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蒼空の連合艦隊  作者: 909
第二次世界大戦~第一幕 対ソ戦~
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第四九話「老獪なチャーチルと四式中戦車」

チャーチルが老獪さを見せます。

-そもそも英国が日・独側の陣営についた理由は今次大戦でドイツと戦えば国土は破壊され、アメリカの援助でも帝国崩壊は避けられないほどの打撃がイギリス経済に加えられることが要因であった。経済の破滅を避けるべく、あらうる手段を講じた。彼等は数百年の間超大国として君臨しているだけあって、外交上手であった。日・独などに技術と資源援助を行なう見返りに大英帝国の`安泰`を確約させる一方で、表面的にはアメリカとの友好関係を保っていた。ウィンストン・チャーチルはその老獪さで日独を大英帝国の駒として使い、`子供`でありながら`親`より偉くなろうとする米国を叩きのめし、英国に楯突くことの恐ろしさを教え込み、大英帝国体制の更なる安泰・繁栄を図った。


「首相閣下、日本の政府関係者と軍需産業の会長がお見えです」

「ウム。さて今日も日本人達に技術を教え込んでやろう」


英国救国の宰相は大英帝国のさらなる繁栄が起るのならそれと引き換えに日本などに大英帝国の『庇護』を与えてやることくらいは容易いものだと側近達に漏らし、米国を叩きのめすための施策を講じていた。日本にランカスター爆撃機などの戦略爆撃機関連技術を与えたのは万が一日本が、対米開戦の暁に設定する絶対国防圏のサイパン島を喪失しても航続距離の長い戦略爆撃機で米国工業に打撃を与えられるようにするため。2000馬力級の高性能航空レシプロエンジン関連の高度な技術を日本に与えたのも、太平洋では主に日本に戦ってもらうからである。




この日は政府と三菱重工業が英国の戦車関連技術を取得するために乾坤一擲をかけてチャーチルへ会合を依頼し、チャーチルは日本に力をつけさせる思惑で会合を受諾。サスペンション技術と高度な製鉄技術の有償提供(日本側は1950年代以後の英国製戦闘機、ジェットエンジンの図面などを提供した)を受諾した。日本はイギリスから教えられたサスペンション技術を必死に取得。三菱重工業は国が設けた期限の1944年夏までにどうにか四式中戦車の開発に一定の目処をつけることには成功したわけである。問題は動力機関。暫定的に試作車に搭載した飛燕用のエンジンである「ハ40」は液冷エンジンゆえに発展途上の日本では整備に苦労するのは目に見えていた。そこで日本はディーゼル機関の開発も継続した。


1944年盛夏になり、土壇場に追い込まれた三菱重工業は血眼になって、新式の「三菱AL 四式 4ストロークV型`14気筒(史実より2気筒多い)`空冷ディーゼルエンジン」の開発に何とか成功し、ただちに試作3号車に搭載された。7月末。東京~長野~御殿場~箱根~横浜を経て戻るテストが行われた。


運転を任せられた兵士は長距離の走行に不安を見せたもの、箱根峠を超えるのにも関わらず、各所に故障を起こさなかった。三式中戦車開発時よりも進展したモータリゼーションの効果もあるが、なんと言っても三式よりも重装甲なのに、最高速度は当時の戦車としては高速の部位に入る49キロ(整地)をマークしたことが好評であった。この試験結果は陣風を駆ってフィンランドで戦う遥の耳にも入った。



「4式がようやっと実用段階か……良かった」

「参謀、これで戦車部隊の奴らも喜びましょう」

「ああ。チャーチルの爺さんのおかげだな……日本を手玉にとったなあの爺さん……さすがだよ」


遥は現在、事実上、政治的に日本軍を裏でコントロールしている状況であった。現階級こそ大尉であるが、事実上佐官レベルの政治的発言力を有している。そのため軍政方面に欲しがられているが、当人は裏での政治的駆け引きを嫌っている。だが、日本軍をいい方向に導くためには否応無く発言力を行使するしか無いのである。


(五十六の爺さんは実戦向けじゃねえからな……それは本人も自覚している。次期長官には小沢さんあたりがいいと思うが……機動部隊は山口さんとして……南雲さんはどうだろう……)


彼女はいずれ起るであろう連合艦隊首脳部の挿げ替えを見込んでいる山本五十六からの頼みで、自分の後継にふさわしい人材を見定めて欲しいと指令を受けていた。山本五十六は軍政向きの人物で実戦指揮はあまり才能はない。その点を自覚していたのだ。史実でも陣頭指揮を取った「い号作戦」はミッドウェーで消耗した熟練搭乗員の数をさらに減らし、大日本帝国海軍航空隊凋落を早めてしまっている。そのため山本は得意分野の軍政に戻ることを切望しているのだ。現在の遥の頭の中にリストとして浮かんでいる後継者候補は数人。第一候補は旧史での後任の古賀峯一、第二候補は現在の空母機動部隊司令で、史実での「最後の連合艦隊司令長官」の小沢治三郎、第三は山口多聞の抜擢。空母機動部隊中心となった今の連合艦隊を率いるにふさわしいのは誰か。山本五十六の切望を叶えるべく、策動を開始していた。そして、この日の戦闘に於ける結果を、航空隊での副官である「南郷茂男」大尉の報告を聞くべく、フリーディングルームに足を運んだ。


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