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蒼空の連合艦隊  作者: 909
大戦準備~1941年から1945年~
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第一四話「日本空軍、発足 そして第343航空隊」

空軍が正式に発足します。

―日本海軍を中心として進められる改革。それは確実に実を結びつつあった。国力は工業化推進による数カ年計画の成果もあり、以前とは段違いに向上していた。それを裏付けるように、各地の工場では1941年から施行された軍・民の統合規格に基づく各種製品が生産されていく。



―1942年。15歳となった遥は最新鋭艦の「瑞鶴」に乗り込んでいた。(この時期から第一航空艦隊の旗艦は瑞鶴が努めており、有力な正規空母を中心に戦力は整えられつつある)第一航空艦隊司令部が移乗するのに伴って同艦乗り込みの身となった。史実と異なりカタパルト装備艦として建造された翔鶴型は彼女の手によって、より強力な艦となってこの世に産声をあげたのだ。


その飛行甲板で遥は訓練飛行直前の零戦二二型や九七式艦攻、九九式艦爆に目をやる。戦闘機の進歩具合に比べるとどうしても爆撃機と攻撃機の進化は立ち遅れていると言わざるを得ない。


「ん?参謀じゃないですか」


零戦二二型に乗り込もうとしていた瑞鶴制空隊隊長の板谷茂(飛行隊は赤城の飛行隊が一部除いてそのまま移ってきた)が遥に気づいてその場で敬礼をする。遥も答礼し、板谷と雑談する。


「板谷、零戦二二型はどうだ?」

「二一型とは段違いにいいですが……600キロ出せないのは悔しいですね。」


零戦`二二型`の最高速度は時速575キロほど。二一型が545キロなので30キロほど速度が早くなっている。史実の弱点である高速での操縦性および運動性は設計の是正である程度は改善された。防御力もそれなりに向上しているのだが、設計の限界もあって600キロ突破は無理なのだ。その当たりは零戦の限界であると言える。


「仕方ないだろう。これでも栄搭載のままだった場合よりはグンと良くなったほうだ。このあたりは金星のおかげだ」

「ですね」



遥はこの時期には航空関係者なら誰もが知る零戦が史実で辿った悲惨な運命を引き合いに出す。結果的に正しかった柴田武雄大佐(この時期は中佐)の主張が的を得ていたのは誰でも知っている。(遥は彼の後ろ盾となっていた。自分の現在の身分……`山本五十六の子飼いである`事を利用して彼の発言力を源田実以上に高めてやり、恩を売った)


「しかし、爆撃機や雷撃機の進歩は遅めですよね?どうしてです?」

「それはな。次期主力の開発で揉めてるんだよ……空技廠と愛知航空機が。上も困ってるんだよ……

空技廠は彗星を推してくるし、愛知は流星と来てる。性能的にも稼働率も流星なんだが、空技廠は『液冷の信頼性を上げて見せる!!』と息巻いてコンペで巻き返しを狙ってる。

一応設計は両方共スカイレイダーの物を参考にさせたが……彗星には問題があるんだよ」

「なんです」

「これは軍のお上たちの間の間で持ち上がった話なんだが……エンジンが水冷で整備性に

不安があって、さらに過荷重時の離陸滑走距離が長いんだよ。カタパルトを使ってやっとだから、小型空母での多数同時運用は難しい事が分かってな。扱いをどうするか、考えあぐねてる」

「うわぁ……何やってんだあそこ」


それは水冷エンジンの整備が完全に可能なほどの整備力を日本軍が備えていないことを暗に示していた。史実でも空冷エンジンに換装するまで全体的な稼働率は高いとはとても言えない状態であった。ただいつまでも九九式に頼るわけにもいかない。流星`改`の実用化までは彗星を使用せざるを得ないだろう。


「飛龍で艦爆乗りをしてるウチの`従兄弟`曰く『とにかく早くしてくれ。九九式じゃヘルキャットのいい鴨だ~』って泣いてたからな……。今度のコンペでハッキリ白黒付けると上は言ってる」

「そのコンペはいつです?」

「今年の6月って聞いてる。次期主力戦闘機の方は元から決まってるから問題ないんだがな」

「ああ、例の`疾風`と`紫電改`に`雷電`ですね?」

「よく知ってるな?」

「航空本部の方に知り合いがいましてね。艦載機はどうするんです?」

「紫電改の艦載型で急場を凌いで、烈風までつなぐ予定だそうだ。紫電改はもうすぐ初飛行で、来年には量産配備可能になるから安心しろ」

「大丈夫ですかね」

「……川西飛行機次第だろうな」


紫電`改`は正確に言えば`紫電`なのだが、この歴史では最初から`紫電改`と呼ばれる二一型以降の設計図が川西飛行機の手にわたり、更にいい方向に改設計された。それが最初から紫電改と呼ばれる理由である。発動機に大型かつ、整備に手慣れた火星の発展型のハ42を乗っけたため稼働率は誉より格段に上がるだろうと予測されている。(史実で大量生産された誉は`戦時における稼働率の低下が目に見えて分る`などを理由に主力発動機の座を掴むことはできず、社内テストヘッドとしての道を辿った)


「そういえば今日は`飛鶴`の連中との空中戦の訓練だと聞いたが?」

「ええ。なんでもあそこの隊は女が多いとか。いっちょもんでやります」

「おいそれは死亡フラグだぞ?」


-翔鶴型航空母艦の3番艦「飛鶴」。この艦は女性搭乗員が初めてまとまった数で乗り込んだ空母で、練度は飛龍や蒼龍の航空隊を凌ぐと謳われる。その中でも特筆すべき事項として、同艦の制空隊隊長に抜擢された「甲斐静」大尉(女性航空搭乗員訓練校第一期)は、かの支那事変のエース「南郷茂章」大尉をも驚嘆させるほどの腕利きと聞く。いくら史実で太平洋戦争前半の`無敵日本海軍航空隊`を担った搭乗員といえども全勝はできまい。カタパルトから射出される零戦二二型を`帽振れ`で見送りながら模擬戦の行方を案じた。









-この年は正式に日本空軍が発足した記念すべき年であった。陸軍航空隊海軍航空隊の基地航空隊出身の各搭乗員はそれぞれの基地でそれまでの軍服から空軍の真新しい制服に着替える。その中でも特に有力な部隊が設立された。第343航空隊と呼ばれるこの部隊には意図的に史実のエース達が優先的に配属された。赤松貞明、南郷茂男、上坊良太郎、穴吹智、黒江保彦、荻谷信男、笹井醇一、武藤金義、坂井三郎、西沢広義などの史実でエースとして名が知れる、空軍に異動した珠玉の人材達を集結させた事から

日本空軍きっての精鋭部隊と呼ばれた。(何故343かというと、史実での事例に則った。)その伝統は後の世まで長く受け継がれ、日本空軍最強のエース部隊として各国を恐れさせるが、この時はそんな活躍をするなど部隊員すらも考えもしなかった。


そして後の世に、この航空隊と、航空隊付属の養成部門に対抗すべく、米軍は`アメリカ海軍戦闘機兵器学校`と`アメリカ空軍戦闘センター`を設立する事となる……。


遥はこの事について戦後-1960年代末頃-に雑誌のインタビューにこう答えている。


「米軍はミサイル万能論に染まりきっていたから◯◯(この時期のアメリカは日本の影響下にはあったが、独自の戦略で紛争に軍隊を派遣していた。ただしその状況は大分史実とは違うが)戦争で苦戦したのにショックを受けたんだろう」


この時期の紛争で慌てて空戦術の教育に力を入れ始めた米軍を冷静に分析していた。


この時期に撮られたという集合写真における家族構成は老境に入った岬亮一と妻を中心に、壮年へ差し掛かった遥とその夫、中佐の2人の実子、そして遥が産んだ5人の子。男子3人と女子2人。男子の内一人は海軍兵学校生らしく、軍服を着込んでいる。2人いる女子の内、長女は空軍に入ったようで、この時期の空軍の軍服を着ていた。この遥の子の内の2人が軍人一家としての岬家の次世代を担うことになる……。


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