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蒼空の連合艦隊  作者: 909
第二次世界大戦~第一幕 対ソ戦~
52/64

第四八話「嘘から出た真`神龍計画`。」

米国などで伝えられる秋水の別計画「神龍」計画(ヒストリーチャンネルなどで放映された眉唾物のあれです)です。米国はなんでたかが特攻用のグライダーをジェット機と勘違いしたんだ?


-旧史に嘘か真か伝えられた日本軍ジェット機開発計画。そのうち誤解などが重なって生み出された「神龍」。実際は対戦車特攻用のグライダーなのに、連合国軍にジェット機としいて伝わり、なので日本側にとって、当時のジェット機の命名規則に一切一致せず、ただ秋水の発展タイプとされる噂が一人歩きしていた感があるこの神龍を「いっその事具現化させちまえ」という声が軍需産業内で出始めた。もちろん、無謀な秋水の後継でなく、ジェット要撃機として産み出す。既に配備されていた火龍の後継として産み出したらどうかという声が出ていた。だが、既に迅電計画が始まっていた以上、試作計画の混乱を避けるべく、その声は封殺された……かに見えた。実は川西が戦後にジェット機を作るのに重要な役割を果たしていた。一部有志が「試験開発」の名目で予算を獲得。迅電が大戦に間に合わない場合の保険的な位置づけで、要撃機として、1944年にちょうど陣風と紫電改の開発が終了した川西航空機がジェット機市場への進出を見込んで習作も兼ねてその有志らを集めて計画が進められた。当時の日本軍のジェット機「火龍」は配備から2年が経過していたもの、「ネ-20改」ジェットエンジンを翼下懸架方式する方向故に運動性は望むべくもない。そこで川西は九州飛行機が製作中の震電・震電改の開発に協力することを引き換えに、神龍の共同開発を持ちかけ、うまく引きずりこんだ。それで考案された胴体内蔵方式を前提に開発されることと相成った。


「計画値は?」

「速度は950㎞、航続距離は現有機の倍の2500~3000㎞ほど。武装は暫定的に30ミリ砲4門」

「今の航空技術なら何とかなりそうな数字だな」

「だろ?だって旧史の1950年代にはもうコメット飛んでたんだから、それくらいは夢じゃない」

「ありゃ空中分解したけどな」

「言ってやるなよそれは。安全性の向上には貢献したんだから」


そう。イギリスが誇ったデ・ハビランド DH.106 コメットはその短い栄光と多くの悲劇と引き換えに遺した後世への功績を評価される。空中分解事故のおかげでその後の旅客機の安全性が飛躍的に向上した事は有名。新史日本の技術者達はそれらを知っているため、戦争完全終結後にそれらを踏まえた旅客機を造り、長らく愛される存在を生み出す事になるのだが、それはまだ先のことである。




神龍計画はあくまで川西の私案による開発なので、軍当局も当初はあまり重視しておらず、さほど注目されてはいなかった。だが、ソ連軍が日本爆撃のためにB-29を基に作っている戦略爆撃機「Tu-4」が史実より数年以上早く完成し、東部に配備されたという報が入ると軍当局は激しく狼狽し、状況は一変した。



-軍令部


「何!露助がTu-4を完成させた!?馬鹿な!!」

「そ、総長!落ち着いて下さい!!」


今年度より参謀本部の海軍部にあたる「軍令部」総長に就任した及川古志郎海軍大将は椅子から転げ落ちるほどに狼狽えた。情報部からの未確認情報として米国とソ連邦は極秘裏に協力関係にあると伝えられたが、日本は両国を資本主義と社会主義という根本的に異なる社会構造を持つ故に相容れない国同士であるはずだと高をくくっていた。だが、台頭するアジアの`猿`である日本を快く思わないのは白人至上主義者達の間では当たり前である。自由平等を掲げる米国のルーズベルトも少なからずその毛はあるし、スターリンにいたっては「約束は破るためにある」と宣うような男である。最もスターリンのあの苛烈な性格は幼少期における親の虐待への恐怖が青年期以降にあのような性格として作用した結果であり、「親の愛情」を受けられなかった哀れな男という点では同情はできるが……。


「うぅむ。戦闘機の開発状況は!?」

「現在、疾風や陣風は量産が進んでおり、まもなく紫電改も……」

「駄目だ、駄目だ!!駄目だ!!アメ公と露助が協力関係にあるのならB-29の機構を完全にコピーさせている可能性もある!!レシプロ戦闘機程度では……」

「そ、総長……それは考えすぎではないですか?露助にそれほどの技術は……」


この及川大将の部下が引くほどの狼狽えぶりは彼が旧史に於けるB-29の脅威に怯えている事の表れでもあった。帝都を初めとする各都市や軍港を焼き払った米軍の猛威に恐怖した彼は旧史日本人の恐怖の象徴「B-29」に怯えを感じ、B-29に対して完全に優位に立てる戦闘機、つまりジェット戦闘機の開発を前任者以上に推し進めさせた。その彼の目に止まったのは……。


「ん?これは」

「川西が私案として作っているジェット戦闘機の計画です。試製神龍だとの事ですが……」

「面白い。視察してみよう」

「総長?」


彼はこの私案に注目し、直ちに軍のバックアップを開始させた。川西の戦後への布石はここから始まる。嘘から出た真。史実と異なりジェット機として神龍は生まれ出ようとしていた。



米国はなんでたかが特攻用のグライダーの神龍をジェット機と勘違いしたんでしょうか。菊花や火龍への恐れがそうさせたのか?


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