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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第44話:アカネチャンにご報告

 家に帰る前に食材の補充。お金はあるので問題なく必要な食品を買い込み、そして安売りしていた乾麺のパスタをかなりの量買い込む。もう塩パスタは卒業してもいいぐらいのお金はあるんだが、それでもパスタ自体が美味しいと感じている俺にはパスタはもうしばらく俺のメイン食材でいてもらおう。


 だが、今日の俺はもう一味違う。色んなパスタソースを買い集め、全種類食べ比べするぐらいのつもりで買い込む。これで食事の栄養も取れる。塩と胡椒だけの貧乏人パスタでないことを隆介に見せつけることができるようになるのはかなりのマウントが取れるようになるだろう。


 そのまま自転車籠に買い込んだ食材を乗せると、一路家へ。


「ただいま」


「おかえり。随分頑張ってたのね」


「また結城さんに会ってさ。二人で潜って頑張ってた。スクロールも落ちるし、財布に優しい一日だったぞ」


 その一言でアカネがカッと目を見開き、ワンピースおかっぱ少女がこっちに近寄ってくる。


「あなた、幹也よね? 別人じゃないわよね? 」


「レベルアップしてからそのセリフをよく聞くようになったが、アカネまでそれを言うのか」


 アカネが自分の目元をそっとぬぐってまるで泣いていたかのようなしぐさを見せる。


「実家のおじい様……幹也がついに女の子とデートするまで成長しました。見ていらっしゃいますか」


「そこ、そこなんだよ」


 アカネのボケに対して突っ込みで対処する。


「そこってどこよ」


「その……デートの部分だ。ダンジョン探索パーティーはデートに入るのか? 」


「女の子と二人きりだったんでしょう? デートじゃないの」


「まあ、たしかにナンパされそうになってたのを助けてお礼におっぱいの感触を味わわせてもらったり色々ラッキースケベはあったにしてもだな……」


「そのラッキースケベのところ詳しく。他は良いからそこを特に! 」


 アカネから青白い光が出始め、俺に絡まり始める。どうやらそういうのも栄養分になるらしい。アカネに、トイレに行ってる間に結城さんが一人になったこと、その間に年上らしき探索者パーティーにナンパされそうになっていたこと、俺がいるから、ということでお引き取り願ったことなどを説明。


 その際、仲良さそうに見せるために腕を組んでしばらく行動したことと、その感触がまだ思い出せることなどを話した。


「そんな素敵イベント起こせるなんてあなたは何という才能の持ち主なの。そこまでやれる男の子だとは思わなかったわ。男子三日会わざればという奴ね」


 アカネのテンションが大盛り上がりである。そしてあの柔らかな感触を思い出し、俺のほうも大盛り上がりである。


「幹也、ハッキリ言うわ。男と女が待ち合わせをして何処かに行くのは完全にデートよ! 」


「それがダンジョンで、どっちかというと俺がコーチだったとしても? 」


「そうよ、デートよ。そしてあなたは最後に彼女にもデート楽しかったわよって自発的に言わせたんでしょ? 」


「まあ、そうなるな」


「デートよ! 」


「俺自身はその気はなかったんだが……」


「デートよ!!! 少なくとも女の子がそう思ってたならそれは紛れもないデートよ! 」


 デートなのか……よし、今日のことはデートだった。俺も脳みそを灰色からチョイ青色ぐらいにアップデートしよう。


「俺は一足飛びに青春レベルをアップさせてしまったのか……」


「そうなるわね。今回のことは貴方から誘ったの? 」


「えーと……土日だけどダンジョン来る予定ある? とは聞いたな」


「つまり、向こうは誘われ待ちをしてたってことにもなるわ。デートの約束を相手に待たせるなんて中々高等なテクニックを使うじゃないの」


 デートをしたら後は彼女ができるかどうか……いや、待て結城さんだぞ。仮にも女子にも男子にも人気がある結城さんの貴重な時間を俺のために使わせてしまったこともなるわけか。俺はそれだけの価値がある男、という認識でいたほうがいいわけだな。


「……ちょっと頭が整理できてきた。俺は、デートを、二回もしたことがある! そういうことだな! 」


「その意気よ、その意気で男をより磨くのよ」


「よし、次のデートプランと思って、ダンジョンについてもっとよく調べておくか。今日一日でよく理解してない部分も増えたしな。この先どう潜っていくのかとか、どんなモンスターが出るのか、それからこの装備でどのあたりまで戦い抜けることができるのかなんかも調べておきたい」


 さて、今日のお勉強タイム開始……の前に空腹満たしだな。今日はお惣菜も買ってきたし、出来合いものだがお腹にも栄養にも問題はない。しっかり食べて今日と明日としっかり勉強した内容を頭に入れていかないと。


 手抜きだが作り手の手間暇がかかっている食事をアカネに供えていただきます。主食は相変わらずパスタだが、今日のご飯はその気になれば惣菜をパスタソースの代わりとして使えるものを色々取り揃えてきたのでアカネにいく神力もそれなりのものになっているはずだ。


 それだけでなくても、アカネには青春話でかなりの神力が回復したらしく、まじまじとよく見るとアカネも少しまた成長したように見える。少しずつアカネが成長していく様を見れるというのも俺の特権というところか。ところで、服は段々パツパツになっていくのだろうか。それともアカネの意識によっては服装も替えられるのだるか。


「替えられるわよ。たとえば……こんな風に」


 と、俺の思考を読んだのかアカネが服装チェンジ。赤のミニスカートに黄色い上着。トイレの花子さんみたいなイメージになった。おかっぱから少し伸びた髪がその違いを思い起こさせるが、なるほど、アカネは好きであの恰好をしているんだな、というのは伝わった。


 アカネはしばらくしてまたワンピースに戻る。そっちの方が落ち着く姿ではあるんだろう。納得すると食事に集中し、今日の飯の美味さを実感してはその思考がアカネに送られ、アカネが青い光でつまみ食いを始める。実際に量が減ったり味が変わったりはしてないので、二人で食事を楽しむ、という感じには段々なってきたな。


 買ってきた総菜を綺麗に食べきり満足すると、早速自分で積み上げた課題と疑問点を積み崩しにかかることにした。


 まず、古いほうから順番に調べものをしていくことにする。放りっぱなしにしておいた、オークチーフのスキルスクロールだ。


 早速鑑定サイトにアクセスしてスクロールの写真を取り、鑑定を待つ。結構時間がかかったが、無事に結果が返ってくるところを見ると、未知のスクロールではないようだ。返ってきたスクロールの結果は【マッチレスビガー】というスクロールらしい。マッチレス……比類なきとかそういう意味だったな。ビガーは解らん。素直に翻訳にかけよう。


 日本語訳すると【精力絶倫】ということらしい。つまり、男として凄いものになるスキルということになる。これはいくらなんだろう? と調べてみると、100万円から200万円ほどの相場になるらしい。やはり男として、いつまでも元気でいたいという意味を込めてのこの相場なのか、単純に出にくいのかまでは不明だ。


 せっかくなのでこのスキルの使用状況について調べてみる。外国語サイトだが、翻訳しながら調べたところによると、バイアグラよりも効果があり、衰えを知らない体になるらしい。どうやらあっちの方以外でも効果はあるらしく、色々と若々しくなってしまう効果もあるらしい。今の俺が使う意味はないが、うかつに手放せないスキルであることもわかった。


 これをどこで手に入れたのか? という疑問が付くことになるのでこれはオークチーフの魔石と共にベッドの下の隠し資産に放り込んでおこう。付箋紙に【精力絶倫】と書いて貼りつけておくと、そのままお眠りになってもらうことにしよう。


 さて、次は……オークの次のモンスターか。駅前ダンジョンに詳しいサイトを探して……と、専用の解説サイトがあるのでそこを参照してみよう。アカネも横からスマホを覗きに来たので二人で一緒に様子を観察する。


 どうやらオークエリア、コボルドチーフとゆかいな下僕たちエリア、ケイブストーカーエリアをそれぞれ抜けた先で合流して、その先ではリザードマンが出るらしいということがわかった。オークエリアからそのまま抜けていけるのは良いことかな。


 アカネは横でなるほど……とつぶやいているので、オークエリアの先はリザードマンエリアになりそうな気がしてきた。リザードマンは……メインウェポンは槍で、洞窟内に点在する水場によく生息しているらしい。普通に歩いている者もいるが、水場が近づいたらモンスターに注意とされている。また、この水場の水は飲まないほうがいい、とも書かれていた。飲んだ勇者が居たんだろうな。


 ドロップは魔石に加えてごく稀に持っている槍そのものをドロップすることがあるらしい。使い物になるレベルの武器ではあるらしく、リザードマンから武器を奪ってそのままメインウェポンにして行くという人もいるそうだ。使いまわしが効くってのは大事だな。


 スキルスクロールも落とすらしく、二種類は確認されているらしい。リザードマンの攻撃手段の一つである、水の弾を発射してくる【ウォーターボール】というスキル。それと、槍の取り扱いが上手くなる【槍術】のスキル。


 ここでようやくファンタジー魔法的な要素が付加されるわけか。ちなみに、ソロで倒すオークだと出会わないコボルドたちは耳が良くなる【聞き耳】スキル、そしてケイブストーカーは感覚が鋭くなる【敏感】スキルを落とすそうだ。


 どっちも微妙だが、レッドキャップ対策としては充分なものに見えるな。ただ、レッドキャップを抜けた先で落とされましても……というスキルではある。ソロでレッドキャップを巡るには、【忍び足】を含めて三つそろえるとかなりの効果がありそうだな。


 ちなみにスキルのお値段はシールドバッシュより安い30000円から50000円の辺りで上下しているらしい。どうやらこの辺りでうろうろしている初心者はこれ覚えておけ、というスキルではあるらしい。


 これで、ダンジョンの次までの予習は出来たことになるな。この調子でついでに授業の予習もやってしまうか。オツムの調子がいいと色んな面で役に立つ。やはりレベルアップはできるだけ早いうちに行ってしまうのが良いんだろうな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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