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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第160話:小休止とスケルトンメイジ

 しばらくホブゴブリンを集中的に倒し続け、昼になった。予定通り、十一層と十二層の間のちょっとした広間スペースで食事を開始する。どうやらここも他の探索者の休憩スポットというか、準安全地帯のようになっていて、モンスターがここまで来るのはトレインされてくる以外にはそうそうないらしい。


 今日のお昼にと作った生姜焼きの出番だ。ご飯も炊きたてでいくつかの小鉢系のおかずは彩花も手伝ってくれた。彩花は彩花で自分の弁当を持ってきており、冷凍食品は少なく、手間のかかる物もそう多くはなく、ただし品目は多めといった手間暇もそれなりにかかっている弁当になっていた。


 隆介はコンビニでパンと飲み物を調達してきたらしく、この中で唯一の既製品弁当だった、ということになる。ちゃんとたんぱく質が多めに取れる食品を選んでおり、肉体労働らしさを出してはいる。


「そんなにみつめてもやらんぞ? 」


「いや、そこまでガン見するほど要らんが、相変わらず二人はちゃんとしてるなと思っただけだ。俺ももうけをいくらか分けるから弁当を作ってくれとお袋に頼んでみても良かったかな」


「次回があればそう頼み込んでみるのもありかもな。俺の場合は前日から仕込んでたから朝バタバタしなくて済んだのが大きい。まあ、彩花にも手伝ってもらった部分はあるけど」


 生姜焼き弁当の脇にちょっと乗せられている菜っ葉のおひたしは彩花の発案だ。生姜焼きを入れてご飯を入れて、空いたスペースに詰め込まれたそれは、きっちり仕切りの役目を果たしつつも、箸休めとしての作用も考えられた割と手回しの良い一品として活用されている。


「うん、美味しい。ちゃんと浸かってる。生姜焼きで舌が飽きてきたころに入れると味が復活してまた美味しく生姜焼きが食べれる」


「そう、ならよかったわ」


 彩花のほうの弁当も美味しそうだな。くれとは言わないし欲しいとまでは言わないが、味のほうもしっかりしているのだろう。彩花も俺も家庭科の成績が5だったこともあり、お互いにある程度の信頼感が築かれている。


 さっさとパン二つと飲み物を食べ終わり、先に立ち上がった隆介に対し、こっちはのんびりと食事を楽しんでいる。


「暇だから腹ごなしを兼ねて見回りでもしてこよう。もしモンスターが近づいてきたら警告するからそれまではゆっくりしててくれ」


「おう、悪いな」


 隆介に見回りを任せてはいるものの、これはほんのりとした早く食って移動する準備を整えろよ、という急かしだと気づいたので、少し箸を進めるペースを速める。


 食べ終わった後、飲み物でしっかり口の中と胃袋を洗い流して、立ち上がる。彩花も同じタイミングで食事をし終わり、隆介のほうへ近づいていく。


「もう食べ終わったのか」


「ああ、流石にいきなり動く……というわけにはいかないだろうが、移動するだけなら問題なくいけるぞ」


「じゃあ、ちょっと十二層を覗くだけ覗いてみましょうか。人気のある階層らしいし、多分他の探索者もいるわ。動きを参考にさせてもらいましょ」


 十二層はスケルトンメイジが複数種類出てくる。各色……赤、青、黄、緑の四色に色分けされたマントを着たスケルトンメイジがそれぞれ火魔法、水魔法、雷魔法、風魔法を使い分けて攻撃してくるらしい。危険度で言えば黄色の雷魔法が一番危ないらしく、着弾までの時間が短いのが難点らしいが、常に動き回っていれば着弾地点と今自分が居る場所にズレが生じるのでそれで回避することはできるらしい。


 どうやら、雷魔法はいわゆる座標指定の魔法であるようだ。その次に危ないのが風魔法。目に見えないのが問題らしい。これも回避方法は、魔法を唱えだしたところと同じ座標軸に居ないことが条件らしい。要するに直線状に飛んでくるから左右に避けてしまえ、ということだな。


 次に火魔法。熱い。最後に水魔法。濡らされて風邪をひくだけでなく、濡らした地点を凍らせて凍傷を起こさせることもできるらしい。純粋に火傷する火魔法と違って一テンポ遅れる分だけまだ救いがあり、魔法をかけた本人を倒せば凍っていく途中の部位も元に戻っていくらしい。どうやら、魔法というものは魔法をかけた本人の健康状態に依存するようだ。


 さて、初めて出会うスケルトンメイジは何色なんだろうか……と、青色のマントを着たスケルトンメイジがこっちに向かって近寄り始めている。


「回避優先で。もし喰らったら回避を考えずにすぐさま近寄らないと凍らされるから注意な」


「了解、近づきながら避けるわ」


「なかなか難しいことを言われてる気がするが、それが最短ルートみたいだな」


 彩花も隆介も納得しながらスケルトンメイジへ肉薄していく。さすがのスケルトンメイジも、一体で三人同時に相手にするのは不可能らしく、彩花をターゲットにしている間に近寄った俺と隆介が普通のスケルトンにもあった胸元の核を破壊して、それでおしまい、ということになった。


「とりあえず最初としては上々だろ」


「上々どころか理想的だな。なにせ負傷もヒットもしなかった。この調子でやっていこう」


 次のスケルトンメイジを探し始めると、次は黄色のスケルトンメイジだ。こいつは魔法を唱え始めたらとにかく現在地から動くと、詠唱が終わった段階で誰かが居たどこかの地点に雷が落ちてくる、という代物だ。


「全力で移動することと、誰かがいた地点に被らないことが大事だ、つまり……」


「どんどん近づいていけば問題ないってことね」


「そういうことか! 楽でいいな! 」


 コツが分かれば戦いようはある、ということを教えてくれたスケルトンメイジは、一番厄介だと言われている黄色のスケルトンメイジが最初に一番攻略が楽だということに気づいたら、後はひたすら倒すだけになった。魔石を落とすドロップ率も、そう低くはないらしい。ちゃんと金になるのは良いこと。


 100%とまではいわないが、30%ぐらいの確率で魔石をくれることがわかっているスケルトンメイジは、俺たち以外にも複数パーティーがウロウロして次のモンスターを探しているぐらいには人気の狩場であり、主要なコンテンツであるらしい。


 また、それぞれの色のスケルトンメイジが落とすそれぞれの魔法のスキルスクロールが確認されているので、それを拾って売るなり覚えるなりして自己強化や装備品の購入などに充てるのが良いとされている。


 ただ、スキルスクロールのドロップ率自体はそこまで高いものではないらしいので、念入りに戦って回って一日1枚出ればいいほうだという話を目にしている。


 つまり、専用ダンジョンに潜れば一日に10枚ぐらいは手に入る計算になるな。狙って一つのスキルを覚えることは難しいだろうが、気分改めに、とちょこちょこと集めていくのも悪くないだろう。


 その場合は俺一人でホブゴブリンを倒せるだけの実力を身に付けなければいけなくなるが、その時に今の武器でもなんとかなるか? と言われるとちょっと疑問が湧く。もうちょっと使いまわしの良くてより俺の体にマッチしそうな武器があるならそっちを使うべきだろうな。今度また中古屋に見に行くか。


 スケルトンメイジはやはり、黄色が一番簡単に倒せるんじゃないか、という話になり、黄色を見つけたら全員で黄色に駆け寄って倒すのが安全であるということになった。ただ、スケルトンメイジが二体同時に出てきた場合はどうするのか、という点はまだ解決の糸口はつかめていない。実際に負傷するか、どういう組み合わせで出てくるのかにもよるんだろうな。


 スケルトンメイジをそのまま倒し続けて一時間ほど、ついに青色のスケルトンメイジからスキルスクロールを一枚拾うことが出来た。


「どうする、使うか? 」


「そうだな、隆介がターゲットを取るために覚えるって手もあるし、悪くないと思うぞ。俺と彩花は肉弾戦メインで構わないし」


「でも、何のスクロールかはまだわからないんだよな」


「青色から出たから水魔法じゃないのか? 」


「一応調べておいたほうが良さそうだな。これは実際に覚えるまで一旦とりおいておこう」


 また鑑定サイトにお世話になるんだな。できるだけ明るいところで撮影しないと鑑定できないから、地上に戻ってからだな。


「もう少し戦ってみよう。もっと稼げるだろうし、もう一枚スキルスクロールが出る可能性だってある。その可能性に賭けて後二時間ぐらいは粘ってみようか」


「そうね、これをキリにして帰るという選択肢も取れるけど、まだ……時間的には早いわね。もうちょっとだけ遅く帰っても怒られはしないだろうし、私は賛成よ」


「安全に潜るという意味では、これより奥へ行かなければ二体同時に出てくる可能性も低いだろうし、一体ずつでも美味しさが味わえる程度には魔石も落ちてくれている。いざスキルスクロールを鑑定してみたとして、もし使い道が思いつかないなら売却してしまってもいいしな。金になるものは色々あるし、もう少しだけ頑張っていくか」


 そこから二時間、ひたすらスケルトンメイジ一体を相手にするということだけを頑張った。危険さはないし安全に戦えるという意味でもそうだが、一体だけならホブゴブリンよりも更に戦いやすい相手であることは確か。そして、ドロップ品である魔石の出る確率や大きさもスケルトンメイジのほうが上。ならばホブゴブリンを相手にするよりもこっちを相手にする方が楽だ。


 そして、さすがに午後の数時間では再度隆介のレベルが上がることもなかった。やはり三人いる分だけ経験値の入り方も分割されている、と考えていいんだろう。もしくは同時に同じモンスターと相対したから……などいくつか理由が考えられるが、納得のできる答えをはっきり出すには、俺専用ダンジョンで新人を複数人見繕ってそのためだけの検証をしなくてはならないだろうからこの考えは表に出さないほうがいいな。


 今日の戦果としては、高三でも環境が揃えばレベルアップは可能だということと、スケルトンメイジは結構普通においしいモンスターである、という二点を確認できただけでも充分すぎるぐらいの見解を得られた。後は帰って換金すれば終わりだな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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