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蒼空の連合艦隊  作者: 909
第二次世界大戦~第一幕 対ソ戦~
57/64

第五三話「海上護衛総隊の現状」

-1944年 2月 


日本軍は対潜水艦や商船護衛護衛に海防艦の需要が見込める大戦を見込んで、戦後に巡視船にも転用可能な艦を求めた。そこで白羽の矢を立てられたのが旧史海防艦で最有力とされた「鵜来型海防艦」である。新史の技術で設計に改良を施し、対潜装備へのヘッジホッグ搭載、ボフォース40ミリ機銃の搭載などの強化がなされ、建造が各所で開始された。(駆逐艦よりも数を揃えられるため海路護衛にうってつけであった)


-海上護衛総隊 本部


「鵜来型海防艦が大量建造に入ったか……」

「ハッ。現在、第一次計画の20号艦までが起工されており、来月には更に第二次計画も20隻が起工されます」


海上護衛総隊司令長官に着任した野村直邦のむら なおくに大将はF情報では史実のこの時期の帝国海軍が追い詰められており、決戦が叫ばれていた時勢であったのと比べて遙かに余裕がある今に安堵していた。連合艦隊に匹敵する権限を海上護衛総隊は与えられている。それは一線級の艦を連合艦隊から借用することも可能なほどである。海防艦の数を揃えることが急務である日本海軍は新見政一中将の提言で対ソのシーレーン防衛に力を入れ、来る対米戦に備えて海上護衛の充実を急ぎ、各要所には対潜水艦用に機雷を敷設していった。そして空軍との連携も進められ、予てより開発されていた「陸上哨戒機 東海」が配備された。この機体は史実の反省点を生かし、より大型な機体規模であり、なおかつ強力なエンジン(電子機器の搭載拡張性に余裕を持たすため)を積まれ、自衛武装も充実させた。対潜武装は通常の爆弾の他に、試験装備として航空用対潜魚雷の試作型(1939年からの長い研究の末にHBX爆薬の実用化に成功し、酸素魚雷などの炸薬も代換された)が装備選択が可能となった。これはイギリスやドイツの技術援助あっての事。日本はシーレーンを断たれたらお終いである。旧史ではその無理解が日本帝国を飢餓に追い込み、破滅に至った事を理解した。その教訓で海上護衛総隊の戦力は史実の3倍以上の充実を見た。



「海防艦の数を揃えるのが急務だ。空軍の制空権確保もそうだが、潜水艦狩りを板に付けなくては海上護衛はおぼつかん。今は一刻も早い海防艦の完成を祈るのみだ」

「4ヶ月もあれば第一計画の海防艦は竣工します。それまでは新鋭の東海と連合艦隊から借りた護衛空母と駆逐艦で持たせましょう」

「うむ」


彼等は今次大戦の功労者であった。日本帝国のシーレーン防衛に多大な貢献をする彼等海上護衛総隊の苦労は今上天皇の耳にも入り、直々の激励をたまらう名誉を得た。彼等の新たな力「海防艦」は各海軍工廠、民間造船ドックで急ピッチで建造されている。鵜来型海防艦はブロック工法などを導入して工期の大幅短縮に成功した。その効果は他の艦艇にも及んでおり、建造中の第112号艦(大和型戦艦5番艦)、空母の第130号艦(大鳳型航空母艦)、5004号艦(雲龍級4番艦)などの大型艦、巡洋艦・駆逐艦などの中小型艦艇の工期の当初の見込みよりも数ヶ月以上の短縮となって現れた。思わぬ副次効果に海軍当局は狂喜乱舞。連合艦隊を初めとする艦隊戦力の充実を急ぐ日本帝国海軍にとっては何よりの朗報であった。




野村大将は横須賀で建造されている大和型戦艦第5番艦(1943年から建造され、一年かけて船体が完成し、後は武装や上部構造物などの完成と擬装待ちの状態)の勇姿に想いを馳せる。本来なら七カ年以上もかかって実現させようとしていた計画が四ヵ年程度で半分が終了の状態に持ち込めたのは外国から提供された各種資源と工業技術のおかげである。資源のありがたみを身に染みて実感。資源がなければ何もできない日本を守るには自分達が血の奉仕で贖ってでもシーレーンを防衛する覚悟を決め、海上護衛総隊の司令部が置かれている建物から見える横須賀海軍工廠のドックから響いてくる工事の音こそは日本の命運を決める艦艇が作られている音。花形ではない仕事に従事する艦艇「海防艦」が4ヶ月後には続々と産声を上げるであろう。その時まで全力を尽くす。それが彼の覚悟だった。



海上護衛。それこそが日本の生命線である。旧史では軍人たちのシーレーンの無理解と無策が国に飢餓を招いた。だが、新史は違う。資源があれば航空機も作れるし、戦艦も作れる。それを理解したからこその海上護衛総隊の増強。今次大戦の日本の生命線は正に資源であると示す一例である。


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