海の木々の間には丸太の集合体。更にはターザンロープにネットに抉れた壁、猿飛佐助も腕を鳴らしそうなアスレチックのエリアの数々。
……はて、猿飛佐助。SASU◯E……そうです!!
本日のゲームの舞台は【アドベンチャー・フォレスト―ADVENTURE・FOREST―】! アスレチックゲーム溢れる深緑の魔境!!
そんな樹海をぶち抜いて、天高く聳え立つ城があった。遥か北に位置する紅蓮城『バスター・キャッスル』とは一味違った白銀城を人は【ツヨシ城】と呼ぶ。
今まさにこの城を巡って、壮絶なる戦いの火蓋が切られようとしていた!!
……あれ、どっかで聞いたようなフレーズだな。
▶▶▶ NEXT▽
「我こそはこの雷鳴ツヨシ城を所有するお殿様、カミナリのツヨシなるぞ! この城の中に仕掛けられた難所・障害物を前にすれば、ワシが大事にしているアメイジングカードたる輝かしい財宝は、盗人もといプレイヤー1人足りとも盗ませはせんぞ、ヌハハハハハ!!!」
何とも分かりやすい悪役、江戸時代の悪代官並にしつこい演技! こーゆーお偉方ほど御時世とか流行に鈍感かと思いきや、意外にも悩みの種があるようでツヨシ殿。
「……そーなんじゃよ。実は最近このエリアに出没する『怪盗ハリアー』たる盗人が、ワシのお宝カードを狙ってるようでな。近いうちワシの城のセキュリティも突破するに違いない。そう思ってワシは宝を守る用心棒をGWクエストを依頼させたのじゃ」
宝は誰にも渡さない。そんな思いでツヨシ殿はそのカードの護衛を依頼させたわけで。そんな依頼をした殿様の前に果報がこっちからやってきた。
「殿! 先日御依頼しました用心棒なる者を四名、城にやって参りました!!」
「おぉ来たかガードマン待ってたホイだ! さぁさ、早う通してやれ!!」
城に仕える三太夫なる家来の報告に心踊るツヨシ殿。十畳以上ある広間に座布団でふんぞり返る殿様、その背後には金ピカ輝くアメイジングカードの家宝。そんな大広間にプレイヤーをふすま開いて招き入れた。
「我こそは、大阪一の護衛グループ伊火様ァァァ!! 今日はこの城の護衛に参上仕りまするんで、宜しくゥゥゥゥ!!!」
「「「ヨロシクゥゥゥゥ!!!」」」
あんたらは侍なのか暴走族なのかはっきりしなさいと言わんばかりの名乗りを上げたのは、服部率いる伊火様四人衆。そのあっけらかんな登場には殿も三太夫もポカーン。
「…………三太夫よ、誰がこの城に暴力団連れてこいと行ったのだ?」
「滅相も無い!! 彼らは調べたところれっきとしたガードマンでして……」
「ガードマンって、どー見たって鉄火場にいそうな連中ではないか!!!」
お殿様、鉄火場って言い方は流石に古いでしょう! 昔の賭博場じゃないんだから。しかし彼らのアバターからして番長、海賊、浮浪武士に花魁(!?)。……まぁ確かに目を凝らそうとしてもマトモにゃ見えない。
(ノリでアバター作成した俺様も悪いんだが、こんな事なら断りゃ良かったかな……)
不良から足洗って、今更ながらバカやったもんだと羞恥心を出す服部のあんちゃん。ちょっと後悔気味。
「えぇい仕方あるまい、来ないよりはマシじゃ。早速じゃがあんたらに護衛を任せる故に城の案内をしよう! はぐれんよう付いてきんしゃい!!」
「へ、へぇ……」
殿様自らが出向いて服部たちに城のガイドを買って出た。まぁ城の主ですから城内を一番知ってるのは当たり前ですよね。ツヨシ殿はこの城の全体図、つまり『城郭』を纏めた紙のマップを広げながら城内を歩いて説明した。
「そもそもこの城は関係者以外入らせんように玄関とか門は付けておらん。城の外壁には高ーい石垣の壁を覆わせておるからな」
この樹海エリアに複数設置されている池の真ん中にツヨシ城は立っており、プレイヤーが侵入する為にはこの池を渡ること、そして7メートルの石垣を自力で渡らねば城へ潜入する事は出来ない。
それだけでなく城の中はそれ以上のトラップや身体を酷使するようなギミックも目白押し。バスターキャッスルとはまた違った『難攻不落』の意味が垣間見える。
「奴らもアメイジングカードを使って無理矢理突破するだろうがそうは問屋が卸さん。この城の至る壁はカードの効果を一切受け付けない特集金属板となっていて、下手して触ると……」
――ビリリリリリリ!!!!
と言った側から不意に壁に触った海賊姿の子分のA太、感電しちゃって真っ黒焦げ。
「この通り、曲者のバーベキューの出来上がりじゃ」
「あの、一応俺様の子分なんで上手に焼かないで下さい」
他にも吊り天井やら針の山とトラップ目白押しの天守閣。そして彼らは城周りを覆う塀の中の庭園も確認すれば、数十人の家来がカード片手に応戦するバトルフィールドにもなっていた。
――こんな感じで城の案内は終わったが、服部にはいまいち引っかかる所があった。
「この城の仕組みは大体分かりましたが、それで俺様らはどんな配置で妨害させる考えなんすかツヨシ様?」
「この庭園を有に使って掩護でもと考えとる。どうせ宝のある天守閣には誰も入れんし、警備強化で盗人を追っ払ってくれれば……」
「甘ァァァアアい!!! プレイヤーってのはそんな突破不可能の隙間を潜ってクリアする連中なのです!! 俺様の宿敵の桐山剣もその隙間を何回潜られたこと――――――ぬ゛おおおぉぉぉ!!!?」
――ドスン!!
服部のあんちゃん、殿様にお説教かと思いきやいきなりフェードアウト。いや違う、庭園に仕掛けられた落とし穴にスッポリ入ってスットントン。誠に御可哀相。
「いてて……何やねんな、こんなとこに落とし穴作ってぇええ!!」
「はて、こんな所に穴なんかあったかいな?」
ご年配の深ーい記憶を頼りに落とし穴の事を思い出すツヨシ様、間を開けながら思い出した。
「そうだ思い出したべ!! こりゃ緊急でプレイヤーに攻められた時の為に作られた近道用の穴だべや!!」
「近道!!? 何処に繋がってるんすか!?」
「城の中の障害物を一切通らずにワシの家宝の場所まで直通しとる!!」
「マジか……これはいい事聞いたぞ!!!」
これを聞いて無我夢中に穴の奥へとせっせと突き進む服部のあんちゃん、番長モグラ! デカイ図体をこれでもかと進んで、辿り着いたは家宝の居場所・殿様の部屋!!
「クハハハハ……剣め、今度こそお前を俺の手で倒してやるぞ!!!」
何やら既に勝利を確信した悪巧みを思いついた服部であった。
▶▶▶ NEXT▽
一方でツヨシ城の屋根にあたる『大天守』、その上空をあちこち飛び回る飛行物が確認された。
これはエリアの内部・外部を内蔵カメラによって撮影する為の小型ドローン。これを操作しているのは……
「――やっぱり来やがったな、服部のあんちゃん! 悪いが城のレアカードは俺たちが頂くぜ!!」
リモコンとモニター片手に、したり笑いの桐山剣と仲間たち!
貴方が警察なら私は怪盗! お宝カードを巡って4VS4の争奪戦が今始まろうとしていました。 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




